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大人になりきれない男達のエモーショナル・ラブ
shuten wa tokyo
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
まるまる一冊&4年付き合った恋人同士のお話です。
受けは最後の旅行のつもりで攻めを旅行に誘っています。
旅の終わりに別れを切り出すつもりで……。
受けがとにかく臆病で自分勝手で最低なんです。
観光に一切興味がない攻めを部屋に残して散策したときにナンパされたひとり旅の女性と浮気しちゃうし……(勃たずに未遂だけど)
だけど、最低!と斬り捨てられない。
ゲイばれすることを何よりも恐れていて、ゲイである事を完全に認めきれず「フツー」でありたいと思っている受け。
どんどん男の恋人が大切な存在になっていく自分が怖い、だから30を目前にしてすべてを終わらせたいという気持ち。
攻めのことが大切だという気持ちを伝えたこともなく、攻めがどういう思いを抱えているかという事にも気づかない、終始しているのは自分のことだけ。
一人でぐるぐるし続けた末に選んだ「別れ」なんだけど、とにかく独り相撲な恋愛としか言いようがないんです。
「フツー」を失いたくないから別れを決めるのだけど、向き合った末の結論ではなく向き合うのが怖くて逃げ出そうとするというやつ。
でもどうやっても断ち切る事のできない攻めへの思いがちらちらと見え隠れしていて、心は矛盾に満ちているところが切なくて惹き込まれます。
攻めはアツい言葉をささやくタイプでもないし、冷静でどっちかと言えばローテンション系なんだけど、ちょいちょい受けへの愛情が見え隠れするところが萌えます。
露店風呂でメガネ外すと何も見えなくなる攻めが、顔見たさにグイッと近づくんだけど、4年付き合っててもそんなに顔見たくなっちゃうんだぁみたいな。
自分が捨てるくせに捨てられた気分になっていて、自分で選んだとは言え、「別れ」が現実になった時になりふり構わなくなる瞬間がグワッときます。
そして何よりも、受けの浮気やこの旅とともに自分と別れるつもりだということが判っても感情を露わにしなかった攻めが、初めて本当の気持ちをぶつけてきた受けに対して「ん っとにな……ムカツク」とグワッと怒り露わにするところと、その次のセリフに感情が最高に揺さぶられました。
とにかく心情の見せ方が上手いので読んでて感情が揺り動かされちゃうんです。
そして攻めの度量の広さには感服。
受けが拘る「フツー」は攻め自身にはどうでも良いんだけど、拘ってる受けのことを否定するのではなくそういうところも含めて、そして受けの弱さも含めてまるっと受け止めてる感。
「フツー」をOSのアップデートに例えるところもなるほどと思ったし、DLを強要するわけではなく、なんなら一生そのままでもいいと言うところがすごい。
普段基本的に予備知識は入れずに読み始めるのですが、この作品のあらすじは読んでしまっていて、突然の旅行の目的を知った上で読み始めたので新鮮味が失われるかも?と思っていました。けれど、この旅行が何のためのものなのかを理解していても、これ以上ないほど感情を揺さぶられて、2人のやりとりにぐっと引き込まれました。とてもリアルな旅行中の会話だけでここまで魅せる作品を描き上げた、はやりやまい先生の心情描写がお見事でしたね。
最初は攻めの高瀬の方がクズなのかな、と思うんです。旅行に来てもスマホゲームに夢中で、受けの利一を1人で観光に行かせる彼。そういう高瀬に嫌気が差して、利一もこの旅行を思い付いたのだろうか、と。でも、読み進めていくと2人に持つ印象が変わってくるんですね。利一が別れ話に思い至った理由はそこではなくて、世間の目を気にせずにはいられない自分が、一般的な「普通」に合わせることを高瀬に求め、窮屈な思いをさせている関係に終止符を打たなければ、と考えたからなんです。三十路になる節目に。
ゲームばかりしているように見えて、高瀬は利一に様々な気遣いを見せるし、心配もするし、告白した当初とまったく変わらない熱量で愛していることがすごく伝わってくる。一方で利一は、自分で最後の旅行と決めているにも関わらず、周囲の目は気にする、ナンパしてきた女性とデキるか試す、高瀬への隠し事は増える、と恋人としては最低な行為ばかり。しかも、時折高瀬への気持ちが溢れ出して涙したり、自分の方が捨てられるような表情になったりと、未練たらたらにも程があって、余計にタチが悪いんです。
