その世のどこか、蒼天のゆりかご

sonoyo no dokoka, souten no yurikago

その世のどこか、蒼天のゆりかご
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神147
  • 萌×246
  • 萌10
  • 中立3
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
19
得点
952
評価数
208
平均
4.6 / 5
神率
70.7%
著者
鯛野ニッケ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
Jパブリッシング(ジュリアンパブリッシング)
レーベル
arca comics
シリーズ
その世のどこか、地図にない国
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784866695723

あらすじ

「シン様、私は毎晩あなたを殺す夢を見るんです」
大国ガルシェの第三王子・シンが生を受けて以来、常に側に在った年上の従者・リアンドロスが姿を消した。冒険と称して世界中を飛び回っていても、厄介事を持ち込んでも、忠実に仕えてきた、あのリアが。自分で思う以上にショックを受けたシンはリアを追い、古い宗教建築が並ぶガルシェ辺境の小さな集落・バラコに辿り着く。「祈祷師」を名乗る胡散臭い男を頼りにしていた上、「シン様の元には絶対に戻らない」と言うリア。そんな折、シンが土地特有の奇病に罹り…?
激しすぎる恋情を秘めた忠実な従者×奔放な王子、互いの生涯を掛けた、強く、深く、永い愛の物語。


初版のみにお付けしている特典(初回特典、初回仕様特典)がある商品は、商品ページに特典の表記が掲載されている場合でも無くなり次第、終了となりますのでご了承ください。

表題作その世のどこか、蒼天のゆりかご

リアンドロス,シンの従者
シン,ガルシェ国第三王子

その他の収録作品

  • とあるメイドの日記
  • シンからの手紙
  • カバー下漫画

レビュー投稿数19

禁忌と価値観…許しを請い許された先にあるもの

とうとうお気楽第三王子の覚醒です
今迄の2冊はこのシンの存在があったからこそ重くなりそうなテーマでさえも「愛の物語」としてシンの目線で見る事が出来、楽しむ事が出来ていた事に気付かされます

シンの良く言えば寛容であり能動的な根っからのポジティブさ、言葉を選ばなければ楽天的で絶妙な鈍感力の高さで本来もっと悩むべき事さえも「悩むだけ損、それよりキモチを、自分・自分達を大事にしなければ…」と思わせてしまう力がありました

ムスティア×ノネもアマル×ヤシュムもそれぞれ抱える問題がありながらも相手をただ一途に大事にしている…その想いをカタチにする為に出来る手助けをすべき事として当然のように行ってきたシン
そんなシンを通して私もそれぞれの2人を見守りその世界観に没入していました

しかし、この3巻はシンが当事者
今迄のシンの立場に当たる第三者の存在が物語を大きく動かします
キーパーソンは2人
バラコ村の祈祷師サディンとサディンに拾われた過去を持つ男ゴート
善意の第三者なのか?それとも…?
と思わせるとても興味深いキャラが登場します

この辺は是非ネタバレなしでこの世界に入り込んで感情の赴くまま惹き込まれて欲しい…!!


↓ココからビックリする位の主観による考察と読後に抱えきれなくなった感情を垂れ流す思うがままの長文が続きます(>_<)
何の参考にもならないようなレビューかも知れませんのでどうぞこの世のどこかに奇跡的にいらっしゃる奇特な慈悲深いお姐さまがいらっしゃったらお付き合い下さい……m(__)m

今迄の旅で傍らでいつでもシンの味方でいるはずのリアンドロス(リア)は、時にシンが下す寛容な対応に冷酷な反応を見せていました
それは国益を考えての反応と思っていたシンでしたがどこか自身の不甲斐なさも感じるのか「苦い」感情を抱いていた事を前巻で吐露していました
この正体がこの3巻を読むとすごくすごく痛い程リアの取った、取らざるを得なかったキモチを知りシンの苦い想いにも重なりとても苦しくなります( ;∀;)

