やさしいひと

yasashii hito

やさしいひと
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神19
  • 萌×210
  • 萌4
  • 中立2
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
7
得点
149
評価数
36
平均
4.2 / 5
神率
52.8%
著者
うづきあお 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
ジュネット
レーベル
ジュネットコミックス ピアスシリーズ
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784910582320

あらすじ

3年前、交通事故によって記憶喪失になったイチには身寄りがなかったが、
献身的に面倒を見てくれる恋人のリクだけが唯一の居場所だった。
こんなにやさしい恋人と、ずっとしあわせでいたい──。

そんな記憶喪失の青年を3年もの間、探し続け、ようやく真相にたどり着いた親友ギンにとって、
イチの密やかな願いはあまりにも異常だった…

「孤独」と「正義」それぞれから視える愛の姿

表題作やさしいひと

一の面倒を見る青年
記憶喪失した青年

同時収録作品やさしいやみ1〜6話

(高校生)→一の面倒を見る青年
(高校生)→記憶喪失した青年

同時収録作品やさしいやみ1〜6話

止水銀,(高校生)→一を助けようとす幼馴染
間宮一,(高校生)→記憶喪失した青年

その他の収録作品

  • 描き下ろし:『共犯』
  • 描き下ろし:『おふろ』
  • あとがき
  • カバー下漫画

レビュー投稿数7

ヤンデレにゾッとするメリバ、切ない三角関係

リク×一

前日譚『やさしいひと』単話
本編『やさしいやみ』1〜6話+描き下ろし
から構成される一つの物語。

幸せな血に染まった抱擁、なんと素晴らしい表紙。
甘さが溢れる光の中に闇が漂う、エモい〜。


甘毒な愛情の中のダークな展開で、
ヤンデレの本物の愛からの残酷な手段に泥沼に引き込まれて、
ミステリー雰囲気の三角関係が、
次第に明らかにされる過去と真実を知るたびに、
結末を知りたくてページをめくるのが止まらない。
ゾクゾクしながらも、不思議なほのぼの感じもあって、
一、リク、ギンの3人の届かない想いが交差するところが切なくて、
愛情が過剰なメリバに、涙してしまい、グッと頭から離れなくなった。


3年前に交通事故で記憶を失った一を支えているのがリク。
一がリクに外出禁止され、愛情を注がれ、エッチもして、
家の中で他の人が踏み入る隙間のゼロの依存関係にゾッと震える。という始まりで、
表面的には2人だけの世界だけど、実はもっと深い。
一が記憶を失ってからの3年間、
ずっと一を探し続けている彼の幼馴染で親友のギンが入り込んで、
愛と葛藤が渦巻く。

一、
秘めた純粋な恋心とその悩み、
ゲイであることを母に受け入れられない孤独感、
そして、すれ違いが発生し・・・胸が苦しくなる。

リク、
ヤンデレそのもの。
健気な恋心だったのに、
愛が深すぎて狂気じみた腹黒さに変わっていく。
計算高くて冷酷な行動取るけど、
好きすぎて冷静にいられないのだろう。きっと。

ギン、
誠実な想いで一のことがただただ大切で、
その気持ちを決して伝えない、伝えても届かないところがもう・・・。
愛と努力がたっぷりだけど、
最後の最後の一歩を踏み出す勇気がなかったかな。

3人の視点で進行してくから、
それぞれが苦しみながらも愛を追い求める様子が不器用すぎて、
望みのない愛に陥る心情が、心隅々までズキズキえぐる。

結局、
一番「やさしいひと」は一だと思う。
リクに献身的な愛情を尽くし、
どんな時でも、この世でただ一人を愛し、
記憶がなくても、本心は変わらないことが尊くて、
この間違いなく真実な愛に感動して涙が湧き出る。

失った記憶と真実から蘇る愛情と依存、
根底には本物の愛が愛しくて、
胸が苦しくなるほど心に残る作品でした。


気になる点:

ストーリーは本当に良かったけど、
この設定で、もっと痛みがあったらより重厚だったかもしれない。
事件の辺が少し手抜きっぽく感じてしまう。
ちょっと物足りなかった。

一の担当医者のこと、彼はどういう役割だった?
すごく気になる。明確にして欲しかった。

9

すごく好きなテイストでした

はー、すごく面白かったなあ…
こちらが作家さんの初コミックスとのことで驚いています。
見る角度によって感じ方が変わる作品がお好きな方や、その後を想像したくなる、ほんのり闇を感じる作品がお好きな方はピンと来るものがあるかもしれません。