高瀬が利一の思惑に気付かないはずもなく、旅行の目的は途中で共有されてしまいます。そこからの2人のやりとりは本当にもどかしい。勝手に捨てられる側なのだから自分からはどうもできないと一切抗わない高瀬と、終わりに近づくにつれて高瀬への恋しさが増すばかりの利一。利一が決めたことなのだから、彼自身が動かなければこの関係は本当に終わってしまう。そして、彼は動きます。再び高瀬の腕を掴んで愛を告げる。そこで初めて声を荒げた高瀬に泣きました。勝手な恋人に振り回されても、嫌いになれない自分。結局同じ場所に帰ってくるけど、利一もまた世間体を無視できるようになったわけではない。2人とも今までと何が変わったわけでもなく、ただこの旅行で、自分がどうしようもなく相手を好きなこと、相手も自分を愛していることを知った。この終わり方が素晴らしかったです。
『23歳の夏に再会し、25歳の冬に友達から恋人になり、30歳目前』
長野・京都旅行へ行く、東京出発からのお話。
終始、穂村の心情が重い重い重い。暗い。
でも、この穂村の気持ちを1冊の1ページ余すとこなく丁寧に描かれているように感じました。
昔から”普通”を装い続けてきた穂村がゲイであることの痕跡を消すことに神経とがらせていることもわかる描写がある中で、最後の旅館で「部屋(ベッドが一つ)を見てビックリした」と言った高瀬に胸が切なくなりましたね。
描き下ろしで引っ越し業者に関係がバレないようにフェイクのぬいぐるみを置いているのが、ホッコリできた事にとても安心しました。
あー、それでこのカバーの表情なのね、ということが読んでいてじわじわ分かってくる、そんなぐっとくるお話でした。
付き合って長いカップル。受けの穂村はクローゼットゲイで、その葛藤がテーマと言ってもいいと思う。
会社のシーンで始まり、週末は予定があるよ、といって引けるのですが、それは彼女ではなく、彼氏との旅行。
攻めの高瀬が面白いキャラで、ひょうひょうとして醒めているようにみえつつも、物事をしっかり考えていて芯は熱い。でもそれがなかなか見えない。
穂村は、今後の人生を男性パートナーと暮らす決意ができず、高瀬を突き放そうとする。そして旅行に誘う。高瀬には告げないまま、この旅が終わったら、分かれようと決める。
観光が嫌いな高瀬は、旅先でも宿でゲームをしてばかりと、彼氏だったらあり得ん!となりますが、穂村はひとりで高瀬のために写真を取り集めたりしている。
そして、一人で散策に出た際に女性と浮気未遂する。なんとか別れを告げられるよう、自分を高瀬から切り離そうという努力。
高瀬の方も、普段かたくなにゲイを隠そうとする穂村が、よい宿を手配し、ベッドもひとつの部屋をとっていたことをみて、穂村の意図をかぎとる。
いよいよ帰ってきた東京駅。じゃあ、と分かれるけれど、穂村の想いは-
映画のストーリーのような、きちんとした人間ドラマになっていて、読み応えがあったし、切ない気持ちが伝わってきてぐっときました。
はやりやまい先生が好きすぎてしんどい。終盤はだーだー泣きながら読みました。やっぱり先生の作品は琴線に触れまくって鳴らされまくるんです。
お前が俺を愛してることを知ってるから寂しくないけど、"フツー"でいられなくなる自分は怖い。好きで好きで、好きすぎるから先に壊してしまおうって人が好きで、利一の感覚は深く理解できる。このタイプは、ぶち壊してもなお受け入れてくれるか、相手を試して出方を伺うようなタチの悪いのもいるんですが利一はそうではなさそう。少なくとも旅行を始めるまでは、長野までは、別れることに本気だった。
自分も傷つくし相手も傷つくのに、高瀬の言う通り利一は自分のことばっかですね、ほんとに、自分ばっか苦しそうな顔してさー。それでも利一を愛してくれる高瀬は本物だよ。高瀬はそもそも"フツー"なんてどうでもいいけど、利一が大事にしてる"フツー"は一緒に大事にしてくれる。好きだから。
最初は高瀬がモラハラ系かと思いきや、利一はモラハラどころの騒ぎではない奴でした。世間一般で見て。個人的には浮気不問派なので、先述のとおり利一の心情は理解できて愛すべき存在です。高瀬が旅行先でゲームしてるのも全然ありです。同行者がそれを理解して誘ってるならば。
