条件付き送料無料あり!アニメイト特典付き商品も多数取扱中♪
愛に焦がれる少年たちの、いびつで幼い恋!!
作家買い。
暮田さんの描くちびっこちゃんがどうしようもなくツボなのです。
ビジュアルも、中身も、とにかく可愛い。
で。
今作品は、そんな私の大好物の暮田さん@ちびっこちゃんがたくさん描かれていまして、読みながら悶え、萌え、愛おしくってどうしようもなかった。
ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
主人公はDKの八尋と累。
どちらかというと八尋視点で描かれることが多いですが、交互で累視点も描かれているので二人の感情が読み取りやすいです。
八尋と累は幼馴染。
子どもの時に八尋の隣に累が越してきたことで友人になった。
累の両親は弁護士で恵まれている…、ように見えるが、実は累は実母に虐待されていたところを、弁護士に救われ(それが累ののちの養母となる女性)、そして彼女夫婦の養子になったという経緯がある。
実母に虐待されていた累は、出会った当初かなり痩せていて、感情をあらわにすることが苦手だった。
が、引き取ってくれた義両親と、八尋のおかげで少しずつ明るさを取り戻していく。
控えめで、自分に懐く累に少しずつ恋愛感情を育てていった八尋は、累を言いくるめる形で身体の関係を持つようになるが―。
というお話。文章で書いてしまうと八尋がやや外道な男に感じてしまうかもしれませんが、彼の累への愛情がそこかしこににじみ出ているためになんとも切ないのです。
累だけのために、八尋は奮闘する。
帯にも書かれていますが、「お前が望みさえすれば なんだってしてやれる」
この一文が、八尋の累への愛情をまるっと表現しているのです。
そして一方の累も。
彼もまた、八尋を愛しているのが透けて見えるんですね。
なのに、彼の感情にセーブをかけるのが両親への感謝の想いと愛情なんです。
血の繋がりのない自分を引き取り、愛し、そして育ててくれた両親。
そんな両親に、累は報いたい。
ゲイであり、男である八尋を愛してしまった自分に葛藤をずっと感じて生きてきた。
そんな想いは、八尋に対してもむけられている。
両親に、そして八尋に、嫌われたくない。
そんな想いに囚われ一人で踏ん張り続ける累という青年が、とにかく健気で泣ける。
序盤、八尋視点で描かれているために累の感情が分かりづらいのですが、少しずつ累の感情が理解できるようになる展開の仕方が非常に秀逸で、一気に読み手に累の感情が流れ込んでくる。それ故に切なさとか、萌えとか、そういったものがぐっと膨らみ、ページを捲る手が止められませんでした。
累は自分の立場をネガティブにとらえていますが、彼を取り巻く周囲の人たちが凄く優しい。
累の両親はもちろん、八尋も、そして八尋の兄も、累の友人も。
累が、「自分」に自信を持ち、そして素の自分をさらけ出せるようになるために必要だったものは何か。
愛情なんですよね、やっぱり。
個人的に暮田作品に魅了され続けていますが、その大きな魅力の一つが、作品に流れる「優しさ」と「愛情」なんだと、この作品を読んでしみじみと思いました。暮田さんの優しさが、暮田作品のいたるところで描かれている。バックボーンはシリアスさも多くある作品なのですが、そんな暮田さんの優しさに満ち溢れている作品で、切ないと、萌えのバランスが素晴らしいです。
八尋と累は、序盤「セフレ」という立ち位置にいます。
そのため濡れ場は暮田作品にしてはやや多め。多めですが、エロい、というよりは綺麗で、そして切ないです。「セックス」という行為が、エロ目的ではなく二人の感情の機微を細やかに描くためのツールとして描かれているからかもしれません。
カバーを外すと、そこには子どもだった時の八尋と累のイラストが描かれています。
もう最高か…!
