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君の命令で、君を抱く。
metro
性的なことを母親から病的なレベルで排除されている高校生が毎朝の通学電車で痴漢男に身体を開発されている、という始まり。
.Bloom「開花」号に載ったのは8ページ目の主人公が電車からホームへ踏み降りようとするコマまでで、主人公がレールから外れて闇に落ちていく未来を想像させるありがちといえばありがちなオチの掌編でした。
それがこんな意外な展開を見せる読み応え抜群のお話になろうとは!!
後ろ暗いエロティシズムと、浄化系の読ませてくれるストーリー、とても好みでした!
ほどよい読み足りなさを残す終わらせ方があとを引きます。
面白かったのは、痴漢された高校生側が関係を持ちかける始まり方。
痴漢から始まるものの、彼等は言わばM主導のSM(ServantとMaster)的で、いたいけな子が大人にいいように搾取されていく嫌悪感のようなものはなく、どちらかと言うと、抑圧され過ぎていた子供が自分を解き放てる場所を得て、心を一気に自立させていく清々しさのようなものが読めます。
母親の歪んだ監視下にいる水葵がはじめて母親に背いた日。バクンバクンと脈を打つ心臓。経験したことがある人になら解るんじゃないでしょうか。自分は生きているんだってことを強烈に実感できるあの感覚。
段階を踏んで少しずつ慣らしながら身体(と心)を開いてもらう水葵はめっちゃエロいです。
迷いながら受け入れていくのがエロいんだろうな。人がどんどん貪欲なっていくエロさというのかな。
身体が貪欲になっていくと、心も次第に貪欲になっていく。自立していく水葵の変化がすごくリアルでした。
忍が水葵に行う憑き物落としのような儀式的行為は、これぞSMセックスの醍醐味と思いました。
その一方で、忍の手の甲から脇下近くまで伸びる大きな傷跡が、こちらもまた何かを抱え、このインモラルな行為で何かを紛らわせているだろうことを容易に想像させるので気が抜けません。
こちらには大人の弱さが詰まっていました。
水葵に痴漢していた理由を「俺の人生を終わらせてくれると期待した」と告白する忍に、想像もしなかった忍の闇深さを知らされて、危うさはこちらにあったか…!となりました。
水葵にとっては憑き物落としだった行為は、忍にとってはそんなつもりは微塵もなくて──だけど忍の期待とは裏腹に、水葵との行為は死んでいた感覚を生き返らせていきます。
味覚、快楽、恐怖、安堵。
子供の“生きている実感”とはまた違う、大人のそれ。死にかけていたものが息を吹き返すような。
んーこれもまたリアルだなぁ。
2人が辿り着いたひとまずのゴールも、何気にとてもリアルかもしれません。
晴れやかなハッピーエンドとは言えないけど、描き下ろしのタイトルは「fine」。悪くはなさそうです。
どんどんエッチになっていくけど心はしっかりと安定していく水葵は、これぞ10代の生命力だなぁって感じがしました。水葵と一緒なら忍もいつか必ず救われるでしょう。
ちなみに本作に登場する「メトロ」、雑誌掲載時は「S駅」が新宿駅だったので私は丸ノ内線だと勝手に思ってるんですが、この丸ノ内線というのは荻窪方面から新宿を過ぎて数駅後の四ツ谷駅で突然ぶわっと地上に出るんです。その後再びすぐに地下に潜り、終点池袋駅に着くまでに地下と地上を何度か行き来する、という不思議な地下鉄でして(東京の地形のせいですが)、丸ノ内線のこの行ったり来たり感がなんだか本作の展開とマッチするなぁと思いながら読みました。(と自信満々に書いて大江戸線だったらすみません(^_^;) でも大江戸線は地下鉄だけどメトロじゃないしね、きっと丸ノ内線のはず)
ところで、2人の名前が【S】hinobu(忍)と【M】izuki(水葵)でSMだなぁと思ったのですが、これは偶然なのかな、敢えてなのかな。
【電子】シーモア版:修正○、カバー下なし、裏表紙なし、電子限定ペーパー(1p)、協力書店ペーパー(1p)付き
ドットブルーム!!!(信頼の雄叫び)
今年、というか今年度のドットブルームはトバしてる。
「あちらこちらぼくら新装版」「マイリトルドギー」「向こうの人」「リンクアンドリング」と来て「メトロ」!!
