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kenja to madeleine
コユキが病気になってからの(待って待って待っ…)からの塔の地下での七夜の衣鉢に(うわぁ…うわぁ…マジか)
この、前半でじっくり世界観とキャラクターの人となりと物語を楽しんだところからの急転直下がたまらないのよ
アルダと出会って感情の発露が著しくなっちゃうし、賢者になってしまうし、100年以上生きて突然にこの年に転機が訪れるなんてとてもドラマチック
お父さんとのことも衝撃的だったけれど、それから100年は大きく感情が動く事はなかったんだものね
お父さんの石像を部屋に置きたかったって、あんな事があってもお父さん…
でも、ニウライってつまり…て考えちゃうと賢者の選択は正しいと思う
頑張って頑張って、予定された未来なんか変えて欲しい
変わったらその要素を加味して演算して違う未来を描くようになるのだろうか
それとも修正しようとする?
てか、ニウライごときのためにお父さんは我が子にも自らにもあんなことを働いたなんて、悔しい
ところで、ソモンは聖職だから解るけど、クロウやプティには恋の相手はいらないのかな
森に放すのはもう難しいだろうけれど、繁殖したくはならないのかしら
羽音が聞こえるような臨場的な描写、こんな素晴らしい本が世の中にあるのを知らずに生きていたのか…です。本当に素晴らしかった。展開が予想できなくて、え?え?だし、物語が厚い。ファンタジーだけど人間の普遍的な部分を描いているので刺さる。「愛の素晴らしさ」「運命の二人」の描き方が洗練されている。なんじゃそりゃ?的なツッコミを入れるところがなくて物語に没入できました。(最初だけ造語に苦労したけどあるところからスッと入ってきました)「BL的萌」「性愛」も描かれてはいるけれどもあくまで物語の中に溶け込んでいて違和感が全くなくて、BL小説ではなくてファンタジー小説でした。あまり小説読まないのですが、ここまで素晴らしいと通常読んでいるコミックスがなんなのか…って気にちょっとなるレベルでした。続き早く読みたい!
榎田先生の完全書き下ろし新作BLと聞いたものですから、読めることが楽しみすぎていつ読もうかと寝かせておいたことを後悔しています。もっと早く読めば良かった…!
BLとしてというよりは、BL要素を含んだ物語を面白く読んだといった印象です。とても濃厚なファンタジー作でした。
新書サイズよりも大きく、300Pを超える上下段組で読み応えがあるこちらの作品。
ものすごく正直なことを言えば、とっつきにくいです。
個人差もあるかと思いますが、少なくとも私は序盤数十ページあたりまで読み辛さを感じました。
というのも、いわゆる普通のファンタジー作にあるようなカタカナが溢れる世界でもないですし、かといって中華風でもない。人物名も、その役職も、市井の人々の名称も、あまり普段の生活の中では聞き馴染みのないものなのです。
ただ、やはりそこはベテラン作家さま。
これはなんだ?と読み進めていく内に、丁寧に設定が練られた壮大な世界に読者を自然と導いていってくれるんですね。
主人公である「風読み」の視点をメインに、アカーシャと呼ばれる国の生活の一部が見えてくる。
全く知らない世界のお話なのだけれど、風読み視点で文字を追っていくと「こんな感じなのかな」と想像したくなるような面白さがありました。
レビュー冒頭にも書いた通り、今作のBL色は決して濃いものではないのです。
けれど、真冬の休眠期の樹木のようだった風読みの世界が「マドレーヌ」と出逢ってからというもの、芽吹きの春を迎えたようにポツポツと新芽を覗かせては葉が開いていくではありませんか。この芽吹きの部分が非常に好みだったのです。
静かに紡がれる強い繋がりに胸を掴まれつつも、やはり萌え云々よりお話に惹き込まれましたね。続きが読みたくてたまりません。
先生の過去作品と今作のどちらが好みかと言えば、私は過去作品の方が好みかもしれません。
ですが、現在の榎田先生が書かれるお話だからこその深みのようなものも感じ、非常に魅力的だと感じるのです。
あとがきにじわりとしました。ぜひ、続編をお待ちしています。
長編ファンタジーBL小説。
上下二段組の文章が載っているので、通常の2冊分ぐらいの内容です。それでも飽きることはありません。素晴らしい世界観に浸れるので、あっという間に完読しました。
読む前にタイトルの「賢者とマドレーヌ」ってなんだろう?と思って読み進めていくと、ふたりのことだとわかりました。
物語の中の名前や呼び名は外国のようですが、日本語にも繋がっています。
読んでいくうちに、異次元ファンタジーのように思っていた世界が実はわたしたちの世界の延長線上にあるのではないかと思われます。
驚くべき未来は、まるでわたしたちの後始末をしてくれているような申し訳なさもありました。
物語はファンタジーの中のミステリー色の方がBL色より多めな気がします。もちろん官能的なシーンはありますが、なくても満足できる愛についての作品になっています。ただドロドロなエッチを求める人には物足りないかもしれません。
