黒猫の黄金、狐の夜

kuroneko no ougon kitsune no yoru

黒猫の黄金、狐の夜
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神29
  • 萌×211
  • 萌5
  • 中立0
  • しゅみじゃない3

6

レビュー数
8
得点
204
評価数
48
平均
4.3 / 5
神率
60.4%
著者
伊達きよ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA
レーベル
Ruby collection
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784041149898

あらすじ

狐に育てられた黒豹の領主×健気な狐獣人

父親が村人の金品を奪って姿を消したため、借金の返済のため身を粉にして働く狐獣人のコガネは、ある時、目の見えない猫獣人の子供を助ける。誰からも感謝をされたことのないコガネは、黒猫の「ありがとう」という言葉に思わず涙し、どうやら捨てられた上に記憶のない黒猫を「クロ」と名付け大切に育てることを決める。自分のような人生を送って欲しくないと、コガネは賢いクロを学校に入学させるため目の手術を受けさせたいと、金を貯めていた。だが手術費用には到底足りず絶望するコガネに、医師スオウはある取引を持ち掛ける。たとえどのような犠牲を払ってもクロのためにできることはしたいと願うコガネ。自身の身を犠牲にしてクロの目を治療し、王都の学校へとクロを送り出す。そんな中、クロが実は貴族の落胤で、猫ではなく黒豹だと判明し…?

表題作黒猫の黄金、狐の夜

クロ、コガネの養子、盲目子猫→黒豹獣人で領主(ツルバミ)、5〜18歳
コガネ、狐獣人、父の借金返済労働者/刺繍家、15〜28歳

その他の収録作品

  • 後日談1
  • 後日談2
  • あとがき

レビュー投稿数8

養い親

先生買い。良いお話よね♡と思うし、いつまでも覚えているとは思うものの、Xで読ませていただいていたからか、圧倒的なものを感じなかったので萌2よりの萌にしました。本編270頁ほど+後日談2編100頁+あとがき。童話のようにそっとキラキラしているお話が好きな方には最高なのでは。

移り住んだ村で父親と2人、暮らしていたコガネ。父親が村人のお金を持ち逃げしたため、1人村人から冷たい仕打ちを受ける羽目になります。ある日川の中で小さく鳴くクロネコを助け…と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
スオウ(クロの目を診てくれる医者)、ロウ(攻めの叔父)、チトセ(攻めの学友)ぐらい。

++攻め受けについて

受けは不憫健気。子を思う親の気持ちの部分がすごくシンクロします。腎臓なら2個あるから、子どものためなら1個提供出来る(´;ω;`)っていう感じの献身ぶり。いや違うな、コガネなら自分自身全部を差し出しそう・・・養い子とはいえ、可愛くて良い子な攻めを、本当に宝物のように感じていたんだろうなあ。

攻めはそんな受けに拾われ大切に育ててもらった方。受けが大好き過ぎて、おそらく何かあったら壊れるぞ?ぐらいに思います。壊れたクロは怖そうだなあ・・・クロネコだったはずなのに、成長するにつれ能力を遺憾なく発揮、力を持つようになってます。まだまだコガネにはお子様的扱いを受けて、しょぼんとしている時もあるだろうけど、大丈夫、そこも含めてコガネは君の事が大好きなんだから!と思います。

優しい献身ものや、一体化していたいぐらいお互いが一番大切という感じが大好きな方でしたら是非是非。先生、綺麗な優しいお話を、有難うございました。できればスオウのお話も読みたいなあ・・・・

2

大切な貴方を護るために

今回は盲目で記憶喪失の猫科獣人と
父の罪に縛られた狐獣人のお話です。

父の罪で村人に縛られ続けていた受様が
川から救った攻様の唯一無二の存在となるまでの本編と
その後を綴った後日談2話を収録。

受様は父のみを家族として育ち
8つになった頃、父と小さな村に移り住みます。

父は村人から金を集めて金儲けをすることで
村で受け入れられるのですが

ある日、
受様父は村人から集めた金と村中の金品とともに姿を消し
残された受様は村人から父の贖罪を求められます。

最初は面倒事や辛い仕事を「手伝ってくれ」と頼み
受様が刺繍仕事で小金を得るようになると
「父が盗んだ金を返せ」というようになるのです。

受様は罪人の子は言い返したらいけないと
要求をのみ続けて贖罪の日々を過ごしていました。

そうして7年が過ぎた冬のある日、
受様は籠に入って川を流されていた獣人の子を助けます。
この子が後の攻様です♪

攻様は黒く艶やかな毛並みの猫科獣人で
体力を消耗しすぎて人語も話せない状態でしたが
受様が山羊の乳を口に含ませたことで届いた
微かに「ありがとう」の言葉は受様の耳に
福音のように響きます。

