どちら様が愛を告ぐ

dochira sama ga ai wo tsugu

どちら様が愛を告ぐ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神88
  • 萌×221
  • 萌7
  • 中立1
  • しゅみじゃない1

95

レビュー数
11
得点
546
評価数
118
平均
4.6 / 5
神率
74.6%
著者
仁嶋中道 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
KADOKAWA
レーベル
B's‐LOVEY COMICS
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784047380493

あらすじ

ずっとあなたを待っていた――救いを見出すラブストーリー

祖母から引き継いだカフェを営む海原千波。メニューは祖母直伝のココアのみ。
複雑な家庭環境も影響して、人づきあいは広く浅く、そして弱みは見せないようにしていた。
そんな千波のもとに挙動不審な金髪の青年・早川渚が訪れる。
千波に話があるが、まだ話せないという謎の主張をする渚に興味を持つ。
そして交流を深めるうち、千波が抱えるわだかまりに寄り添おうとしてくれる渚に惹かれていく。
お互いゲイということもあり一気に関係を深めるが、千波にとって許しがたい秘密を渚は抱えていて――!?

表題作どちら様が愛を告ぐ

祖母から引き継いだカフェの店長,25歳
25歳

その他の収録作品

  • 描き下ろし:いつかの話1P
  • カバー下:あとがき/漫画

レビュー投稿数11

あと10年、20年遅かったら・・・

 ココアしか出さないカフェの店員、千波と千波のカフェ「cafe faro」にやってきた渚の話です。渚はちなみにどうしても話したいことがあるのですが、なかなかその肝心の話をしようとしません。
 千波は周囲に自身がゲイであることをカミングアウトしている青年で、千波と千波の母との間にはセクシャリティーのことでわだかまりがあります。
 
渚が肝心な話、千波の母のことを千波に伝えたとき、私も千波の母のセクシャリティーのことに全く気がつきませんでした。千波の母が感じていた性的違和、生きづらさ、あのときあんなこと言わなかったほうがよかった言う後悔、祖母の後悔が祖母の最後を前にして一気に押し寄せてきました。

 受け入れる、好きになる自由もそうではない自由も人それぞれですが、みんながあと10年、20年遅く生まれていたら、多様性が当たり前の時代に生きていたらと願わずにはいられない作品でした。

0

誰かのために優しい嘘をついたり、勇気をだして一歩踏み出せるのが尊いですね。

【手離す気ねーから側にいてよ(千波)】

エロス度★

おやおや、先生の描く心を救済する愛は本当に目頭が熱くなりますね。

祖母から引き継いだカフェを営む千波と秘密を抱えた渚が紡ぐ恋物語で、2人の表情・感情の揺れ・心情描写がステキでとても刺さりました。

お互いにゲイということもあって距離を縮めていったり、2人の間に漂うむず痒い空気がたまらなく、千波にとって渚の存在・彼と過ごす時間がかけがえのない支えとなっていくのが尊いです。

渚の抱えた秘密が千波との関係にどんな影響を与えるのかドキドキしたり、2人の純愛・救済に胸がいっぱいになりました。

1

理解しあうことの難しさ

1冊にこんなにもうまくおさまるなんて!と変なところでびっくりするほど引き込まれました。

自分がいちばん近くにいるから、いちばん理解しているという思い込みは、良くも悪くも人の心にどっかりと場所を占めているなと。
大きな場所を占めているからこそ安寧があり、怒りや戸惑いをともなう疑念が湧く事もあるなと。

