「私をSEXが出来る身体にしてください」

夜の落下

yoru no rakka

夜の落下
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神64
  • 萌×235
  • 萌19
  • 中立7
  • しゅみじゃない6

--

レビュー数
19
得点
524
評価数
131
平均
4.1 / 5
神率
48.9%
著者
麻生ミツ晃 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
海王社
レーベル
GUSH COMICS
発売日
価格
¥675(税抜)  
ISBN
9784796412377

あらすじ

大学生の多田氷室は企業で長期研修生として勤める一方、
ゲイ向けのデリヘルでバイトをしている。
ある夜ホテルで待っていたのは、目隠しをした上司の九鬼だった。
社内では優しく紳士と評判の九鬼が告げたのは、淫らで切実な願い。
自慰すらしたことがないという九鬼が
震えながら自分の言いなりに乱れる姿は、氷室の嗜虐心を煽った。
決して目隠しを取らない九鬼は酷く快楽を植え付ける男が氷室と知らないまま、
不埒な逢瀬は続き――。

表題作夜の落下

多田氷室,ゲイ向けのデリヘルでバイトをしている
九鬼誉,氷室がインターンで働く会社の上司

同時収録作品やがて、恋になる

静河和志,津坂と同じ大学の学生
津坂真澄,理工学部の院生

その他の収録作品

  • bonus track 魚の話
  • bonus track 夜の落下
  • カバー下マンガ

レビュー投稿数19

とても丁寧な心理描写

表題作ともう1編の2部構成

どちらの作品も自身のセクシャリティに悩み、苦悩し「正論」の重みに苛まれる痛さが伝わる丁寧でそして胸がきゅっと切なくなる描写に吸い込まれる作品です

表題作の「夜の落下」は性に対して極端な嫌悪感を抱く受けの九鬼さんがデリヘルキャストのヒロによって導かれていく話
特に九鬼さんの背景や変化の心理描写は丁寧で九鬼さんがヒロとの夜に落ちていくように私もこの2人の世界に落ちていく感覚で読みました

とても官能的な表現も多く惹き込まれる話です
この作品ならではの空気感や雰囲気も確立されており魅了される作品

ボーナストラック「魚の話」で攻めのヒロこと氷室の幼少期が描かれておりますが彼の抱える葛藤の全容は感じ取れずでしたが「何か」がある事は伝わります
この掘り下げが出来るだけの豊かな感受性が私にも欲しかった、、、
残念ながら凡庸な私にはイマイチここが見えて来なかったのは残念(自分が…w)

もう1作品の「やがて、恋になる」は大学の先輩と後輩のお話し
性自認に悩んで来た堅物な先輩と既に自身を受け入れている家庭環境が不安定な後輩の交流
こちらは2人それぞれの抱える重荷をそれぞれの存在が居る事で気付き、そして解放されていくというとても素敵なBLストーリー
2012年の作品のようなので多少古さの感じる絵などはありますが逆に「想いは普遍」という事にも気付かせてもらえるお話しでした

どちらの作品もタイトルも素敵だしキャラ描写が丁寧な良作です
作風的にコレが正解‼なので全く不満は無いのですが、好みの問題で糖度がもう少しあって欲しかった…という点とお話しはすっごくすっごく好きなのですがなぜかキャラ自体に萌え切れなかった…多分萌えの対象にしちゃダメな感じがなぜかする位のキャラの掘り下げが響いたのかも知れない…という複雑な気持ちが残っているので自身の楽しみ方としての違いという極々主観的判断で神寄りの萌2です

0

面白いけど個人差があると思う

ストーリーも結構作り込まれていて,その短さに多少驚く程に深い話でした。
ただ,うまいストーリーの割には結構分かりづらい
表現,話でした。理解はできますが,サラッと読めないので読んでいて眠くなりました。
あと,良い意味でも悪い意味でも 試し読みで読める数ページの内容からは全然想像していなかった話でした。 個人的には期待していた展開と違っていたのが残念でしたが,展開が読めるようなサラサラストーリーよりかはぜんっぜん良かったです。

0

表題作で1冊読みたかった

タイトルがいいですね。
表題作の2人でまるまる1冊読みたかったです。
1巻完結モノでも、くっつくまでのお話が多く、そこから先が見たい〜となることが多くて長編好きなもので。

九鬼の表情や体の描き方が淫靡ですね。
禁止されていたことに対する罪悪感や背徳感含め。
体だけでなく精神的にもエロい(脳で感じるものですしね)
それでも下品にならないところが麻生先生の好きなところです。

最初からあった違和感というのが、もっと意外性のあるものかと思ったのですが、そうでもなく少々拍子抜けしました。

それでも、特に理由は説明できなくても惹かれ合ってしまう2人がよかったです。

先生の言葉「人と心を通わせるって難しい…」がとてもよく伝わりました。
こういうテーマって、ぐるぐるじりじりして私はめんどくさくなることが多いのですが、そこはさすが麻生先生、見せ方がお上手なので全くそんなことはなく楽しく読めました。

