惡い男

warui otoko

惡い男
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神3
  • 萌×20
  • 萌2
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
3
得点
21
評価数
5
平均
4.2 / 5
神率
60%
著者
中村明日美子 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
WeComix
レーベル
発売日
価格
ISBN
9784892194658

あらすじ

過去10年余りに及び、様々な雑誌で著者が書き溜めたボーイズラブ作品をまとめた傑作短編集。収録作品:「春の絵」「夏と冬のであう場所」「ぼくのすきなにいちゃん」「ヘンタイ」「ボーイズラブ」「温室の果実」「惡い男」

表題作惡い男

攻め
受け

同時収録作品春の画(DEAR +(新番館)2009年7月号)

加賀谷仁、中等部の編入生
安藤、中等部

同時収録作品夏と冬のであう場所(マンガ・エロティクス・エフ(太田山版)2008年vol.52)

叔父

同時収録作品ぼくのすきなにいちゃん(OPERA (西新社)2012年vol.31)

近くに住むにいちゃん、高校生
カズ、小学生

同時収録作品ヘンタイ(同人誌(株式会社中村)2019年)

直彦の生徒
瀬戸直彦、教育実習高校教師

同時収録作品ポーイズラブ(美術手帖(美術出版社)2014年12月号)

高校生
高校生

同時収録作品温室の果実(コミックJUNE (マカジン・マカジン)2007年10月号)

ハスミ、デリヘルボーイ
村上壱忢、秘書

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数3

表紙買い

久しぶりの中村明日美子先生の
淡々とした雰囲気のある短編集。
全然買うつもりはありませんでしたが
店頭で見たら買う一択となったのでした。
BLコーナーじゃない所でも目立ちそうな
モノクロ眼帯男のまさに中村明日美子な
お耽美カバーで
アニメイトの小冊子もあるみたいだったので薄い短編集ですがこれは仕方ないな…買お
となりました。
内容はやはり最近のものはないし
同人誌を含む
出所バラバラの作品の短編集で
なるほど、これに「惡い男」とタイトルつけたのは
もうビジュアル?ひらめき?
デザイン重視といいますかよくつけたもので
中村明日美子の悪い男短編集、
カバーとタイトルだけでもうこれは勝ちでしょう。
素敵だね…けどわかりやすい萌えはどうだろう
萌えがないとBLみはやはり
私的には薄いというか
こちらは文学的エロスとでもいいますか
装丁はよくともやはりファンに向けた
コレクターアイテムな本だよなあって感じは
しました。
スペシャルな本には違いないです。
もはやアートカルチャーコーナーに
あって良いような。
私はわかりやすい最後の政治家の秘書のお話
「温室の果実」が好きです。

4

短編集

雰囲気のある短編集です。
深く考えるとどう汲み取るのが正解なのか考えさせられる作品が多かったです。
なので、明日美子先生が伝えたいことを100パーセント汲み取れているか自信がない作品もありますが、読んだ人それぞれの感じるままでいいのかも。
初めて見る出版社なので、この本はBLじゃない分類なの?と思ったりもしたけど、収録内容はBLです。

■春の画
ハーフの加賀屋とチビの安藤。
パリの音色、初めての手淫。
淡い恋の気配はあるのだけど、「春の終わりを待たずに彼は行ってしまった」が初恋になるのを待たずに行ってしまったとも感じる。
なんだか風を感じた作品でした。
アニメイト限定セットの小冊子に収録されているお話が加賀屋視点で、安藤に興味をもった理由が少し伺えます。

■夏と冬のであう場所
借金まみれで甥を誘拐した叔父。
姉と同じ顔の甥に惹かれてしまう叔父と、それをわかっていて叔父のことが好きな甥のお話。
甥が誘拐された側なのだけど、真に拐われたのは叔父の方だと思いました。
雨の音が聞こえてくる作品でした。

■ぼくのすきなにいちゃん
近所に住んでる高校生(?)のにいちゃんに懐いている小学生のカズ。
憧れのにいちゃんがキスしているのを見ておれにもしてと口にする。
手をつなぐみたいな、なんでもないノリで応えてくれたように思うのだけど、本当はどんな気持ちだったんだろう。
最後のページ、笑顔の横で告げられる衝撃の結末。
空気で(触覚)、匂いで(嗅覚)、味覚で、煙草を感じる作品でした。

■ヘンタイ
同人誌も持っています。
教育実習先が昔性癖(女装で興奮)を見せてしまった子の学校で、弱味を持ち出されてまた女子の制服を着せられ体を弄ばれて変態と罵られる。
でも実際は生徒の方も興奮していて同じ穴の狢。
罵られる側が罵り返す展開が好きです。
収録作の中で1番好きなお話がこの作品でした。

■ボーイズラブ
愛しあう2人が同性愛への悩みを打ち明けあうお話。

■温室の果実
一人でするのが見たい、男に犯られるのが見たい。
高齢の政治家先生に望まれて、デリヘル男とヤる秘書のお話。
彼はいつ先生に惚れたんだろう。
先生と同じことをいうデリヘル男との間にも新たな気配が漂う。

■悪い男
表題作なのだけど、めちゃくちゃ短い(4P)ので驚いた。
表紙の子が鼻血垂らしてボコボコになってて(?)死ぬ死ぬ言ってるのだけど、実は血じゃなくてラズベリージャム。
誰かに痛めつけられたようにも見えるのだけど、自作自演ってことでいいのかな?
そして、惡い男っていうのは受けのことでいいのかな?
もう少し長く読みたかったです。

