薔薇色じゃない

barairojanai

薔薇色じゃない
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神8
  • 萌×21
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
5
得点
44
評価数
9
平均
4.9 / 5
神率
88.9%
著者
凪良ゆう 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
円陣闇丸 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
価格
ISBN
9784199011610

あらすじ

二十歳で出会い、同棲から始まった平凡で満ち足りた関係は、社会に出てもずっと続くと思っていた──
25歳になり、念願のフードスタイリストのアシスタントとして修業の日々を送っていた水野。恋人の阿久津の誕生日を手料理で祝うはずが、すれ違いから喧嘩になり、一方的に別れを告げられてしまう。「二度とあんな恋はしたくない」──ところが一年後、偶然の再会をきっかけに、再び友人同士として恋愛とも友情ともつかない関係をつづけることに…!?
人生の分岐点で一度は別れを選んだ男たちが、15年の時を重ねて辿り着いた愛の最終形‼

表題作薔薇色じゃない

大学生→大手食品会社勤務、20歳〜35歳
大学生→フードスタイリスト、20歳〜35歳

同時収録作品薔薇色じゃない

カメラマン
フードスタイリスト

その他の収録作品

  • 16年目
  • 17年目
  • あとがき

レビュー投稿数5

美麗イラストと切ない本文がマッチしている

旧持ってますがこちらもどうしても欲しくて買いました。
美麗なイラストです…!

凪良ゆう先生は、人の生きづらさ、完璧じゃない人間の人生を描くのがすごく上手で、このお話もそうでした。
紆余曲折して、最後に一緒になる。口喧嘩をきっかけに別れるシーンはつらい。つらく苦しいシーンもありますが最終的にはハッピーエンドです。
紆余曲折が本当にいろいろあった……。大学生からアラフォーまでを見ることができるので、ふたりの人生を覗いているようでした。
受けにも攻めにも、良いところもあるけど悪いところもある。それは完璧ではないから。だからすれ違って、他の人と恋愛して、傷つけて傷つけられて、そしてまた戻ってくる。
美しいお話です。
なんかタイミングなのかなと思います。少しでもタイミングが違えば、それこそ都合よくふたりの彼氏が浮気してくっつかなければ、阿久津と水野が復縁することはなかったんじゃないかなと思います。
でも人生って、こういうタイミングですよね。

エロはほとんどないのですがそれすらも美しく切ない。

ツッコミたいところは2点
顆粒だしでも良いよね~~!?
出てくるキャラにゲイ多すぎ~!

1

泣いた。。初めは嫌悪感すら湧いた攻めが、愛おしくてたまらなくなる

はー……凪良ゆう先生の筆力、底力に圧倒され、
気付けば夜中にぽろぽろ泣いていました。。
人生や人間関係のままならなさを、まざまざと見せつけられて
心震えました。

あまりに感動しすぎてレビューにも何を書いたら良いのか
分からないというか、ちょっとうまく言葉が出てこず。
でも、拙くともなんとか絞り出して、この感動を記しておきたいなと思います。

盛大な”攻めざまぁ”だったけれど、
最後には阿久津が愛おしくてたまらなくなって...
”変わる””もう裏切らない”という言葉だけでなく、
阿久津が行動で見せた覚悟。

土下座での決死の告白も良かったけれど、
ズドンと心に刺さったのは、遺言書と生命保険のくだりでした。。
涙が堪えきれなかった、、


先生ご自身があとがきに書かれているように、
”はずれ”とも思える亭主関白攻め。
受けを振って女性と結婚しちゃう攻め。

読み始めてしばらくはそんな攻め・阿久津をとてもじゃないけど
許す気になんてなれず、カメラマン・早坂さんの方がずっといいよ!と
思ってプリプリしながら読んでいました。
(後に、早坂には幻滅しましたが、、、私も相当見る目がない…!)

1年ごとの二人交互の視点で描かれる、深い深い後悔と、
もうやり直すことはできないという諦め、それでも断ち切れない思い。

丁寧に紡がれる心理描写に、自分の心もこれでもか!というほど揺さぶられました。

こじれて、絡まって、離れて、でもまた出会って…

まさに”腐れ縁”を超えた、熟成縁…とでもいうべき
二人の、不思議な縁。

収まるべきところに、収まるべき形で収まった二人の、
”復縁”…と、二文字で語るにはあまりに複雑で、奥深いストーリーでした。

人生の選択の岐路で失敗しても、
それを取り返すべく、最後の最後に恥を捨てて行動できた阿久津が
愛おしくてたまらないです。
水野のために可笑しな料理を作っちゃう最後のシーンなんて、
20代の阿久津の描写からは考えられなかったよ…!