どれも読み応えがあって、作家の色が完璧に出ている。
レーベルの色より作家の色を優先しているな、と思えるのがこのレーベルで、それが翻ってレーベルの色になっているんだろうなと。
ちるちるユーザーのようなディープ層にも、SNSで情報収集するライト層にも響くような設計の作品ばかりでそれがまた凄い。分かりやすくエロ一辺倒じゃないというか。(念のため言っておきますがエロ一辺倒も大好きです)
あとなんか、レビューしたくなる作品を作るんだよな〜〜まんまとレビューしちゃってるし!!
で、今回のメトロ。
あらすじ諸々はすでに語られまくっているので割愛させていただくとして、何が凄いってこのラストだと思います。
帯にもある通り「君の命令で、君を抱く」というところからの始まりだった二人。けれど最後には、忍が投げ捨てようとした命を水葵が拾って「いらないなら僕がもらう」「僕のために生きろ」と物凄く力強く言うんですよ。
初めての命令の時は、それはほとんど拘束力を持たないただの「懇願」にすら思えたのに、最後の水葵の言葉はしっかりと「命令」だった。
だから忍も観念した…観念「できた」んだと思います。
それほどの幸福を与えられてしまったら最後、惚れるしかないし、お望み通り水葵に命を明け渡すしかないんですよ。
もとより忍には「絶対に許されないことをした」という自身の負い目がある。(水葵がそれを許したとて事実は変わらないし変えてはいけないと思う)
で、普通なら、ここから「先」を描きたくなるものだし、描かせたくなるものだと思う。
もっとイチャイチャラブラブしてほしい!続編欲しい!という気持ちを呼び起こすことを、間違いなく作り手はわかってると思うんです。散々そういう意見って、ほかのタイトルとかでも見てきたと思うし。実際、マジでなんでこの先見せてくれないの!?これからじゃん!?と思う作品だってあるし。
でもこと「メトロ」に関してだけ言えば、私はこの終わりが最高に美しいと思う。もちろん描き下ろしも含めて。むしろ描き下ろしがあって本当の終わりかな……。
改めて、この先二人がどんな人生を歩んでいくか、という未来について、物凄く想像の余地を残してくれている作品だと思います。
作家がその先を描いてしまったら、実質終わってしまう物語を、私たちの想像力に任せて“続かせてくれている”のが本作であるように感じました。
見たいところは余すところなく見せてくれてるしなー。二人の出会いと、濃厚なセックスと、最高にアツい告白と。全部見れた!ありがとう!!
そしてきっと、作り手側も「全部見せた」って思ったからこそ、ここで終わってるんだと思います。あとは皆さんのご想像に任せますよと。
翻ってそれは、「二人の未来はまだ無限に広がっているんですよ」というメッセージとして受け取ることが出来るんですよね。
それってめちゃくちゃ嬉しいことだよなー……
……と思うのはファンの贔屓目かもしれないんですが(笑)。
でも私はそう思えたので、この結末に物凄く満足しているし、それをどうしても伝えたくてレビューしたのでした。
あとこれはちょっと余談ですが、「痴漢」って現実では最悪だけど創作物としては相当キャッチーじゃないですか。でもあらすじでも帯でも一切「痴漢」って言葉を使ってないところに、「それだけじゃないからな!!飛び道具だけで勝負すると思うなよ!!」みたいなレーベルの本気みたいなものを感じました……(笑)
これも想像だしファンの贔屓目なんですが。
なんかそういう、作家や物語に対する「誠実さ」、好きだな!
