Op‐オプ‐ 夜明至の色のない日々 2

Op‐オプ‐ 夜明至の色のない日々 2
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神27
  • 萌×212
  • 萌4
  • 中立1
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
4
得点
196
評価数
44
平均
4.5 / 5
神率
61.4%
著者
ヨネダコウ 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
講談社
レーベル
イブニングKC
シリーズ
Op‐オプ‐ 夜明至の色のない日々
発売日
価格
¥630(税抜)  
ISBN
9784065179277

あらすじ

フリーの保険調査員・夜明至(よあけいたる)、バツイチやもめの38歳。持ち込まれるのはやっかいな依頼ばかり。そんな夜明のもとに舞い込んだのは、撮影中の火災事故で亡くなった人気映画監督・皆川賢吾の保険調査依頼。感情が“色”で見える居候少年・玄(くろ)を伴い調査を進めるが、次第に皆川を取り巻く映画業界の複雑な人間関係が浮かび上がってくる。「事故」か「自殺」か「殺人」か――夜明が導き出す真実とは? 希代のストーリーテラー・ヨネダコウが描く話題沸騰の新感覚ミステリー第2巻!

表題作Op‐オプ‐ 夜明至の色のない日々 2

レビュー投稿数4

非BL作品ではあるがヨネダ節は炸裂してます

ヨネダさんの非BL作品。

フリーの保険調査員である夜明至が、独特の捜査方法で事件の真相に迫る―。

という、ミステリー作品。
この作品は2巻目、ということで1巻が未読だと理解できません。1巻未読の方はそちらから読まれることをお勧めします。

1巻は複数の事件を夜明さんが調査していましたが、2巻はほぼ丸々1冊、同じ事件を追う展開。



人気映画監督である皆川が、映画の撮影中に火災で亡くなった。
事故なのか、事件なのか、はたまた自殺なのかー。

皆川監督が撮影していたのは『やがて雨になる』という映画。
この映画は30年前に皆川監督が作り出した映画で、当時主役を演じた女優さんは、皆川監督の現奥さん。その映画のリメイク版だった。

新作は主役を皆川監督の実娘であり人気上昇中の女優・皆川美雨が演じることでも話題になっていた。

その映画の収録の、終盤で起きた事故。

その事故の真相を追う展開です。

30年前の映画のリメイク版、というのがこのストーリーのキモになっている部分で、30年前の夜明さんの姿が過去の回想として描かれています。

30年前、彼はすでに保険調査員としてバイトする大学生。
その時の回想で、元妻の倫子さんや、友人であり元同僚でもある刑事の行政とのやり取りが描かれていて、彼らとのつながりも見えてくるという素晴らしい展開。

こういった伏線のはり方がヨネダさんらしいというか、ヨネダ作品に奥行きを与えているゆえんだと思われる。

一つの火災事故を追う過程で、夜明さんの過去、現在の彼の姿(無痛症を患っている)、感情を色で見る事が出来る玄との関係、そして倫子さんや行政、鯨との関係も少しずつ見えてくる。

見えてはきますが、基本的には皆川監督の事故がストーリーの基盤。
皆川監督を取り巻く周囲の人たちからの聞き込みや、玄の能力を借りて、少しずつ真相に近づいていく過程は、さながら本格的なミステリーの様相も呈しています。

1巻もそうでしたが、事件そのものはかなり凄惨です。
が、その事件を通してみてくるものは、紛れもなく人の愛憎なんですよね。

時に温かく、時にシビアで、そんな人間の複雑な内面を見事に描き切っている。

ほぼ丸々1冊、皆川監督の火災事件に費やされていますが、終盤にもう一つ事件が登場します。

すんごい短いお話なんですが、この事件のエピソードが非常に秀逸です。
「事件」という点での複雑さはあまりありません。

が、善良な青年が夜明さんの調査によって救われるお話で、胸がすかっとします。ヨネダ作品の根底に流れる「優しさ」が、ほんのりと、でもジワリと心に染み入ってくる。

今作品は、まだ謎に包まれている部分も多いのですが、おそらく描きたいのは様々な形の「愛」なんじゃなかろうか、と思えて仕方ありません。

非BL作品なのでもちろんBL的な萌えはありません。
夜明さんも元妻がいたりしますし、女性の存在が大きく立ちはだかっている作品でもあり、そういった作品が苦手な方もいらっしゃるかも。

が、ヨネダさんらしいダークさと、温かさと、人の愛憎がきっちり描かれている作品ですごく読みごたえがあります。

ヨネダファンにはもちろん、ミステリー好きな方にはぜひ読んでほしい。そして、非BLだからと手に取っていない方にも、ぜひ読んでほしい素晴らしい作品です。

8

ページをめくるワクワク感が半端ない

1・2巻まとめての感想です。

練り上げられた構図、駆け引きめいたやりとり、繊細な表情、個性的で魅力的なキャラとその関係性、巧みな演出、気持ちのいい間の取り方。どれを取っても随一。端的に、超好みです。謎解きに関しては、ミステリーを普段読まないので、他作品と比較しての評価はできませんが、私は引き込まれたし、とても面白かったです。
漫画作品として、非常にレベルが高いと思います。改めて、ヨネダ先生の漫画力の高さを実感しました。