シンの寛容さは無自覚にリアの中のタブーをいとも簡単に飛び越えてしまい、その奔放さに傍にいるからこそリアは想いを抉られ苦しめられたのでしょう、、、
決して自分では犯せないその禁忌を破ってしまう事を目の前で易々と何でもない事のように…それが普通であるコトに何の疑いも持たずに第三者に対して行動出来るシンがリアには眩し過ぎて眩し過ぎて……
その眩い光から逃れるように目を瞑り、その夢の中で想いを葬り去るしかなかったリア
生き辛さが痛々しい、、、

そんなリアが辿り着いた村、バラコ
私はここは色んな意味で生き辛さを抱えた人(禁忌に触れてしまう感情に翻弄される人)を救う為の場所として位置付けているのかな?と思いました
それを幻教を通して浄化させていく…
結構テーマ的には壮大で重めでは、、、?!
因みに過去2作もシンの目を通して遠回りな描写にはなっていたけどやっぱり重いテーマだったと思うのですよね
1冊目|医療格差
2冊目|退役兵のPTSDと薬物依存
3冊目|禁忌と信仰:タブー

そして読後に思ったのが禁忌って誰が決めていて誰にとってのタブーなの?
という事
リアにとっては決して犯してはいけない事もシンにとったら冗談交じりに「恋の病」と言えてしまう程…
価値観の違いが溝を生み、諍いを生み時には別れをもたらす…

これを乗り越える為に必要だったのは
【未来に続く為の揺るがない想いを支える自信】
受け入れ、解放させ、許す
初めの一歩をしっかり見届けたシンはリアの為に自信を付け彼と共に彼を、自分を、2人を許し、許される
そして2人だけの2人の為の価値を創り上げていくのだろう、と本編最後の2人の背中に【未来】を感じました


ネタバレを多分に含みますがすごく引っ掛かる事が…
どなたか分かる方教えて欲しい…
私の見落としなのか…?
シンの回想シーン(story003・P89?)で「おにいさま…」という女の子の後ろ姿があるのですがこのページ前にこのシーン自体が見当たらないのですよねぇ…
私はこの後ろ姿はラアヤだと思っていて、ラアヤはサディンの妹で兄を慕っている、、、というタブーを抱えてるのかな?と思っているのですが…(カバー下の裏話で兄妹というのは分かる)
これ、どうなんだろぉーーー???
BLだからね兄×妹は不要要素かも知れないけど、、、これも禁忌だからなぁ…この2人はそれを抱えてこの村に来たんじゃないかな?って勝手に推測しています
この解釈にも私がこの3巻自体へのテーマが「禁忌」だと思った理由が含まれるんですよね…
皆さんはどう思われたのでしょうかねー?
ココだけが読み切れなかった事で改めて自分の凡庸さを思い知ります(゚Д゚;)

配信されてから何回も既に読み返しています
それでもうまくまとめられなかった長いレビュー(多分過去イチ⁈)となってしまいましたが…ここまでもし読んで下さった方がいたら本当にほんとーーーにありがとうございます
何の役にも立たないとは思いますがこの世に貴方にすごくすごく感謝しているヤツがいる!という気持ちを届けたい!!!
読んで下さってありがとう… (ღˇ◡ˇ*)♡

とても今回のお話しは私にとって「考えさせられた」シンに自信の成長を促されたようなお話しでした
なので想うまま残しておきたくて…!
こんな主観バリバリな考察込みなレビューでお恥ずかしい///

どんな感情になるかはそれこそ千差万別!皆様の大事な価値観だと思いますが必ず「何か」を感じるような深い深い愛の流れる、未来を感じるお話しだと思います
是非、ゆっくり読んで欲しい1冊です

17

チル76

なゆnayuさま

遅くなってすみません…!
お忙しい中かと思いますがお返事下さりこちらこそありがとうございますデス‼

サディン推しなんですね~(´ ˘ `*)
彼が居なければ2人は前に進めなかったです
サディンもゴートも、村の人も幸せになって欲しいですね♡

稚拙なレビューにお付き合い下さり改めて感謝です!
コメント、ありがとうございました‼

なゆnayu

わ~ お返事ありがとうございます。

>自身の深読み行為自体に悦に入って……

というのすごく分かります。私もよくあります。
微力ながら、スッキリなさったとのこと、よかったです。

あと、私からも一つお礼を…
こちらのレビューのおかげで、自分がカバー下をまだ読んでなかったことに気付きました。
知りたいと思っていたことが描いてありました。わ~い。(サディン推しなのです)
ありがとうございました!

