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「その目に、その世界に、俺を映してくれ」
tayutau kumo wo kou

今作がデビュー作とのことで初読み作家様でしたが、
美しい絵も爽やかな読後感を覚えるストーリーも素敵で
今から既に次回作が楽しみです。
以下、内容に触れてゆきます。
離島で唯一の医師として働く廉太郎はある日、
仕事で島にやってきた高校時代の後輩で元恋人の想一と
10年ぶりの再会を果たします。
写真家として離島のPRをする依頼を受け島を訪れた想一でしたが、
島への滞在中は廉太郎の家に居候することになってしまい…。
突然の再会に戸惑う廉太郎でしたが、そんな彼に反して
10年前の別れなどなかったように変わらずに笑いかけてくる想一。
何ともない風を装うも、一緒に過ごす中で向けられる笑顔や
触れられる手に10年前の気持ちがぶり返し、
自分が未だに想一を忘れられてないことを思い知らされていきます。
廉太郎視点で描かれてゆくのではじめのうちは
想一は廉太郎のことをどう思っているのか?
離島へやってきたのが本当にただの偶然なのか?と気になっていましたが、
廉太郎に想い人がいる(誤解)と知ったときの反応や彼に向ける熱い視線など、
想一もまだ廉太郎への想いを吹っ切れていないことが判明してゆきます。
自ら関係を断つも結局は想一の撮った写真に背中を押され、
彼を忘れることのできなかった廉太郎。
廉太郎からの別れをあっさり受け容れたのに、
別れてからその存在の大切さに気付いてしまった想一。
ただここ、廉太郎は想一に人生を変えられたというのでわかりますが、
他人に執着しない想一がどうして想一にだけそこまで執着し続けたのか、
10年に及ぶ激重感情に足る理由がもうちょい欲しかったかも。
一度は別れたにもかかわらず、10年間もお互いを想い合い続けてきた
一途すぎる二人の想いの強さに胸がぎゅん状態でした。
高校時代に断ち切られたはずの縁が再び繋がり、
実は10年越しの両片想いだった二人の同居生活なんて…もう期待しかない。
と思っていたら、案の定、酔った勢いでキスしちゃって意識してしまったり、
感情が溢れて押し倒しちゃったり、と恋心の再燃が止まりません!
感情がダダ漏れな想一とは反対にクールな廉太郎ですが、
内心では想一の一挙一動にときめかされっぱなしなギャップが
微笑ましかったです。
想一との期間限定の同居生活を通じて
ようやく自分の気持ちに素直になれた廉太郎。
結果として10年も時間はかかってしまったけれど、
恋に臆病で不器用な廉太郎がその気持ちを受け容れるには
それも必要な時間だったのかもしれません。
10年越しにようやく想いが通じ合った二人。
けれど、廉太郎は離島のただ一人の医師で、
想一は世界を旅して写真を撮るカメラマン。
必然離ればなれになってしまい、
会えない寂しさに葛藤する廉太郎ですが、
最後は島で想一の“帰る場所”になることを心に決めます。
ラストシーンではまたどこかへ写真を撮りに出かけた想一を
「おかえり」と迎える廉太郎に二人はこれからもずっと一緒なのだと
ぐっとくるものがありました。
想一の職業柄離れ離れの時間はやっぱり多くて寂しいけれど、
それでも想一が帰ってくるのは廉太郎の元なのだ、と。
攻めと受け、朝と夕方。
斜めに切り取られたスタイリッシュな表紙が素敵✨
表紙のインパクトに惹かれ、手に取りました。
こちら、隈丸ミケ先生のデビューコミックスとのこと。
おめでとうございます☺︎・:*+
先生のインタビュー記事を読み、先生わざわざ離島に行かれたんだ…!と驚き。
思い立ったらやってみよう!という姿勢、
家にこもりがちな自分も見習いたい...!
そんな先生のデビュー作、作画が美麗です...!特に背景。
先生もインタビューで語られているとおり、離島が舞台のため
景色・風景描写、大変だっただろうなあ...と思いを馳せてしまいます。
海をバックにして立つ廉太郎に、「綺麗…!」と呟く想一。
自分のことかと思い一瞬びくりとする廉太郎ですが、
その振り向いた先に見える夕陽が美しい・:*+.
