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inu hodo suteki na shoubai ha nai
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
大好きな作品。
誰よりも深い愛を持っている。でもそれは凶器にもなり得る。だから誰も愛さない。
誰にも愛された事がない。愛を知らない、幸せを知らない。だから誰も愛せない。
そんな轡田と倖生が見せる愛は、一見いびつなんだけど、痛いほど真っ直ぐで、何度でも私の胸を打つ。
たまに読み返すので加筆修正には必ず気付く、なんて思っていたのに、全然気付かないし、
たぶんここの文章違うわなんて1人で格好付けて、後から旧版と見比べたら、その文章はそのままあったりして。
なんか勝手に無駄な恥をかいたと赤面しながらも、新旧の違いを楽しんだ。
ストーリーの骨子はそのままなので、大きな違いがある訳ではない。その中でどこが一番旧版と違うかと言われれば、個人的には、
元から読みやすい先生の文章が、さらに、読みやすくなってることだと思う。読みやすく…うーん、より洗練された、と言うのかな。
明文化し難いのだけれど、なめらなかに進むというのか、違いの分からない私でも読んでいる途中で、
どこが変わったかは分からないけど、えらく読みやすいというのだけは、分かった。
あとは、表現。
例えば、旧版で言うところの書き下ろしになるのかな?後日談的なストーリーの中で轡田が、
「とろけそうな眼差しを倖生にくれる」のですが、
それが文庫版では、
「倖生にだけわかる程度に微笑む」に変わっていたりする。
とろけそうな眼差しも、それはそれで、あの轡田が…!とテンション上がるのですが、
倖生にだけわかる程度に微笑む方が、実に轡田らしく思う。
これから読まれる方へのおすすめは、私は、文庫版。
作者のファンなので(っていうか、このジャンルに引き戻され、浴びる様に読む癖がついちゃったきっかけは榎田さんだと思う)大洋図書版は既読です。当時読んだ時も面白いと思ったのですけれど、今回再読して吃驚したのはお話としての手際の良さなんです。
清巳の変さっていうのは当時読んだ時と変わらないイメージでしたが、倖夫の背景についての描写が目が覚めるくらい鮮やかなんですよね。
どんなタイプのロクデナシなのか、どれだけ荒んでいるのかが、短い描写で解る。
だからこそ、倖夫が清巳から与えられるものに中毒を起こす理由も納得できるし、2人の関係がそれだけじゃダメで、もう一皮むける必要があるのも一瞬で理解できるんです。
文章に無駄がない。
とてもスリム。
何度も申し訳ないんですが、前からこんなでしたっけ?
大洋図書版を探して読み比べないとあかんな。
全然古さを感じない。面白かった。
表紙の青年は、主人公の三浦倖生。ロシア系混血の美青年。
美しい外観だけが取り柄で、人の気持ちを汲み取れない会話下手。
何をやっても長続きしない。 愛された経験がないから、愛し方も知らない。
表紙の手は、人間ペットをレンタルした客、轡田清巳。
轡田は、倖生を「ユキ」という名の「ボルゾイ」に見立てて愛玩する。
条件は、コマンドの絶対服従。喋らない。四つん這い。
ある日、契約ルールを破った倖生は、轡田に専属契約を解除される。
縛られる生活から解放されて気付いた、自分の中の空虚。
轡田の昔の恋人に嫉妬したり、離れると寂しくなったり、・・それは「恋」だとナナに言われて気づく。
事件が起きて、仮初の関係を越える。
家族を失い、恋人に裏切られた轡田の強すぎる独占欲は、他人には苦痛な束縛でも、
愛で埋めたい空虚を抱える倖生にとっては、苦痛ではなく安心。
加筆修正された部分は、倖生の「母親との幸せな記憶」。
旧版は、挿絵あり。耽美風結末。
文庫版の新刊は、挿絵無し。加筆により幸福度上昇。。
本作は、以前SHYノベルズから出ていた作品を改稿して、このほど一般の角川文庫で新たに発行されたものです。
