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futtara doshaburi
雨の音から始まる、重々しくじっとりとしたイメージから、主役二人それぞれの物語が表現されて、少し交差し。また一気に絡まりほつれ結びついていく。
毎回一穂ミチ先生の作品は読み始めにドキドキワクワクさせられるのですが、このお話は特にじっとりとした湿度を感じさせられ一瞬辛いのですが、読後はめちゃくちゃ良かったです。
印象に残っている、タワマンに住む先輩の表現もねっとりとしていて、ある種理解できてしまうし、でもこの気持ち悪さの表現が非常にしっくりくる。読んでいて一顕の彼女が変なのではと思わされるけれど、別れる時の勇ましさと勢いは全く嫌じゃなく清々しさも感じられました。
整も見かけと違うだらしなさ加減が魅力あって、大変好きです。それぞれが別々に生きてきた過去(元恋人など)を受け止めながら、一緒に生きていくというところもすごく腑に落ちて好きな部分です。
それぞれの気持ちに痛いほど引っ張られてしまって何度も何度も胸が苦しくなるくらい、
どっぷりと浸り、入り込ませてくれる作品でした。
うーん、すごい。本当に素晴らしかったです。
一通の間違いメールをキッカケに人生が変わってしまった主人公ふたり。と、それぞれの相手。
なんだか非現実的なようでいて、実はそんなことないのかもしれない…と、思ってしまうような。
男女の、そして同性同士のやり取りの数々に
ハッと息を呑んでしまう部分がいくつもありました。
セックスに対する考え方や挑む姿勢は男女ではだいぶ違いがあるけれども、それを面と向かって聞くのはなかなか勇気が要ることです。
でも結婚を考えているのなら、そこから目を背けていては前に進めないのもわかっていたと思います。
セックスレスになるキッカケそのものがないなら、尚更。
お互いがそこから逃げずに話し合うことができていれば、一顕にもかおりにも違う人生の選択があったのでしょうね。
ずっと近くにいたのにお互いの深くまでを探ろうとしなかった整と和章も、もっと早くにぶつかっていれば離れることなく居られたのかもしれません。
でもそれは、すべてが"過去になった"から気付けたこと。
皮肉なようだけれど、それもまた現実で。
誰も悪くなくて、みんな悪い。みたいな、
どの道へ進むこともできた彼らだからこそ
背負っていくものなのかなと感じました。
実写ドラマ化の記事にあったあらすじに惹かれて購入しましたが、本当に読んでよかった…!
以降のシリーズも読むのが楽しみです。
登場人物たちの行動1つ1つや心情描写、セリフ、会話の掛け合いに至るまで引き込まれる世界観は圧巻。
日常の現代物ですが、気持ちを激しく掻き立てられる物語の情景にただただ魅入られました。
セックスレス、セックス拒否。
昨今取り沙汰されているこの重苦しいテーマを、BLに絡めてどんどんストーリーを展開していくストーリーで、好きな人と身体を重ねられないもどかしさ、苦しみのシーン展開がとにかく巧いです。
BLのBにも引っかからないような同期2人がとある間違いメールから親睦を深め、お互いのパートナーとの間に生じている悩みを共有しつつ……ついにはの流れに移行していく読み応えはすごかった。気持ちはない、けど身体が体温を求めてる興奮や昂りのシーンは息をするのも忘れてしまうほどでした。
一度だけセックスしたら終わりの関係が、お互いに離れ難くなって二度三度と貪り合う。セックスしてもシ足りないのは、それまでセックスできていなかった欲望が解放されたからではありません。
最初のセックスのときまでは、お互いに気持ちはパートナーにあったと思う。けど、そのあとは完全に目の前の相手にだけ心も身体も向けられていました。
この夜をキッカケに、2人の関係や気持ちが一気に変化したのは言うまでもなくです。多分それは今に始まったことではなくて、メールを通じて親交を深めていったことだったり、弱音を吐露できる…ということの延長線上にあったと思う。
キッカケがなくとも、遅かれ早かれこうなっていたでしょう。萩原も整も心がだいぶ疲弊していましたし、2人が求め合うのも時間の問題だったのではと感じました。