可愛いが過ぎる。
薄幸な受けさん。
受けを溺愛する攻めさん。
そして、家族愛、隣人愛。
そんなキーワードにビビッと来る方に超お勧めの作品でした。
暮田作品はすべて読んでいますが、かなり好きな作品です。
文句なく、神評価です。
今回気付いたんですが、無意識で作家買いになっていた暮田先生作品です。
ある意味作家買いよりも凄い、試し読みで作品をチェックして購入した結果コンプリートしてるって。
しかも、同時進行の分冊版も全部読んでる…恐ろしい作家さんだ。
暮田先生の画は、ちびっ子描写が抜群の可愛さで、DKになったら攻めも受けも色気がある。
仄暗い世界でしっとりした空気感には中毒性があるのかな。
今回は特に表紙が好みで、色彩やデザインが本当に素晴らしい。
内容を知って見ると、更に特別感のある場所と温もりに癒されます。
累と過ごすデザインコンクリ壁に囲まれた八尋の部屋が、二人だけの秘密の隠れ家のようで、
全て絵空事かと思わせる不思議な空間が、印象的に描かれてました。
虐待で保護され弁護士の養父母に引き取られた9歳の累。
大病院の次男である隣家の八尋は、出会いからずっと累を溺愛し、累も懐いて甘え、
いつしか身体の関係も持ち高校生の現在。
養母が身ごもったことから、養子である累は良い子でいる為に八尋との関係を終わらせ、
距離を取って優等生として頑張ろうとしますが、
夜になると八尋の部屋に行っては身体を繋ぎ、普段は八尋に見向きもしない生活が続く…。
執着溺愛攻めの八尋と、トラウマを抱える薄幸受けの累。
優しい養父母や溺愛する八尋に守られて8年生活した累ですが、
9歳までネグレクト環境だった、累の抱える闇を消してはくれないという現実。
存在することを誰にも気に掛けて貰えない、ネグレクトの傷の深さがリアルです。
自分を必要として貰う為には良い子でいなくてはいけないという強迫観念は、
周囲が思う以上に切実で、大切な場所だからこそ失いたくない。
八尋への想いも断ち切れず、日を追うごとに壊れていく累が痛々しくて見てられない。
それにしても八尋はスゴイわ。
あの執着と溺愛は慈愛から始まってますね。
あれだけ甘やかして、欲しいものは何でもやると教え込んできたからこそ、
限界を超えた累は八尋に「たすけて」と言えたんだと、私は思ってます。
養父母にもあれだけ大事にされてきたのに何で?と感じるかもしれませんが、
幼少期の虐待の傷は、自己肯定感に大きく影響するので、そんな簡単には癒えないし一生もの。
だからこそ余計に、無償の愛を突きつける八尋が、累には理解できなかったんだろうねぇ。
鷲づかみされたのが病院での養母との会話で、もう思い出すだけで涙が出てくる…
八尋に助けを求めた累が、今度は養母に心を開く。
イイ子じゃなくて、素の自分のままの累の想いを言葉にして、
養母と心から通じ合える場面が本当に温かくて、涙が止まらなかった、良いシーンでした。
28歳の二人が変わらず実家暮らしで、累の義弟も可愛くて最後の最後までステキでした。
電子描き下ろしの「定点観測」が本編前後の二人の関係を描いた4コマ4Pで、
成長する二人の関係性が巧妙に描かれていて素晴らしかったですよ。
暮田先生の描くちびっ子が本当に可愛くて、甘やかす八尋と必死でついてく累が可愛くて堪らない。
靴擦れのエピソードが最高でした。
二人のちびっ子ネタで一冊見たいくらい掴まれました。
※Renta:トーン描写です。
【お前が望みさえすれば何だってしてやれる】(帯より)
これが非常に良かったです。
献身的にもみえる攻めの愛情にグッとくるものがありました。
そして高校生なのになんて大人びた愛し方をするのだろうとも感じました。
その実、受けを守ることで自分が必要とされていることに安心も覚えてるのですね。
なので自分だけを頼るように、甘えてくるように、と幼い頃から教え込んでいる。
そういった部分は少し歪で少し幼い。
切なくて仄暗い空気感の作品なのですが、
根底に溢れんばかりの優しい愛情が流れていてとても良かったです。
累(受け)は幼い頃に実母から虐待をうけ、優しい夫婦の養子になりました。
新しい家で出逢ったのがお隣に住む八尋(攻め)です。
