愛から一番遠い場所

ai kara ichiban tooi basho

愛から一番遠い場所
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神42
  • 萌×213
  • 萌11
  • 中立8
  • しゅみじゃない5

--

レビュー数
14
得点
303
評価数
79
平均
4 / 5
神率
53.2%
著者
せきとう 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
KADOKAWA
レーベル
B's‐LOVEY COMICS
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784047381674

あらすじ

これ以上壊さないで

泥に沈んでいくような日々。

自身のバース性をオメガだと知った人紀。
それからというもの幼馴染の世継の視線がときどき怖い…
その奥底になんともいえない熱情を感じるから。友人に向けるものではない、何かを。
人紀はオメガであることを隠そうとするが
世継はそれを許さず、人紀を追い詰めていく…

表題作愛から一番遠い場所

α、(小学生→中学生→高校生→)ヤクザ、人紀の幼馴染
Ω、(小学生→中学生→高校生→)清掃員

その他の収録作品

  • 描き下ろし:炎夏(16P)

レビュー投稿数14

歪みと痛みと…愛なんだけど、愛ではない何か

せきとう先生、はじめて読ませて頂きました!

すごく良かった。ゆがんだ視界、不穏な空気。追われる男。
闇深くとても美しい絵で、なんだろう、ガロ作品のような質感。
(若い方ご存知ナイかも!すみません)

作品を思い出すときに、設定やキャラの顔が出てくるのは
よくあると思うのですが、せきとう先生の作品の場合はまず場面かなと。

ずっとずっと仄暗く、サブリミナル的に差し込まれたひまわり畑や、
攻撃的な猫、時計とシンクロする鳥の鳴き声、降りしきる雨、
真っ黒なカラスの群れ…。
こういったモチーフの使い方がとても印象的で、
1回拝読しただけでも脳裏に焼きつく画の力があります。

オメガバース設定で、受けの人紀(Ω)に
ド執着をぶちかましているのが攻めの世継(α)
自分に縛り付けておくために手段は選ばない。

「愛している」と、強引に番にし、人紀を追い詰め、
閉じ込め、壊れるまで抱き潰す世継。
(恐怖を感じるレベルの噛み跡!)
それは愛じゃないと世継を憎み抵抗しながらも、
異常な執着に対してなすすべがなく、
番にされた後も逃げ続け、また囚われる人紀。
愛憎が行き詰った2人が辿りつく結末は…。

というストーリーなのですが、脇を固める魅力ある人物たちや、
世継、人紀それぞれの背景もしっかり描かれており、
たった1冊の漫画とは思えない満足感を与えてもらえる作品でした。

以下めちゃくちゃネタバレなので、
未読の方はすみません読まないで頂いて…!

どんなに拒否していても、番になってしまっているので
ヒートの時に思い出すのは世継であるという人紀の苦しみ。
オメガバース設定だからこそ浮き彫りになる、
本能と感情、理性がバラバラになってしまう人紀の絶望が
ものすごく良く描かれていたと思います。

世継は自分でも人紀への想い(執着)が、
彼を傷つけ続けていること、間違っていることをわかっていて。
自分が死を選ぶことで人紀を解放しようとするんですよね。
(しかも人紀に銃を持たせるという…。
人紀に自分を終わらせてもらいたいと思う世継の愛は残酷ですね。)

そこで人紀も自分の世継への想い、世継からの想いをやっと理解して。
自分の意志や尊厳をねじ伏せられて、許せないことをされたんだけど、
でもどこか絆されて受け入れる。(受け入れたいと思う。)

おそらく、人紀はずっと世継の痛み(孤独)を理解していて、
抱かれることでそれを共有してたんじゃないかな。だから憎みきれない。
また世継から執着される安心感で、
自分の孤独が和らぐところもあったのかもしれない。
(でもそれは人紀自身は認められない感情だったのかな。)

ラスト、2人が並んでひまわり畑に立つシーンに救いを感じて、
ここからちゃんと愛がはじまるんじゃないかなと思えたんですよね。
ワタシはそれが特別にすてきなものに感じて、
ものすごいハッピーエンドをもらった気分でした。
(もちろん、読み手によって全く違うモノになるであろう作品ですので、
あくまでワタシは。の感想でございます!)

とても美しく悲しく印象的で、
また読み返したいと思える作品でした。
せきとう先生、ありがとうございました!