しかし次の日目覚めた攻様は記憶を失っていた上に
目が見えないことが判明し、受様はそんな攻様を放り出せず
面倒を見ることになります。

攻様は受様に見守られながら賢く美しく育ち
受様は攻様を進学させるようと目の手術費用をため始めますが
無学で無知な受様が考える何倍もの費用が必要でした。

それでも受様は攻様のためにと費用を捻出するのですが
その方法とは・・・

父に代わって村人に滅私奉公する受様と
受様が川から拾った盲目で記憶喪失の攻様の
もふもふファンタジーになります♪

あらすじと帯の「献身愛BL」
「貴族の烙印だった黒猫✖育ての親の狐」のキャッチからも
健気で不憫な受様なのだろうとは思っていましたが
受様の払った犠牲は想像以上で辛かったです。

父に好かれず、村人には下僕扱いされていた受様は
文字が読めず、知識もありません。
そのために他人の悪意を退ける事ができず
言うがままに従う道を選ばされます。

そんな中で川で流される攻様を見た受様には
自分と母親のように思えただろうし
攻様が自分と同じように学がない事で
進む道を選べない事を許せなかったのかなとは思います。

そんな風に攻様の中に自分と同じ姿を見るたびに
受様は攻様の代わりにその代価を引き受けていて
ソレが読み手の心を深くえぐっていく展開が辛いです。

受様が攻様の手をしっかりと取るまで
ハラハラ&ウルウルさせられっぱなしでした。

誰かの幸せを願うならその人が願う幸せを
失わせない事もまた大切なことですよね。

4

2022年の、あのX(旧Twitter)の伝説postが1冊のご本に!!

当時、伊達先生がこのpostを呟いた後で、「このアカウントはBLの~」と、しきりに新規フォローされた方へ向けて注意喚起のアナウンスされてたほど、腐以外の方たちからも大反響があったお話が元ネタでしたよね。
(最近、先生の垢で再度アナウンスあったなあと確認したら、やっぱりそうでした!)


そう。
それくらい涙なしでは読めない、狐獣人から養い子の黒豹獣人クロへの献身のお話で、、、(思い出して震える)

yoco先生のイラストがまた、より涙を誘う美しさなんですよねえ。


で、本文の感想なのですが、、

献身愛って綺麗な感じがしますけど、スオウ先生やクロじゃないですが、受けた側のことを考えてないって本当だよねえと、激しく同意してしまいました。(本当にすみません)

それを美徳、お涙ちょうだいに仕立てあげるのは、童話だけにしておいて…(それこそ新○南吉の狐のお話を思い出しました! ちょっと違うかもですが!)と、歪んだ大人になってしまったまりあげは的には、素直に受け入れられない部分もあったのですが、
上記の2人の考えを、セリフにしてきちんとコガネに伝えてくれたことで、ただのお涙ちょうだいで終わらず、コガネももっと幸せになっていいんだよ。
自分を大切にしてよ。

と、あまりにも真っ直ぐすぎるコガネの献身愛を文面から痛みを浴びたまりあげはの心が、リカバーされました。
さもなくば、コガネの献身にヒリヒリしすぎて、挙句最後まで堪えられなかった気がしますし、綺麗にまとまりすぎて、かえって泣けなかったかなあという感想でした。(他のレビュアーさんたちと違う視点での感想失礼いたしました汗)


ですので、そこまで丁寧に描いてくださった伊達先生に、ありがとうございます! のお気持ちしかないです。


ちなみに、後日談1、2と100ページまではいきませんが、本編では見られなかったえちシーンなどが。
童話的お話だけを楽しむならば、本編だけで。

えちなBL的要素までを楽しむのであれば、後日談1を読んで、2までお進みください。
という感じです。



さあ、泣く準備はできましたか??