チル76

なゆnayuさま

こんにちは!
先ず、拙いレビューを読んで下さった上に問いかけにお返事を下さりありがとうございます(*˘︶˘*)!!
とっても嬉しいです

そして、本題です
なゆnayuさまの見解に「なるほど…!」と頷きます

私も仰る通り2話の「どうして」は最初、シンに向けて「どうしてココに⁉」「どうしてこんな事をしてしまったのか⁈(=シャン・スーへの入水を咎める)」の「どうして」かと思っていましたが確かにサディンに向けた「どうして」ならば「どうしてシンをココに促すような事をしたのか?」の「どうして」として「どうして?おにいさま…」に繋がる、の方が自然ですよね…確かにーー!とウンウン!と読み返しました

シャン・スーの祟りへの怯えと、なんでそんな事を兄がシンにさせたのか???という戸惑いからラアヤはあんなにガタガタ震えていたって考える方が理に適ってますね!

お恥ずかしながら読後の興奮から「禁忌」という解釈に自分自身が縛られてニッケ先生の意向を素直に受け止められてなく、自身の深読み行為自体に悦に入ってトランスしてたかも知れません (,,•﹏•,,)ハズカシイ

なゆnayuさまのお陰でスッキリしました~
改めて感謝です!

なゆnayu

こんにちは、
>どなたか分かる方教えて欲しい…
とのことでしたので、コメント失礼します。

【以下ネタバレ含みますので、作品未読の方はご注意願います】

3話の「おにいさま…」のコマ、直前の「…どうして」と繋がっております。
こちらは2話の7ページ目(45P)2コマ目の回想です。

私が思ったのは、ここで着目すべきは「どうして」が「何に対して」の問いかけなのかということ。

2話の時点ではラアヤのつぶやいた「どうして」が何に対してのものなのか分からなくなっていて、「シンの行動」に対してのもののように読めるのですが、

3話目では「おにいさま…」(←2話目で濁されていた部分が明示された)と続くので、サディンに向けられた問いだと分かる。
更に言えば、サディンが89P2コマ目の発言を何故したのか…をラアヤが戸惑い訝しんでいる(…で、シン→サディンの疑念に繋がる)

…というのが作者がこのシーンから読み取って欲しい情報かなというのが私の見解です。

(ラアヤとサディンの関係性についての考察、面白いと思います!ただ、「このシーンの」作者の意図とは、少しズレるのかなと思いました)

長文、失礼しました!

間違いなくシリーズ最高傑作

その世のどこかシリーズを追ってきた人にもそうでない人にも絶対必読の一冊です。
シリーズ全てに関わってきたシンが主人公になる今作では、今までどこか飄々と他人事として人々の恋愛を応援していたシンが、本当に必死に自分のために、ある意味自分勝手にリアを取り戻そうと動きます。達観しているイメージのあるシンの新たな一面を見ることができてシリーズファンとしてはたまりません。
そして何より好きと憎しみが混同してわからなくなってしまうほどシンを想っているリアの気持ちが切なくて切なくて…
絵の美しさ、ファンタジーの世界観、ストーリーの完成度、そして萌え、本当に満足度が高すぎる一冊です。ぜひシリーズ通して読んでみてください!!

13

並々ならぬ感情に溺れる

世界観の深さに魅せられる「その世のどこか」シリーズ完結。
「その世のどこか」とすることで、私たちとは違う世界のことだとしつつも、実在しているかのようにも思わせてくれる秀逸なタイトルに魅せられ、シリーズ1冊目を手にしたことが懐かしい。
「地図にない国」「常夜の楽園」「蒼天のゆりかご」と、3冊並べると感慨もひとしお。
シンとリアンドロス、二人の並々ならぬ感情に溺れそうです。「その世のどこか」シリーズの中心にはシンがいるのだと、改めて実感しました。