改稿については、残念ながら元の本と比べられないのですが、没入感はそのままで、とても読みやすく感じました。
読書中、本当に楽しくて、はやく続きが知りたくてわくわくしていました。
終始、倖生視点で展開していくので、感情を追いやすく、彼の気持ちの変化が自然に入って来ます。
倖生の普段の生活や生い立ちがしっかり描かれているため、このお仕事を続けて行くうちに犬らしくなっていく理由にも説得力が感じられます。
個人的な話ですが、読みながら脳内のビジュアルでうっかり犬を思い浮かべてしまい、何度か四つん這いになっている人間にシフトチェンジしたりしました。それほど轡田のもとで犬として振る舞う倖生が自然であり、幸せな光景でした。
二人だけの世界が主ではあるのですが、ときどき第三者が介入しての客観的な視点、Pet Loversのお仕事ではないときの場面、そういった別の観点が差し挟まれることがスパイスの役割を果たし、改めて世界観を整理することができて、ちょうどよいバランスを保っていると思いました。
倖生視点で綴られていることから、終盤に二人が両思いになるまでは轡田の過去や現在がブラックボックスで、説明がほぼないのですが、轡田が倖生にはまっているだろうことや、好意や執着が手に取るように分かるのもよかったです。
両思いになってからの轡田の溺愛ぶりがすごくて、これほどの思いを抑え込んでいたのかと思うと脳がとろけそうになりました。
冒頭の一文、「さみしくてさみしくて気が狂いそうだったので、犬を飼うことにした。」にやられた時からもう、私はこのお話の虜だったのかも知れないです。
既刊作品の文庫版です。
書き下ろし、あとがき、イラストなし。
加筆修正あり。
表現やセリフ、モノローグが所々かわっています。
文章の流れがより自然なものになっているので、旧版より読みやすい。
文章だけでいえば文庫版の方が断然いいです。
ただ、志水ゆき さんの素敵なイラストが見られないのは残念…。
すでに既読の方におかれましては、買い直す価値があるかどうかは微妙です。
交渉人シリーズが大変面白かったので、評価の高いこちらの作品を読んでみました。旧版は未読です。
ほとんど前知識なしに読みましたが、大変面白くて一気に読了しました!これから読む方にも、ぜひあまりネタバレは無しで読まれるのをおすすめしたいです。
以下少々ネタバレあります。
始まりからしばらくは色っぽさ皆無で、空虚さを抱える受けの倖生と、何を考えてるのかわからないドライな攻めの轡田が、これからどう展開していくのかとワクワクしました。
荒んだ雰囲気だった倖生が、轡田にペットのように溺愛(性的な意味でなく)されて、従順な犬となっていく様子には大変萌えました。
一方孤独を抱えていた轡田も倖生に溺れていくようで、二人の倒錯した共依存的関係にちょっとゾクゾクしました。
最後は孤独な二つの魂が、ぴったり一つにはまった感じがして、救われた気持ちになりました。
ラストの後日談は、榎田先生らしいちょっとクスリとする内容で、明るい未来も予感されて、幸せを感じました。
内容的に少し気になる箇所はあったのですが、それでも素晴らしく面白い神作だと思いました!
他の方のレビューを読むと、文庫版の加筆修正は評判がいいのですが、こちらはイラスト無しなので、旧版の志水ゆき先生のイラストも見てみたいと思いました。
顧客の犬になる…と聞いて拒否反応発動で、SMも好きじゃないし自分の好き属性には当てはまらんだろうとスルーしてました。
榎田先生の作品は少しずつ読ませてもらっていて、高評価もあり気にはなっていた作品でしたが、もう少しBL小説の経験値を上げてからと購入はステイ。ついに読む決心がつき、恐々としながら読み始めましたが……これは完全に参った。
こんなに色んな感情にもみくちゃにされた作品は初めてかも知れません。そしてエンディングの多幸感たるや。避けていた自分の判断力のなさに喝を入れたいです!