モノクロだけど、淡く美しいオレンジの光や、
寄せて返す波音が聞こえてくるかのようなキラキラした描写でした。
以下、内容についてもレビューを。
大型ワンコ写真家×離島医師、後輩・先輩関係、
昔恋人同士だった二人が10年ぶりに再会を果たし、
期間限定の同居生活の中で関係を再構築していくお話です。
思わぬ再会に戸惑いを隠せない廉太郎(受け)に対し、
持ち前の明るさでグイグイくる攻め。
(でも押しすぎず嫌な気持ちにはならない、絶妙なバランス)
意外というか、予想とは違ったけれど
逆にリアルで良いなあ...と思ったのが、
攻めの執着・想いが高校時代に振られた時からずっとずっと
続いていたものではない、ということ。
「別れたとき なんとも思わなかったんだ」
と語るほど未練や執着はなかったはずなのに、
その後山に登ってふと見た景色、
それを見る自分の隣に”先輩”がいないことに寂しさを覚える。
うおお...現実にもありそう...そしてドラマのワンシーンにもなりそう...
「忘れられないのなんてはじめて!」
「ここに来たのだって何かの未練」
「またどこかで会えるかもってね」
とあくまでも爽やかに語る想一の姿がキラキラ眩しい✨
実は再会自体は”偶然”なんかじゃなかった、という事実と合わせて、
ドラマチックさとリアルさが混ざり合う物語にときめきました。
そんな大型ワンコな想一の魅力が光る一方、
受けの廉太郎はなかなかに拗らせたキャラ。( ̄∀ ̄)
でも、そんなツンデレな彼がポロッと見せる(というより、露呈してしまった)
感情にキュンと萌えるのです。。
高校時代、かなり一方的に想一を振った廉太郎だけれど
そんな彼の健気さがバレてしまうのが...
想一の写真集についてのエピソードです。
毎日肌身離さず職場まで持って行っていたなんて、
ツンデレ猫のようで可愛さ愛おしさ溢れる...!
「廉さんがかわいい」と言う想一の気持ちも分かります(*´◒`*)
島で医師として働く廉太郎と、世界中を駆け回って写真を撮る想一。
”常に共にいて、共に暮らす”ということはできないふたりが
今度はきちんと向き合い、話し合って選んだ方法。(成長...!)素敵でした。
本編最後に抱き合う二人、
「おかえり!」「ただいま」というセリフと笑顔が幸福感に溢れてる・:*+
攻め受け二人を囲む離島の人々のキャラ、そして交流の様子も、
物語にふんわりした温かみと味を添えてくれていました。
注射を怖がっていた涼介くんが可愛い(*´艸`)
そして時折出てくる猫にゃん、お魚くわえた姿も可愛い◎
じんわりと沁みる、再会愛のお話でした。
あっ。全編通して決してエロ度は”高い”わけではないけれど、
描き下ろしのテレフォンセックスはえっちだったー...!
一人でいじって涙目になっちゃう廉太郎、セクシーすぎました//
★修正:tnフチなし白抜き(電子シーモア)
不器用な受けあるあるだけど、すぐ別れ話的なネガ思考になるし、別れを切り出すのも一方的なんだよなー…。
なんであなたに決定権があるわけ?っていつも思う。
自分にも意思があるように相手にも意思があって、それなのに何で自分の気持ちが優先ってなるんだろう。再会してもまた同じことをしようとするし、10年経っても相手のことを見てあげないなんて成長しなさすぎでしょう。
別れること、離れることが最良の策と思ってる嵐山だけど、それは嵐山自身のエゴでしかありません。
背中を押そうと……?想一にとってみたら、そんな背中なんて押されたくないってもの。嵐山だけが苦しいわけじゃないし、苦しんできたわけじゃないのに、自分の拗れた想いが先行してばっかりで、想一の想いに寄り添ってあげれていないのがむず痒すぎでした。
でもそんな不器用さんには、ちゃんとそこをフォローしてくれるナイスガイがお相手なので、トータル的には良い読後感です^ ^
嵐山がマイナス思考なら、想一はプラス思考。年下ワンコ攻めの柔和なキャラクターが、嵐山のカチカチな気持ちをほぐしてくれていて実に素敵でした。タイプが逆な2人ですが、2人合わせてちょうど良いカップル感になっていることにも注目しながら、再会後の彼らの恋愛模様を見届けて下さいね。
再会までの10年……2人の立場や置かれた状況は変わったけど、お互いを忘れられずにいる気持ちだけは変わらずにいたことが胸アツの物語でした。