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yocoさんの描かれた美麗表紙に釣られてお買い上げ。
手嶋さんの新刊は大国・アス皇国の皇子×薄幸少年。
という、BLでは王道かつ個人的大好物の設定のお話。
うんうんうん、薄幸少年がスパダリに愛され幸せを手に入れる話ね?
そんな風に思いつつ手に取った一冊でしたが。
いや、そうきたかー!という、二転三転するお話でした。ということでレビューを。いつもネタバレ上等でレビューを書きますが、今作品はあまりネタバレしたら面白くないだろうと思うので、なるべくネタバレしないように書こうと思います。
主人公はサスラン。
彼には恋人がいる。皇子のアウスラーフだ。孤児で、人との関係を築くのが苦手なサスランを一途に愛してくれる青年。けれど、皇子×従者という身分差の恋に加え、サスランにはアウスラーフに秘密にしている「こと」があり、いろいろな事情でアウスラーフのもとを去ることを決心する。
が、自分を追ってきたアウスラーフは、こともあろうにサスランをかばう形で命を落とし―?
と、思ったら、
ごめんなさい、壮大なネタバレがありますので、少し下げます。いやな方はここでストップされてください。
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4年前に時が戻っていて―?
というお話。
これ、あらすじにも書いてあるのでここでも書いてしまいますが、サスランには「過去に戻ることができる」能力があるのです。とはいえ、サスランは己の能力について知っていることはほとんどない。
アウスラーフの命を守りたい。
それだけを心に刻み、同じ失敗をしないようにサスランは奮闘するが―。
アウスラーフ×サスランの恋のゆくえを軸に、サスランの能力の謎、彼の過酷な出生の秘密、そしてアウスラーフを守るという、1冊で何度も美味しい展開が盛り込まれたお話でした。
個人的に一番面白いなと思ったのは、アウスラーフとサスランの恋のお話。
とある理由で、サスランは愛というものを知りません。そんなサスランに温かな愛情を見返りを求めずに与えるアウスラーフと、その愛情を一身に受け、人として成長していくサスランの、二人のやり取りがめちゃめちゃツボでした。アウスラーフが亡き者にされないよう奮闘しているのはサスランなのに、実は…、という。アウスラーフの人としての器の大きさカッコよすぎて悶絶しました。
と書きますと、アウスラーフという攻めさんは王道のスパダリ、だと思われるかもしれません。が、アウスラーフはアウスラーフで過酷な過去がある。
サスランにしろアウスラーフにしろ、壮絶な過去があるからこそ、既視感ありありの甘々なストーリーに仕上がっていない。読み進めるごとにそれが少しずつ見えてくる展開なので、読み始めたら最後、読み終えるまで本を手放せませんでした。伏線が上手に回収される流れで、ヤラレタ感に満ち溢れてしまいました。
で、ですよ。
このお話に、yocoさんが色を付けていく。
切なくも優しいストーリーにyocoさんの挿絵がぴったり合っていて、もう切ないやらほっこりするやら。もう一言で言うなら、
最高。
これしかない。
サスランは、その生育環境から愛情を知らず、だからアウスラーフの愛情を受け取れない、と思っていますが、アウスラーフが少しずつ、けれどめいっぱい与えた愛の芽はきちんとサスランの中に根付いている。
沢山のバックボーンがてんこ盛りの一冊なのですが、それがきちんと繋がっていく様には圧倒されました。読み始めたとき、王道のお話かな?と思いましたが、こんな壮大なお話だったとは。
めちゃめちゃ読みごたえのある、そんな1冊でした。
タイトル、イラスト、物語の世界観が究極にマッチした作品でした。
中世〜近世ヨーロッパ時代を想起させる大人のおとぎ話風な物語に、BLが濃厚に絡み合うストーリー展開はシリアスな事件を中心に見どころド満載。
物語の裏に隠された真実が終盤で明らかになったとき、この物語の奥行きや奥深さを実感することになるでしょう。ストーリーの構築や設計の秀逸さを実感した一冊でした。
見えている情報が全てではないことを知り得るのはエンディングを迎える時です。物語の顛末とからくりは大変見ものですよ!