それでもやっぱり最初は、ストーリーの始まりに薄気味悪さを覚えました。"飼い主"である轡田の要求は異質で、倖生を完璧な犬化させることへの何の意味があるのか分からないし、金持ちの道楽にしては訳ありな徹底ぶり。
ストーリーが進むにつれ、轡田へ抱く疑念より倖生の従僕ぶり…犬になりきり轡田の側にいることの喜びが増していく変化に驚きました。
こうなってくるとこのストーリーの底知れぬ怖さに目が離せなくなりました。
依存や洗脳…そんな言葉が頭をよぎり、サスペンスかダークホラーかといった今後のストーリー展開も想像しながら読み進めますが、倖生の愛に飢えた生い立ちとの絡みもあって何故だか目に涙が滲みました。
この作品に対する怖さが完全に消失した瞬間です。これは救済の物語なんだろうかと、それくらい2人は確実に異質な関係性で繋がっているのに、絶妙な絆で結ばれていることにホッとした思いを感じずにいられませんでした。
途中、倖生と距離をあける轡田に怒りを覚えながらも(私が)、その目に分かる状況が真実ではないことへの期待を抱き読み進められたのは、彼らの関係が普通のスタートラインじゃなかったからです。だって彼らは異質な絆で繋がる関係ですから、普通の"すれ違い"が当てはまるわけないよなと(笑)
飼い主と犬の関係が崩落し、待ち構えているその先は2人にとっての幸か不幸か…これがこの作品の大きな注目点かと思います。
犬でいることの喜びを知った倖生ですが、反面犬でいることのもどかしさや悲しさも同時に知ることになる、この複雑な心理変化の描きがすごいのひと言。依存や洗脳とは違う、確実に存在している剥き出しの愛情に胸が苦しくなりました。
轡田にも倖生にも、それまで生きてきた背景があって、そのことが少なからず"犬と飼い主"の関係をもたらしたことに間違いありませんが、心の中では"轡田と倖生"という2人の人間の感情が存在していたこともまた間違いありません。その感情が勝ってしまったから、当初の関係は崩壊してしまったわけですが、その関係が無くならない限りは2人の関係は前に進むことはないんですよね。
さて、この奇妙なスタートがどんな着地点を迎えるのか気になるところですが、最初に言及したように多幸感満載です。このストーリーの落とし方はここまでとは想像してなかったので、めちゃくちゃ最高でした。
結果論ですが、もっと早くに読んでいたらと悔しい思いです。
今日はとてもいい日になりました♪
人間を犬として扱う。
そう聞けば大抵は残酷なり性的なイメージを連想したのですが、全然そんなことありませんでした。
厳しく躾け、よくやったならば褒め、可愛がる。それはもう、本当の犬と同じような接し方で。最初は抵抗感がありながらもユキと名前をつけてもらい、しばらく過ごしているうちに見守られているという安心感を得ていく様が可愛らしかった。
そして二人のその主従関係はなんとも甘美で、二人の自分でも気づかなかった感情を呼び起こしていくさまがエロティックでした。
どうしても深く愛しすぎてしまう人と、愛された経験がなく、愛を知らない人の出逢いは運命だと思うのです。
大洋図書版は既読です。何年振りの再読でしょうか。
角川版が出ていると知り久しぶりに読みましたが、微妙に表現やセリフが変更されている部分もありつつ、ストーリーそのものは相変わらず心奪われるものでした。
発売からしばらく経つけれど、今でも記憶に残る大好きなシリーズです。
榎田先生は昔から文章がとても上手い…というか、どんな設定でもスッと物語の世界に自然と入り込める、流れるような文章が非常に魅力的な作家さんだなと思います。