このキャラの作り込みが、明らかにBL漫画的テンプレから外れていて、はやりやまい先生だからこそ生み出せる人物であることが堪らない。ストーリーも同じく。
利一が寝ようとした女性は、彼が"彼女"と来ていると知っているわけで、駅で三つ巴た時には、全てを理解しますよね。"彼女"は"彼氏"で、彼は女と出来なかったのだと。飲みながら何でも言える親友に話したいエピソードだわ。
※電子書籍ひかり 白短冊修正
カバー下、裏表紙無し
限定おまけ漫画2枚 エロやギャグではなくじわっと系
通販で同人誌を購入したので再読。
はやりやまい先生の作品は大好きです。
拗れに拗れた大人の恋愛も大好物です。
今回の作品は『二人の関係を終わらせる旅」というのがテーマ。
ですが…どうあがいても好き同士の二人。
別れる事なんてできないんです。
愛してるのにすれ違うって大人の面倒くささとか素直になれない心情とか、ものすごく丁寧に心に迫る描写で描かれている秀作。
楽しいだけではないけど、こういうのも確かに恋愛で。
東京駅での「愛してる。いっしょにいたい」はもう…反則でしょう。
こんなん泣くしかない。
私はTwitterでこの作品を知り、なんとなく購入したのですが、今まで読んだことのない物語に引き込まれ、何度も読み返しました。
以下、ネタバレ含みます。
この物語は、穂村が高瀬を誘った長野・京都への3泊4日の旅行の旅程のみで構成された異色作。時間経過がたった4日間分しかないのに、その濃密な心理描写が1冊にまとめられています。(最後に後日談もありますが)それに、この旅行、受けである穂村が別れを決意して始まる旅行なんです。
まず、この斬新な設定がすごい。多くの作品では、カップルになるまでの過程が描かれますが、この作品はすでにカップルになっているところから始まります。さらに、受け側が別れを決意し、それを実行するための旅行だなんて、今までに見たことのない設定でした。
別れを決意した理由としては、とてもリアルな理由です。男を愛している自分を肯定的に受け入れられず、人生の過渡期の中のほんの一瞬の出来事であると思い込みたい穂村。実生活の中では、自分に男の恋人がいることがバレることを何よりも恐れ、普通でいることに拘っています。
穂村の恋人で攻めの高瀬は、ゲーマーで内向的な面があるものの、穂村のちょっとした感情の機敏にも焦らずおおらかに受け止められる度量の大きい人です。穂村が、ゲイであることが露見するのを何よりも恐れていることを知っている高瀬は、穂村が自分の存在をなかったかのように扱うことがあっても、絶対に責めたりしないし、否定しない。それほどまでに、穂村を愛しく思っている。
穂村の抱える葛藤はとてもリアル。最初、『普通(異性愛者)でありたい、そのためには、この高瀬との恋愛を終わらせなければいけない』という非常に自己中心的な考えや行動に、あんた自分さえよけりゃ、高瀬の気持ちはどーでもいいんかい!と、穂村を冷めた目で見てましたが、何度も読み返すうちに、そもそも恋愛なんて突き詰めれば自己中心的な欲望の塊だ、という自分なりの真理として理解したとき、穂村の行動も、人間だもんね…と、理解することができました。だからこそ、よりリアルに思えたのかもしれません。
穂村の普通でいることに対する切望は、穂村なりの苦悩の裏返しであり、また、切望すればするほど、自分にとって高瀬がいかに大切で、自分が愛されていて、自分も高瀬を愛しているのか、まざまざと気づいていきます。いや、気づいていたんだけど、旅程が進むにつれ、再認識していった、のほうが正しいのかもしれない。
穂村の普通でありたいことへの願望が描かれるのは、長野旅行中に知り合った女性とホテルへ行った場面です。でも、できなかった。その事にショックを受ける穂村。
さらにその後、京都のホテルで、旅程が進みいよいよ別れが間近に迫っていることに、耐えられなくなってきたところで、今までの高瀬とのことを思い出して感傷に苛まれ涙が止まらなくなる。
すでに様子がおかしいことを察知していた高瀬は、穂村が女性とのセックスができなかったことで、『浮気していない』自分を正当化し、かつ、できなかったことにショックを受けており、自分と別れたがっている理由まで、すべてを見通している。この京都の夜の高瀬が本当にめちゃめちゃ優しくてかっこいいんです。高瀬が穂村を本当に心から好きだという気持ちが伝わります。