シリーズ1冊目の「地図にない国」で、主人公でどちらかとカップルになるのだろうと思いながら読んでいたら、まさかの当て馬(?)だったシンに惚れまして。2冊目の「常夜の楽園」でも、どうやらまた当て馬(?)らしい彼の活躍を見守りながら、シンが心から求める相手と幸せになってほしい、と追いかけ続けました。
1冊目で「シンのお相手はリアかな?」と推測できるヒントを与えてもらい、2冊目で「シンのお相手はリアだ! リアであってほしい!」という確信と期待を得ました。
なので、「蒼天のゆりかご」の単話配信が開始されたときには小躍りし、全話追いかけました。

単話配信を追いかけながら、リアの頑なさには随分やきもきさせられました。シンがめげずに、諦めずにいてくれることに何度ほっとしたことか。
失ってから初めてその大切さに気付く、を地で行くシンですが、正直なところ、思いの外必死にリアを追いかけてくれて嬉しかったです。ありがとう!と何故か感謝したくなりました。
やはり、前作までは、自分のために必死になるシンの姿はなかったのだと思います。旅先で出会った相手のために、知識を活かし、知恵を働かせ、力を尽くしてくれていた。当て馬ではなく、キューピッド。そんなシンの姿に惚れたのですが、だからこそ、そんなシンにも彼自身が求める形での幸せを得てほしくてたまらなかったのです。
そして、シンならば、自身の幸せを彼自身の力で引き寄せるだろうと確信していましたが、それを阻む大きな壁が他でもないリアで……。
リアの頑なさの理由もわかるので、とても切なかったです。ですが、自身の身を危険に晒しながらも、リアを諦めないシンが足掻く中で、前作より更に一層自分の立場を自覚し、覚悟を決めるかっこよさにまた惚れました!
リアを手放さないためには、なりふり構わず必死になるシンがめっちゃ好きです!あなたのそういう姿を見たかった!愛おしい!ありがとう!

リアの狂おしい程の激情と、それをも押し隠す精神力の強さや直向きさにも胸を打たれます!
そんな必死に苦しんで駄目になりそうになる前にシンに言っちゃえよぉ~! と思うけど、そうしないからこそ、リアなんですよね。そんなリアが愛おしい……。
シンを犯す夢ではなく、殺めてしまう夢を見る。このことだけでもリアが抱える感情の激しさ、重さが伝わってきます。
どこまで真面目なんだ、職務に忠実なんだ、どれだけの忠義を向けているんだ、主人に恋情や欲情を抱いてしまっても表に出さなければいいだけじゃないか、と思いますが、リアが抱えている感情はそんな単純なものではなく、とても複雑。
シンの他者との濡れ場を護衛しながら、リアの感情や思考がぐるぐる渦巻いて混乱していく様は、読んでいるだけでも苦しかったです。逃げるしかなかったのだな、と納得できました。自分のためにも、シンのためにも。
でもやはり、シンにはリアしかいなくて、リアにはシンしかいなくて。シンの相手がリアで本当によかったです。

描き下ろしが! 最高です! この描き下ろしがあることで完成します!
一つ目のメイド日記は、まじでどきどきしました。あまりの美しさに見惚れ、メイドさんと同じようにどきどきしましたが、まさかの真相(笑) そういう二人も好きです。
そして、二つ目の手紙と報告。特にムスティアとノネへの手紙に書いてあったシンの決意に感動し、泣きそうになりました。シンならきっと、と思えます。
何よりもリアを第一に考えるようになったことも嬉しい! 今まではリアのほうがシンのためを思って行動していることが多かったので、今度はシンがリアのために行動する番。
この先の二人はもちろん、みんなをずっと応援しています!

11

最高の三部作

最新の第3巻の発売を期に、初めてこちら「その世のどこか〜」のシリーズ3冊を通して読みました。

圧巻でした。この第3巻でのストーリーを描くために、この景色を見せるために、前2巻でのシンと我々の旅があったのかもしれない、そう思わされるほどの圧倒的エンディングでした。
1巻ずつの完結したお話としてとても面白いのは勿論のこと。これまで未読だった自分が信じられません。

第1巻で、オライエでの物語を通してシリーズの主人公であるシンの人となりや奔放なさまを見せ、第2巻ではターキアで巻き起こる事件を介して第3巻での軸となる2人の関係性を描き、そして堂々の第3巻でいよいよ(既に我々も良く知っているところの)その主人公シンの物語へと至るわけです。
この為にすべての時間はあったんだ、というそんな気さえします。
普段は飄々として冗談をとばしては辺りを煙に巻く主人公の、感情が決壊するシーンには胸が熱くなりました。カタルシスでした。

未読の方は、ぜひ第1巻『その世のどこか、地図にない国』、第2巻『常夜の楽園』そしてこの第3巻『蒼天のゆりかご』と、通して読んでみていただきたいです。

最高の物語体験が得られること間違いなしです。

11

シリーズで一番のカプ!