狐獣人の献身愛、しかとその目で最後まで見届けてきてくださいね。
いってらっしゃいませ!!(某テーマパークのアトラクションふうに)




5

帯に

帯にXで2.5万リポストされたとあったのでwebサイトで人気があったのかと思っていたら、この作品が書き下ろしだと巻末にありました。レーベルのアカウントをフォローしていないのですが、リポストする何かがあったのでしょうか?

他レーベルの同じ月に発売された「白銀の人狼は生贄の王子に愛を捧ぐ」は神評価で、今作もとても楽しみにしていたのですが読んでてとてもしんどく感じてしまいました。「献身」がテーマらしいですが今の私にはあまり響いて来なくて、後日談に至っては違う作品のようにテイストが違うのが気になりました。

個人的にはコガネより後半のクロに感情移入してしまいとても切なく感じました。コガネを取り巻く環境ですが、前半は1人も気にかけるような人間が現れないことにとても違和感を感じ、人々の無関心や悪意に流されるように従順なコガネが受け入れ難かったです。私の好きな健気受けではありませんでした。

それと表題作のような本編と番外編のような後日談がwebサイトでありがちな構成で、シリアスで童話風な雰囲気を出して終了しておいて、後日談では本編で語られなかった部分が書いてあるのは良いのですが、狙ったのではなくて最初から一緒にまとめれないというのならこの上なく問題だと思いました。

とても人気の出て来た作家さまなので多くの作品が読めるのは読者として嬉しいのですが、急がすじっくりとお話を育てて欲しいと思いました。
前の作品でシリアスも上手いとレビューしましたが、やはりほのぼの系が光る作者さまだと思います。

8

『献身』を受け取る側

良いお話でした…!

父の所為で村人達から搾取され続け、孤独に生きるコガネ。そんなコガネが目の見えない小さな黒猫を拾い、その子から「ありがとう」を貰うところから2人の生活は始まります。黒猫の獣人はクロと名付け、コガネはそれまで孤独に生きていたところをクロの為に働き育てていきます。次第に大きくなっていくクロは聡明で、目が見えない事が教育を受ける為には大きなネックになっていく。クロに目の手術を受けさせるために、コガネはある決断をするのですが…。というお話。

作者の方もあとがきに書かれていましたが、『献身』のお話です。コガネが身を犠牲にしていくのが辛くて辛くて…。それに気付いたクロの反応も辛い。2人にとっての救いの部分が後半にやってきますが、そこまでのコガネの可哀想さが個人的には辛すぎました…。献身を受け取る側の方にもフォーカスされていて、一方的な想いだけでは終わらない所が良かったと思います。良いお話だったので泣きたい時に読むのがベストです!

6

「あげる」でも、「もらう」でもなく。”二人で一緒に幸せになる”ということ

もう、もう、すごい話を読んでしまった……読んでいる最中、涙で目の前が霞んでしまい、ティッシュが手放せませんでした。

電子版で全346P。かなりボリュームのある物語ですが、止まることができず、一気読みです。(※ちるちるさんの作者様の登録がイラスト担当のyoko先生になっているのですが、伊達キヨ先生です。。)

与える側の献身・自己犠牲が、受け取る相手をどんな気持ちにさせるのか。
「幸せにしたい」と願う対象である相手が願う幸せの中に、”与える側”も幸せであることが含まれているとしたら…

以下、簡単なあらすじを。

村人からお金を集めるだけ集めて失踪した父親の代わりに、借金返済のため身を粉にして働いている狐獣人・コガネ(受)。
ある日川で籠の中に入り、今にも溺れそうになっている目の見えない黒猫獣人の子供を救います。”クロ”と名付けたその子(攻)に愛情を注ぎ精一杯育てるコガネ。

成長するにつれて才覚を表すクロに教育の機会を与えるため、まずは目を治そうと働いて得たなけなしのお金を持って都の病院へ行くのですが、用意したお金ではまったく足りず、途方に暮れます。

しかしその時、担当医師スオウからある取引を持ちかけられてー

と続くお話です。

文字も読めず満足な教育も受ける機会のなかったコガネが、彼を騙しもぎ取ろう、意のままに操ろうとする者たちの手に面白いほど簡単に落ちていく様子が苦しくて悲しくて痛々しくて、、( ; ; )