柔らかな白に黒みのある赤が混ざった印象的なカバーイラスト。帯の「既に正気は擲った」の文字を見て、これは一筋縄ではいかないお話なんだろうなとわくわくしました。
事故により記憶を失ったイチをただひたすらにやさしく慈しむように囲うリクの図は、幸せ以外のなにものでもないほどに穏やかなものです。
そう。すごく幸せで甘やかな日々なんですよ。
ただ、これはリクの手によって作られた幸せなのです。
外は危ないから出てはいけないよと言うリクに、読み手側はどう考えてもこの男は危険だと嫌でも分かってしまう。
だというのに、あまりにも幸せそうな2人を見ていると、この幸せな箱庭を崩さないでほしいとも思ってしまうんですね。

数年前を境に行方不明となっていたイチことハジメをずっと探していた、幼馴染で学生時代の同級生で親友・ギン。
彼の登場によって過去が少しずつ語られ、現在の謎が徐々に暴かれていくことになります。記憶喪失のイチを間に置いた複雑な三角関係ものといったところでしょうか。
ものすごく正直に言ってしまうと、私は読んでいてギンのことを邪魔に思ってしまったと言いますか…うーん…どうか彼らのことをこれ以上暴かないでくれと思ってしまったのです。

世間一般的にはギンが正しいんですよ。
でも、断片的に語られる3人の過去と現在のリクとイチを見ていると、世間的には正しいことが全てにおいて正しいのだとは思えなくなるんです。
作品を読み進めるうちに、歪んだ関係性にあるはずのリクとイチの関係性に甘やかな心地良さをいつの間にか覚えてしまっていたのかもしれません。
そしてそれがずっと続けば良いと思う自分もいて、少しずつ甘い毒を自分も飲んでいたような、なんとも不思議な感覚にさせられる面白い1冊です。

記憶喪失ものの定番にはならない展開も、ラストもその後を自由に解釈して楽しめるようなラストで非常に好み。
初コミックスとは思えない個性的な味わいのある素敵な作品でした。
2023年最後に、次回作も追いかけたくなる作家さんに出会えて嬉しいです。

5

【何も心配しなくていいよ。ずっと一緒だ。しあわせになろうね・・・イチ(リク)】

エロス度★★★★★★

リクとイチ♡
事故で今までの記憶を失った〝イチ〟。彼の傍にいるのは〝恋人〟であるリク。失った記憶の隙間に注がれる優しい甘言と虚飾。第3者から見たら歪な〝恋人ごっこ〟。

リクによって閉じ込められた世界で愛されて幸せを得るイチ。
2人だけの楽園でありながら、イチを手に入れるためなら手段を選ばず両手を血で染めるリクの頭のネジが外れたサイコな執着・愛の在り方に戦慄を覚えてしまいます。

いなくなってしまったイチを捜し続ける親友・ギン。彼の介入によって〝恋人ごっこ〟が迎える結末は幸か不幸か・・・。

0

歪みの中にあるモノ

優しい笑顔で抱き合っているのにイチを包むリクの手は血で染まっているという、アンバランスな不気味さを感じる表紙がとても印象的なこちらの作品。
事故に遭ったことで記憶を失くしてしまったイチとその恋人・リクとのお話なのですが、よくある記憶を取り戻すための日々を描いたような記憶喪失モノとは全く違うので、先が読めない展開にゾクゾクしっぱなしでした。

リクの重たすぎる愛もそれを受け止めるイチも、ふたりだけの空間で生きている場面だけ切り取ると美しいモノに見えるけれど
ギンの視点が加わると歪んだ部分が見えてくるので、その雰囲気が一気に変わっていくのが恐ろしくて面白かったです。

リクのイチに対する執着が異常なのは事実だし、これまでリクがしてきたことを考えるとふたりは一緒に居ないほうがいいという答えに辿り着くのかもしれません。
でもその関係を誰の目線で見るかによってだいぶ捉え方が違ってくるので、ギンとイチの答えが交わらないこともある意味正しいと思えました。

たとえ「ハジメ」としての記憶が戻っても、彼にとってリクが大切な存在なことには変わりなくて。
真正面からぶつかっていったギンだけが歪んでいない現実に取り残されてしまうのはなんだか皮肉な気もしたけれど、
どこまでいっても歪んでいるならそれこそがふたりの求める幸せだったのかもしれません。