6

こういうのが読みたかった…!ダークで痛くて切ない…だけじゃないオメガバース

やーーー…刺さった…!読めて良かった…
電子で読んだのですが、紙でも手元に置いておきたい!と思うぐらい、のめり込んで読んでしまいました。

光の腐女子の方にはとてもおすすめできないけれど、
夜明けのストーリー&ダークなものが好き・大丈夫という方には強くおすすめしたい、そんな作品でした。

無理やり番にされ、逃げようとしてもどこまでもどこまでも追いかけてくる世継(せつ・攻め)。

「人紀(とき・受け)の笑顔が好き」「人紀ののぞみはなんでも叶えてあげたい」と言いながら、
「でも 俺のそばを離れるのは許さない」と言い放つ言葉の持つ強制力と残酷さよ…!震えます。でも、でも、この執着がたまらなく好き…

もう間違いなく圧倒的に不憫で可哀想で救われてくれー…!と思うのは人紀なんですが、
人紀のことしか愛せない攻め・世継がもう、哀れで悲しくて。

人紀からの愛を乞う渇望や独占欲、焦り、葛藤や苦しみが
ぐぐっと胸に迫ってきて、なんだかとてつもなく愛おしいと思ってしまってた‥

人紀のことを追い詰めるそのやり方は決して許されるものではないんだけれど、
とてつもない愛がそこにあるのが見えるんですよね。。苦しい。。

大きなネタバレになるので詳しくは言えないのですが、
再び人紀を失いかけて再会し、自分の手の中に戻ってきた人紀に対する世継の言葉と行動。

苦しめたいわけではない、泣かせたいわけでもないけれど、
そばに置くために強引な手段をとり、泣かせることしかできないー

そんな彼の昏くて深い愛がよくよく伝わってくるシーンでした。しばらくページを見つめて止まってしまった…

作中、時折出てくる眼光鋭い猫たちの画に、ゾクゾクっとした恐怖を煽られ。
終盤のアイスがドロドロに溶け合うシーンも、「ああ…」と声が出ました。秀逸…

このアイスのようにドロドロに溶け合う二人の愛、そして溶け合って一つになりたいと願う世継の心。

素晴らしくダークで深くて胸に刺さるお話、そして記憶に残るオメガバースの物語でした。

5

モノクロ映画のような気だるさ

せきとう先生のこの作品、商業になる前から読んでいました。描き下ろしもあるとの事でコミックスを購入しました。

ヤクザの妾の子であるαの世継から逃げていたΩの人紀は3年ぶりにつかまります。瞬く間にヒートになり再び無理やり抱かれてしまいます。どんなに嫌がっても逃げても暴言を吐いても世継は人紀からの愛だけを求めています。

ふたりの出会いは小学生の時。人紀が世継のクラスに編入してから、ずっとふたりは親友同士でした。でも中学になったある夜、世継が人紀の名前を呼びながらトイレに籠っているのに遭遇してから世継が自分を見つめる目が怖くなります。そして同じ頃に自分がΩであることがわかります。
なんとか自分はβであると誤魔化しますが、αである世継がだんだんと怖くなっていきます。
ふたりが高校生になり、人紀に彼女ができると世継は彼女の前で人紀に薬を盛ってヒートにさせます。そして「世継とだけは番になりたくない」と言う人紀を無理やり犯し、項にたくさんの噛み痕を残します。
逃げたくても祖母に何かされたらと逃げられず囲われて暮らしていました。

そして冒頭の3年ぶりの再会。きっとおばあさんが亡くなってから逃げたんでしょうね。そしてその3年の内に世継は人紀を囲える力を手にするためにヤクザの跡取りの座を手に入れます。人紀は職場の清掃会社で頼れる人や運命の番にも出会いますが、世継は自分から人紀を手放すことが出来ず、組織のスパイから銃を持たされた人紀に自分を撃たせます。

意識のないまま入院し続ける世継を清掃会社で淡々と働く人紀はたびたび見舞いに行きます。罪悪感からなのか、番としての本能なのか、友情なのか、同情なのか、憎悪なのか、起きてほしいのか、ほしくないのか、自分の気持ちがわからないまま。
世継が目覚めるまでの3か月。人紀がただ自分の気持ちをじっくりと自分のペースで考え、納得するのにいい機会になったようです。
ハピエンでしょうね。

漫画だから白黒なのが当たり前なのですが、この物語はモノクロ映画を観ているように感じられます。まるで映画館のスクリーンの画面の奥に吸い込まれるような感じがします。ヒマワリと夏の気だるさが少し暗くて怖くて、でも最後まで目が離せない古いモノクロ映画のようです。
はっきりとしたハピエンでもないですし、ストーリーも絵のテイストも独特なので好みが分かれるかもしれません。でもすごく引き込まれる作品になっています。

3

重執着、ヤンデレ、圧巻的なダークさ! 愛が・・・!