この、長野から京都までの穂村と高瀬の心理描写が秀逸で圧巻。穂村の普通への切望と高瀬への未練、高瀬の洞察力と穂村に対する揺るがない愛について、セリフ一言一言にその心理描写が反映され、胸がズキズキ痛み、苦しいほどです。
京都2日目の朝、高瀬がスマホを取りに戻ってきたあと、一緒にシャワーを浴びる場面では、泣きはらした穂村と淡々と話す高瀬とのやり取り、高瀬が一瞬キスをするシーンに、胸がズキズキしっぱなし。苦しすぎます。
新幹線が東京駅に着き、いよいよ自分の目の前から遠ざかろうとしたその時。穂村はついに、高瀬を愛していることを自認し、普通じゃなくても、それを受け入れて行くことを決意し、その思いを高瀬に伝えます。それを涙して受け止める高瀬。高瀬、すごい。とにかく、高瀬の男気がめちゃめちゃかっこいいです。
後日談では、高瀬の家に引っ越し、同棲を始めた話なのですが、引っ越しの際にも同性同士の同居と引っ越し業者の人にバレないよう、引っ越し作業中、高瀬に外出するよう頼んだ穂村。高瀬への罪悪感はあるのだけど、穂村の抱える苦悩というのは一概に解消はできない。この描写、とってもリアルです。でも、高瀬はそんな小さなことは気にしていない。そのまんまの穂村を受け止めているし、高瀬にとっては二人でいられることが何より大切だから、そんなことは気にもならない。まるごと受け止める高瀬の男っぷりが、またまたかっこいい。
長々レビューしてしまいましたが、このたった4日間の心の機敏をここまで繊細に描いて1冊の物語としてまとめられた作者様の手腕に脱帽の一言です。
作家買いです、今作も先生の世界観が出ていて良かったです…
今作は、恋人関係に終止符を打つために攻と最後の旅行に行く受のお話でした。
読む前の時点で、内容が重いと思いましたが、読んでも正直重かったです…でもその重さが良くて、その重さの表現が流石でした…とても素晴らしかったです…
正直な感想はというと、攻も受も良い意味で読んでいて気持ちのいいキャラではありませんでした。でもそこがリアルというか…それでも惹かれあったこの2人には、お互いにしかわからない魅力があるんだろうし、ちゃんと好き合ってるからこその関係であり、今があるんだろうなとも思えました。だから散々すれ違いを見せてもう終わりだと2人ともわかっていても、でもやっぱり離れがたいという答えが確かにお互いの中にあるんだということをきちんと伝え合えた最後のシーンは本当に安堵しました…もしあそこで本当に終わっていたら2人の今後はどうなっていたのだろうか、と考えると凄く切なくなってしまいだめですね…あの終わり方で最高に良かったです!
本物の不器用と不器用の本物の愛、という感じで色々考えされられる素敵な作品でした!!!!!
単館上映の映画のようでした。
静かに始まり、徐々に熱を帯びていきます。
時系列の切り替わりなどもそれっぽかったです。
23歳で再会し、25歳で恋人になった高校の同級生た2人の物語。
穂村は、来年には30歳だし別れるにはいい機会だと思い別れを告げる前に高瀬を旅行に誘う。
旅の最後に別れるつもりだったが、様子が変だと高瀬に悟られます。
穂村はいわゆる''普通"にこだわっていて、高校生の時から男の先生が好きだったのに女子と付き合っていたり、旅行中のシーツの乱れ具合を隠す事にも抜かりがないようなヤツです。
旅行中に女性に逆ナンされてホテルにまで行っちゃうヤツです。
高瀬の事が大切になりすぎて怖いとか言っちゃうヤツです。
挙げれば挙げるほど面倒臭いし、割とヒドイ。
ホント面倒くさくて、振り回される穂村が可哀想になるくらいなのですが、こういう拗らせ嫌いじゃない。やっぱり同性同士の葛藤であれこれ考え過ぎちゃう展開はハマる時はハマります。
旅が終わりに近づくにつれて、別れが名残りおしくなる穂村。
終点の東京で愛の告白ですよ。
呆れられて振られてもおかしくないかもと思ってたので気が気ではありませんでした。
自分一人で別れを決めて、それでいて愛してるなどと言う。なんて自分勝手な…と思われても仕方ないと思います。
それでも高瀬は別れを選ばなかった。
高瀬の目に涙が浮かんでるところで不覚にももらい泣きでした。
穂村の事、好きなんだなぁって伝わってきました。
描き下ろしで高瀬の部屋に穂村が引っ越すのですが、ここでも穂村のめんどくささ炸裂でした。
この期に及んで引越し業者が来てる間は高瀬に外出させたり、女性と住んでるかのようにぬいぐるみでカモフラージュw
ここまでくるともう逆に面白い。