ヘンタイはとても好き(神)なんですが、総合評価は萌でした。

2

「惡い」とは

明日美子先生のBL作品での新刊!
ということで発売日を心待ちにしていました。先生作品に外れなしのワタクシではありますが、今巻も最高すぎた…。純然たる萌えが、ここにあります。

明日美子先生は「同級生」シリーズや「おはよう楽園くん(仮)」のようなほのぼのでハートフルな作品から、「ダブルミンツ」「薫りの継承」のようなダークなものまで描かれる引き出しの多い作家さまですが、今作品はこのタイトル、そして表紙の絵柄からダーク寄りなお話かな?と思いつつ手に取りました。

今作品は、今まで明日美子先生が様々な雑誌で描かれた短編作品を、出版社を超え収録されている短編集。何話か読んだ作品もありましたが、こうして1冊にまとまって読めるとは至福の限りです。内容を一応記載しますと、

『春の画』 「DEAR+」2009年7月号 34P(4色2P)
『夏と冬のであう場所』「マンガ・エロティクス・エフ」 vol.52 2008年 24P 
『ぼくのすきなにいちゃん』「OPERA」VOL.31 2012年 16P 
『ヘンタイ』 同人誌「ヘンタイ」 24P 
『ボーイズラブ』「美術手帖」2014年12月号 16P 
『温室の果実』「コミックJUNE」2007年10月号 25P(4色1P) 

の6作品、に加え、
表題作かつ描き下ろしの『惡い男』の全7作品。

それぞれの内容をざっくりと。



『春の画』
時は明治か大正か。
学校に通う青年・安藤くんが主人公のお話です。
いわゆる「春画」と呼ばれるものが生徒の間を行き来している。安藤くんは、手元に来たソレを見てみたが…。

明日美子先生お得意の黒髪・真面目くん。その彼に声をかけてきたのは、転校生で髪や瞳の色が薄い加賀谷くん。性的なことにまっさらで無知な安藤くんに、加賀谷くんが仕掛けたのは…。

というお話。

加賀谷くんが安藤くんに声をかけた理由が、彼の生育環境によるものに思える。そして、そこから透けて見える、彼の孤独も。それゆえに、二人が短い時間で育てた淡い恋心に、萌えが滾る。

『夏と冬のであう場所』
高校生の男の子が身代金目的で誘拐された。
誘拐犯は、その男の子の母親に電話をかけ1000万円を要求するがー。

誘拐犯と誘拐された被害者、の関係のお話ですが、彼らをつないでいるのはそれだけではなく。捕まったのは、犯人の方か、それとも。というダークでありながらお好きな方にはたまらないであろう萌えが詰まった作品でした。私は、大好きです!

『ぼくのすきなにいちゃん』
小学生のカズは、下校後ども立ちの誘いを断りいつも赴く場所がある。大好きな「にいちゃん」の家だ。にいちゃんは何でも知っていて、お酒もたばこも好み、いい匂いがしてー。

カズの癖がゆがみそうな、なんとも不思議な色香を持つにいちゃん。
彼、高校生なんですねー。今ならちょっとストップがかかるんじゃなかろうか、と思うキャラでありストーリーですが、明日美子先生らしい、といっていいでしょう、壮絶な色香をまとわせるにいちゃんがカッコいいです。

『ヘンタイ』
教育実習の一環で母校に赴いた瀬戸くん。
が、そこで生徒として再会したのは、自分の人には言えない性癖を知り尽くした幼馴染でー。

これもダークです。
そして、今作品の中で最もエロ度が高い作品でもあります。
というか、噛むのはナシやわー、と思いつつ、でもそれが「ヘンタイ」ゆえだからか。

『ボーイズラブ』
高校生×高校生の、恋のお話。
同性が好きで、間違えているのかもしれないし、「普通」から外れるのも怖い。
でも、それでも好きで好きで。
甘酸っぱい、爽やかな、恋のお話です。

『温室の果実』
政界の大御所に、秘書として就いた村上くん。名前は「壱吾」。イチゴと読む。
美味しそうな名前だね、と呼んでくれたその名前を引っ提げて、彼は自分の主のために奮闘し、何でも欲求を叶えてあげようとするけれどー。

「先生」の要求は留まるところを知らず、イチゴくんが男に抱かれる姿を見たいと言い出した。その願いをかなえるために、ホストに抱かれるがー。

イチゴくんが愛していたのは。
そして、イチゴくんを愛していたのはー。

深い深い愛のお話。

『惡い男』
表紙の彼のお話です。
ボコボコにやられたのかな?と思わせるビジュアル。その意味するところはー。

アンダーグラウンドで生きていそうな彼の、唯一の願いは。
可愛いです。ヤバいです。

タイトルの『惡い男』。
誰にとって、どういう風に、どんな意味の「惡い男」なのか。

読み手によって受け取り方が変わりそうで、でもそこがいい。
『惡い男』の「惡」の文字が旧仮名なのもいい。味がある。ほっこりほのぼのなストーリーが読みたい方には、あるいは気分の時にはやや不向きか。が、個人的にはドツボに突き刺さる1冊。作品によっては10年、15年前の作品でありながら、明日美子先生らしさはそこかしこに点在していて古臭さは少しも感じない。

中村明日美子という作家の手腕に脱帽。
やっぱり先生は天才だった。文句なしの神作品です。

2

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