旧版は旧版で当時の良さがあり、新版となる今作は今の榎田先生と過去の榎田先生の良いとこ取りのような、非常になめらかな読み口になっているかなと。
旧版の志水ゆき先生の挿画も素晴らしかったのですが、新版の丹地陽子先生による鮮やかなピンク色のカバーイラストもすごく素敵。丹地先生版の倖生は、人から愛される甘やかな喜びを知る途中の倖生のようにも見えますね。
客の犬になる。
犬耳と尻尾をつけてかわいらしく甘えてみせる…なんて半端なものではなく、人の言葉を話さず、常に四つ脚で歩き、水も皿から飲む。まさに文字通り犬になるのです。
一見倒錯的な設定にも思えますが、読み進める内にこの犬設定がとても心地良いものになっていくのだから本当に不思議。
愛を知らずに育ち、人を上手く愛することも出来ず、がらんとした空虚な人生を送っていた倖生。
轡田の犬・ユキとなることで、次第に自分の中にある何かわからない部分が少しずつ満たされていく。
心理描写が巧みなので、倖生の初めて知る感情の動きが見えると思わずわくわくしてしまうんです。
犬として暮らす日々の中で無条件に与えられる惜しみない愛情と、褒められる喜びや嬉しさがパッと広がって、なんだかとても尊くて幸せな愛おしい日々になっていくのが分かるんですよね。
倖生が犬らしくなればなるほど幸福度が増すマジックにかかってしまいます。こんなBL、なかなかないですよ。
そしてこの犬設定が、物語に深みを出す味付けとしてしっかり効いてくるのだから上手いです。
2人だけの小さな世界は共依存的でもあり、外側から見ればおかしな関係かもしれませんが、私にとっては非常に魅力的で多幸感に満ち溢れたものでした。
続きが読みたくなる面白さと、萌えと多幸感に包まれて読み終えられる作品なんて最高じゃないですか?
久しぶりに轡田と倖生に会いましたが、すっかり彼らの虜です。シリーズ他作品も読み返したくなりました。
とても小説っぽい文章で読みやすかった。背景を細部まで綺麗に描写して、視点主の視界に流れるように移っていく。特に前半は倖生のセリフがなくなるシーンが多く、読み心地の良さをより強く感じられた。描写が丁寧なとこも好き。
一貫して倖生視点で、心が「犬」になっていく様子が描かれる。基本が淡々とした語り口なので、人として大切なものを失くす出来事が、鮮やかに印象付けられる。急激に堕ちた倖生にはぞくぞくした。
客観的には狂気の沙汰でも、愛を知らずに育った倖生視点のモノローグで納得し、うっすら恐怖を覚えながらも引き込まれていく感じ。
一方轡田は、後半まで謎の男な雰囲気。人の姿をした犬のためにコルク床を用意したときの心境はどんなものだったんだろう。これはぜひ前日譚を読んでみたいと思った。
衝撃を受けたのは、捨てられそうになった倖生の殴り込み。人としての恥も外聞もない、犬としての衝動。
はっきり言ってイタすぎだし惨めで恥ずかしい。でもこのドン引きラインを突き抜けて超えてくれると圧倒されて、ここまで書いてくれるんだ、という感動に変わる。言語化が難しい個人的感覚だけど、この壁を越えられる人の作品は吸引力がすごいと思う。
山場は誘拐される倖生という定番の。ここからの展開はストレートだったかな。セオリー通り轡田が助け、元彼絡みのモヤモヤを解消し、いざハピエンへ。
幸せについて自問自答する倖生の心理描写の盛り上がりが良くて、ちょっと素直すぎるくらいに正直で、読み応えがあった。
後日談は読者サービスに全振りな内容で、本編とは違った空気感。モデルの件、読者受けに走らない本編の展開が好きだったんだけどな……と寂しさを感じつつ。
飼い主に忠実な犬として過ごす倖生の描写が最高な作品だった。