愛を知って変わっていく主人公・風読みがだんだんと感情的になったりする変化が、「人間らしく」て微笑ましかったです。また、嵐のように突然目の前に現れて心を乱していくマドレーヌは、保護したくなるかわいさと「男らしい」決断と行動がかっこよかったです。
(人間らしいとか男らしいとかこのふたりにはそぐわない言葉だと思うのですが、語彙力乏しいので使用をお許しください)
「人は変わる」
「以前の人は、ある時から自分で考え、判断することをやめた」
「今ある平穏が永遠だと思ってはならない」
ちゃんと自分で考えて責任をもって行動しなくてはいけないな、とこの物語を読んで改めて思いました。
文善やよひ先生のカラー表紙も挿絵も素敵でした。さすが細部まで繊細な人外ファンタジーを描かれている先生です。
ぜひ続きを読みたいと思いますので、続編、お待ちしております。
ものすごい重厚なストーリーに度肝抜かれました。こんな凄い物語だったのかと驚きです。
実は気になっていた作品ではあったんですが、なかなか購入の勢いがつかなくて、今の今になってしまいました。『threesome』は読んだことありますが、この作品の分厚さと2段表記にビビってました。
ファンタジーは最近から読むようになってきたし、何より高評価。読みたい欲にはやはり逆らえず意を決して手に取ることにしました。
何でもっと早くに読んでおかなかったんだろう!過去の心根の弱い自分をぶん殴りたいです。
榎田先生が多くの読者から愛される作家さんだということも、たくさんの高評価が付けられている理由がこの一冊の本の中にありました。
とてもとても素晴らしいストーリーでした。
BLという枠組みに収まらない壮大な世界観。BL作品だと忘れてしまうほどの練りに練られたアカーシャの社会構造、社会的問題。もちろんBL部分は言わずもがなです。
それが「賢者とマドレーヌ」の世界。
この作品を読んで分かったことが7つあります。
①108歳の初恋の物語
②ものすごい歳の差ラブストーリー
③オメガバの「運命の番」的な要素がある
④日本の国家組織体系の類似
⑤古代神話や卑弥呼を彷彿とさせる「賢者」
⑥現代日本が抱える問題(少子化・環境問題)
最後の7つ目は、
⑦私も榎田先生の作品に虜になったこと
です。
「賢者とマドレーヌ」は独自の世界観ではありますが、どことなく過去の日本と現代の日本に通じる世界でした。
ニウライの神に信託を受ける「賢者」は、さながら卑弥呼のよう。アーレとジュノの関係は封建制や身分制を想起させています。何よりソモンたちの役割りは、現代日本の中央省庁のように感じました。
例えば。
風読み…気象庁
明晰…文部科学省
癒し…厚生労働省
芽吹き…農林水産省
礎…国土交通省
秩序…警察庁
「記憶」は国立国会図書館で、「無言」は国家機密を扱う内閣官房?と言ったところでしょうか。神話から古代・中世・現代の日本をまるっとブレンドした世界観のようです。それが見事にファンタジー色とベストマッチしていて、なんとも不思議な感覚でした。
設定が細かいし深いし、それに広い。
深くて重い話かと思っていたけどとんでもない。話の合間に挟まれるクスッと笑ってしまう質の良い笑いが、緊張と緩和を絶妙に生み出していて、それが更にこのストーリーに沼らせる素敵効果を発動しています。
こうした物語の中でイキイキと動く魅力的なキャラクターたち。彼らの言動が「賢者とマドレーヌ」を高評価に導く立役者なのは言うまでもありません。それは味方でも敵でも例外じゃない。
特に、主人公の「賢者」こと風読みの親友2人(明晰&癒し)は最高です。彼らの存在があるから、ストーリーがより面白くなっています。この親友ズ、本当に大好き。
風読みとマドレーヌのBLパートは、作品全体のウエイトとしてそんなに多くはないですが、それなのに十分に存在感がある。
心臓の所在の認識、何十年かぶりに笑ったこと、嫉妬や執着を感じたこと……人間らしい感情を抱くようになった風読みの変化にニヤニヤせずにいられません。
感情が欠如していた男がマドレーヌを激しく求める姿は、ヤーバーいー。萌えの破壊力が凄まじい。
マドレーヌに出会ったことで風読みの様々な変化が、自分自身もこのアカーシャの世界も変えることに繋がります。その変化を嬉しく思う者、疎ましく思う者…まだまだ全貌が明らかになっていません。このアカーシャの世界がたどり着く先の未来が明るいのか暗いのか。賢者とマドレーヌの出会いは必然か偶然か…「神」の導きの意図はどこにあるのか。
まだこんなにも分からないことがあります。
…なので、早くも続きを欲しています(拝)
続刊がいつ頃発売になるのか分からないですが、心臓の場所が分からなかった風読みが、更に心臓の存在感を感じ取るほどのBL描写を期待しています^^
この本の感想を言い尽くせない自信があります。それくらい凄いファンタジー小説を読んだなって気分です。
ニウライという神を信仰するアカーシャの地でソモンという聖職者に就く風読み。幼い頃からの友は明晰と癒しのソモンにそれぞれ就いている。