「その世のどこか」シリーズ、「地図にない国」「常夜の楽園」そして本作の「蒼天のゆりかご」
同性愛が禁忌になっている国での第三王子シンとその従者リアのお話。もともとこのふたりはなにかあると思っていたので、待ちに待った本作になります。
もう表紙から素敵ですよね。ふたりの関係・愛がとてもよく表現されていると思います。

リアの夢に見るほどの辛い想いと、それを断ち切らなければならない苦しさがとても切なかったです。でも、いつもお調子者のシンが唯一、ずっと離れないと思っていた「帰る場所」であるリアへの想いにやっと気づくには、一時的な別れが必要だったんですね。

ふたりの愛はとてつもなく重くて深いものでした。シリーズの中で一番ハードルの高い恋愛でした。
リアとシンだけでなくサディンも、みんな守らなくてはならないものがあるから、なかなか素直になれないようでした。自分の気持ちだけで周りを巻き込むわけにはいかないという葛藤や障害がありました。

たくさん素敵なシーンやセリフがありました。その中でも特によかったのが3つ。
「お前の子を産んでやれたら…」というシンの言葉は誰もがグッとくるシーンになっています。
「責務」を果たせば「権利」を、シリーズを通してシンの成長にも喜びを感じらました。
「胎の中にいた頃からあなたが私の唯一」という告白は最高の口説き文句でした。
きっとそれぞれのお気に入りのシーンやセリフが見つかると思います。
ホントにニッケ先生の作品は素晴らしい!!
ぜひ、まだこのシリーズを続けてください!


あとひとつ。シンの赤ちゃん、こども時代の姿がとてもかわいいです。赤ちゃんのお尻がめっちゃかわいかったです!

10

主の愛は傲慢で無自覚。でも揺るぎない。

その世のどこかシリーズ三部作にして堂々完結…!

全てに共通する人物が主軸になって動いているので
それぞれメインCPが違いますがセット読み推奨です。

念のため読み順を補足しときます。
 ①地図にない国
 ②常夜の楽園
 ③蒼天のゆりかご
表紙カラーが白→黒→グレーの順です…!
ちなみに1人表紙の全て攻めなのです…!(∩´///`∩)


さてさて。

ようやく本丸の登場ですね。
1作目でリアンドロスの登場にズバンとやられてから
6年越しで待望のカプが拝めました+゚。*(*´∀`*)*。゚+

三部作のシリーズを通して、
主人公はシンだったといっても過言ではないはず。
そのくらいシンの存在感は強烈で人間味がありました。
良いところも、ダメなところも、破天荒なところも…。

まるで糸の切れた凧のように世界を飛び回るシン。
糸を握って帰る場所になっているリアンドロスの存在。

彼等が紡ぐ主従愛がめちゃくちゃよかった…!!
初エッチは切なくてもう涙が止まんなくて…!!
苦しくて、痛くて、重~~い愛情がグッとくる(;///;)

2作目の本編ではすれ違った部分もありました。
『従者心、主知らず』といった感じでね。
リアンドロスがどれだけ心配してもシンは気にしない。
というか、そもそもイチイチ気に掛けることをしない。

何をしてもリアンドロスは離れないし、
何をしてもリアンドロスは許してくれる。
「気に掛けない」ことで甘えていたシン。

しかし今作「蒼天のゆりかご」では
リアンドロスがシンに何も告げぬまま姿を消してーーーと物語が始まります。


(※以下、リアンドロスをリアと略します)

明るくて前向きで何事も楽しみに変えられる、
変えられるだけの恵まれた生まれがあるシン。
しかし本物の愛はというとーーー。

1作目ではムスティア様×ノネの愛し合う姿を見て
シン:「俺もどこかに見つけられるだろうか」
と、何とも言えない表情で見ているんですよね…。

でも1作目の冒頭では
シン:「母国に大切な人を残してきてるからね」
って言ってるのに!そこはイコールじゃないんかい!

