これは、ハッピーエンドを諦めなかった人魚姫(ある男)の物語。

夜明けのリトルマーメイド

yoake no little mermaid

夜明けのリトルマーメイド
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神30
  • 萌×219
  • 萌6
  • 中立3
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
15
得点
247
評価数
59
平均
4.3 / 5
神率
50.8%
著者
上野ポテト 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
ホーム社
レーベル
アイズコミックス.Bloom
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784834265217

あらすじ

これは、ハッピーエンドを諦めなかった人魚姫(ある男)の物語。
歌うことが好きな少年・マコトは人前で歌うのが苦手だった。ある夜、海に向かってひとりで歌っているとノブアキという少年に出会う。黙ってマコトの歌を聞いてくれたノブアキに居心地の良さを感じたが、気づけば彼はいなくなっていた。もう二度と会えないと思っていたノブアキと高校で再会したマコトは、彼に恋していることに気が付く。しかし思いを告げられないまま卒業を迎えた。そして再び、大学生になった二人は巡り合い──…。ドライなイケメン男子×健気な一途男子が織りなす、長い長い片想いラブストーリー。


歌うことが好きな少年・マコトは人前で歌うのが苦手だった。

ある夜、海に向かってひとりで歌っているとノブアキという少年に出会う。

黙ってマコトの歌を聞いてくれたノブアキに居心地の良さを感じたが、気づけば彼はいなくなっていた。

もう二度と会えないと思っていたノブアキと高校で再会したマコトは、彼に恋していることに気が付く。

しかし思いを告げられないまま卒業を迎えた。

そして再び、大学生になった二人は巡り合い──…。



ドライなイケメン男子×健気な一途男子が織りなす、長い長い片想いラブストーリー。

表題作夜明けのリトルマーメイド

中学1年生→高校3年生→リーマン
中学1年生→高校3年生→映画館勤務

その他の収録作品

  • 途中の日のお話

レビュー投稿数15

絶妙な人物描写が好きすぎる

上野先生作品…かつとし、向こうの人、ノイドの順で読んできました。
本作で改めて人物描写がめっちゃいい!と唸りました。本作がいちばん好きです(この後新作も読みますが)
直接的な説明ではなく、その人物の一面を少しずつ表現してだんだんどういう人か浮き彫りになってくるドキドキ感。
そこに信章の不気味さが含まれるのもおもしろい(個人的にはかつとしが不気味度がいちばん高く、その後の作品は徐々に薄まりつつもなくなることはない印象)

心と信章は対照的なキャラで。
心は両親が仲良く愛されて育ち名前のごとく情緒豊かな人。
かたや信章は両親が不仲で子どもの頃に病み情緒が少し欠けている。でも心がないわけではない。
そんな信章の無関心な感じが心には心地いい(関心を持たれると傷つくことが多かったため)というのが興味深い

信章は感情がわからないので知りたくて、映画を観て心が泣いた理由を知りたいと言う。
心が泣いた理由が後に映画の中の人物が愛し合っていて嬉しかったからだとわかる。
信章は感情や愛することがピンとこないので客観的な事実のように心の動きを説明するのがおもしろい。自分のことや心のこと妻のことなど。
心が信章を好きという気持ちは伝わっていたし、頭で考えてした行動(キスや心が喜びそうだからしたこと)は信章の感情が伴っていたからだとなんとなく伝わるのがすごくいい。
信章は心と接するうちに嬉しいとか好きなど感情がわかるようになってくる。黒目に光が宿ってくる。その一連の流れが淡々とした描写ながら静かな熱を感じられて感動しました。

後日談では、心の父に早く会えば「心が悩む時間が減るだろ」と着々と信章の情緒が育ちやさしくなっていてほっこりしました。

信章は大学時代、人が寄り付かないようにと変な友人と付き合うも、自分の部屋で友人たちがセックスすることは非常識で付き合いをやめると言う普通さも持ち合わせている。ただの変な人ではないことを示すエピソードも好き。