先生も言われてますが、愛追うが好きなかたには間違いないかと。私も2作品とも大好きです。

1

その愛に救われる

読み終えて本を閉じると…情緒がめまぐるしい。
重苦しさとか切なさとかの後に感動が押し寄せてきました。

認知症になった祖母が営んでいたカフェ「Faro」を継いだ千波は
ある日、なにやらワケありげな客・早川渚と出会います。

知人からFaroについて聞いてやってきたという渚ですが、
彼には千波に“伝えたいこと”があるようで…。

「話したい」という割にはその表情は重苦しく、
話すべきかどうかも迷っていると言う渚。

え?なに?なんでそんなもったいつけるの?
はじめは告白?なんてありきたりな予想をつけていたけれど、
渚にそんなふわふわとした空気感はないのです。

渚に伝えるべきか、あるいは伝えないべきかを判断するため、
カフェに通い始める渚ですが、交流を深めてゆくうちに
本来の目的とは別に千波に特別な感情を抱いていくように…。

最初はそんな渚を不審がっていた千波もまた二人で時間を過ごすうち、
渚の誠実な人柄や笑うとあどけない笑顔に心惹かれてゆきます。

偶然にも千波も渚もゲイで、二人の恋を妨げるものは何もありません。
けれど、渚には千波に伝えなければならないことがあり、
その秘密を話すことによって千波が傷つき、
二人の仲が壊れてしまうかもしれない。

想いは通じ合っていても、自分の恋心よりも
千波の気持ちを優先してくれる渚の人柄に誠実さを感じました。

そして、迷いに迷って、遂に話したかったことを千波に打ち明けた渚。
そのあまりに大きな秘密は千波だけではなく、読者にとっても衝撃でした。
けれど、同時にパズルのピースがぴたりと嵌ってゆくような気持ちよさもあり、
この大掛かりな仕掛けを施された著者様の見事なストーリーテラーっぷりに
改めて読み惚れてしまいました。

千波の祖母も、母も、千波自身も、大人だって、ときに選択を誤る。
それでも、前を向いて生きてゆく彼らの生き様にじわりじわりと
込み上げてくるものがありました。

もし、祖母が千波の母親を受け容れていたら…
その生きづらさも千波の望みも共有出来て、
きっと一番の彼の理解者になってくれていたんだろうな。
もし、あのときああしていたら…と今となってはもうどうしようもない
「もしも」を思い浮かべ、切ない気持ちになってしまいました。

最後の最後で明かされたFaroのメニューが「ココア」だけの理由。
これはずるい。
たったそれだけのことでもちゃんと愛があったのがわかってしまって、
救われちゃいました。

その後、渚の“役目”も終わって無事恋人同士になった二人。
彼らのペースでゆっくり、それでいてしっかり甘い雰囲気を漂わせちゃう
千波と渚が微笑ましかったです。
まだ渚が抱える家族へのカムアウト問題などもありそうですが、
いつか向き合えるといいな…。

“救済”という言葉がまさにしっくりくる切なく、でも、
最後にはあたたかい気持ちになれる1冊でした。

1

恋人、家族の愛、そして友情

仁嶋先生のお話は人間関係がどの作品もとても素敵なんですが、今回のお話はその人間ドラマの部分が少し重ためのお話でした。
ずっと何かの秘密を抱えた青年渚が、最後にはきちんと自分が抱えていた秘密を千波に伝えます。この部分が明らかになる事で、心がとても救われるので、重いお話でもとても充実した気分で読み終わります。
二人の関係は謎を抱えたまま、ゆっくりと友人から恋人に進んで行くのです。ゲイであることをクローゼットにしている渚。そして、オープンにしている千波。ゲイであることを千波の祖母は受け入れてくれていると聞くと、なんだか嬉しそうな顔をする渚。
この渚の言えないでいる秘密はネタバレしてしまうと面白く無くなってしまうのでここでは伏せておきます。
二人を取り巻く友人達が、良い感じなのです。一度は心無い噂話で盛り上がってしまうのですが、その後、ちゃんと良くなかったと反省したり、フォロー入れてくれたり。千波も渚も良い友人達が側にいるんです。
ラストまで読むと、「どちら様が、愛を告ぐ」の意味が分かり、ちょっと感傷的な気持ちになりました。
しかし、ずっと足踏みしたままだったカフェが前向きに動き出したのをみて救われました。