アカーシャにはアーレとジュノという2種類の民がいて、居住区も仕事も明確に線引きされている。
風読みは人の名前は覚えられないが珍しい動物は好きで自宅で色んな動物を世話している。
そんな風読みが出会ったのがアーレでもジュノでもない、アラズ。目と目が合ったその瞬間に射抜かれるように惹かれ、処刑されそうなところを自宅に連れ帰る。そこから風読みとアラズの生活が始まるが、アラズは人の言葉を話さないし理解しないので、自分の胸の内を人に話すのが苦手な風読みもアラズの前では多弁になる。
アラズも徐々に人の世の生活に慣れ、甘いマドレーヌを好むことを知り、アラズと呼ばずにマドレーヌと名付ける。そのうち、風読みをよく思わない秩序のソモンがマドレーヌを匿っていることを咎めてきて…。そこからが怒涛の展開で全く先も読めないし、「どうなるの、どうなるの?」とページをめくる手が止まらず一気に読み進めてしまいました。
まずアーレとジュノの身分や身体、寿命の差がありすぎる所や、ニウライ信仰が徹底しすぎている所にこの世界の歪さを感じずにはいられないです。そこに風読みは一石を投じるわけですが…。
そしてアーレやアラズの語源にすごく鳥肌が立つような、今後を示唆するような含みを感じます。
一番萌えるのは、初めは無表情で感情の起伏もほとんどない風読みがマドレーヌと出会ってからどんどん感情を出すようになったり、最終的には笑うことも出来て周りを驚かせたりと大きな変化を遂げるところです。
そしてこの凄い世界観を余すことなく、いやそれ以上に表現された文善やよひ先生の挿絵がとても素晴らしかったです。電子で買ったのですが紙でこのイラストを堪能したく、紙での再お迎えも検討中です。
続編が決まっているようなのでものすごく楽しみにしています。
榎田尤利先生の作品が好きです。
でもファンタジー苦手なので、
発売日に買ったのに随分寝かせてしまいました。
現代モノにファンタジー混ざってるものなら
まだいけるのですが、ガッツリな場合、世界観を掴むまでに時間が掛かってしまうのです。
漢字、カタカナの名前とそれぞれの属性があって馴染むまでに時間が掛かったし、これはBLなのか?と思いながら読み進めてたら、出会いました。
この子と恋に落ちるのね。
元罪人の子孫に当たる[人に非ず]=アラズと呼ばれる森の住人。言葉による交流が図れなさそうだから身振り手振りでコミュニケーション。
最初は『アラズ』と呼ばれていた彼、初めて食べたマドレーヌが大のお気に入りになった事からあだ名が「マドレーヌ」に。どっちかってーと、女の子に付けそうなあだ名だなー。
タイトルは、賢者×マドレーヌって意味だったのか!よくある○◯くんと◯◯くんと同じタイトルの付け方!
マドレーヌが人の事を指してるとは思ってなかったなー。
人や物に執着しない主人公『風読み』は、珍しい動物は自分のものにしたいって執着がある。
『マドレーヌ』に対しても最初はそうなのかと思ってたら、オメガバースの魂の番の様にいい匂いがしてお互い惹かれあっていくんだー。どんないい匂いなんだー。こういう時いつも思うよ。
どちらかと言うとこの世界についてと『風読み』の変化がメインな感じなのでなかなかBL展開にはなりません。
ファンタジーを楽しむ作品。
とは言え、108歳にして初恋の賢者ことユーエンと18歳にして自分の半身を見つけたマドレーヌことルドゥラ身体の相性はバッチリみたいで最初から飛ばしまくっています。若くて体力のあるルドゥラ相手だから多少激しくとも全然オッケー。
しかし、90歳年の差カップルだよ。
賢者になっちゃったら超長生きになるって言ってたから途中からルドゥラが見た目抜かしてしまうし、先に年老いて死んじゃうんだろうか。
まだまだ謎が隠されているので、続編決定楽しみにしています。
キャラの名前が漢字由来の物が多い事「風読み」「明晰」「癒し」カタカナの名前も漢字に変換できる。「コユキ」「ロク」「ウイキョウ」「ダイダイ」
ニウライの部屋に入る時の「たなごころの扉」ってタッチパネルだよね?石の壁石の天井がほのかに光っているってめちゃハイテクやん。コンピューター制御されてるの?とかニウライについても謎がいっぱいで気になります。
表紙と挿絵が細かくて美しくてそれもとても良かったです。私は明晰が好きなので次のお話でもたくさん出てきて欲しいです。
電子書籍版を購入
「神」とめちゃくちゃ迷って「萌萌」評価です。
最近、老いの為か長編や壮大なファンタジーかしんどくなってしまいました。
BL愛は今もあるのですが、徹夜で読書にふけることもなく。。。
そんな現状なので、本作も購入したものの重い腰をあげることも出来ず、お盆休みに入り、やっと手に取りました。
榎田先生の新作なので、とても楽しみにしていたのですが。
で、本作、思っていたのとは違いました。
あらゆる意味で。流石です。
以下、微妙にネタバレ(勝手な妄想?)です。
時代背景が、ちょい昔?神話の時代?と思っていたらなんとなんと近未来。
猿の惑星を思わせる展開におお!!っとうならせられました。
そうか、そうくるか!