世継(α)×人紀(Ω)

全編を通して暗く、背筋を駆け抜けるようなゾッとする空気感が漂う。
絵のタッチがその陰鬱さにぴったり合って、
ページをめくるたびに息を呑む。


世継の重執着とヤンデレ具合!そのダーク迫力が圧巻的!
幼馴染としての信頼関係が、いつの間にか
強○や監禁という闇堕ち関係へと変化に心臓が軋むほどの衝撃!
逃げようとしても、
世継の掌の上でしか動けない人紀の無力さが痛々しく・・・、
それでも、最後・・・闇の中で最後に残る2人の愛しさが胸を強く打つ。


狂気じみた全体の中で、
特に世継の独占欲から滲み出る恐ろしい眼差し、
強引な行為シーンや、
人紀が逃げ込む森、
人紀の体に刻まれた無数の噛み跡が、
肉体的にも精神的にも圧し掛かるほど読者を深淵へ。

虚無的な清掃員・人紀とヤクザの世継。
冒頭から「迫る者と逃れる者」としての2人の現状が明らかになって、
その後、過去の小・中・高校時代へと展開。
Ωという性は人紀にとって闇の始まりで
ただの仲良しだったはずの幼馴染・世継から向けられる
友情を超えた歪んだ気持ちに怯えながら、
無理矢理番にされたり・・・
2人の友情と恐怖が交錯する深い関係性に目が離せなくなる。

自由のない悲痛に縛られている今の人紀、
まわりにいる、本当の運命の番や、
愛を理解している年配の同僚の影響を受けて、
世継への気持ちにがあまりにも無自覚でも、
静かに漏れ出す「愛」が確かにそこに見える。

ラストの劇的な進行が巻き起こす

2人の感情の解放に緊張感が高まって、

世継が人紀を苦しめたことへの罪悪感を抱えながら、

人紀のために下す決断、その最大の愛し方が震撼的!
人紀の選択・・・あまりにも重すぎる!

憎しみ、許し、愛情、友情、そして番としての本能にもがく人紀の心理描写が鮮やかで、

傷つけられながらも見つけ出した世継への感情や、

傷つけても止まることのない世継の愛が、

たった一人を愛する力強さを感じさせる。
暗闇の中で光を放つその愛に感動し、
胸に刺さったまま、しばらく何も考えられなくなりました。

2

心がヒリヒリした

ボイスコミックス化の情報で作品を知り、キャストを見て興味が沸き読んでみました。

話の内容とそれに合った切り絵のような絵柄や独立したコマが不穏な雰囲気を掻き立てていて緊張感に心がヒリヒリさせられながら読み切った1冊です。

どうあがいてもめでたしめでたしにはなれなさそうな圧倒的な圧に雁字搦めになり、世継に憎悪と恐怖を抱く人紀。そして重苦しいほどの執着を人紀に抱く世継。この2人の間に愛があるのかどうか、私には最後までわかりませんでしたが、間違いなく離れられない2人なのだろうとは思います。
願わくは世継側の視点を、考えを見てみたいなと思います。

2

9割方苦味成分がクセになる

【出会ったときから気づいてたよ・・・人紀は俺のだって(世継)】

エロス度★★

おやおや、どんなに逃げてもアルファからは逃げられない愛・番という名の鎖に繋がれたオメガが不憫ですね。

人紀への世継のド執着・出会ったときからずっと彼を自分のモノにしたかったホラー味ある一途さがとても刺さり、人紀にはめちゃくちゃ甘々で優しいのにそれが逆に怖く感じてしまうのが不思議です。
たとえ自分の愛に人紀が応えてくれなくても、歪で一方的な愛を貫く世継がたまりません。

また、友達と思っていた世継に対して抱く人紀の恐怖感や無理矢理番にした世継への憎しみも美味で、愛憎の行く末にドキドキしてしまいました。

2

ひまわりの意味を知り、その執着ぶりに歓喜で震える。

攻めが受けを好きすぎて、番にしても自分のものなのか不安になりすぎたが故に、監○やオウンゴール的なアレなど、偏った表現で究極の愛を示す、攻めが存在するだけで受けを苦しめる、ゾクゾクする(嬉しい方向で)ほどの執着BLです。