物語の舞台となるのはアス皇国。
性悪皇太后(現皇帝の生母)が権力を握っています。この国の第一皇子には、現皇帝の腹違いの弟・アウスラーフがその座にいて、当然皇太后には邪魔な存在。死んで欲しいとすら思っているので、アウスラーフは皇太后の命で酷い仕打ちを受けています。
そんな中出会った庭師のサスラン。彼は時を戻す力のある一族の血筋で、出自と能力は秘匿案件。
親密な関係にあったアウスラーフとサフランでしたが、アウスラーフは皇太后に命を狙われ命を落とします。その姿を見たサフランは、絶対使わないように母から言われていたタイムリープの能力を使い、2人が出会う前の4年前に時を戻すことになるのです。
物語冒頭からハラハラドキドキの展開。
この物語の行く末が気になって仕方なーい!
時を戻す力のある青年と、皇国の動乱に巻き込まれた皇子とのラブストーリーは、切なく波乱の物語です。
BLの中核となるのが、サスランのアウスラーフに抱く想い。これが全てです。
アウスラーフを愛しているのかいないのか…この一点に注目です。
サスランは何度かアウスラーフのことを、"愛していない"と繰り返し言います。時を戻したサフランは、アウスラーフが再び自分のことを好きにならないように行動していきますが、サスランの望むように行動しないアウスラーフに心を乱されます。
アウスラーフはサスランに対する愛を露わにする一方で、サスランはアウスラーフに冷たく接します。本当にBLが成立していくのか疑問視するレベルで、すごく辛い。
サスランのアウスラーフへの態度が結構しんどくて、読んでいて楽しいものではありません。個人的には「しゅみじゃない」拒否の仕方。
それには理由があるのですが、アウスラーフや読者にとってみれば我慢のシーンです。
しかし、アウスラーフの切れ者たる描写とサスランへの愛を端々に感じる度に、この男はきっと何かやってくれるかも知れない!と期待でいっぱい。
最後の最後で分かることですが、アウスラーフは、マジでただ者ではないです!!(強調)
サスランの時を戻す力も凄いことですが、アウスラーフの知力や政治手腕の方がえげつない能力だと思う。
アウスラーフに対してドライなサスランでしたが、徐々に露呈するアウスラーフへの恋心。時を戻すことによって得られたのは愛する人の尊い命の復活だけでなく、アウスラーフを愛する気持ちの自覚でしたね(*´︶`*)
不安定な政情に巻き込まれながら、2人がお互いの気持ちに向き合い深めていくストーリー展開は実に見応えがありました。
サスランは愛する感情を知らなかったと言うけれど、アウスラーフを助けるために時を戻したその行動こそが"愛している"ことの証明だと思います。
自覚後の素直なサスランが可愛かった(*´꒳`*)
2人が本当の恋人同士になったイチャイチャは最高でした!
Amazonの特典 S Sも甘い2人のエピソードで、更に大満足でした。
手嶋サカリ先生の作品は「蟻の婚礼」しか読んだことが無かったのですが、あちらも凄く面白かった記憶があります。
読みやすい文章に魅力的なキャラ、そして設定を活かした展開が凄く卓越してるんです。上手いとしか言えない作家さまで、もっと人気が出ても良いと思いました。
ネタバレ無しで読んで欲しいので極力内容に触れないように感想を書きたいと思います。
アウスラーフを思うサスランがとても健気で、彼を死なすまいと行動するのですが、全てが裏目に出て絶望感を募らせて行く様子がとても切なかったです。
そして、サスランが陰から手助けした影響なのか、前回とは微妙に性格が違って来ているアウスラーフにドキドキして期待してしまいました。
アウスラーフを生かすために彼と恋人になってはいけないと、他の令嬢との婚約を勧めていざ婚約が決まると無情感に襲われるサスランに凄く萌えるんです。
元の結末にならない様に必死に足掻くサスランが健気で、それでもアウスラーフに忍び寄る魔の手が恐ろしいと感じました。
このお話が秀逸だった点はサスランが自分の力について全く知らないところでした。彼の母親がサスランを守る為に何も教えておらず、人と接触しないで極力目立たないようにとしか言い残してないのです。
お話の結末に感動して、yoco先生の挿絵が世界観に合っていて凄く好きな作品になりました。
多くの方にこの作品を読んで欲しいです。
女王のように君臨する皇太后に蛇蝎の如く嫌われて虐待されてきた第一王子・サウスラーフ(攻め)と隠されて育てられた庭師・サスラン(受け)。