灯台下暗しというか、近すぎて見えないというか。
側にいるのが当たり前なので無自覚すぎるんです。
なので今回リアが失踪してパニックになっているシンがすごく可愛かった!!!

(パッと見はそんな動揺してないけれど、)
(少しでも手がかり見つけて探し回る姿よ(;ω;))
(シリアスクラッシャーは変わらないのに切ない…)

というかシンはリアのことが見えてなさすぎる( `д´)
リアが思い悩んでたのも、ゲッソリ体調崩してたのも、
失踪したあとにすべて知るんですからね…。

リアが側にいることは空気と同じくらいだったのかな。
見えないけれど無いと生きていけない当たり前の存在。
見ようとしない傲慢さが少々あるんですよね。

でもそれがシンなりの甘え方だった。
リアに拒否される可能性はゼロミリも考えがなくてね。

なんていうか、、、
それも充分にクソデカ感情の部類じゃないですか!?
無自覚でクソデカ感情を抱えてるの萌えしかない!!
はぁ~~~堪らん~~~~~!!!!!

で。リアもリアですごく拗らせていて。
ものすごく真面目な人だから悩みが歪な形に変わって。
もがき苦しむ姿がとても切なかったです…!(;///;)

ちなみに今回の舞台はガルシェ国内の外れにある地域。
信仰を重んじる排他的な土地ではあるけれど、
リアみたいに苦しみを抱えた人が訪れる場所でもあり。

祈祷師が絡んでくるのですが、
祈祷師はシンに対し厳しい態度を取るんですね。
リアの苦しみをどれだけ理解しているのかーーーと。

シンはリアの幸せを考え始めて、
当たり前は当たり前じゃなかったと痛感します。

もうここからはダパダパ涙が止まらなかったです…!
初めてのエッチ(って字面ほど甘くない行為)が、
切なくてもぅもぅずっと鼻啜りながら読みました…!

萌えポイントは「シンが生まれた時から一緒」
赤ん坊やショタ時代の回想がメチャ可愛くて萌えた////
手を繋いで歩いてるのとかジワ~と泣けてくるんですよ。

あとはリアのムッツリがすごいwww
触れる赦しを得るとアクセル全開で色気を出すけど、
普段は相変わらずストイックな表情をしていてねー。
どこに隠してんのwww(好き!)

あとはシンがプロのお姉ちゃんと致すシーンがあるけど、
リアに抱かれるのとお姉ちゃんとはで全く表情が違う!
もちろんノネの相手してた時とも違う!
リアだけが特別なのが伝わってニヤニヤキュンキュンしました♡♡♡

リアの為に地に根を張って生きると決めたシン。
1作目収録「リアンドロスからの手紙」を踏まえると、
今度こそリアがシンを突き動かした事実に重みが増す!
帰る場所という愛が2人で共有出来てたらいいな…。

シンは本物の愛を見つけられたのか。
彼なりの愛情が最後の最後隅々まで感じられました。

8

寡黙な従者✕自由奔放な王子様

その世のどこかシリーズ三冊目はリアとシンのお話です。
シンが生まれた時からずっと一緒にいたリアがある日突然いなくなってしまったところからお話が始まります。

自分のものにはならないシンを見ていられなくなり宗教に救いを求めたリアとリアの幸せのためにリアを手放さなければならないことに気付いたシンがようやくお互いに愛しく思っていたことに気づきます。
宗教を完全に否定しきれない複雑さまで見事に描かれていて大変読み応えがあり、圧巻としか言いようがありません。

修正は必要ないアングルで描かれています。
セックスよりも治療のためにシンの足を舐めるリアやリアがシンの耳に穴を開けるときのほうがえっちでした。

リアの人事権を自分のものにするために兄から領地を貰うシンの覚悟が格好良かったです。
シンならリアが恋人だと堂々と言える世界にしてしまうんだろうと思える最高の終わり方でした。

6

欲を言えば上下巻で読みたかった…!