もう1作は、表題作と対照的な雰囲気のお話。
麻生先生にしては、文字量が多いような気がしました。

0

2作品収録されてますが「夜の落下」が好きすぎました。

2作品が収録されていますが、表題作の「夜の落下」が凄く好きで何度も読み返しました。

「夜の落下」
前半が攻め視点、後半から受け視点ですが、胸を締め付けられるほど切なくて、主人公2人の相手を思う気持ちの深さに感動しました。
とても良いお話に巡り合う事ができたと思います。おすすめです。

「やがて、恋になる」
大学生ワンコ攻め×大学院生クールで素直じゃない受け。恋に至るまでの微妙な心の揺れや迷い、お互いの家庭の事情が複雑なのですが、その心理描写の機微が上手くて引き込まれる作品でした。

1

快楽から堕ちる恋

この本は
『夜の落下』
デリヘルSキャスト×性嫌悪症のサラリーマン
『やがて恋になる』
貧血発作持ちの大学生×石頭の仏頂面大学院生

の2作品が収録されています。

まず、表題作である『夜の落下』の表紙カバー絵が大変艶かしい。
着衣を身に付けず黒のレースで目だけを覆われた姿の九鬼とその背後で九鬼の目を覆うレースに触れて寄り添うようにいる氷室。
表紙だけで作品の内容と二人の関係性を窺い知る事が出来る、艶かしいだけでなく、秀逸な表紙カバー絵です。

『夜の落下』は、その中身についても、とてもセンセーショナルです。
++++++++++
ゲイ向けのデリヘルでバイトをする大学生の氷室をホテルで待っていたのはインターン先の優しく紳士と評判の上司・九鬼。
目隠しをした彼に『私をSEXが出来る身体にしてください。』と淫らで切実な願いを告げられるも、彼は自慰すらした事もなければ隠語も口に出来ず、インターン先の上司という事を除いてもとても厄介な客だった。
彼の義理の母親が敬虔なクリスチャンで性的なものの一切を断絶された結果、歪な性を形づくる事になったようで、罪悪感に震えながらも自分の言いなりに乱れる姿は氷室の嗜虐心を煽り、密やかな逢瀬を続けていく──
++++++++++
背徳感てんこ盛りのようなこの世界観が堪らなかったです。
最後に。注意書きになりますが、ギャグボール・ダッチワイフ・首絞めというアブノーマルよりのものも含まれる為、苦手な方もいるかもしれません。

私はIQ低くなるくらい好きでした。
❝SEXは究極のコミュニケーション❞という一節も頼もし過ぎて一生ついて行きたくなりますね。







2

最終的には可愛い年下

「リバース」より前、「きっと、幸せな結末」と同時発売だったのですね!麻生先生は絵柄が確立してる。ほくろキャラ好きもいつもの如し。

◾︎夜の落下
麻生先生は、ドラマチックな演出をためらわず繰り出してくる先生ってイメージです。そしてキャラクターよりストーリーにパワーバランスはフラれているイメージ。漫画だけど小説っぽい。今回もそれでした。物語序盤のプレイ(九鬼にとってさプレイなんて楽しいものではないが)が激しくて、後半なくなってしまったのがちょっと残念。物語の簡潔に必須の"2人の関係性の変化"故になくなったのだけれど。演出全てがドラマチックでした。

◾︎やがて、恋になる
こちらもドラマチックね…
タイプこそ違えど真っ直ぐな2人で、若々しくも描けそうなものだけど、麻生先生ゆえに老成した雰囲気が漂う。違う作家さんが全く同じストーリーを描いたらすごく可愛い作品になりそうな。

萌〜萌2

0

何のSになるのか

表題作と、2話構成の短編が収録されています。

「夜の落下」
実母の再婚からの死亡、その後、養父の再婚で血の繋がらない両親に育てられた、敬虔なクリスチャンの九鬼。
出張ホストのバイトをする大学生の多田。
およそ交わりようのない2人が、長期インターンという昼の場と、出張ホストと客という夜の場で交じり合う、という話です。
血が繋がらないからこそ、養母の期待に応えたくて、見放されたくない一心で、「理想の息子」を演じてきた九鬼が、多田の手で少しずつ、自分の望みを持つようになって、欲しいものを欲しいと言えるようになるまでの過程がつぶさに描かれていました。

読みどころが2つあって、それぞれに印象的な台詞がありました。
一つ目は、
「Sと言ってもサービスのSから、いろいろある。多田は何のSになるのか」
という台詞。
多田のたどり着いたSの形。
これは是非とも読んで体感してほしい!
もうひとつは、多田が九鬼に言う
「あんた、一回死になよ。それでもう一度生まれ変わって、本当の自分になりなよ」
というもの。
この2つの台詞が秀逸すぎて。
自分の殻を破って、本当に欲しいものを手に入れる九鬼の葛藤と、ただ見守る多田の懐の大きさが素敵でした。