しかも、人工知能を神と奉っている世界。
しかも人工知能の遺伝子操作によって生み出された人間が支配する世界。
物語の途中で、星座が見えるようになるくだりがあります。点で存在していた星が突然、白鳥になり鷲になる。
それと同じで本作も突然、物語が変化します。
続くのかな、これで終わりかな。
読みたいけど、蛇足のような。
とにかく、素敵な物語、ありがとうございました。
とりあえず榎田尤利先生BL新作ありがとうございます!!
それがとりあえずすごいうれしかったです。
非BLも含めほとんどの作品読んでいるはずですが、ここまで世界観からがっつりファンタジーは初めてなのでは…?
普段よりキャラクター要素が控えめな感じで、どちらかというと世界観要素強めな印象でした。BL的な要素には十二分に萌えましたが、メインストーリー的な部分がまだ全然終わってない、むしろこれから。続きものなのでしょうか…?続きますよね??すごい好きな感じなんですが、明らかになってないことが多く、気になることが多すぎて…。続きがあるのか定かでないので今回は萌萌…、このストーリー部分完結までやるなら文句なしの神作品。
少しずつページをめくって、大事に大事に読み進んでいたのですが、とうとう終わってしまった…。
最高です。それ以外の言葉がない。
ある時、主人公2人は衝撃的に出会います。そこからお話は民族間に横たわる問題や都市計画不備、国を治める難しさ、そこに関わる人々の葛藤。いろんなことをからめとりながら進んでいきます。
といっても、難解に描写されてはおらず物語は深いですが、そこは榎田先生。私たち読者が混乱しない様に分かりやすく物語は進みますよ。
癒し、風読み、秩序、明晰、これらは皆ある人々につけられた名前。後、マドレーヌ。これも名前。うん?漢字とカタカナ?ファンタジーですのでここら辺は大丈夫。お話が進むにつれてああ、本当の名前はこんなだったのか、と…。
ネーミングセンスが絶妙なんですよね。
世界観の設定が比較的シリアスなので
2人のイチャラブシーンが少ないのは逆に、そうよね、そうなるよね〜と私達の心が揺さぶられるほど、切なく熱いです。もう本当に胸がギュッとなるよ。
とにかく読んで〜泣。
永遠なんてひとつもない。攻め様が最後に話す言葉。常に人、物事は変化していく。
本当に素晴らしいお話をありがとうございます。
ところで、先生。このお話は続きますよね。
続いて欲しい。それくらいまだまだ語り尽くせない
魅力的な登場人物だらけなんですよ!
そしてこれからの2人はどう暮らしていくのか
知りたいです。
久しくBLを離れていらっしゃった榎田先生のBL本格的復帰作は(昨年ブロマンスを出されていますが)ファンタジーでした
(先生のお話は好きでだいぶ読んでいる方と思うのですが全部読んでいないのではっきり断言はできませんが、ここまで世界の構築から全くファンタジーのお話はBLでは初めてではないでしょうか?)
久しぶりのBL
尚且つファンタジー
でも間違いなく圧倒的に素晴らしいものでした
世界観などは他の方が言葉を尽くしてくださっているので簡単に
異世界のようでこの星の遠い未来のような不思議な世界アカーシャ
ニウライという神を信仰し
アーレという体格が良く長命な種の支配層の元、ジュノという小さき民の労働層がアーレに導かれニウライを信仰しながら共存している社会
アーレの中で優秀な者たちはソモンと呼ばれる政治を担うものになり、そのソモンの中には天恵と言う一種の異能を持つ者がおりその力を民のために使い敬われている
彼らの世界の端には大きな森がありそこに住むものはアラズと呼ばれニウライの加護がない者たちと忌避されていた
物語は異能を持つソモンの一人風読みがある日ジュノに囚われたアラズを助け出逢うことから動き始めます
風読みはソモンの中でもニウライの意思を直接聞き民衆に伝えると言われる賢者になるものと目されています
愛を通じて人が変わるお話はBLの基本と思っています
このお話は表現が難しいけど風読みと囚われていたアラズが出会ったことで
風読みの細胞核を揺らし生き物としての在り方自体を変えるお話だと思います
もちろんアラズも変わるのですが風読みの変化が物語になっています
そしてこの出会いは二人を変えただけに止まらない力を持っていました
まさに愛は世界を変えるのです
このお話はそんなお話です
読んでいた私の細胞も揺らされた気さえしました
挿絵も素晴らしいのです
文善やよひ先生の緻密な挿絵はまさに額縁に飾る一枚の絵画のようで、なのに臨場感がありまさに挿絵。
この素晴らしさは筆舌に尽くしがたいものがありました
序盤心が躍り
中盤震え
終盤読み終わりたくなかった
後書きに泣きました
おかえりなさい榎田先生
おかえりをずっと待っておりました
小説を読む腐女子の方
いえBLを愛する全ての方に読んでほしいです
もうものすごく面白くて、寸暇を惜しんで読みふけっていました。この世界に没入し、楽しすぎて、逆に感想が書けないというジレンマに陥り、読後数日寝かせてしまいました。
ファンタジーBLは、私はあまり得意ではないのですが、この作品は世界観や設定が本当に細かくきっちりしているので、読書中まるで破綻を感じることなく、そもそもBLだということを忘れるほどでした。(勿論恋愛もちゃんと描かれています!)