とても独特な世界観で、不思議だけどグイグイ引き込まれてしまうような作品でした。

6

一言でいえば執着攻めによる溺愛

絵柄はほわほわしているのに、シビアなお話でした。
ちょっと、なんというか頭を殴られたような感じがします。
一言でいえば執着攻めによる溺愛なのですが、この男、リクはかなりやばい。
大好きな一を自分のものにするために、一の両親を事故を装って死なせて、一が記憶喪失になったのをいいことに建物の地下に監禁して一緒に暮らす。
そして、外に出たらこわいめに遭うと信じ込ませるために、人を雇って一を暴行する。
とにかくリクは一を自分のものにして、二人の世界で生きて行くことに全力を注いでいるのです。
3人目の登場人物である銀は二人をよく知る男の子で、行方不明になった一をずっと探し続けています。
この、銀が一を奪い返す一連の流れがとてもよかったです。
よくあるお話だと、むしろ銀の立場の者が主人公で、奪い返した彼と仲良くなって、記憶が戻ってハッピーエンド、となるような気がしますが、このお話はそうではない。
一はあくまでもリクに溺愛される、その生活に満足しているのです。
子供のままごとみたいな、仮初めの箱庭生活でもいいのです。洗脳ってことですよね。
どう考えても銀の方が正しいのに、銀は折れる。その辺りが書き下ろしの「共犯」で描かれます。
そうかー、そうなるのかー、と唸りました。
良い悪いではなくて、一の「幸せ」を守ることを尊重したということ。それが犯罪に加担することとイコールであっても、一が幸せならば、ということですよね。
道義的には間違った判断と思うけど、そういう世界観もあるなと思わされました。
きっと、リクに協力した医師の村上も、同じような気持ちでリクの言いなりになったのでしょう。(いや、脅迫とかかもしれないけど)
たとえばいつか、一の記憶が戻ってリクのことを怖がるようになったら、リクはきっと一を殺すんじゃないかと思います。
そのくらい怖い人です。
現実に、そういうニュースがありましたね。フィクションだと思えない人は読んだらいけない作品かもしれません。
それにしても読ませる力がすごいです。構成の妙? 続きが気になって一気読みでした。

2

おぉぉぉ‥

試し読みでワクワクしたので購入しました。

これですね、言葉をちゃんと交わしてタイミングよければ両片思いのハッピーエンドにもなれたであろう設定でした。

はじめは母親からゲイだということを認めてもらえなくて後ろ暗さがあり、リクは好きな人の振り向かせ方がやばすぎるやつ。
でも両片思いなんですよね。
リクから告白して、あとははじめが覚悟を決めて心を伝えればよかったのに、待ち切れないボーイのリクのお陰で事故にあい記憶を失い監禁されるという。

リク、あんたの稼ぎはどこからきてるんだ‥

そこに幼馴染という武器をもったギンが投入されて2人から想われるはじめ。モテてます。
これを事故前にやっていたらダークな感じにはならないのですが、タイミングの悪さでダークな作品になってるのですごいです。

絵柄はちょっと懐かしさを感じます。

医者も実働部隊のモブ2名もこれこれっ!て感じのキャラクターで予想を裏切りません。

正直もうリクの気に障ったやつ全員死ぬのでは?と思っていたので皆生きててびっくりです。

はじめにリクの愛がどこまで伝わってるかわからなかったのがもどかしかったです。

1

優しい歪み

単話「やさしいひと」を読んだとき、一話でしっかりとまとまっていて良い感覚だったので、続きが出ると知って納得しました。
単話ではわからなかった細かい部分が、「やさしいやみ」で補完されたので読んで良かったと思います。

ピュアに見えて歪んだ愛情のお話。
けれど柔らかい絵柄で描かれるストーリーなので、ほんわりと優しい雰囲気が漂っています。
ここが歪みを和らげている要素でもありますし、うすら寒い雰囲気を醸し出してくれるポイントだと感じました。

ヤンデレものとしては、よくあるストーリー展開かなとは思います。
ただ、脇で出てくる受けの幼馴染が、良い役割を果たしていました。
メイン2人を引き離すために奮闘した彼が、受けのことを想ってした最後の決断は、切なくもぞくっときます。

単話ではわからなかった部分が明かされてはいますが、さらっとしか触れられない要素もありました。
攻めの背景や、彼の犯罪に協力した医師の存在。
この部分は、詳しく明かされなかったので謎のままでした。

ヤンデレものとしては優しいので、今まで読んだことがなく挑戦したい人にはおすすめです。
ただ最後は、メリバとは違うもやっとさも感じるので、最終的にはハピエンを求めたい方は注意が必要だと思います。


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