八尋は幼心に「累を守ってあげなきゃ」と心に誓います。
そして何でも我慢してしまう累に言い聞かせます。
自分にだけは何でも話して、甘えて、嫌がることは絶対にしないから、と。
その言葉通り、高校生になっても八尋は累の嫌がることは避けてきました。
累は義母の妊娠をきっかけに少しづつ心が病んでいきます。
優しく育ててくれた両親の為にも自慢のイイコでいなきゃというプレッシャー。
今まではそのプレッシャーを緩和してくれたのが八尋の存在だけど、
八尋と肉体関係を持っているのは両親への裏切りと同等でーーー。
板挟みになって苦しんでいるのですね。
それに気付いた八尋は、
初めて「累の幸せの為に累が嫌がること」をします。
ずっと守ってきた絶対に嫌がることをしない約束を覆す。
これがもう痛々しいのですよ。2人とも。
自分の足で立って平静を装うのに必死な累は周囲の愛情に気付けず、
それをただただ見守ってそっと支えている八尋の気持ちも切なくて。
好きという言葉が出る前に躓いてしまったばかりに、
支えるとか甘えるとかいう関係でも甘々な空気はなく…(;ω;)
結果、肉体関係ばかりが先行してしまって些細な言葉のすれ違いが諍いになる。
これで累の視野はますます狭まっちゃって殻に閉じこもるのが見ててツライ。
八尋はそんな累を助けたくて、必要とされたくて、甘えて欲しくて。
苦しくて切ない想いがブワッときます…!!!(;///;)
個人的にはとにかく八尋の献身的にも見える愛情が刺さりました。
態度や言葉使いが上からっぽいのがまた不器用に感じてキュンとくる。
どっちも互いに囚われた共依存のようにも見えました。
八尋は累を甘やかすことで喜びを感じてるし、
累は八尋の居心地の良い愛情に支えられてきた。
歪にもみえるけど一途な優しさに救われるお話でとても良かったです。
神です‥。
文句なし神作品です。
実は名前も知らないお初の作家さんでした(。>_<。)
表紙の可愛さに一目惚れして衝動買いしてしまいました。
推しの作家さん以外は発売後に様子をみてからじっくり吟味して購入するのですが、中身もい問わず思わず手に取り夢中で読んでそして衝撃‥。
すごい!うますぎる‥。
私、自分が好きで買っているので萌以下も滅多な事ではつけませんが、神はまず初読みの方には付けたことないです。
絵が上手い、子供の描写が健気で可愛くて、成長してからのキャラがまた魅力的、せつなく辛いストーリーで静かだけれど‥うちに秘める熱い登場人物達の心情‥に心臓鷲掴み!!
私好みの黒髪、寡黙なイケメン攻め!(๑´`๑)♡
泣けるほど悲しいけど、ラストの幸せの深さ‥すばらしいストーリー展開!
もう、言うことなし‥
とりあえず他の作品も読んでみようかと思います‥。
またお気に入りの作家さんが増えて嬉しいです(*^^)v
累は幼少期実母に虐待を受けその担当弁護士をした保科家へ養子として迎え入れられた。
お隣で同じ年だった八尋は痩せ細って怯えてる累を「大事にしなきゃ」と幼いながらも守る対象と確信する。
それから8年、「いい子」を貫いてきた累が養母の妊娠により変化し始めるお話。
もぉ語彙力のない私には説明も表現もできないけど・・・尊かった!!
累の心が壊れていくのがとてつもなく切なくて歯がゆくて、
何があろうと累を受け入れると決めてきた八尋に心許し甘える累にも異変が来てもぉ・・・たまらない。
そして何より、累は苦しんでいるけど悪い人は誰も出てこないというのが切なさが増しましたね!
保科夫婦も心から累を愛しているし、それは八尋も分かっているし。
もぉたまらなく心が締め付けられるお話でした!
完璧に作家買いです。
あらすじも読まずに購入して読みましたが、
今まで読んだマキネ先生の作品の中で一番好きです!
幼なじみで高校生の八尋と累が主人公です。
実の親から虐待されていた累は、
弁護した保科家に養子として引き取られました。
保科家のお隣に住む八尋は、幼少期より累と共に過ごし、
ついには身体の関係までもつようになります。
「お前がただ望みさえすれば
俺はきっとなんだってしてやれる」
とにかく、幼児の累が庇護欲をそそるのです!