キャラクターも個性が際立っていて、色づけされているかのように書き分けられています。読書中には、まさにいまここで動いて話して笑っているようで、脳内で完全にアニメーションで再現されました。
思い返しても本当に楽しい読書でした。
アーレという階級と、ジュノという階級が共存する世界アカーシャ。
ごくごく少数の貴族階級と、大勢の一般庶民に置き換えることは容易で、受け入れやすい世界観です。後半~終盤、この世界の成り立ちや未来が明かされると、見えてこなかったからくりが見えてきて、色々腑に落ちることが心憎かったです。
きっとこれから風穴を開けるであろう風読みと、彼に協力して新しい世界を作っていくのだろうルドゥラと、二人をサポートする明晰と癒やし、ほかの仲間達、彼らが苦心しながらも新たな社会のために歩んで行くのだろう続編も読んでみたいです。
秩序たち反対勢力の動向も気になりますし。
でも今度こそ政治の話になってしまうかも知れませんね。
イラストの文善やよひさん、とても素晴らしい表紙と挿絵です。
世界観ばっちりで、細かいところまでとてもよく書き込まれていて、読後もうっとり眺めていました。
とても面白かった。
特別な能力と知恵でアカーシャの地を治める長寿の種族アーレの攻めと
アカーシャから追われて外の森で暮らしている忌み嫌われた種族のアラズの受け
いつも無口で無表情で美しい石像と渾名されていた攻めが受けとの出会いをきっかけにどんどん感情豊かになっていく様子が良かった。そして警戒心を解いて攻めに心を許していく受けも良い。
まわりに無関心で人付き合いが不得意な攻めが動物には愛情深く、珍しい生き物をついつい拾ってきてしまうのがギャップで可愛かった。そんな攻めが集めて中庭で飼っている動物達とすぐに打ち解けて仲良くなる受けも可愛かった。受けの好物からマドレーヌと名付けられて呼ばれている姿も可愛かった。
種族も文化も住む場所も、お互いに全く違う世界に暮らしていて、
もう会うことはないわかりながらも気持ちが抑えられない2人の様子も萌えた。
榎田尤利先生のTwitterで久しぶりの新刊が出ると知り楽しみにしていました。
やはりベテラン作家さまは文章の安定感が違いますね。
巻頭の「アカーシャで暮らす人々」の見開きを見たときに、もしかして難解なお話なの?ってちょっと警戒してしまったんです。
確かに独特の世界観と名称に最初は戸惑いましたが、でも読み進めるうちに魅力的なキャラとお話に夢中になって読んでいました。
途中でどうしても外出しなければならなかったんですが、早く帰宅して静かな部屋で読みたいと渇望した程でした。
是非ともネタバレ無しで読んで欲しいのですが、『風読み』が賢者となった時に知る秘密に驚くとともに、誰もがニウライの正体を薄らと気が付いてアーレが何者かに辿り着くと思うんです。
2段組で300ページ近くあってとても読み応えありました。
でも、でもですね!賢者によって導かれたアカーシャのその後を読みたいんですよ!
空の者が何者なのかも知りたいんです。泣
榎田尤利先生!出版社さま!どうかシリーズ化をお願い致します!