ということで、次の新刊も楽しみですし、本郷先生のことずっと応援していきたいと改めて思うのでした。既刊の「世田谷シンクロニシティ」もまた別ベクトルで最高なので是非!
チラシで見かけて気になっていたのですが、ちるちるさんで1話まるごとの試し読みができて、これはもう買うしかないとコミックスを購入させていただきました。
「痴漢もの」って言われると、読むか読まないか一瞬迷いがあったのですが、これはほんとに読んでよかった!
素直に面白かったです。
現実的には痴漢から始まる恋愛とか意味わかんないって思っちゃうんですけど、
水葵が耐えていた圧迫感や閉塞感、忍が抱えていた闇、そういうものが偶然合わさり多少の強引さも許容して、関係が始まって深くなっていく。
この2人だからこうやって恋愛が始まるのかもしれないなと、読んでいて納得する思いでした。
そして全編を通して感じる、地下道をひた走る地下鉄の気配…。
たまに明るい地上に出ることもあるあの感じ。
そのまま2人とイメージが重なるようで、なるほどな~~~~と。
メトロっていうタイトルもものすごくしっくり。
こういうのめちゃくちゃ好きです。
絶対山手線とかじゃないよな…環状線だからぐるぐるするけど…なんて考えちゃいましたw
2人はまだしばらくは地下鉄に乗ったままかな~と思いますが、2人なりに幸せになってほしいです。
最後に話がすっ飛びますが、えろも……とってもよかったです…(噛みしめ)
本郷先生は元々一般向けの別作品で知った先生だったので、BL描くんだ!?と思って手に取った一冊でした。
結論から言って、買って良かったです。本当に良かったです。最高でした……。
灼けつくような情と繋がり、ふたりのギリギリを這うような危うい逢瀬が本当になんとも言えないです……。
自分も創作をしたりするのですが、こんな作品が書きたい……と思ってしまった……。
「僕だけのために 苦しみながら生きて下さい」
クライマックスのこちらの台詞が、めちゃくちゃ性癖に刺さりました。
この台詞にグッとくる方は、是非お読みになられた方がいいです。本当に!!
闇を抱えた青年×厳しい母親に抑圧される少年のお話。
痴漢、SM、社会人×高校生、仄暗い雰囲気。決して万人受けする設定ではないかもしれませんが、色んな人に見てもらいたい物語です。
「痴漢」がテーマの本作ですが、される側が可哀想な被害者である一般的な「痴漢」とは異なります。「される側=無知な高校生」の水葵から持ちかけ、彼が主導となって物語は展開していきます。
味覚や感情を失い、終わりを望む大人の忍は変化を求めない。
忍との出会いがきっかけで新しい世界を知った水葵は、日々変化していく。
いつだって切り開くのは無知な少年でした。
最後、どこへも行けるわけないと告げる忍に告げた「1人で降りて楽になるなんて絶対許さない」苦しみながら生きろ、傍にいろという命令の言葉。
仄暗い地下鉄のメトロで始まった歪な関係。彼らはこれからも共に乗車し、共に目的地へと進んでいくのです。
これは、彼等2人の成長の物語です。
エロ成分を大々的に広告していたときは、本郷地下先生の描く物語の雰囲気が壊れてしまわないか怖かったのですが、読んでみるとそんな心配はご無用。
エロだけではない、”本郷地下が紡ぐ物語”が変わらずそこにあり、とても楽しく読めました。
ーーーーーーー感想とネタバレーーーーーーー
電子単話で発売された直後に読んでいたのですが、どうしても紙本が欲しくて購入。描きおろしのためにもコミックス版を読むべきです。
本編内容は単話と変わらないのですが、ページの構成が凝っていて驚きました。
表紙をめくるといきなり本編。短話として最初に雑誌に掲載された数ページのあとに、目次がやってきます。
この構成がまさに地下鉄の少しの間に行われていた冒頭、という印象を強くしてくれます。インモラル。
いつも思うのですが、本郷地下先生のBLは恋だ愛だの単純なものではないと思います。