とても可愛くて弱い……
八尋は塁のことが好きで、何より大切という印象を受けました。
対する塁は、養子である引け目を持っており、
養親から常に必要とされていなければ……
という、強迫観念とも取れる想いを抱えています。
二人はお互いを必要としており、初めから両思いだと思います。
それなのに、八尋から〝俺ら付き合ってみるか?〟
と言われた塁の反応は……拒絶。
常に完璧でないといけない塁にとって、
同性愛は普通から逸脱するものなのです。
自分の気持ちを封印して八尋に終わりを告げる累……
そして、養母のお腹には新しい命が……!
この辺りから累が壊れてしまいます。
実子の誕生で、自分は不要になるのではないかという恐れが累を狂わせていきます。
夢遊病なのかな?
累は無意識のうちに八尋を求めるようになり、
八尋は累を助けるために奔走します。
八尋はものすごくいい男です。
累のためなら何でもしたいと思っていますが、
無償の愛ではなかったと思います。
それは、八尋自身が累から必要とされ、
愛されることを深く望んでいるように思えたからです。
累の養親に、累の気持ちを伝えて橋渡しするのも八尋です。
累は養母に本当の気持ちを伝え、
養母は累の気持ちを正面から受け入れてくれました。
この養親も深い愛をもち、累の味方であったところが良かったです。
全ては、累が受けた虐待の影響なのかな?と思いました。
人の好意や愛情を信じられないところがあったのではないでしょうか……
全てを曝け出した累は八尋と向き合い、
まるでプロポーズのような告白をするので驚きました!
さすがの八尋も悶絶してましたね^^
終始一貫して変わらない八尋に萌えました。
そして、二人の幼少期が可愛くて可愛くて♡
マキネ先生、絵力アップしてますよね!
それに、独特だけど読みやすいコマ割りも好き‼︎
次の作品も作家買いで決まりです!
小さな累の健気さに泣かされました。
暮田先生の描くちびっこが激可愛いので萌えまくりました。
善良な人たちしか出て来ないのに、全体的に仄暗くて不安感が付き纏うお話でした。
なんと言っても幼い時から累を見守り続けている八尋の愛情が切ないです。
累の為だけに存在しているようなそれはそれは深い想いと眼差しに、高校生だと言うことを忘れそうになります。
壊れかけた累に嫌な想像しながら読みましたが、最後は2人幸せそうで良かったです。
欲しいものを欲しいって口に出せるようになった累の可愛いさは最強でした!
初読みでした。
ボロ泣きしました。
幼児期の虐待で周囲にいい子に見えるように振る舞う受けちゃんが
健気でした。
高校生という不安定な時期に養父母に子供ができたのをきっかけに
不安定になってしまうところも、無理なく読めました。
ボロボロ涙を流しながら読んだBL漫画ははじめてです。
タイトルはナゾだったので、手に取るの迷ったんですが
先行くお姉さま方の評価に期待して買って大正解でした。
タイトルはマザーグースのなかの作品のもじり、だそうであとがきに書いてありました。
虐待で保護された累(受け)を幼い頃から見守ってきた八尋(攻め)。
お前が望みさえすれば、なんだってしてやれる
言葉通り、累をずっと守って愛情を注いできました。累も八尋を好きなはずなのに、血の繋がりがない自分を育ててくれた両親に対して良い息子でいなければと道を外れる事を嫌がりセックスはするが想いは通じないという関係でいます。
そんなとき、義母の妊娠が発覚。血の繋がった子供が出来たら自分なんて捨てられるかもしれない、ましてやゲイなんてバレたら・・・と八尋から離れようとします。
しかし、心は八尋を求め八尋こそが自分の居場所であると思っている累は心のバランスを崩してしまう。
本当に二人とも健気で序盤から泣きそうでした。累が自分に自信が持てず、人から見て完璧な人間であればあろうとするほど胸が締め付けられます。義両親もいい人たちで、だからこそ累も葛藤していたのでしょう。
八尋の累に対する深い愛情、優しさに胸を打たれました。
途中、胸が締め付けられしんどかったですが後日談から甘々で最高でした!