ナレーションが誰視点?とずっと思っていたんですが、童話っぽさの演出ですかね。そこもおもしろかったです。

3

こんなに長い期間の恋愛物語を読んだことないかもしれない。

紙のコミック本を読みましたが、キスやハグ以上の深い触れ合いはなかったです。そういうのがなくても心の人生を覗いているようで大変興味深く読めました。ストーリーの流れやナレーションの量やタイミングもスムーズでした。

信章は態度やセリフから相手の立場にたって考えて行動するのが苦手で、何かかが欠けているような性格に思えます。人を愛するということを心から教わり少しずつ自分の気持ちを表現することにも慣れていく様子に読んでいてやっとかぁ、と安心しました。
この後ネタバレ書いてます。






中1の夏の夜、海辺で出会い。
同じ高校に入学したと知りますが遠くから眺めているだけ。高3の秋にみんなと映画に行き初めて少し会話をします。
次に再会するのは大学3年春、心のバイト先の居酒屋にお客さんとして来店。バイト後信章の家で友人達と4人で飲み会をするけれど、またその夜だけですれ違います。
25歳冬、街で偶然再会します。食事に行ったところで信章から結婚するとの報告。
32歳、心の職場である映画館に映画を観に来たり、時々食事に行く友人です。今度は離婚したとの報告。

この結婚話と信章のキャラクターに今ひとつはまれず。
でも、心は信章をずっと好きなのは一途で可愛らしかったです。

0

一貫した心視点の現代版童話オマージュ

描写はキス止まりで、エロはなし。
特に本作においては、個人的には攻受は問わなくてもいいと思えました。

童話のオマージュ設定と、攻めの信章の淡々として感情が読めない点を不快に思わななければ、受けの心の健気な片思いの成就の過程が現代的な童話仕立てな作品でオススメです。

心は歌唱が好きでしたが変声期で声を周囲に指摘され、人前では歌わなくなります。これが、所謂声が出せなくなった人魚。
信章は心(人魚)の歌声に誘われて2人は出会いますが、途中寝てしまい、起きたら心は居なく自分1人に。見た目も相成り、これが、所謂王子。
作品では幼少期〜社会人まで、一貫して心視点で描かれています。
彼の感情は、涙や火照る顔など、分かりやすい一喜一憂で垣間見れます。
反して信章は、出会いのシーンは良かったものの、以降は感情がない取り繕った笑顔と人間関係にドライな一面が多く見られ、一体、心は彼の何処が良かったのかと個人的には疑問がありました。
逆に信章も、出会いのことはうる覚えなのに、映画を一緒に観た時の心の様子は頭から離れず、各ターニングポイントで別れても、就職後の再会では足繁く心の勤務先に伺う風になったのが、もっとそうなったきっかけがより知りたかったなと感じ、個人的に各々が想い合う情景をもう少し掘り下げて頂きたかったなと思いました。
心に重きを置いてといたこともあり、構成の展開的に難しかったのかと思いましたが、両思い後に、今後の展開を信章が心に委ねているのは正直信章に頑張って欲しかったなとも思いました。
ただ、最終話後のお話で、2人の愛の巣(同棲先)での会話で、心の親御さんに早く会いたい理由が、早く会えば心の悩みが減るという信章のスパダリ発言には人間的な成長性を感じて良かったなと思いました。

1

リアルなサイコ

上野ポテト先生の作品は登場人物がとくかく現実的。それなのにほかのどの作品にもキャラクターがかぶってない。今回は童話のような語りで雰囲気がぴったり。

受が攻めより背が高いのが良い。攻が暴力的ではないサイコ味があって最後まで何を考えているのは、本当はこうだったとか詳しくは描かれていないけど物足りない感じはまったくない。読者は登場人物の「本当の気持ち」をしっていてヤキモキするのが楽しいところはあるけど、現実はそうではなくそれが漫画で味わえるのが楽しかった。

