日に流れて橋に行く 3

hi ni nagarete hashi ni iku

日に流れて橋に行く 3
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神8
  • 萌×25
  • 萌1
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
1
得点
63
評価数
14
平均
4.5 / 5
神率
57.1%
著者
日高ショーコ 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
集英社
レーベル
愛蔵版コミックス
シリーズ
日に流れて橋に行く
発売日
価格
¥680(税抜)  
ISBN
9784087920543

あらすじ

雨模様となった日本橋の開橋式当日、「三つ星」は大胆な改装と、番傘の貸し出しで大盛況。更なる成功を求め、打ち出す一手は──。
時子に好意を寄せる流行作家の白石辰春は、呉服店で働く女性店員を主人公にした小説を新聞に連載する。その主人公のモデルが時子では?という噂が話題を呼び、「三つ星」は多くの客で賑わうように。一方、仕事に奮闘し自由に生きている時子を痛烈に批判する者も現

表題作日に流れて橋に行く 3

その他の収録作品

  • 蛙始鳴(かわずはじめてなく)
  • 蚯蚓出(みみずいずる)
  • 紅花栄(べにばなさかう)
  • 麦秋至(むぎのときいたる)
  • 梅子黄(うめのみきばむ)
  • 〈おまけ〉黒木克己と星乃存寅
  • 〈おまけ〉五百雀要と星乃虎三郎

レビュー投稿数1

『全ての出会いに意味はあるし、そのことで変わることもできる。』

うん。日高ショーコ先生の牽制なのか。この百貨店は架空のもので、登場人物のモデルはいないと言い切る。誰かが訴えるとでも思っているのか。私はついほくそ笑んでしまう。
作家の白石辰春は、誰がどう見たってもぅ。漱石に他ならないだろう。作中に出て来る「すずらん」の反響は、どう見たって「虞美人草」のそれだし。物語の夫人と書生は「三四郎」に出て来る美禰子と三四郎である。特に夫人の放つ台詞「どちらが臆病者だったのか。」これは、美禰子が「ストレイ・シープ(迷える羊)」と言うそれである。とかとか。とにかく。漱石ファンとしては、そこかしこに散りばめられたそれらを取りこぼすこと無く拾う、という楽しみがあるのだ。
そしてそれが新時代の女性の姿を描いていると看破した虎三郎。女性が社会に出て行くこと。その走りの様な女性像を確かに漱石は認めていたし、時代の機微を掴む事に長けている虎三郎はすぐさまそれを感じ取る。そういった事を既に体現しながらも、何も気付いていない時子。
「俺はさ、つながりや縁っていうのは 特別だし、大切にすべきと思うんだよな。全ての出会いに意味はあるし、そのことで変わることもできる。」
直情型で素直なだけの虎三郎の、策士であるという意外な一面も垣間見れる第3巻。
虎三郎をして、面白いことしか好きでは無い鷹頭は、まんまと虎三郎に動かされてもいる。白石が作家として時子に興味を抱いている事を利用して、白石を煽る鷹頭。彼の当て馬っぷりはとんだ茶番ですが、やはり定番のコレは、鷹頭しか出来ないもはやお家芸。解っていながらもそれに乗る白石。
虎三郎はまた、時子が成長する為に必要な出会いだとも言っていて、これは何か淡い初恋で終わらせるつもりなのかな?という、不穏な空気を孕んでもいる。何より時子は恋を自覚しないまでも、虎三郎に魅かれてもいる。いやーん、BL的には虎三郎は鷹頭のモノなんだがな。まぁ、これは非BLなんだけども。匂い系?ブロマンス未満のテイでお送りしているけれども。そこはもぅ、BLでいいじゃん!と、思っているので脳内で是正する。
セルフパロディ描いて欲しい。と、思っていたら、巻末におまけと称して収められている。黒木屋の黒木は存寅兄さんに何だか…。とか、雀の虎三郎へ寄せる想いは「幼馴染BL」のそれっぽさである。うーん、それ読みたいなぁ。一般誌でBLなんて今時珍しくもないと思うから。ギュンと方向転換も期待したい。

さて。物語は三ツ星、これはもぅ、三越そのものだと思うけれど。大店を脱却して成長を遂げる過渡期を迎えていて、新しい当主のやり方に反発していた店のもの達も、開橋式での賑わいを経て、ワンチームになり、店内の雰囲気が見違える様に良くなっている。時子も先輩にただ「女」と小馬鹿に呼ばれていたのが「卯ノ原」と呼ばれる様になる。その仕事ぶりを認められ始めたのだ。そんな時子のお得意様、立花夫人の引きこもりの娘は、そんな時子を嘲笑う。本当は羨ましいと思っているのでは? という不穏なエピソードは次巻へと。
そして、失踪した存寅兄さんを探す虎三郎には、幼ない頃里子に出された寅次兄さんが‼︎ まぁ、美形三兄弟だこと。しかも全員「トラ」。18歳にして当主を継ぐ事を余儀無くされた存寅兄さんは、戦争に取られない為に寅次か、虎三郎のどちらかを手離せと親族たちに詰められ、泣く泣く寅次を里子に出したのだと言う。行った先で苦労を強いられたという寅次は虎三郎を良くは思っていない。という新しいエピソードが。事実を知らされ落ち込む虎三郎。
虎三郎を支え、目覚ましい活躍をしている鷹頭は日越の当主と何やら因縁が。
惹きつけられるエピソードも盛りだくさんで、ワクワクします。
それぞれの成長と。胸のすく様な展開と。読むと元気になれる気がするので、何度も何度も読み返す。美しい絵柄は言わずもがな。楽しみに次巻を待ちましょう!

4

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