買ってよかったです。
『つむぎのさきっぽ』を購入したついでに、レビューを残していなかった暮田作品を読み返しています。
この作品、ちょっと『つむぎのー』に似てたなあ。
大きな病院の次男で、住まいは離れで自由、お金も十分持っている八尋。
楽しく遊ぶ仲間もいるし、好意を寄せてくる女子たちもいる。
何不自由ない暮らしを送る彼にとって、一番大事なのは隣の家に住む塁で…。
いきなりのえろすシーンスタート。
さらにそこに挿入される幼い頃の2人のエピソード。
たった4ページで、6つの台詞で、2つのモノローグで、2人の関係を把握させる導入部に痺れます。
家は隣で幼馴染だけど、学校ではチャラ男と学年トップの優等生。
学年トップを維持し続ける塁の事情が悲しいのです。
出会いは8年前。
弁護士をする保科家の旦那さんが担当した児童虐待事件の被害者だった塁。
子供のできない保科夫婦の養子として迎え入れられて、隣人である八尋に紹介された瞬間から、八尋は塁のために何でもしてあげようと決めた。
親から愛を受けられずに育って、新しい環境で張り詰めていた緊張が同世代の八尋の一言で解ける瞬間。
表現力の凄さに圧倒されます。そしてもう泣ける。
雛の刷り込みのように八尋にくっついて回る塁が可愛い。
そんな塁を幼いながらに大切にしようとする八尋も可愛い。
幼心に八尋の中に生まれた庇護欲が感じられて、お金持ちの子供が暇潰しに新しいおもちゃで遊ぶという感覚じゃないのが良いんです。
学校ではそれぞれ別の世界で過ごして、家に帰ったら…という秘密の共有も、2人だけの特別な絆を感じられて、良いんです。
バランスが取れているように見えていた2人の関係が、崩れる出来事が起きてからの塁が痛々しい!
養母のお腹に宿った小さな命の存在が、累を追い詰めます。
血の繋がった家族の中で、自分だけが異質。
血の繋がった親でさえ愛してくれなかった自分が愛され続けるには、受け入れられ続けるには。
自分が保科家にいて良い理由が不確かだからこそ、確実に、間違いのない状態でいなければならないという塁の切羽詰まった思いに、虐待の恐ろしさを感じます。
塁にとって八尋は、初めて自分がもらえた宝物。
同じ目線で、いろいろなことを教えてくれた大切な友達。
大人は母親のように変わるかもしれない。そんな不安を和らげてくれたのが八尋だったんだろうなあと思うのです。
居場所を守るために学校では優等生を、家でも良い子を演じて、張り詰めた緊張の糸を唯一緩められるのが、八尋と一緒にいる時間だったんだろうなあ、と。
塁にとって八尋は、幼馴染であり、自分を包み込んでくれる安全地帯であり、精神安定剤のような存在だったと読むのは容易いだけに、その八尋の存在こそが自分が保科家にいられなくなる一因になると気付いてしまったのがつらい。
無理を続ければ、体は異常を訴えます。
無理なダイエットで耳鳴りがするとか、睡眠を削り過ぎて貧血になるとか。
そういうシグナルが塁には夢遊病という形で現れてしまう。
意識下ではしっかり抑えられている衝動が、無意識下ではコントロールできない。
この事実を知った塁の選択がまたつらい。
つらいつらい尽くしですが、積み重なった「つらい」の効果で、塁が絞り出すように救いを求めた瞬間に涙腺が崩壊しました。
『マザーグース』から取ったタイトルが秀逸です。
木に括り付けたゆりかごで眠る赤ちゃん。
風が吹けば揺れ、枝が折れたら赤ちゃんごと落ちてしまう。
そんな不安定な状態でも、ママが助けてあげるから、安心しておやすみという内容。
塁にとっての八尋の存在は、まさにこれですよ。
素晴らしすぎる。
重い話が苦手でなければ、読んでみてください。
BLを超えた、2つの魂の呼応に、こころがふわっと軽くなる読後感を味わえます。