メインの3人の繋がり方が面白い(メインの分け方いくつかあると思いますが、ここでは謎に関わってくる人物という定義で、夜明さん、玄くん、倫子さんのカウントです)。
共感覚で人の感情に聡すぎる孤独な玄くんを、彼にとって初めて見えない存在である夜明さんが預かる。ふたりを紐づける、玄くんと、生きていたら夜明さんの息子が同い年という事実。片や親殺し、片や子が死んで以来無痛で無色。
そして亡くなった息子のもう片割れの親である、元妻倫子さん。彼女と夜明さんの、一見ドライに見えてお互いに気にかけている距離感が大好きです。さらに、倫子さんが今でも鮮やかな愛を抱いていることを、玄くんは知っているという。
この循環が見事。これからどう作用し合うのか、楽しみです。

間の取り方がすごく好きです。コマ割り、絵、台詞が絶妙で、演出力の高さ、その引き出しの多さに悶えました。シリアスと笑いのバランスもさすがで、テンポよく読めました。

それから、夜明さんが、かっこよすぎる。ポーズや表情やがひとつひとつキマっています。そこに、飄々としているけど、優しさのある言葉が最高です。惚れ惚れします。

読み終わって「それで、続きは!?」となりました。2巻でメイン3人のそれぞれの関係性と大まかな伏線が張られて、基本配置が終わったところなのに。ヨネダ先生はおひとりで、囀る〜もこちらもかなりの重厚なお話なので、どちらも早く続きを、というのはどれほどの無茶なのかわかっています。でも、気になる!
まずは囀る〜の結末を見届けたいけど、そのあとこちらの続きも描いてほしい! 続きを切望しています。

1

深い愛情、哀しみ。様々な想いはやがて繋がる。

ストーリーテリングには定評のあるヨネダコウ作品の事だから。
それはもう。ニクい。ニク過ぎてシビれる‼︎ のたうち回りたいほどの心憎さなのだ。キザとも言う。
保険調査員の夜明が、1巻毎に大きな事件と小さな事件を扱うという内容はそのままに。
彼の過去や、周りの人との関わり合いがほんの少しずつ。見え隠れして行く。

本作の事件は、撮影中に亡くなった映画監督の死について。
火だるまになり焼死した皆川の死は、果たして事故か。自殺か。
詳細に事件の謎を追いながら、核心を詳らかにして行く。
そこには愛情と、深い哀しみがあったーーー。

夜明の大学生時代が少し描かれていて、行政さんとの腐れ縁も‼︎ 糸目ながら、ちゃんと若い‼︎ 若い頃の行政さんも素敵です‼︎ 彼はサディスティックな憎まれ口を叩いてはいるけれど、やっぱり長きに渡る友情をじわりと感じさせてくれるんですよね。早く彼等の物語を見たい‼︎ この二人のエピソードは物凄く良い筈‼︎ と、期待させてくれるので。やたらとハードル上げちゃいますが。頼みますよ‼︎ と、言いたくなる感じ。
今回は そこに元妻、倫子との出逢いが少し。医学部の美女と噂される倫子は、実は今は故人となっている名俳優の隠し子だった。
件の事件と重なり合う様に、差し込まれる夜明と倫子の過去。
当時、倫子に淡い想いを抱いていた大学教授。
人の想いは、時に一方的だったりもする。それが本作の要。多分。
事件自体は、よくある2時間サスペンス的な展開なんだけど、ラスト終盤の皆川監督が女優で妻の桐原光香にプロポーズをするというシーンがとても好きです。それは妻の記憶に鮮明に残っている。皆川監督は15歳の桐原光香に恋焦がれて、15年待って告白した。その時、その一瞬で、光香は恋に落ちたんだと思う。だから。何があっても、自分は皆川の妻であって、娘は皆川の子なのだと言い切れるのだろう。ちょっと女は強かだとも思えてしまうけれども。それが女優というものだと思う。

「囀る〜」の鯨と鮫の名コンビも良い味出してます。彼等はよもやケンカップル。一番BLクサいかもしれません。
人の気持ちが色として見えるという共感覚の持ち主、玄くんとクラスメイトの実緑との間は進展のないものの、友達にはなった様子。実緑の色はいつも緑。感情は凪といったところか。
夜明と倫子の子供が生きていたら玄くんと同じ年頃だという。息子が死に至る事件とは何だったのか。夜明は痛覚を取り戻す事ができるのか。愛しながら別れを選んだ倫子の想いとは。
次巻が待たれます‼︎

7

表情の些細な変化に惹きつけられる

一巻よりぐんと面白さが上がった二巻。一つの事件をじっくり時間をかけて描き、さらにメインキャラの背景もチラ見せしつつ物語が展開されていた。

ミステリにカテゴライズされているようだが、どちらかというと人間ドラマの要素が強いように思える。伏線を何度も引き延ばしたり、曖昧な描き方をしたりで、ちょこちょこぼやかされているところがあった。想像と共感の余地を入れ込む人間ドラマには有効な描き方だが、これはミステリに相性の良い手法じゃない。面白いんだけど、メリハリが足りないなあと思ってしまった。

主人公やDK玄は相変わらず魅力的。二巻ではさらに至の背景もいろいろと見えてきて、稀に柔らかくなる表情に惹きつけられる。核心を突く内面はまだ明かされていないが、なんとなく察することもあり、そこを踏まえて読み返すと堪らなく愛しい主人公に思えてきたりする。
そこまで繊細な絵柄にも見えないのに、表情の些細な変化がちゃんと伝わってくる。基本は無表情でセリフもモノローグも脳内セリフもないのに伝わってくる。こういうキャラクターを追うのは楽しく、いつまでも読んでいたいと思わされる。

二巻も事件を綺麗にまとめたところで終わらせているため、続きが気になるもどかしさがなくて助かる。至と玄にじわじわハマってきた実感があり、次巻が楽しみになっている。もっとメインキャラの掘り下げにつながる事件が読みたいと思う。

3

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