待っていましたリア×シンのお話し!
とっても面白かったんですがこれ1巻じゃ足りないよ・・・
このシリーズどうしてもいつも最後駆け足になってしまいますよね。
国に戻ってからトントンというか。
序盤~中盤はすっごく丁寧で好きなのですが上下巻ほしい・・・
また読みたいなぁ。

あのシンが!と嬉しくなってしまうところが多々有り、リアは想像以上に拗らせていたしキャラクターの葛藤が伝わってきて好きでした。
サディンも最初むむむ・・・と思ったのですが、シンと対峙するところは確かにと思う部分もあって。考えさせられました。

まだまだ続きが読みたい作品です!
世界を変える編を待つ。。

6

その世のどこか、シリーズで1番泣いた

鯛野ニッケ先生の待望のその世のどこか、の続編第3弾にして完結、楽しみにしてました。

ガルシェ国第3王子のシンの忠実な従者、リアンドロスが突然姿を消した。リアンドロスを探して辿り着いた場所は、名うての祈祷師が居る辺境の集落地、バラコだった。
個人的、各項目5段階で
涙 4
切なさ 3
血表現 2
エロ 2
な感じだと思います。

その世のどこか、シリーズ第3弾で今作で完結です。今作の蒼天のゆりかごだけでも内容は把握出来ますが、シリーズ第1弾の地図にない国と第2弾の常夜の楽園を読むことで、シリーズを通して描かれていたキャラクターの言葉や行動が相俟って、蒼天のゆりかごでの言動の想いの重みや読者としての受け止め方が違ってくると思うので、出来れば前作2作品を読んでからが個人的にはオススメです。

今作のメインカプは待ちに待った、物凄く待ってたガルシェ国第3王子のシンと従者のリアンドロスです。地図にない国や鯛野先生のツイートで、シンとリアンドロスの話が読みたいとは思っていたので、本当に楽しみにしていました。そしてその期待を裏切らない物語でした。個人的に切なさや心苦しさや感動で何度も泣きました。

まず先に少し用心する描写として、あらすじに書かれてる「あなたを殺す夢を見る」とありますので、少しですが首を絞めたり斬り付けたりする描写があります。他にも脇役キャラのゴートが過去に暴力や酷い罵倒を受けた描写にはやはりいい気分にはなりませんでした。
あとは、シリーズを通して色々と奔放なシンなので、今作ではがっつりではないですが、女性との絡みがあります。触れ合い程度のやつではないのと護衛としてその光景をリアンドロスが見ているという何たる展開。読者によっては苦手な描写かもしれないので用心してください。
因みに私はBL作品に女性キャラの介在があまり好きではないのですがそれよりも、自分はシンに信頼されていると言う想いとそれなのにシンに対して抱いてしまっている想いであんな夢を見てしまう、リアンドロスの心情が切なくて辛くて、それに泣きました。

我ながら沢山泣いたなと思うくらい色々なシーンが切なくて心苦しくて、リアンドロスからシンを殺してしまう夢を見ると告げられた時には、殺したい程憎かったのかとシンが思ってしまったり、リアンドロスがその夢を見始めてどんどん疲弊していく姿やシンが最後のわがままを言い、遂にはあんな顔を晒すなんて思わず、胸がギューッとなりました。
でも辛いシーンだけでなく、夢の真相やお前の一生、俺の一生の件にはめちゃくちゃ感動してキュンとして胸がジーンとして感涙しました。

あと全く別の意味で、初回特典ペーパーの紙とインクの色味の所為で血涙を流しました。漫画に封入されてたペーパーがめちゃくちゃ見え辛かった。漫画の内容ではなく、色味のコントラストが酷いよ。見え辛かったのは私だけかな…。

シンもだが、あのリアンドロスなので、絡みの描写ではどういった流れになるのだろうかと思っていたら、まさか足の湿疹を舐めて治すと言う展開にはそう来たかと驚きました。表紙の足舐めは忠誠の誓いみたいなものかなと思っていたので、行為の意味合いが全く違う足舐めを描かれて脱帽しました。
最後まで身体が繋がる絡みはそれよりも後に描かれますが、最初の足舐めの時にリアンドロスに上を向くなと指示しといて、音でシンが何をしているのか分かってしまうのにはめっちゃドキドキしました。でもリアンドロスは複雑だったろうな。