1

半滴

『向こうの人』『ノイド』を読んでそこまで相性の良さは感じなかった上野ポテト先生。どちらかといえば好きな雰囲気の作風のはずが、そこに一滴苦手ポイントが垂らされているという印象。今回は半滴ぐらいだったのでうまいこと消化できたかな。
半滴は潮くん…すみません。性格とビジュアルの抽象的すぎることは承知の上でややぬるっとした感じが苦手だったり。主役にはあまりいない顔立ちな気が。そうだ、レビュー冒頭に出した2冊も、作品の演出や構成は好みなんだけど、登場人物に今一歩心惹かれなかったんだよなってことを思い出した。「居そう」な感じが強すぎるのかも。良さでもある。
裏表紙で信章を「ドライなイケメン男子」としているところ、違わないか?と思ったり。どうも軽い印象ではないか?そういう類の男だっけ信章は。
信章が、心の悩んでいる時間が減ることを是としているというのが、なんともツボな描き下ろしだった。

0

再会しては去ってを繰り返す展開が面白かった。

とても面白かった。
家族に愛されて優しい男の子に育った心くんが長い初恋に粘り勝ちする話。
プロローグ的な語りの部分が優しくて可愛らしくて好きだった。
中学一年生の時に出会って高校で再会して、でも仲良くなるわけでもなく。その後大学生になってバッタリ出くわして流石に運命だし頑張るしかないって頑張るけどそう上手くはいかなくて。数年毎に信章と再会しては去っていく展開が斬新で面白かった。

高校時代、信章を見かけただけでヤッターっと満足しちゃってる心が可愛かった。

信章は他人の気持ちを察したり言葉にされない感情を読み取るのが苦手なタイプ。あと多分曖昧な表現とかも嫌いそう。だから心の反応や返事に対して結論や理由を追求してくるんだけど、本当にわかんないから聞いてくるだけで別に他人に関心がある訳でもない。でもそのフラットさが繊細で内気な心にはちょうど良くて。心の気持ちを説明している時の心の「感情の話を感情抜きで話したの初めて…」とういセリフが印象的だった。それにしても宇宙人すぎる信章の思考回路に何故??と心と一緒にビビっちゃう。「笑っている方がいいんだろ」とか「優しくないより優しい方がいいんだろ」とか人間社会を学習した宇宙人のような物言いをするのも印象的だった。信章がたまにゾッとするような未知の存在として描写されているのも面白かった。

最後、心は俺とどうなりたいのかと聞かれた時の返事がとして好きだった。
その後も信章なりに心を愛しているようで、なんだかんだラブラブ同棲生活をしていて良かった。

0

大人のメルヘン

素晴らしい構成力です。
絵本感覚で読むBLですので、満足度に個人差が凄く出て当たり前なんですが、この唯一無二な作品は私に突き刺さりました。やられた!と思った作家さんも結構いらっしゃるかもしれません。もう同じ作風の作品は発表し辛いですから。

0

恐怖を感じた

物語を読むと少しだけ、恐怖を感じてしまいました。
自分の中では理解できない感覚に触れたときに感じる恐怖です。

受けの年季が入った片想いは、その想いの強さに感心するとともに、再会するたびに新鮮な恋心を抱くところが少し怖い。
想いの強さは彼にしかわからないところですが...諦められないほどの強い想いが怖かったです。

攻めが行っている、相手の感情を理解するのではなく頭で推理していく行動。そういうところは恐怖を感じました。
そして目に光がないところも怖い。

攻め受けの両方に怖さを感じたところはあります。
けれど、受けは自身の気持ちに”諦め”をつけることにより一歩前進。
攻めは受けと接するうちに、情緒の成長を見せていきます。

2人の関係としてはまだ途中。
でもあまりに綺麗に終わっていて、とても満足感の高い物語でした。

0

理解できない男

何とも感情を説明しにくい読後感。

萌えとか感動というのとも違うけれど、
心にはめちゃくちゃ突き刺さり、その後しばらく残る。
そして、残った上に色々と考えさせられてしまうのだ。

ハッピーエンド、なのだとは思う。
少なくとも心にとっては。
中学生から30代まで募らせていた長い長い片想いが
叶ったのだから、幸せ以外のなにものでもない、とは思う。

だけど、手放しで良かったね~!と思えないのは相手が信章だから。
信章が相手で心は本当に末永く幸せになれるの?
心ばかりが振り回されてしまうことにはならない?
またいつか「もういいかな」と捨てられて心が傷つかないだろうか?