私は女なので、萩原とその彼女・かおりのことについては特に気になるところでした。赤裸々に語られる萩原とかおりの話は読み応えの塊です。
なぜセックスしないのか。萩原を愛していないのか。何か事情があるのか。読みながらこんなことを考えていました。
かおりの女先輩の口から語られたことには驚きでしたが、かおりは自分の望む生活スタイル、未来像のために萩原をコントロールしていたかっただけの女性だったのだなと…。
萩原を好きとは言うけど、これじゃあ飼い殺しじゃないかと傲慢な彼女に怒りさえ湧きました。かおりの先輩が、彼女を嫌いと言うのも納得でしたし、萩原のことを本当に愛していたのなら、解放してあげるべきでした。
セックスは2人でする行為ですが、一方はシたい。でも一方はシたくないの意見が分かれてしまうと、多くはシたくない方の気持ちが優先されてしまいます。
その不公平さに、パートナー間で向き合うこと、話し合うことが大事なのに、センシティブな話題なだけに深く切り込めない曖昧なやりとりにずっとモヤモヤでした。このモヤモヤもですね、モヤモヤさせる一穂先生の文字運びが上手いからなんですよね。
すごく絶妙なとこ突いてくるわぁ〜っていうアプローチや、あぁ分かるーっていう細やかな描写がお見事でした。
2人が惹かれ合っていく流れがとにかく自然で、切なくて痛くて苦しいけど、すごくリアリティがあってこの世界に没入でした。
エンディングの読後感はスッキリ。清々しい気持ちでいっぱいでした。
新しいスタートに向けて萩原と整の時間をここから作り上げていって欲しいと願うばかりです。
長雨を思わせる文章に、ちょうど滴る雫のような感覚で、フっと作品の世界へ誘われました。
雨が年月を経て石を穿つように、小さな小さな積み重ねが不可逆的な変化をもたらし続け、やがて俯瞰した時にはもうどうすることもできなくなっている。
愛と性に翻弄されるふたり。
一つの共通点から始まった関係の先で何を失い、また、何を得るのか。
見届けた後のこの気持ちが表現できないのがもどかしいです。
一穂先生の表現力には毎回驚かされます。
今作は特に女性キャラの描写が物凄かったです。
恐ろしさすら感じました。
同棲で良かったなと、とりあえず本当そう思った
かおりのビンタする図々しさと、頭撫でたりセクハラを躱すみたいに扱って一顕をなめてるところ絶妙だった
かおりは本当同棲なんかしてバカだなって感じ
セックスをしないで暮らせたら一番いいのにって思っちゃうのは理解できるんだ
デートでするのは良いんだけど、生活には要らないんだよね、解る
一顕が好きで結婚して子供を持ちたかったのなら同棲はダメ
結婚して子を設けて、自分の親と同じ道たどって被害者ぶるしかなかっただろうに
一顕からしたら同棲で良かった
てか、優しい人すぎる
結婚してないのに1年も拒否されながら怒りをためたり憎んだりせず将来も考えるって、こんな良い人いない
半井はこっちの一顕とやっていくことになったの最高だ
でも、パートナーと夜は恋人でいたいのであれば食事の用意みたいな家事を一手にさせてるのはおかしいとも思う
お母さんの部分を担わせて恋人でもいて欲しいってのは一人の人にかける期待として大きいんじゃないかな
かおりは勝手にそうしてたのだろうけれど、飲んだビールの缶の片付けまで自ら引き受けてた
お世話する対象として一顕を見てたら性的には見られなくなるの当たり前な気がする
半井の方のは気の毒なことでどうなればよかった誰が悪いとかとは考えられないけれど、単純に和章の性格がちょっとモラっけがある?つぅか、クリエイター気質ってことなのか、気難しいよね
ずっと一緒にいたいけど性的な欲求には応えないんなら外でしてくるのは一つの正解にしか見えないのにあんなふうになったりして
かおりはメールを辿って美術館のとこで「え〜!?」てなっただろうか
そこはなったんだろうな
でもメールのやり取りで、自分にはその気がないのに性的に狙われていたらキツいみたいなことを一顕が書いているのとかあったし、1度「やらせるやらせない」みたいな言葉使ったことはあったけれど、全般通して敬意のない蔑みみたいなのはなかったのが一時的には良くて、将来的には苦しくなるような気がする