リアンドロスの心を縛り付けている、国の価値観や思想に考えさせられたり、苦しんで離れて、そんなリアンドロスをシンも手放そうとして、でもやっぱり出来なくて、そんな2人の関係や想いや愛が誰にも否定されない世界になってほしいと願いたくなりました。

辛くて切ないが最後は感動させられる従者と王子の行く末を是非とも読んでほしいです。

6

別次元での世界観に圧倒

是非3冊通して読んで欲しいシリーズ
そして3冊目を読む事で見えて来る世界がありました

シンが見て来た世界は本当に世界のどこかに、それはもしかしたら遠い外国の世界かも知れないし、日本かも知れない、ひょっとしたら隣のお家で起こってる事かもしれない世界……

ファンタジーだけど妙にリアルに感じて来たこの世界観はそんな肌感覚で「知っているかも知れない、想像が可能な世界」のお話しだったからなんだなって、はっとさせられた気分です

今迄はシンが見て来た世界を傍観者で見て来たけど、今回はシンを真正面から見て、そんなシンを通してリアを見る事で人との違いや相手を知る事の難しさを感じます

ずっとずっと一緒に居たし、何もかも知っていると思っていたリア
もはやリアが居る事が日常であったはずなのに、、、その日常が全く予期せぬ形で崩れた日
誰もがリアの真意を理解出来ず「シンに愛想を尽かした」という、さもありなんな解釈でリアとシンが迎えた現実を形容する周囲
シン自身も然り、リアが抱え、去った真意の重さに気付かない
それはリアが望んだ事、分からないように完璧に過ごして来たからこその現実
リアの強靭な精神が故に招いた脆さ、、、
祈祷師の儀式にもシンは声を上げたがリアはとにかく耐えていたのが対照的

奔放で前衛的なシン、忠誠心が高く規律を重んじるリア、そして絶対的な主従関係
何もかもが同じ位置ではない2人
だからこそ凸と凹でワンセットで補い合えるハズなのに
唯一凸と凹では崩れてしまう「恋焦がれ募る劣情」と言う感情
この感情は補い合うのではなく、与え合い2人で育てるもの…
主従という絶対的な関係性では成り立たない、その上自身の国では「異常者」と見做される同性への感情、、、
自らをも厳しく律して来たであろうリアの心の結界が崩壊を迎えた時に彼自身もまた壊れてしまったのかも知れない……切ない。。。

そして彼が行きついた先に救いを求めたものがまた痛々しい、、、
人間の持つ弱さでもありピュアでもある
忠誠心は信仰心と非常に似ているのだろうか
恋ならば盲目で許される事も信仰は、ともすればマインドコントロールにも繋がってしまう
この辺がこの3巻は非常にハラハラして読んでしまい、大分体力の要る話だったと思います

最終的には圧倒的な陽の力を持つシンがリアを引き上げるのですがシンを突き動かしたものこそリアがひた隠しにしながらも献身的に与え続けた信愛だったのです
2人がちゃんとその事に気付く事で補い合う関係から与え合う関係へと進んでいけたのだと思うと、、、
胸が震えて仕方ない・・・

これが巷で言う「クソデカ感情」か( ゚Д゚)!!!???と中盤以降は見悶えながら読み耽ってしまいました

シンの懐と器の大きさに自然と首を垂れるしかないカッコよさ
BLではあるのですがもはや攻め受け概念とかもぉいいかな?って思える位シンがイイ男でした
やる時はやる男の本気はやっぱりカッコイイ!!!

先生の引き出しの多さ、独創性と着眼点にまたもや圧倒され、生み出されたキャラに魅了されたこのシリーズ…神でない評価は考えられない
最後迄完結させて下さってありがとうございました

この3冊を通して世界の広さ以上に人の心の広さや、広げて行ける可能性の大きさを知れた気がします
世界は広いが狭くもある
先ずは「隣人を愛せよ」かな?
と、私なりの先生からのメッセージを受け取りました(*˘︶˘*)

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