ここからは読んでから少し思った気持ちを書きます。

千波とお祖母さんの関係は、なんだか身につまされる気がしました。上手くいってる様に見えても、案外家族の関係は表面上の我慢で成り立っていそうで。その関係は本当に心からお互いを理解していたのか?千波は認知症になっても未だに娘(千波の母親)を心配している祖母の気持ちを理解出来ない悔しさだったり。ラストも結局は千波が祖母の気が済む様に話を合わせてあげて自分もお祖母さんも心の着地点を見出していましたが、本当ならもっと早く、認知症にならないうちに解決させてあげたかった問題ですよね。でも、心に折り合いを付ける事も、これからを生きて行く人には必要な事なんだろうなぁと。
その心に折り合いを付けさせてくれたのが、千波にとっては渚の存在だったんでしょうね。これは家族以外の渚だから出来たことだったんじゃないかな?と、思いました。心が優しい家族同士だと、あからさまに心に踏み込む事出来ないままだったんじゃないかなと。。
とても繊細で、完全には解決出来ない心まで表現しようとした仁嶋先生の人間ドラマの描き方はとても素敵だと思いました。

4

人と人、心と心の繋がり

仁嶋中道先生は毎回ハイクオリティなヒューマンドラマBLを提供してくださる。
今作も最高、ジーンときました。

謎めいたキャラクターがいててだんだんとその秘密が明かされていくんですが、読ませてくれます。

物語の舞台は、メニューにココアしかないカフェ。店主は祖母から引き継いだ孫のイケメン男子、千波。そこにカフェの噂を聞いたとやってきた渚。この2人が少しずつ仲良くなっていく様がナチュラルでよいのですよ。
2人共他人とは一定の距離を置いて付き合うタイプなんだけど、お互いに居心地が良くてとっても相性がいいみたい。次に会う日楽しみにしてたりお互いのいいところが自然に見えたりとか。

渚くんがこのカフェにきて千波に近づいたワケがずっと匂わせで何なんだよ〜早く教えてくれよ〜とじれじれしながら読みましょう。ちょっと驚きでした。予想外でした。
皆さんはどう感じただろ。

この2人の初めての体験。とても私の好みの描写です。物語はフィクションなんだからなんでもありでしょ?って考えもあるけど、私はやっぱり初めてですんなりいったり感じまくってたりするのは嘘でしょ?って思ってしまう。あと、準備無しで行うのも。準備って慣らしもだけどお尻キレイにする事ね。コチラの作品は準備シーンこそ出てきませんが、準備してから致してました。攻めの準備描写もあってゴム買いに走ってたのと爪切りが置かれていて、傷つけないように爪しっかり切ったんだなと。
あと、受けは初体験ですが、自分でも後ろでしてたたみたいです。よしよし、それなら快感拾えるね、よかった、と思える。

未経験ですんなり入って気持ちいいなんて滅多にないでしょうよ?と思ってしまう。あと、キレイにしてからじゃないとイヤじゃない?って気になってしまうので、ちゃんと綺麗にする描写がある作品は好感度高いです。

って、話がそれましたが本当に良い作品なのでみんなに読んでほしい。あと、カフェの新メニュー見せて欲しかったから続編希望します。

シーモアで購入
密着してて見えないので修正なし。

5

さすがストーリーの達人!

仁嶋先生は物語を作る天才だとつくづく思います。2人の青年が出会って結ばれる恋愛ストーリーをこんなに豊かに深く感銘を与えるお話にするなんてすごいです。作品がありきたりな話に絶対ならないのは、先生が真摯に作品を作っていらっしゃるからだと思います。こぼれ話を読んでいると、2人は実在していて先生は友達なのでは?と思ってしまうほど設定に説得力があります。今作の帯にカミングアウトしている、していない、と主人公のことを紹介されていましたが、主軸はそこではないような気がしました(うまく説明できなくてごめんなさい)。人の弱さも愛憎も信頼もすべてこのお話にあると思いました。素敵な作品でした。