かなり昔、インタビューかなんかで榎田さんは「BL(当時はそう言っていなかったと思うんですが)かどうかなどということは考えていなかった。ただ書きたいもの(ニュアンスとして、私は『書かねばならないもの』的に受け取ったんですが、そんな感じの言葉だった様に思います)を書いていた」という様な事を、デビュー当時の想い出として話していた様な記憶があります。
いや、私の記憶なんて本当にあてにならないのですが。
で『書かねばならないものとは何か?』って言ったら『死』なんじゃないかと思っているんですね、私は。
『死』という喪失を書く。
対比として『生』が鮮やかに浮かび上がって来る。
『生』を書くということは、当然の如く『エロス』を書かねばならない。
だから榎田さんはBLというジャンルの書き手なんだろうな、と私は思うのです。
このお話もやはりその流れの中にあると思いました。
神の声を伝えるため塔に自ら閉じこもる事を自分の宿命と思っている100歳超えの風読みは、ある意味、静かに死んでいっている状態なんだと思うのですね。
実際に彼は生きている実感が薄い。
気にかけてくれる友人がおり、村人からも慕われているのに、彼は生の喜びを感じていないみたいです。
そんな彼が、自分たちの社会の外で暮らす『(人に)アラズ』と呼ばれる部族の若者に、ひょんなことから恋をしてしまう。
すると世界がビビットに色づくのです。
自分の鼓動も大きく鳴り始めるのです。
この『生の喜び』その後、賢者となり神と対峙した後の『絶望』。
この対比のキレッキレさは「ああああああ、榎田さん!榎田さんのお話だわっ」と、歓喜に震えるくらいでした。
榎田節、万歳!
「あ、ちょっと変わったかも」と思ったのは、クライマックスで風読みが自分の恋する人ではなく親のない子どものことを第一に考えた行動を取ったこと。
なんか『成熟した大人』を感じたんですよ。魚住くんや芽吹が『死』に向き合ったやり方とは違う感じを。
なんて言ったら良いのかなぁ……「次世代のことを考えちゃう感じ」とでも言うか「結果として死んでしまったとしても本望、という気持ちがゆったりしている感じ」と言うか……うーん、上手く言えん。
そこに、榎田さんがBLのお話を発表されなかった年月の長さを感じちゃいました。
何はともあれ、とても満足しました。
あとね、私の行きつけの本屋では結構売れている様で、嬉しいのです。
榎田さん、いつでも良いですのでまたBL、書いてくださいね。
勝手ながらどうしても続編が読みたいので、レビュータイトル変更&神評価に変えました
榎田先生、6年ぶりのBLとのこと。どんなお話かと楽しみにしていましたが、案の定、どっぷり世界に入り込んでむちゃくちゃ楽しめました。BLとしてというより、お話としてとてもとても楽しかったので萌2にしました。続きが読みたいと思ったのは私だけなんだろうか?読み応えたっぷり2段組290P。
アカーシャでニウライに仕え、能力を活かして天候を読む風読み。親しくしている明晰とともに町の「愛し子の館」に行った帰り、町中で檻に入れられたアラズに出くわし…と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
明晰(ソモン=聖職者)、癒やし(ソモン)、秩序(ソモン)、タオ(攻めの側仕え)、コユキ(孤児)、プティ(攻めの飼い猫…?)、クロウ(攻めが世話する大鴉)、ニウライ(信仰の対象)、キラナ(受けの友)ぐらいかな。明晰も癒しも大好き。気になっているのはニウライ。あー続きが読みたい(二回目)。
++好きだったところ
受けが多分スレンダーマッチョ、超身軽運動神経バツグン(子猿イメージ)という印象なんです。キラナと共に空を飛ぶんですが、あーアニメ映像で見てみたい、とめちゃくちゃ思います。
そう、書いていて思いました。とても色鮮やかなんです。攻めは銀の髪、灰青色の瞳等白色系(聖職者って感じをより際立たせて素敵)。受けの瞳は丹色。細かく編み込んだ黒髪に赤いガラス玉を使った飾り紐を縫い込み、小さな青い鳥を指笛で呼び寄せ、白銀の体、黄色い嘴をもつキラナと共に飛ぶときには背中を青く光らせる。色に関する記載を抜粋しましたが、カラー映像で頭にすんなり思い浮かべられるんです。文善先生の挿絵パワーもあるかもしれないです。アニメーションで見てみたいなあ…(これも二回目)。
攻めの性格も好きでしたね。一番好きだったのは囚われた受けを解放させるべく、秩序と対峙する時の態度(&文善先生の描かれた挿絵♡)正装&盛装&超イケメンの氷のように冷たい視線(ひゃー)!秩序も言葉を途切れさせてしまうほどの「圧」。このシーンの挿絵はガチで最高でした。力を使うべきところを知っているイケメンって大好き。
あちこち好きだったですが気になる要素が多く、恋愛話オンリーじゃなかったので恋話での盛り上がりが埋もれちゃったかもです。それぐらいこのお話の世界観が好きで好きでとっても気になりました。
だから出版社さま、先生が書けると仰るならぜひこの続きを読ませてくださいませ。二人のこれからはまだ始まったばかりではないですか。勝手ながら楽しみにお待ちしています。先生、素敵なお話、ありがとうございました!