そんな親戚のおばちゃんのような過保護な目線で
二人の結末を見届けてしまいました。


このお話は作中のナレーションの言葉を借りるなら、
“ハッピーエンドを諦めなかった人魚姫(ある男)の物語”

中学生の夏休みに海辺で出会った心と信章。
以来、数年に一度の間隔で運命的な再会を果たす二人。
そして、そのうち心は信章に恋している自分に気が付き…。

大学生のときに再会した心は信章に告白するけれど、
はっきりと返事をされるでもなくそのまま別れてしまう。

この時点で信章は心が自分に好意を持っていることを知ったはず。
けれど、再会すればご飯やら映画に誘いはしてくるものの、
好意を伝えてくるでもなく、何を考えているかわからない信章。

けれど、さすがに結婚報告をしてきたときにはその印象は
“わからない”を超えて、“得体の知れなさ”に変わりました。
心の気持ちが変わらず自分に向いていることを知っていながら、
結婚報告をしてくるのはあまりに残酷すぎないだろうか?
あらすじでは“ドライイケメン”とあるけれど、これってドライなの?
一般的には無神経とかクズとか言われそうだけれど、信章のそれは悪意すらない。
それ以前に人を傷つけるとか、傷つけたことに痛みや罪悪感を感じるだとか、
信章には人としてあるべき何かが欠けているように感じました。

友人や会社の上司、人の中に混ざっていると一見“普通”なのだけれど、
1対1になるとその違和感が顕著になります。
まず、じっと見つめてくる目が怖い。
そこに感情が宿っているように見えないのだ。
信章自身、感情がわからないと言う。
だから、信章と対話するときには心は自分の感情について、
自分の言動について赤裸々に説明してやるのだけれど…

こんな信章のどこが心をそこまで惹きつけるのだろう。
心もまたどこか浮世離れした雰囲気で集団の中で
生きづらさを感じているような描写はあった。
だからこそ、同じように独特な雰囲気をもつ信章に
居心地の良さを感じてしまうのだろうか。

何度再会して別れても、決して諦めず、新しい恋を求めることもなく、
初恋を引きずり続けてきた心が健気すぎてなんだか無性に泣きたくなった。

最後は心の粘り勝ちでした。
これまでずっと飲み込んできた言葉をやっとの思いで
伝えることができ、念願のハッピーエンドを手にした心。
めでたし、めでたし。

なのだが、やっぱりここでも気になってしまう。
信章の「オレはマコトが好きだ」って恋愛なんだろうか。
心への好奇心や好意はなんとなく伝わってきたけれど…
そういうものも全て超越した人間としてってやつ?
信章こそわかりづらすぎるので全部説明がほしいわ!

描き下ろしではその後の二人の同棲生活のワンシーンが
描かれていましたが、思いの外恋人っぽく幸せそうでほっとしました。
いつもは無表情な信章も心との生活に満たされているように見えて、
二人の末永い未来が垣間見えた気がしました。

1

じんとくる...

心にじんとくる物語りです
2人は初めから特別な存在だったんだなぁ
長い時間がかかったけど、マコトの片想いが叶って良かった
ノブアキも人の心を理解するのに時間がかかるノブアキ自身を好きになってくれたマコトと出逢えて良かった
何度も読み返してます
素敵な物語りです

基本電子書籍なんですけど好きすぎると紙本も欲しくなるのでこちらも買ってしまいました
電子限定描き下ろしが最高に好きで紙本には載ってないのが残念なんですが、なんと!紙本には表紙裏にマンガが!!
こちらもまた可愛いくてとても良いです!
読めば読むほどめでたしめでたしのその先のお話しが読みたいなぁと思ってしまいます

2

この作品が収納されている本棚

レビューランキング

漫画(コミック)

人気シリーズ

  • 買う