碧のかたみ

ao no katami

碧のかたみ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神4
  • 萌×20
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

274

レビュー数
2
得点
20
評価数
4
平均
5 / 5
神率
100%
著者
尾上与一 

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イラスト
 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
シリーズ
1945シリーズ
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784199011344

あらすじ

航空隊の華と謳われた南の要衝・ラバウル基地──。偵察員の厚谷六郎は着任早々、航空隊員が喧嘩する現場に遭遇‼ 多対一の無謀な勝負に挑んでいたのは琴平恒。≪ラバウルの五連星≫の渾名で内地まで名を轟かせる有名搭乗員だ。仲裁に入った六郎にも噛みついてくる恒だが、上官命令で新しく配備された夜間戦闘機「月光」に、ペアを組んで乗り込むことになり!? 戦時BL≪1945シリーズ≫第3弾!!

表題作碧のかたみ

厚谷 六郎、21歳、恒のペアの偵察員
琴平 恒、19歳、「ラバウルの五連星」の渾名を持つ優秀な戦闘機乗り

その他の収録作品

  • 雨のあと
  • 約束の月
  • 島が還る日
  • 青のかたみ

レビュー投稿数2

空でも陸でも最高のペア。まさに唯一無二の存在の2人。

ラバウル基地はパプアニューギニア北の方の島にあって、第二次世界大戦時は、南方作戦の一環として日本軍の重要拠点基地の一つとされた場所。そんな場所で出会った、航空隊所属の戦闘機操縦士と偵察員の激動の愛の物語……めちゃくちゃ沁みました!

時代背景やストーリーの設定的に、どこか死と隣り合わせな世界観に胸がヒリつきますが、過酷な状況下だからこそ彼らの間に芽生える想いにグッと惹きつけられました。
偵察機のペアを組む2人が、プライベートでも唯一無二の関係になっていくところに最高のドラマがあって、無鉄砲な恒に寄り添うように見守る六郎の姿がすごく印象的。長年連れ添った夫婦のような雰囲気が本当に素敵に映りました。

空でも陸でも最高のペア。
阿吽の呼吸で戦果を上げ、陸に戻るとほんのり甘やかな時間を過ごす2人が幸せそう。ハジメテのときは散々で、恒の機嫌が相当悪かったところを見ると、あちゃー…こりゃ最初で最後かも。なんて思ってたけど、深く愛し合ってる彼らに嬉しくなりました。
戦闘機に魅せられ、そして戦闘機に愛された恒のいつまでも少年のような無垢で清らかなところが、戦時中の不安感や、基地内の喧騒を掻き消していきます。恒の素直で真っ直ぐなところ、家族思いなところ、実は学があるところ…などなど、六郎の恋心を刺激していく魅力がたっぷり。六郎のデレもとても微笑ましいです。


いつも2人一緒に共に過ごす幸せなシーンとは打って変わって、心が重く苦しくなるシーンもたくさんあって、戦争の怖さを目の当たりにする描写がそれなりにあります。今の時代に生まれていたら、こんな辛い思いをせずに2人で幸せになれるのにと思うこともあるけど、その時代だから2人は出会うことができたし、唯一無二にもなれたんですよね。

恒が、自分たちの関係を恋人じゃなく"ペア"だと言っていたのが印象的でした。
確かにペアって恋愛的なものも含めたそれ以上のところで繋がり合ってる特別な関係って感じがして、彼らの関係にしっくりくる。自分たちでそう評価してるところが素敵だなと思いました。


激動の時代を共に過ごした2人のその後は、素晴らしい読後感でした。細かい進路は、実際に読んで確かめて下さいね。
恒の弟の希も少しだけ登場します。前作の「天球儀の海」に登場して知っていたのでびっくり。恒も前作に"ラバウルの五連星"として登場していたので、2つのストーリーがリンクしているところも楽しめた理由の1つです。

コミカライズもされるとのこと。この世界観がコミックスではどう描かれてていくのか楽しみです^ ^

1

命を懸けた青春の思い出

1945シリーズ 復刊 第3弾。
ありがとうございます。

こちらは旧版で拝読していたのですが、第2弾までと同じく書き下ろしが40ページほどありまして、名編ですので旧版既読の方もぜひ。
(把握していないだけで既出の短編でしたら申し訳ありません)

書き下ろしの2編は
『鳥が還る日』・・・『雨のあと』の前日譚。
『青のかたみ』・・・『鳥が還る日』の後日譚。
の2編で、個人的に『青のかたみ』の終わりの場面がとても心に残りました。

旧版表紙と新装版表紙で恒と六郎が逆になっているのがとても好きです。


〜以下、旧版読了時の感想〜

ラバウル航空隊に移籍してきた厚谷六郎と、前作『天球儀の海』にも登場した、希の兄である琴平恒のお話。

戦地は死と隣り合わせ。
いつしか戦闘機のペアという関係よりもさらに強い絆で結ばれ、一心同体となった2人も例外ではなく、ここでいう"人生"は近い将来命を散らすまでの人生なんですよね。
最期まで共にいると決めたふたりの絆は何よりも尊く(BL的な意味ではない)、神聖なものでした。

そして本作の要でもある星空。
想像もできないほどに壮大なその存在により、彼らの置かれている脆くて儚い運命が余計に際立ちます。
戦地に赴いた人達は一体どのような気持ちで星空を眺めていたのでしょうか。
自分の命がいつ終わるかわからない中で。
顔も名前も何も知らない敵の命を奪い合う日常で。
そんなものと無縁の存在を眺める時間は、やはり特別な瞬間だったのではと想像しました。

米軍に囲まれて絶体絶命の最終局面、拳銃による自死か降伏か。
六郎は降伏を選択しました。
恒にとって、敵に降伏するなど言語道断だったことでしょう。
恒は怒りを露わにしましたが、六郎のこの選択は英断だったと思います。
恒を庇う位置で米軍兵士の銃口を一身に受けて立つ六郎の想いに涙が止まりませんでした。
米軍は結果的に2人を救出し、瀕死の重症を負っていた恒の命も助かりました。

敵である日本人への待遇に困惑した六郎の問いかけに対する米軍兵士の「ここは戦地ではないからだ」という答えがとても印象的です。

そして戦争が終わり、アメリカから日本に帰った2人。
それから何年かして、約束通り、恒に自分が作った花火を見せる六郎。
大輪の青い花火は約束の名『月光』。


本当に心に残る物語です。


またもや戦争が起こされている昨今です。
平和の実現について再考せねばなりません。


(余談)
旧版の初回特典ペーパー『天の川の話』が今回収録されていませんでしたが、個人的にとても好きなラブいお話なので、どこかでまた会えるといいなと思いました。

2

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