今回はアーレの名門の出身の風読みの聖職者と
ジュノの民に盗人として捕らえられた青年のお話です。
祖父や父と同じく賢者にと望まれている攻様が
受様との出会いで生き方を変え、世界を変えていくまで。
神鳥の伝説を持つ美しいアカーシャは
聖なる存在ニウライの庇護を受ける土地です。
アカーシャに最初に辿り着き、
開発したアーレの民は丘の上に住み、
丘のふもとに住むジュノの民を導く存在となります。
その中でも優秀な者は
ニウライに仕える聖職者ソモンとなり政治を担い、
ジュノ達はアーレに従ってニウライを信仰し、
アーレよりも短い生を逞しく生きています。
ソモンは天から授かった役職であるアディカを持ち
その役職きそのまま呼び名として使われています。
攻様はアーレの中でも屈指の名門の出身で
攻様の父も祖父もニコライから知慧を与えられた
賢者となっています。
攻様は気圧、気温、湿度など大気の変化を
察知する天啓を持つ風読みのソモンですが
攻様も賢者となる事を望まれいます。
類まれな美貌と才知をもつ攻様ですが
人間にあまり興味がなく、無口で無表情な事から
「美しい石像」という通り名を持ち
丘の上の屋敷で珍しい生き物と暮らしています。
攻様が明晰のソモンと
孤児の住む「愛し子の館」を訪れた日、
町外れのジュノの民の家に盗みに入ったとして
捕まえられた青年を助けます。
この青年こそ今回の受様です♪
アーレともジュノとも異なる丹色の瞳を持つ受様は
ニコライの怒りで森へと追いやられたアラズの民らしく、
咆哮を放ち、凄まじく乱暴だったために縛られて
獣用の檻に入れられていたのです。
ジュノの民は受様をアズラだからと殺そうとしますが
攻様は受様への鞭と労役は自分かが与えると
ジュノやアーレの言葉を理解していない受様を
自らの屋敷へと連れ帰るのです。
珍しい生き物を目がない攻様を知る明晰は
攻様がソレ故に「連れ帰る」のだと見抜きますが
攻様を止められません。
果たしてこの2人の邂逅がもたらすものとは!?
人間に興味がなく珍しい生き物と暮らす攻様と
怪我を負いジュノの民に囚われた受様の
ファンタジックな恋物語になります。
榎田先生が6年ぶり&完全新作のBLなので
ツイッターで発刊を知ってからワクワク待ってました。
個人的に榎田先生を知ったのは
ホワイトハートのTLからでBL以外も読んでおり
絶対にBLじゃなきゃダメ!! 派ではないですが
男達の世界だからこそ生まれる憧憬や嫉妬、
矜持を賭けた戦いや駆け引きがたまらないです。
更にファンタジーもすごく好きなので
読む前からツボ過ぎと思っていましたが
世界観も登場人物も展開ももういうことが無いほど
圧巻で素敵な物語でした♡
異端である受様を救うために
父や祖父同様に賢者となる選択をした攻様を
襲った展開は予想外ながらも
徐々に明かされていく過去と未来は
点々と配置された伏線を繋いだモノでもあり
ハラハラ&ドキドキ♪
そして攻様の全てとなる受様は
性格も言動も胸に抱く想いも素晴らしく男前で
読みだしたら一気読みでした。
文善先生のイラストも
物語世界にぴったりでとても素敵でした (^-^)v
中身の濃い一冊でした。改訂版とかでなく完全新作なのが嬉しい。榎田先生と言えば面白い職業で軽快な語り口のキャラクター達が次々に事件を解決、みたいなシリーズ物のイメージが強かったので最初は「え?ファンタジー?」みたいな戸惑いはありました。
導入部分のファンタジー特有の世界観の設定説明みたいなのを理解するまでは少し時間がかかりましたが、話に入り込むとやはり続きが気になる面白さでしたし、クライマックスの盛り上がり部分は圧巻でした。ちゃんとBLの愛あるえっちシーンもありますよ。
風読みという神に近いような選ばれた存在の男が、自分の国と違う種族の運命の人と出会いそれまでクールで人に興味を持たない感じだったキャラがガラッと変わっていくのが面白かったです。
妊娠はしないオメガバースみたいな要素も少しあり、ファンタジーといいつつ最後はちょっとSFチックでもあり、哲学的でもあり、現代の人間社会についても考えてしまうような深い所もあります。
しかしあとがきでは先生のBL愛も書かれていて、嬉しくなりました。大作ですが、ぜひ皆様に完読していただきたい一冊です。イラストもとても美しくてスケールの大きいファンタジーに合っていました。主役の2人はもちろん友達の「明晰」と「癒し」のイラストも良かった。悪役「秩序」も見てみたかったな。
6年ぶりの書き下ろしBL作品らしいです。
先に言っちゃいますが、先生のあとがきが素晴らしくて感動してしまいました。
BLを好きだと思って下さっているのだなと感じましたし、私自身も改めてBLっていいよね!と思うことができました。
そして、本作は二段組み300ページ弱(文庫本2冊分)もあり、読み応えも抜群でした。
アカーシャと呼ばれる地を舞台に、聖職者・[風読み]と、人々に蔑まれるアラズ・マドレーヌとが出会うところから始まる壮大なファンタジー。
信仰、格差、差別…様々な要因が複雑に絡み合い、半身ともいえる相手を見つけ愛し、成長していく物語です。
[風読み]の変化は、ホント胸熱なので!