苦しい展開に胸抉られただけに、読み終えて
円陣先生の美しい口絵(+表紙)を見ると、グッと込み上げるものがありますね。
特に口絵…料理をする水野の腰を後ろから抱き、
あーんしている阿久津の絵。くうう…!甘さが沁みます。。

恋人、そして”家族”として。
二人のその後、18年目も19年も20年目も、
30年後も40年後もずっとずっと見ていたい…

そんなことを思う、圧巻の読後感でした。
文句など何一つなし、の”神!!”評価です。

1

やっぱり「人生が薔薇色じゃないのは知っている」

旧版読んでます。
前回は評価を中立としましたが、歳取って余裕出来たので、今回は神になりました。良かった。後半の幸せ部分が沁みますねえ。
やはり読む人のその時の状態で、まったく評価が変わる可能性のある本だと思います。だって凪良先生だもの、辛いところはほんと泣くので。
本編260Pほど(旧版のままだと思う)+フェア用に書かれた小編2編+あとがき。これも電子買って永久保存だな。フェア用の小編が、ほんとーに良いんですよう!

大学2年生の時にゲイの集まるクラブで出会い、するするっと恋に落ち、つき合い始め、同居して、就職の時期も乗り越えたけれど・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
二人が良く行く料理屋の大将(言葉少な目な強者)、二人の付き合う方々、攻めの嫁、受けの仕事仲間等々。大将が一番好きだなあ。

++すごく思うところ

二人ともとても普通の人間です。何かの特殊能力を持っている訳ではなく、普通に就職活動し、受けはフードコーディネータになるべく四苦八苦していて。
恋愛以外のあれこれでも悩み、恋愛でも、あちらこちらに気持ちが揺れ動く様が、すっごく沁みます。右?左?と自分の進む方向を悩むところがもうそれはそれは「あー。。。わかる・・・」と自分のこれまでを振り返り「あそこでああしたのはなあ・・・⤵」等という気持ちでいっぱい。結局、今、自分が幸せなので「うんうんそうだよね♡」と幸せに読めました。

ただ。
今辛い局面にある方には、辛い方にシンクロしてシンドイ本だと思うんですよね。

何回読んでも「顆粒出汁の何がわるいーーーーーーーーーーーーーー」と吠えますしね。

阿久津(攻め)の不器用さが愛おしく感じられるようになって、自分が歳取って、もう右左に悩む岐路が少なくなってきたんだなーと分かった一冊でした。

最後に挿絵話。
旧版は個人的に神絵師と思う奈良先生でした。
例え円陣先生といえど・・・と最初戸惑っていたんですが、表紙を見た瞬間に全部ぶっとび。
この二人の手!ふしばったthe男の手!ソファの背に載せたこの大きな手!
勿論二人の表情、受けの視線等も最高なんですけど、この手が最高でしたねえ・・・大好き。
奈良先生の挿絵も勿論最高の最高、円陣先生の挿絵も最高の最高の最高、
お話も本当に味わい深く染み入る最高の最高の最高の最高で、幸せです。

1

ハッピーエンドの向こう側

気になる相手と出逢い、恋に落ち、気持ちを伝え合って結ばれる。
恋愛もののお話としては、もうここでハッピーエンドと言えるものでしょう。
ですが、その後は?
めでたしめでたしのハッピーエンドのその後には、はたしてどんな未来が待っているのでしょうか?

その先が明るい未来であるに越したことはありませんが、誰も彼もが必ずしも幸せなままだとは限らないと思うのです。
そんな、あまり商業BL小説で多くは見かけないけれど、現実世界でも起こり得るリアルな題材がとても丁寧に描かれている作品でした。
なぜ私はもっと早くこちらの作品を読まなかったのかと後悔したと同時に、新装版をきっかけに読むことができて本当にうれしく思います。
読みたかったものを見つけた。そんな気持ちになったのです。

大学生時代に知り合い、やがて恋人同士となった阿久津と水野。
彼らが歩んだ15年間をじっくり。
もどかしすぎるほどにじっくりと両方の視点から追いかけるかたちで進む濃い1冊です。
一度は綺麗な形にぴったり収まった大好き同士だったはずなのに、少しずつなにかがずれ始め噛み合わなくなっていく。
良かれと思っていたことが良くなかったり、相手に上手く伝わっていなかったり、楽しいあの時のままの気持ちでいられる心の余裕がなくなっていったり…
この、ライフステージが大きく変化する20代から30代にかけてのリアルな心理描写の上手さに唸りました。
すべてを理解できなかったとしても、ああ、これはどちらの気持ちも分かるなと思ってしまうんです。