かおりを嫌悪している先輩が意地悪することで読んでる側の苛立ちを消化してくれるのね
自分は悩むことにすら罪悪感持ったりしてたのにかおりはあんなふうに他人に話してる
犬みたいに与えられるのを待つものだと思われている
暗雲が厚く厚くなっていく
降り出してからの勢いたるやすごい!降り始めまでこんなに長かったのに止められず読んだ読んだ
とてもとても面白かった
タイトルは一個人の感想なので、多目に見て欲しいのですが。
この作品は、一穂先生の、バッチリハマった!の方ではなく、ああ言いたいことは伝わってくるけど完全にはハマれない悲しい…みたいな方の作品で、私の中ではちょっと長い、読むの苦しい、みたいな気持ちで読み終えました。
とは言え、内容的には実に繊細で一穂先生らしいリアルさがありましたし、色んな人が読んでるので、こんな感想もありかなと思って読んでもらえたらと思います。
さて、乗り切れなかった理由の1つに、セックスについての話題が生々しすぎて辛かった、というのがあります。
うーん、皆が皆、言いたいことはすごく伝わってくるんですけど、内容がリアルすぎて乗り切れなかったんです。
一穂先生は、リアルな感情を文学的な文章でとても繊細に伝えられる天才だと思うんですが、今回はリアルさが勝ってしまった感じでした。
作中出てくるかおりとその先輩女性にしても、かおりのセックスレスに対する言い分はわかるけれど、先輩に対しての配慮は滅茶苦茶欠けてるし、人としてとうなんだ…と思わずにはいられない。
なんとなくですが…駄目なもの、苦手なものは理解しようとするんじゃなく、突っぱねて見ないふりして生きてきた、みたいなのが伝わってきました。(悪口みたいになっちゃうな…)いや、それもかおりという人間性なんですよね。そういう人だって居るよね…
けれど先輩とのやり取りは軽い冗談めいた口調だったせいもあり、実際目の当たりにしたら、人って単純にこんな風にボタンをかけ違えて憎まれたり狂ったり壊れたりするんだろうな、とも思えて、人の醜さとかが表に立ってしまって恐ろしくなってしまいました。(先生の文章を書く力量的にはそこが素晴らしいところなんでしょうね…難しい)
また、整と一顕が、わりあい最後の最後まで、どこでどういう風に感情が変化していったのかちょっと感じ取れなくて、途中途中で、文章の中で、「今、気持ちが揺らぎましたよ」みたいな説明に読めてしまう部分があったので、そこはヤキモキしてしまった部分でもありました。
とは言え、一顕の、実直さとか誠実さ、弱さはとっても好印象。普通の人らしい(言い方が難しいですけれど)健全さは好感が持てました。
「車に轢かれて」と軽々しく言った俺に腹を立てた。
という作中での部分。
そこに気づける一顕は多分、他人に優しくしなくちゃ、と思わなくても自然とできる優しい人だと思うし、そういう日向の人らしい部分に整は掬いあげられたんだと思います。
作中の、「半井さんとセックスしたい」のシーンも、お互い好きという恋愛感情ではなくて、その言葉って、俗物的ですけれど、心底救いを求めてるSOSのように感じられて、一顕は自分がそれを整に求めているのにも本能的に気づいているし、整も一顕を救いたいって思ってるのが伝わってきて、一瞬、「うん?いましちゃう?」とも取れるシーンかと思うんですが、私の中では違和感なくすんなり入ってきました。
頭では理解してないけど、感情や心は元いた居場所の相手ではなく、お互いをもう新しく求めてるって気づいてる。そんな絆が見える一言だったと思います。
そして、和章。
苦手だと言われる方が多いんですねぇ。なんとなくわかる。わかるんですけど、私は好き…
この人意味わかんない。だからこそ一穂先生に丸裸にされた部分を読みたい。理解したい。みたいな気持ちになってしまいました。
という事でナイトガーデン読みます。
萌えはあんまりないけど、一穂先生のお話はいつでもどれを読んでも心が持ってかれてしまって、疲れるのに虜になってしまう。そんな吸引力が凄まじいですね。出会えて良かった。