2

ココアのような優しさ

祖母のあとを継いでカフェを営む千波のもとに、客としてやってきた渚。
なんの変哲もないような出会いに見えるけれども、そこから始まるストーリーは単なる「ひとり と ひとり」の恋愛ではなく…
それぞれの過去や家族、複雑な思いを絡ませて進んでいくたくさんのドラマが詰まったものになっていて、すごく引き込まれました。

千波に"何か"を伝えるために、渚はカフェを訪ねてきたわけですが。
軽々しく口にできない理由があるようで、簡単にはそれを明かしてくれません。
この「話があるけど今は言えないんです」みたいなやり取りがただの恋愛絡みのものだったなら、後半でがっかりしていたと思います。
でも渚が伝えたかった話はそんなに軽くはなくて、そこに辿り着くまでの盛り上がりをしっかりと回収してくれるような展開が最高に刺さりました。

そしてそれを伝えるため、千波に対して誠実さをきちんと見せた渚の優しさが胸に沁み渡ります…。
高山さんも渚に話を聞いてもらえて心が救われたところがあったんだろうな。
それがしっかりと千波へも繋がってくれて、本当に良かったなと思いました。

重ためなお話の中でもふたりの気持ちが近付いていく様子はとても自然で、あたたかく想い合うのを感じられたのも素敵でした。

偶然が重なって出会った彼らですが、これからの日々が幸せでありますように。と、心から願いたくなるようなふたりのお話でした。

2

秘密の荷物を持ってカフェを訪れたのは…

秘密を抱えて生きる家族・そして二人の青年の、切なく、じんわりと沁みるお話でした。

ぜひネタバレなしで読んでいただきたいので、なるべく核心には触れないようにしてレビューを書きたいと思います;

祖母から引き継いだカフェを営む千波(攻)のもとにある日現れた青年・渚(受)。
千波に話したいことがあるけれど、まだ話せない、でも自分は嘘は絶対につかないと話す謎めいた渚との交流が始まり、少しずつ距離が縮まっていくけれどー

と続くお話です。

二人の恋愛がゆっくりと進んでいく様子と、明かされる秘密の切なさ、そして静かな朝の景色の描写などが合わさって、どこか静謐な雰囲気のある物語。

勇気を出して千波のもとを訪れた渚の誠実さに、じんと心を打たれます。
そして一度は拒絶するものの、それを受け止めた千波のセリフが刺さる。
「俺の分の荷物 渚が持っててくれたんだな」( ; ; )

渚の訪れによって救いを得た千波だけど、クローゼットゲイである自分に後ろめたさを抱えていた千波もまた、渚によって救われ勇気を得たんだなあと。

心の深いところで繋がった二人なら、きっとこれから二人一緒に幸せを掴んでいけるー
そんな希望の持てる静かなラスト。ばあちゃんと千波が施設で会話する終盤のシーンではm思わずほろりと涙が出ました( ; ; )

一度最後まで読み全てを理解した後、じっくりともう一度読み返したくなる、そんな素敵な作品でした。


1

最初から最後まですごく誠実な

BLに萌える作品というよりも家族や人間関係のあり方の物語の設定の1つとしての同性愛者というくらいすごく自然でリアルなお話でした。

個人的にすごく好きだったのは渚が少しまどろっこしく感じてしまうくらいただただ誠実で、高山さんから受け取った事実を誰かの人生にとってすごく重要なこととして受け止めて大事に大事にしていたことです。
この事実を伝えることを前提としているのではなく、千波と接して千波にとって必要な情報だと思ったら伝える、千波がちゃんと受け止められるように自分との信頼関係を築こうとする、千波以外の誰かに話したりしない、受け止めきれない千波を癒す役目を誰かに渡す、その行動の1つ1つがすごく優しくて、その優しさが沁みました。

この一家を救うための副産物のように出会った2人が、今後の人生を幸せに生きるための大切な人となったというラスト、本当によかったです。一度しぼんでしまった喫茶店がまた2人によって息を吹き返していく未来が見えて幸せでした。

6

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