山も谷もあります。苦しいことも、幸せなこともあります。
でもそれって、性別も年齢も境遇も関係なく人生というのはきっとそんなものなのではないかな。
彼らが歩んだ長い15年間は決して薔薇色とは言えません。
時になにかを掛け違え、間違い、判断に迷いながら、未練たらしいみっともない内面を読み手にさらけ出し続けてくれるのです。
だからこそ没入して読めたというか、夢中になって読みきれたのかもしれませんね。

どこかにいそうな人々が、誰しもが一度は感じたことがある「よくある」を体験して成長をしていく、薔薇色じゃない人間くさくて青くさい彼らの人生がとても魅力的に見える作品でした。
人生山あり谷ありを経て、彼らのハッピーエンドのその後のその後はいったいどんな結末を迎えるのか?
非常に読み応えのある生々しい15年間です。
ぜひ最後まで見届けてみてください。

2

人生は右と左の分かれ道の集大成

2016年版の方は未読。こちらが初読みとなります。
円陣闇丸先生の美麗なイラストが素敵ですね!凪良先生とのタッグが最高でした。

いやー…しかし。読んでみてビックリ。なんてシンドイすれ違いなんだ。
ボタンの掛け違い、右と左の分岐点の選択ミス。非常に苦しい物語でした。

いっときの感情とその時の選ぶ道が違うだけでこんなにもお互いの距離が離れてしまうとは、なんともやるせない。
気心の知れた安定した関係は、時に思いやりの気持ちや相手への理解を濁らせてしまう、まさに現代社会におけるどこにでもありそうなシチュエーションに身がすくむ思いでした。
阿久津と水流の別れのきっかけは、同性間だろうが異性間だろうが関係なく身に降りかかる問題です。怒りに任せて別れを切り出した結果、好きでもない女性と結婚するなど、阿久津の行動には怒りでした。
母親のために女性と結婚し、子どもを産んでもらうために夫婦となり、排卵日に合わせてセックスし、妻の社会進出を阻む発言をしたりと、……はぁ…胸クソわる。なんだよそれ。阿久津の身勝手さが最悪でした。

子どもを産んでもらうために結婚した。
水流と別れた最大の理由にして最大の選択ミス、全てはここに始まります。
病気の母を安心させるため、孫を抱かせるため、水流を傷つけ、自分の気持ちを偽り、母親を最後まで騙すことになって、一体この男はなんなんだって感じでした。
母親からするとまだ見ぬ孫よりも、自分の目の前にいる愛する息子の幸せを何よりも願っていたはず。タラレバになっちゃうけどさ、水流のことを正直に紹介していたら、料理好きなお母さんと一緒に料理なんかもしたかも知れない。楽しくおでかけしたり、お喋りしたりして新しい家族として迎えられていたかも知れない。何より、息子である阿久津の笑顔を見ることができて、お母さんは喜んだかも知れない。そんな可能性を考えなかったのは、若さ故の恐れからでしょうか。

母親を安心させるための選択が結果不安にさせてりゃ、ザマァない。早まった行動と、思慮の浅い行動で自分の首を絞めていく阿久津の不様さがやるせません。
そんな阿久津と友人という関係に収まりながら、地道にキャリアを踏んでいく水流。浮いた話が上がっても、どこかで阿久津を求めている姿もまた痛々しく映りました。
彼氏がいたら、あっちはフリーで、こっちが彼氏と上手くいってなかったら、あっちは彼氏が出来てたりと、そんな状況が非常にもどかしかったです。
タイミングって難しいですね。別れているのに、心がきちんとお別れしていない2人の不器用な想いに何度も心臓がキューッてなりました。


人生には数えきれない分岐のシチュエーションがあり、自分の選択肢と相手の選択肢がカチッと合ったときに初めてうまくいく。膨大な選択肢の中で、相手との選択肢が合うって奇跡に近いことなんです。
一時はそんな奇跡を手にした2人が、別離のときを経てまた再びその奇跡を手にしていくことに涙がウルッ。奇跡ってさ、空から降ってくるものでもなくて、自分から掴みにいく泥臭さがあって良いんだよね。
最後に男を見せてくれた阿久津が、カッコよかったです^ ^


誰かとの同居生活は妥協と忍耐。そこに相手へのリスペクトと愛情があれば最強(笑)
2度目の春はうまくいくといいなと願っています。

4

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