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タイトルから後ろ向きな暗い話かと思ったのですが、前向きな話で読後爽やかな気分になりました。
表題作と「春雷」は同じシリーズの話で、フランスからの留学生、金髪美青年のアスティンが茶道を習いたいと凪を訪ねるところから話ははじまります。
凪を慕うアスティンと、何故かそんなアスティンに惹かれる凪。
実は凪は、若い頃にあった事故の影響で過去の記憶が一部欠落しています。それこそが「還らない」夏の出来事なのです。
ひたむきで一途で、まだ子供っぽさの残るやんちゃな一面も見せるアスティンが非常にかわいいです。
対する凪先生は、小柄で長髪のいかにも受に見えますが中身は普通の男の人、という印象。和服を着こなす姿はしっとりとした大人の色気があって良いです。
受がレイプされるシーンがあるので苦手な方は注意。
「華影」
エッチはありません。
受けのビジュアルが最初ちょっとインパクトあるかも。
「ミスター・パパ」
特撮戦隊ヒーローの役者同士というちょっと変わった設定。
攻めは現役レッド、受けは、昔ヒーロー役をやっていた攻めの憧れの人/現在は悪役です。
この受けには子供がいて、その子がレッドのファンなんですが……やり取りがほのぼのしていて可愛かったです。
そして、パパなのに受けの艶っぽいことといったら…!
この本の中で一番好きなストーリーです。オチは笑えます。
「わるい恋人」
リーマンもの? なんでしょうか。
攻めには奥さんがいるんですが、その奥さんの留守中の自宅で…というお話でした。タイトル通り、攻めは本当に悪い恋人だと思います。不倫されてる奥さんに感情移入してしまうとキツい話かもしれません。
「一割の生意気」
家政夫とその家の息子。これも年下攻めです。
特に感動的な話というわけでもありませんが、読んでいて退屈もしないです。
この作家さんの作品は全体的に安定感があって読んでいて安心します。
電子書籍化もされているようなので、古い作品ではありますが入手はしやすいかも。
(私は携帯の配信で読みました)
淡々と濃厚な一冊でございました。
表題作シリーズは、重いですね。
常に喪失感が付きまとい、そして哀しい色で
埋められてゆく。最終的に愛情で埋められるに
しても、そこには一片の陰りが確実に混じる
のでしょう。
佐藤えり子名義で発表されていた二編は、
初出誌(「manga純一」光彩書房刊)の性格に
合わせたものなのでしょう。
あの雑誌はそう言う描写が結構明け透けでしたし。