そう。
受けでオメガである人紀(とき)は、3年の時を経て、幼なじみで番の世継にその居場所を知られてしまい、無理やり再会してしまうのです。
しかも再会してすぐに、押し倒されてしまうという早急さ。


それから、幼き2人が出会った頃からのエピソードから遡り、今へ遡る間に、随所に散りばめられた意味深なひまわり(ラスト付近で明かされます)の喩え。

唯一無二の画が、複雑な執着愛のお話とマッチしすぎて、猫の登場など、より物語を劇的にさせる演出なども見られとても憎いです。(褒め言葉)


また、メインの2人以外の登場人物たちも、その存在が実に興味深いです。

実は、近づいたことで見えた、好きではなかった相手の人柄。
実は、側近と思っていたらスパイだったりなど、、、


だからこそ攻めをはじめとした、そういう脇キャラたちとの摩擦により、受けは攻めのことを運命の番かどうかはこの時点ではまだ分かっていませんが、とりあえず現時点では攻めのことを嫌がっているままの受けではなく、、、


タイトル通り、まさに「愛」から一番遠い場所へいる2人でしたが、受けにも攻めへの特別な感情が芽生えていたわけで。


はっきりとした答えがそこに描かれているわけではない、ラストでした。
が、間違いなく最後のあの1ページは、執拗なまでに攻めから噛み跡を残された受けの項の如く、見る者の心を掴んで離さない、強烈な余韻を残すことでしょう。


連載をしていたときからSNSで話題になるだけの強烈作品(超絶褒め言葉)だと確信した、フランス? 映画のような読了でした。

1

No Title

愛も憎しみも等しく感情で、それを誰か1人だけに激しく抱いているのならその人は人生で絶対に消えない記憶であり続けます。純粋な愛じゃないかもしれないけど唯一無二の2人。そういう関係性が好きな人には絶対に刺さります。
このタイトルが本当に相応しい2人です。大好きです。

0

ダークな執着攻め、ありがとうございます

執着攻め作品との事で購入しました
ありがとうございます
こういうのを、待っていたんです

正直な話、表紙がめちゃくちゃ好みではあったんですが、本を開いたら中の絵はちょっと思ったのと違くて、うーん?なんて思ってしまいました

ですが内容はめちゃくちゃ好みでした
オメガバース作品です
攻めの世継がαでヤクザ、受けの人紀はΩで清掃員です
2人は幼なじみですが、世継が無理やり人紀を番にします
人紀は世継を友達だと思っていたけれど、世継はずっと人紀を愛しているわけで
人紀も察してバースについては言わなかったけども、フェロモンもあり世継にはバレている
人紀に彼女ができたことで世継は強硬手段にでたわけです

首に残る噛み跡が世継の執着を物語っていますね
人紀がしたいこと、やりたいことは全て叶える、ただ離れることだけは許さない
最高です

物語がどうなって行くのか、手に汗握りながら読みました
人紀は世継への感情をはかりかねている
許したい、生きていて欲しい、一緒に向日葵を見に行きたい
なんとも複雑な感情ですよね
その後の2人がどうなったのか……
気になるところです

私はボロ泣きでした
執着の果てに受けと1つになって溶けてしまいたい攻めが大好物なんです

内容はダークめでエロもそこそこにある
なにより受けが可哀想な感じなので好き嫌い分かれると思います
光の腐女子さんはキツイかな
夜明けの腐女子さんからいけると思います
黄昏〜闇の腐女子さんは好きだと思います

0

曖昧さに惹かれる

最近のオメガバース作品は
誰もが傷つかない世界でお話が繰り広げられていくものが多い気がするのですが。
こちらは“ザ・オメガバース“というような痛々しい場面がたくさんあって、久々ずっしり重たいダメージ…。
でもこのヒリヒリ感こそが第二の性が存在する世界の醍醐味なのかもしれないですね。
言葉では説明できないモノに突き動かされている彼らにどうしようもなく引き寄せられ、気付けば一気読みしていました。

世継の人紀への激しい執着は本能的な部分を超えているように思えたけれど、実際はどんな気持ちを抱えているのか?というのはわからないまま。
読み手の受け取り方によって、見え方に違いが出るのが面白いな、と。

一つひとつのエピソードはとてもインパクトがあるのに、どんな結末になったのか?今後ふたりはどうなるのか?が描かれていないあえての曖昧さもすごく好き。
上手くまとまって幸せに収まるだけの関係ではないところが、ふたりらしくて素敵だったなと思いました。

2

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