内包されているものが重くて、ただ「ストーリー性がある」では片づけられない。
読んでいただかなければ、この感じは味わえないと思います。
犯罪行為から始まるBLだけれども、決してそれだけではない物語。エロいだけでもないので、ぜひ読んでいただきたい。
読んだ人にしか味わえないものがあります。
個人的なポイントは、攻めの大きい手と傷、受けの華奢でまるっこい手。
手がかなりの頻度で出てくるので、この対比も楽しめると思います。手フェチの方ぜひに。
本編では、どこか先の暗い共犯関係で終わったように感じます。
でも描きおろしを読むと、2人の未来が決して真っ暗ではないのだと、少しだけですが感じさせてくれます。
最高でした。
痴漢から始まる恋...だけではありません。
受け攻め2人それぞれが抱えた問題が重たくて苦しくて、セックスの描写でやっと息をつけるような緊迫感が漂っています。
黒瀬さんの感情がリアルでした。どれだけ後悔しても起こった事は変えられないし、時の流れは残酷に心の傷を癒していく。水葵が成長していく描写が、足踏みを続ける黒瀬さんと比較されて、より一層辛かったです。
一口でハッピーエンドとは言えない終わり方が、とても好きでした。いつか別れがきても、2人の未来が明るいものでありますように。
消えたい男と、見つけて欲しい青年、二人が依存しあって、それでも好きあっていくお話!
一方通行だった思いがいつの間にか、きちんと交差していてよかった。
えっちもしっかり描かれていて、かつ綺麗でした。
電車内での行為は1話目だけで、触れる程度なので、そこを期待される方向けではないです…。
コミックス描き下ろし部分、そこがあるのとないのとでは、二人の関係性の続きに大きな違いが出るなと思いました。個人的には、描き下ろし部分だいすき!
ネタバレ注意
忍の人物像がとても好みだった。
痴〇する側がこんなに病んでいるとは思ってもいなかったのでびっくりした。
大体こういうことをする側はエロ目的の場合が多いので、とても新鮮だった。
水葵も控えめで大人しかったのに、忍との出会いで良い方向に変化していくのが良かった。
毒親の描き方がリアルでぞっとした。急に改心することなく、ずっと子供を束縛しそうなところがリアル。
水葵視点で物語が進むので、忍の背景や普段の生活などは描写されてないが、彼の人物像がすごく好みなので(大事なことなので2回言います)感覚が戻りかける描写、雷を怖がり水葵がそっと抱きしめてあげるシーンなど、好きなシーンが多かったのであまり気にならなかった。続編があるなら見てみたいが。
あと、最後に押し倒される忍がかわいかった(笑)
あとがきの書き方がおしゃれ。
この1冊でも十分満足だが、続編も読みたい作品。
最後まで尾を引くほの暗さがとても良かった!
ゾクゾクしました。静かに情熱的!落ち着いてるけどハラハラ!すっごく面白かったです( ◠‿◠ )
カラダを攻められながら、攻めるよう強いている受けの水葵くん。カラダを攻めながら、攻めることを強いられている攻めの忍さん。不思議な関係ですが、心の主導権とカラダの主導権を掴んでいるのが違うところが凄く興奮しました(#^.^#)
忍さんの過去、それは栄光と挫折によりボロボロとなって今に至るのですが、そこに胸が痛みました。水葵くんの現在も、息苦しくなるくらいの辛さを感じましたが、それでも、もがくことができるだけ、忍さんより水葵くんのが、光に思えました。忍さんの闇は、深いです。忍さんの闇と向き合う水葵くんのラスト、"これは命令です"、凄まじい熱を感じました。活発なことだけが"熱さ"を表すだけじゃなくて、かえって静かな方が、そのギャップで、より熱さや情熱を感じるんだなって思いました。惚れたよ、私も。
取引による感情のない性行為から、徐々に感情と感覚を取り戻し、表情こそ分かりにくいですが、愛し合うsex。微妙な感情の違いが、言葉の言い回しや、息遣いからも分かり、魅力的でした。
オススメです!