嫉妬や忠誠心からくる陰謀なども絡み、ハラハラドキドキさせられる場面も。
ラスボス的な存在の不気味さたるや……
直接手を下さないけどそう仕向けるのって恐ろしいなと。
決してBL要素の強い作品ではありません。
むしろ薄い。
しかし2人の間に確かな信頼関係、揺るがぬ絆がしっかりと見えるのが上手いと思いました。
少しずつマドレーヌのディテールが明らかになっていく描写も巧みで唸る。
あえて難点を上げるとしたら、後半の駆け足具合と中途半端とも取れるラスト。
残りのページ数を確認しながら、あと少しでどうまとめるのかとヒヤヒヤするくらい最後の最後まで読めなかった。
余韻、余白……といえば、確かにそう。
でも、これからって感じもするんだけどなぁ……
続編に期待したくなるラストでした。
文善先生のイラストは最高!
見開きページなんて圧巻!
あと、[風読み]の親友・[明晰]と[癒し]も好き。
特に[明晰]の活躍は目を見張るものがあり、ぜひ注目して読んでいただきたいポイントの一つです。
作家買い。
榎田さんの、新装版ではないBL作品の新刊て超お久しぶりではなかろうか?
そして挿絵を描かれているのが文善さん。もう期待しかなく、発売日を心待ちにしていました。
榎田さんの新刊はファンタジーもの。
榎田さんの書かれるBL作品でファンタジーものってちょっと珍しいなあとか思いつつ読み始めました。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
豊潤で豊かな国、アカーシャ。
この国ではアーレとよばれる民がいて、彼らの中でも優秀な人物は聖職者(ソモン)になる。
ソモンの中には天恵を持つ者がいて、彼らの力を用いることで、アカーシャはより豊かになっている。
という世界観のお話です。
主人公はソモンの一人、風読み(「風読み」は通称であるが彼を表す名でもある)。
その名の通り風を読む力を持つソモンだ。優秀で冷たいほどの美貌を持つ風読みだが、彼は人と関わることを良しとせず、人の名を覚えることも苦手で数人の下男を伴い一人でひっそりと暮らしている。
そんなアカーシャの地に、「アラズ」と呼ばれる部族の男が紛れ込み拿捕された。ひどく暴れ、何より「アラズ」の人間だということで人々から暴力を受けているその彼を風読みはたまたま見つけ、そして興味を引かれて気まぐれに彼に救いの手を差し伸べることにするが―。
さすが榎田さん、と思わず唸らされるのは、とにかく世界観が非常に独特で面白い。読み進めるごとにこの作品の世界がどんどん広がっていく感じ。森や風の空気感すら感じさせる、その圧倒的な文章力にあっという間に飲み込まれてしまいました。
アカーシャという国の成り立ち、ソモンの存在意義、アラズと呼ばれ人々から迫害を受けている部族のこと。そして何より、この国には神鳥の伝説があること―。
そのどれもがきちんと繋がっていて、読み進めていくうちに一つ一つそれらが繋がっていく。
風読みという男性はとにかくパーフェクトな人物です。
家柄は良く、本人自身の能力も高く美しい美貌に冷静な判断力を持つ。
何もかもが完璧に見える、その入れ物が、実は彼の過酷な過去や家庭環境により作り出された鎧なのだということも少しずつ見えてくる。彼がアラズの人(風読みは彼に「マドレーヌ」という名をつけますが)と出会い、そして、マドレーヌの存在によって少しずつ鎧を脱いでいく過程に激萌えしました。もともと彼が持ち合わせていた優しさとか思いやりが、マドレーヌと出会い人として成長していくその過程で開花した感じ。
壮大な世界観を持つ作品ですが、根っこにあるものはかなり単純で、「愛」を描き切った作品です。
あと、今作品中に出てくる生き物たちがまた良い…。ロマンを感じます。
文善さんの描かれた挿絵も良かった。
「人外」を描かれるイメージのある作家さまですが、そのイメージを裏切ることのない美しい世界観をきっちり描き切っていて、萌え度は確実に上がりました。しいて言うならば、文善さんの挿絵が少ない…。リブレさんの小説はいつも挿絵が少なくってちょっぴりショボーンてなります。
今作品では濡れ場はさほど多くはありません。
風読みは聖職者だからというのもあると思いますが、風読みとマドレーヌ、彼らはおのおの守らなければならないものがあるから。「半身」という言葉で表現されていますが、常に身体が傍にいなくても。それでも心は常にともに有る。そんな関係が素晴らしく、萌え滾りました。
彼らにはきちんと名前があります。
その名前を許す相手、という部分も良い。
とにかく何から何まで、あとがきまで素晴らしい1冊。
文句なしの神作品でした。