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hi ni nagarete hashi ni iku
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
BLではありませんが、とにかく面白い!!明治時代の呉服店を舞台にした、お仕事漫画です。傾きかけた呉服屋をどう立て直していくのか。主役の虎三郎が常に新しい手を考えていて、「次はどんなことを!?」とワクワクさせてくれます。登場人物も、みな個性があって魅力的。さすが日高先生、描き分けもしっかりされていて、イケメンも非イケメンもいますが、段々と三つ星の全員が愛おしくなってきます。
ストーリーのもう一つの柱である鷹頭さんについては、諸々と明らかになるのはまだ先かな。これからも楽しみです。
ずっともう、三越の話だと思って読んでいるし。白石辰春は漱石だし。
物語が進む毎に色々な人や事柄や文化にオマージュを捧げていると言っても良いかもしれない。あるいはインスパイア。
鷹頭はやはり日越の当主と因縁があるらしい。彼の思いは復讐なのか。それとも。過去の事件を探りながら虎三郎の仕事を助ける鷹頭は、時子を連れて当時では舶来物でお洒落感漂う横浜へと出かけて行く。
そこで出逢ったのはイネスというブティックの経営者。彼女はフランスから直輸入した美しいドレスを時子に着せる。ちょっとした「マイフェアレディ」だ。
そこで私は気付く。イネスとはフランス人のモデル、イネス・ドゥ・フレサンジュのことかと思っていたが、時子が着せられたストライプの華やかなドレス、これは「麗しのサブリナ」でオードリー・ヘプバーンが着た、ユベール・ド・ジバンシィのデザインそのもの。
それは本当に美しいが、時子が選んだのはイネスと同様に新時代の働く女性の為の服だった。そう、まるで「ローマの休日」のオードリーの様に。それをデザインしたのは、華やかなジバンシィでは無い。イーディス・ヘッドという、パリジェンヌの基本の様な、シンプルだが美しい衣装をデザインした女性だ。イネスという女性はこのイーディスをイメージしたのではなかろうか。
鷹頭は「三ツ星」でドレスメーカーを始めようと目論み、華やかなドレスを纏った時子をそこに立たせようと思っていたのに。時子は動き易くて機能的な洋服を選ぶ。虎三郎はそんな時子を見て「俺たちの思う通りには動かないんだなーって…。」面白がっているし、期待をしている。
先のことに目を向けてキラキラしている時子に白石も感化されていく。
けれど、女タラシの白石には虎三郎も時子の同僚の坂巻さんも牽制しまくり。そんな心配しなくても、時子は恋をし無さそう。目の前の仕事に夢中なのだ。そしてそれこそがこの時代の新しい女性の生き方なのだ。
対象的に描かれる、聡子が不憫だ。家同士の取り決めで知らない男に嫁入りして尽くしたものの、子が産まれないというので離縁されて実家に引き籠る聡子。彼女はキラキラとして自由に生きている時子が疎ましかったが、めげずに家に通い聡子に新しいモノ、美しいモノを持参しては話しかける時子に徐々に心を開きかける。
本書は時子が主役の巻で、鷹頭の話は次巻へ持ち越され。虎三郎はいよいよ「三ツ星」の改装に着手。新しく作るカフェコーナーにはきっと寅次兄さんが里子に出された果物屋のフルーツを使う筈。
あとがきに「衣装を描くのが楽しかった。」と日高ショーコ先生も書かれている様に、ファッションのお話が出て来て楽しかったな。
沢山のこれまでがあって現在がある。私たちが自由にファッションを楽しんで、好きな仕事が出来る時代に生まれたことを幸せだと思う。