作中、この「取引」によりコガネが何を差し出したのかは匂わせはされるものの、中盤以降まではっきりしません。
読んでいるこちらももう分かってはいるんだけど、いつ明かされるのがかが気になって、息つく間もなくページを捲っていました。

そしてクロが名前を偽ってコガネと再会し、正体を明かさぬまま「好きです」と告白するシーン。心が震えた……

実は当初、”なんで早く「自分だよ、あなたのクロですよ」って言わないんだろう?”って思ってしまったんですよね。

でもよくよく読み進めてみると、幼い頃の約束のままに「どうか見つけ出してほしい」と思う彼の気持ち、そしてコガネに自らを犠牲にさせてしまい、恨まれているのではないかと恐れる気持ち、そんな気持ちがひしひしと伝わってきて…
クロがクロとしてではなく、ツルバミとして告白した時の彼の気持ちを考えると、胸がきゅーっと苦しくなります。

個人的に勝手にこの作品のテーマなのかなと思っている、「与える/与えられる」というどこか一方的ともいえる関係ではなく、「”二人で”幸せになる」ということの意味をグッと噛み締めました。

二人を象徴する色、「黒」と「黄金」。その二色は”朝”と”夜”、そして”夕暮れ”と常に繋がっているー
作中に何度か出てきたその言葉に「二人で」というキーワードが重なり、ああ…とため息をついてしまった…

愛することの形について考えさせられる素晴らしい物語…もう何の文句もなし!の「神」評価です。

6

顔面びちょびちょの大洪水。涙で文字が追えなくなるほどの愛の軌跡。

なんという献身愛……途中から涙で文字が滲みました。
思いっきり泣かせにきます。みなさん、ハンカチとティッシュの用意を忘れないようにして下さいね。

ただいま、目がパンパンに腫れながらこのレビューを書いています。絶賛浮腫み中ですが、読後感の良さと、この作品に出会えた喜びで気分はとても満たされています。
帯の「泣ける物語」の文言は間違ってなかった。
子の幸せを想い、この身を犠牲にしてもひたすらに幸せを願い続けるコガネの生き様に胸が掻き乱されっぱなしです。クロのためなら何でもする、という彼のクロへの向き合い方があまりにも愚直で、その強すぎる思いに息苦しさを感じるほどでした。
コガネという人は、そんな人。自分より他を優先する濁りなき清らかな心の持ち主です。

帯にはこうも書いてありました。"離れていても思い合う、献身愛BL"だと。献身愛というのは良い意味で捉えればですが、ちょっと穿った見方をすれば自己犠牲愛です。つまり献身と自己犠牲は表裏一体の関係といえます。
でも、どちらでもいいんです、そんなことが問題じゃない。
言えることは、ただひたすらに、深く、広く、コガネはクロを愛し、クロもコガネを愛する……ただそれだけのこと。それだけのことなのに、なぜこんなにも涙が溢れるのでしょう…

父親に捨てられて、村人に騙されて、新薬の治験によって身体がボロボロになったコガネ。彼の人生はかなり過酷なのに、彼は自分のことを不幸だと思っておらず、むしろクロに出会えて自分は幸せだといわんばかりです。そんなコガネの満足そうな姿を前にして、私はますます涙が止まらなくなっていくのです。


尊き献身愛が光る物語なのは間違いありません。コガネの深い愛に感動の思いでいっぱいですが、同時に切なく悲しくもなったりします。
コガネが捧げる愛は大変重く、際限がないからなのか怖いんですよね。だって自分の命さえ掛けちゃうから。

私は思うのです。それって本当に"献身"と言えるのだろうかと。クロを大事にしているようで、クロを大事にしていないのではないのかと。
コガネの犠牲の先にクロの幸せがあるとするならば、彼は喜んでこの身を差し出すでしょう。でも、それってクロのためになってるのかと言うとそうじゃない。クロの幸せどころか逆に悲しませることになっているんだよと。

大事な人が自分のために命を削っていると聞いたらどう思うか…。コガネにとってクロが大事な存在であるように、クロにとってもコガネは大事な存在です。コガネの罪深さは、そこに気付いていないということです。
クロの願う幸せのカタチは、隣にコガネがいる景色。それが何よりの幸せなんですよね。