「やがて、恋になる」
堅物な院生と、明け透けな大学生の話。
こちらも一癖も二癖もある相手の心を解き解そうとするストーリーでした。
心の動きがしっかりと描き込まれているので読み応えがありました。

「表題作 描き下ろし」
本編で多田が手首につけていたゴムの話でした。
手首に輪ゴムはアンガーマネジメントで有名なので、絶対に訳ありなのに本編でその件に深く触れなかったのはなぜ?と思っていましたが、ここで明らかに。
トラウマ的感情を拗らせていたのは九鬼だけじゃなく、多田もだったんだなと、しみじみ2人が深い部分で分かり合えたことが嬉しくなる描き下ろしでした。

0

同時収録作推し

2作品収録。

「夜の落下」
麻生ミツ晃先生、と聞いて私がパッと思い描く、シリアスでヒリヒリする、というイメージそのもののような作品だと感じた。
何か性に対して非常に重いトラウマなのか、禁忌なのか、怖れなのかを持っている1人の男。
彼がセックスできるようになりたい、とゲイデリヘルを利用する…
目隠しをして、手足を縛って。
もはや異常ですよね。
そして果てしなく痛々しくてつらい。
彼は宗教がらみの純潔感や母の呪縛に苦しんでいたわけだけど、まあ……この展開から結末までは予想できたかなぁ…
逆に彼の苦しみはちょっと過剰すぎるように感じてしまいました。
性のダブルスタンダード的な問題は、いつだって普通に人々が苦しんでいる問題だと思う。

「やがて恋になる」
スクエアで融通の利かない堅物な大学院生の津坂。
はじめは苦手に思っていたけど次第に惹かれていく大学1年生の静河。
決定的になるのは、津坂が義兄に密かに想いを抱いていて、しかもそれを受け入れてない事に静河が気付く事。
ただ…頑なな津坂が静河へのバリアを外すきっかけが静河の持病だというのが少し引っかかる。ドラマ過剰というかリアリティが無くなった感じなんだけど、ともかく2人がうまくいってよかった。ほっとしました。
ガチガチに固まってた津坂のためにも、本当はいつも心も体も傷ついていた静河のためにも。
しかし、この静河の病気は大丈夫なんでしょうか?命の危険は無いの?心配です。

2

印象深い二組の恋物語

二作品の二組の恋物語。

恋物語と書くと、
ついほわほわらぶらぶな感じを想像しますが、
どちらもキリッとした痛みを感じるお話です。
特に前半の二人は、精神的にも肉体的にもちょっと痛い。

ここに出てくる四人、
皆一人一人それぞれに痛みや悩みを抱えていて、
恋愛も一筋縄ではいかない。

しかし、痛みや悩みが深く大きい程、
それぞれの想いが成就された時の幸福感は
とてもとても大きい!
そして満たされる!

全くの蛇足ですが、私も津坂くんと同じように、
信号無視とか出来ないタイプなので、
あの感じよく分かります。
融通きかなくて鬱陶しがられるタイプ。

私は麻生さんのストーリーメイキングに惚れ込んでおりますが、
そのストーリーもキャラクターの表情も基本暗めなので、
ダメな方はダメかも。
しかし、だからこそその表情が笑顔に変わり、
幸せそうに微笑む様子には
読んでいる方も思い切り満たされますv

テーマが重いですが、分かり味も深い。
読後の安心感に、評価は「神」で!

0

最初のページから最後のページまで最高でした。

作家買いです。
麻生ミツ晃先生のストーリーは本当に外れがない。
同時収録も含めてよかったです。


最初から最後まで名場面、名台詞だらけでした。
その中からひとつあげるとしたら...
「怖いですね、でも立派だ」という九鬼の母に対する氷室の言葉がすごくはっとさせられました。
自分を「欠けた大人になってしまった」という九鬼が痛々しくて...九鬼に感情移入すると、どうしても母が悪者に思えるんです。
でも氷室は、頭ごなしに九鬼の母を批判したりしない。敬虔なクリスチャンだからといって、毛嫌いもしない。
実は子どもっぽい面があるキャラクターとして描かれている氷室ですが、自分と違う考え(しかも狭義である)を持つ九鬼の母を認められる彼は人として器が大きいと感じました。
そんな氷室だからこそ、九鬼の枷を解いてあげられたんじゃないかな。
Sなくせに、肝心な場面で九鬼にかける言葉すべてが本当に温かかったもん。
「あんた...一回死になよ」って、いったいどんな声色で言ったんでしょうね。
文字だけでも、九鬼の幸せを願う、切実な氷室の気持ちを痛いほど感じる。


ボーナストラックの「魚の話」もよかったです。
氷室の幼少期が描かれています。
愛を囁くシーンは無いのに、氷室がどれだけ九鬼を大切に思っているかがめちゃくちゃ伝わってきます。

2

この作品が収納されている本棚

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