2人が出会い恋に落ち、でも第一王子という立場から権力闘争に巻き込まれ悲劇を迎え、そこからの時戻り、サウスラーフを二度と悲劇的な最期を迎えないように巻き戻る前の知識を使って頑張るサスラン(裏でサウスラーフも)の話。
これはネタバレなしで読んだ方が絶対面白いので、感想だけ。
第一王子というのはこの話の中ではイコール皇太子という立場のことのようで、立場的には皇弟です。初めはちょっと混乱しました。
自分の息子が皇帝になる時、自分の夫である先帝と他国の女性との間の息子を第一王子としたことに怒り狂う女王然とした皇太后の行動には嫌悪感しかありません。
そして彼女の魔の手からなんとか逃がそうとするサスランの必死の行動は健気すぎて辛いくらいです。
本当にこの2人はハッピーエンドを迎えることができるのだろうかと何度もハラハラしました。
お互いへの愛情は疑うべくもないのですが、状況がずっと逼迫し続けているので、お話の中に甘さはほとんどありません。
甘い話が好きな私には結構辛かったですが、ずっとハラハラしっぱなしで心臓に悪い、けれどすごく良い話でした。
了、という文字を見てホッとするなんて経験したことのない読了感でした。
そして、最後の方で明かされる事実に驚き、もう一度読み返してみるとまた違う楽しみが味わえますので、ぜひネタバレなしで読んでください。
挿絵効果は絶大
内容のイメージとピッタリ
元庭師のサスランには、秘密の能力が眠っている。
恋人である第一皇子が、自分を庇って皇太后が送った刺客に殺害される。
そのとき、サスランの「時戻しの力」が発現。
4年前にタイムスリップして、愛する皇子を守る為にサスランは智慧を巡らせる。
挿絵買い。
タイトルからして、とても自分の好きな感じなんだろうなぁって思っていました。
一気にお話に惹きこまれて最後まで読んだのですが、
思ってもみなかったところにとてもびっくりしました。
まさかの!?って声に出して言いたくなりました。
色々と感想を書こうと思ってたのですが、
このお話はなるべくネタバレがない方がいいな…と思いました。
なので、なるべくネタバレなしの感想をと思うのでひとつだけ…。
サスランのアウスラーフへの気持ちは、明らかに愛なのに
愛を知らないサスランは、自分の気持ちがわからないんです。
好きなはずなのにアウスラーフを突き放すシーンはとても切なかったです。
ハラハラ展開もありましたが、無事最後まで二人の物語を見届けることが出来てよかったです。
手嶋先生だ!とウキウキ購入。先が気になってどんどん読んでしまうお話でしたが、超刺さるものは無かったので萌にしました。しかし麗しい表紙だ。yoco先生の色使い、ほんとに好きだ。本編250P弱+あとがき。表紙のイメージ通りのお話です!
共に生きようと第一皇子に告げられた翌朝。従者を解任すると言われ皇宮を出されたものの、その日軍隊と共に旅立ったはずの第一皇子がサスランの前に現れ「戻るんだ」と問答になります、そこを襲われ皇子は絶命、あまりの絶望に一粒涙をこぼしたところ、なぜか体は一回り小さくなっていて、目覚めた部屋は従者になる前に使っていた部屋で・・・と続きます。
攻め受け以外は
皇太后(攻めを嫌う)、皇帝(攻め兄)、ハズル(攻め従者)、シャイマ(預言者)、アディラ(公爵令嬢)等等。サブキャラで♡って思った人はいなかったです。どの方もちょびっとだけ足りなかった。
++良かったところ
受けが健気なところですね。涙を流すんですけど、人様に憐れんでもらいたいって感じは一切なく、ただただ悲しんで涙を流す。でも次の瞬間に、どうしたら防げるか?どうしたら変われるか?を考え、地道に行動を起こすんです。そこが良かったなあ。泣いて助けてもらえるのを待っているだけじゃないって感じられたので、良かった。虐げられている第一皇子を救うべく、まず最初に起こした行動が、綺麗な水を差し入れする ってところ。そこに端的に表れている気がします。特別な力がある訳ではないけど、自分にできること、ささやかなことかもしれないけど、やり遂げる。良い。
攻めはただただ受けに惹かれ受けを愛するようになる、虐げられている皇子。あまりな状況に自分がいるだけで国が乱れる→毒殺かもーん って思考をしていた方。そこが受けの想い、兄(皇帝)の想いを受け、国を支えるって方向に変わるところも良かったです。がんばれよ!って応援したくなる。時間戻ってからは、押しが強くなったところも良き。
攻め受けとも好きだったんですけど、あと一押し、爆発的な何かがあれば嬉しかったなあと思った一冊でした。兄皇帝、キレものだったみたいだし、皇太后より、兄皇帝がもう少し出番多いと嬉しかったかも?