お互いの気持ちが徐々に同じ方向を向き始めたとき、クロもコガネもやっと心が1つになったと思います。親子としての情を乗り越え、ちゃんとクロを恋人として意識することができたコガネを見て、もちのろんで狂喜乱舞しましたとも!
前半部のコガネの不幸譚には心が砕け落ちそうでしたが、それがあっての後半のドラマチック展開が映えるってもんです。身体中の水分が抜け落ちるほど泣き腫らしましたが、読後はすこぶる晴れやかです。


ほんわかした筆致と、優しげでしっとりした物語の雰囲気に酔いしれ、エモいイラストがこれまた最高でした。コミカライズも決定してるようでこちらも非常に楽しみです。
私のように涙腺よわよわな方、翌日がお休みの日に合わせて読まれることをおすすめします^ ^

8

受けの無償の愛が深く心に刺さる

クロ×コガネ

泣かずにはいられない。

序章からずっと不憫な狐獣人・コガネが、
父親の残した借金に苦しんでいる15歳の時、
川でまだ人の姿になれない5歳の記憶を失った盲目の子猫・クロを拾う。
コガネにとってクロは初めての温もり。
クロにとってもコガネはただ一つの居場所。
クロが喜んで泣いたり笑ったり、コガネに懐く姿・・・。
天涯孤独の初対面の2人が・・・もう感動の波に呑まれる。
家族として、お互いに支えながらの共同生活が始まる。


借金や貧窮の境遇に耐えながらも、
コガネのクロへの献身的な愛が、
苦痛を伴う大きな犠牲まで捧げる。
クロのために尽くす姿には涙が止まらない。
お別れ、そして再会・・・紆余曲折で、
途中の苦しさに打ちのめされて、
立場が逆転する展開には感情が追いつかないほど。

10年の歳の差の両片想いが、
10年以上にわたって育まれた愛と絆として、
次から次へと押し寄せる切なさと共に、
最後には2人が温かく結実するので、
安心感と幸せで胸がいっぱいになった。


コガネが、
クロのために刺繡だけではなく体力仕事までこなす。
さらに、尻尾の毛がお金になるからと、
次第にみすぼらしくなっていく尻尾には涙腺が刺激される。
クロに鈴を買ってあげて、
その鈴の音がずっと2人を導くことに胸を打たれる。

コガネの元に猫獣人として、
成長していく盲目のクロが、
コガネの姿を見ることができないことに、
自分には見えないコガネを見える人たちに嫉妬する様子に涙ぐんでしまう。

字も読めず学問もないコガネが、
大人しくてどんどん知識を増やして、
賢くなっていくクロを学校に行かせるための
目の手術で医師との恐ろしい取引に踏み込む決断・・・、
そしてガネを守るために学校に行くというクロ決意も感動的。

8年間ずっと一緒に過ごしてきた2人が、
13歳のクロが全寮制の名門学校に入るために、
3年間のお別れをしなければならない。

まだ目で見たことのないコガネに、
3年後に立派になって会うのを楽しみにしているクロ。
しかし、学校に行っている間に、
クロの家族やクロ正体が明らかになる。一方で、
最初からクロと再び会うことはないと覚悟していたコガネの行方が緊張感を与える。

コガネが医師との取引内容がダークすぎて・・・鳥肌が立つほどの衝撃。

底辺にいるコガネが
クロが領主になったことを知ってほっとして、
クロの記事が載っている新聞を大切にしている姿にはまた泣く。

クロを想い続けながらも会わないと決めたコガネ。
コガネを忘れることなく彼を探し続けるクロ。

18歳になったクロが、
やっと見つけたコガネに再会する。
隠しても漏れ出しそうクロの気持ちが悲痛で
胸が締められる進行が続行して、

2人の想いが重なり合う瞬間に心が震える。

伊達きよ先生の獣人ものが、
耳や尻尾の反応が本当に生き生きで好きです
特に子供のクロがコガネの尻尾に顔を埋める光景にギュンとくる!

yoco先生の美しいイラストが、
痛切でありながら繊細なストーリーと見事に融合している。

コガネの尻尾の毛から刺繡したハンカチが幸せを運んでくれるから、
コガネがいくら辛くてもきっと誰よりも幸せになれると確信して読み進めた。

コガネの無償の愛とクロの純粋な感情が交錯し、
コガネにとって黒豹のクロでもずっと自分だけの「黒猫」で、
2人の深い愛と絆に心が奪われました。

コミカライズが楽しみにしています。

8

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