心理描写、風景描写、セリフなんかも文芸作品色濃いめな雰囲気で好きでした。
お互い名前も知らないままのメールのやり取りから始まり、気持ちは少しずつ近づいていく、日常の変化も小さくでも確実に積み重なっていく。じりじり感に少々じれったく思いはじめた頃合いで、ある事件を境に急速に近づき物語が激しく展開していくという、、この急にくるスピード感がとってもドラマティックですっごくドキドキしました。
苦しくなるくらい切ないエピソードもあり、感情揺さぶられっぱなしで、しばらく頭から離れなそうです。絶対また読み返すと思います。
メールのやり取りのお話しは大好物です。
特に相手がわからない場合は特に。
ユーガッターメールやハルなど映画でも萌えたくちです。
見せ場は見知らぬメール相手が知り合いだと気づくシーンですねー。
営業一顕と総務の整。
一顕が整相手に同期で、少し生まれが早いだけなのに敬語で話のが気になりました。
浮気の話は苦手なのに両方の主人公の相手がなんだかなと、思う人たちでした。
主人公目線だと浮気されてもしょうがないんじゃない?と思えるようになっていたので、ストレスなく続きが気になって一気読みです。
お話しも面白いし、キャラも良いし、本当良かった。
メールのやり取りを確認したくて、もう一回読み直し決定です。
この本は何回も読むんだろうな〜
大人同士の重くドロドロした内容を、主人公二人の心持ちと雨、一穂先生の文章が優しい人格の作品に仕立てていて、こういった題材はBLでも一般小説でも手を出して来なかったので読めてよかったです。
レスの原因について、最後に女性側の気持ちが聞けて当然のように納得したし、登場人物どの人も性について考えさせるスパイスになっている。受け入れた時の平井の萩原への言葉はそれだけで萩原は救われて生きていけるんじゃないかと思える位グッとくる。
「スモールワールズ」から一穂さんの作品を読みましたが、BL初心者の大人にもこちらを推したいです。
細かすぎる心理描写が、共感深まりすぎて息苦しくなる。
トラウマ持ちの整と和章。
二人は、正直な気持ちを告げていたら本当は相愛の仲だったのに、すれ違ってしまう。
会話を阻む原因は、双方の真面目過ぎる性格の自責。
カオリは、母もセックスレスで離婚していた。
キャラで唯一健全なのは、一顕。健全男子にセックスレスは酷すぎる。
キャラの環境設定が惨たらしい。生殺しのような中で藻掻く夫々が気の毒でたまらなくなる。
どうしたらより良い結果になったのかと考えても、たらればばかり。一旦行動したら、もう元に戻れない。
★メモ・・このシリーズは、3冊一気読みが、読後メンタルがよいと思います。
① ふったらどしゃぶり~When it rains, it pours~完全版
萩原一顕 同棲中の恋人とのセックスレスに悩む一顕。
半井整 一顕の会社の同期、同居中の和章に片思いの整。(実は双愛)
★著者の説明。
https://bit.ly/2V4Og5t https://bit.ly/3dMMiNG
「旧版の版元さんのご事情もあり、発行から五年を機に出し直し・・・。web連載を文庫化するにあたり、ページ数の都合でカットした部分を含め、新たにちょこちょこと手を入れ、掌編を書き・・・とはいえ、大きく物語が変わるわけではありません」
② ナイトガーデン 完全版
「ふったらどしゃぶり」スピンオフ、版元の刊行停止にともない、ディアプラス文庫版として出し直し・・・フルール版に加筆修正と、書き下ろしの掌編が一本
藤澤和章 休業中のプロダクトデザイナー、28歳
石蕗柊 植物園のアルバイト、21歳
③ メロウレイン ふったらどしゃぶり
https://bit.ly/3wmiD4y
「「ふったらどしゃぶり」の同人誌・特典系SS・ブログのこばなしなどをぎゅぎゅっと・・・恋人同士になった一顕と整のその後」
萩原一顕 27歳,会社員(営業)
半井整 27歳,会社員(総務)
シリーズ3冊。
ナイトガーデンは、主人公が異なるので、不要かも??と思ったけど、一番捻じれていないまともな恋愛小説だった。
メロウレインまで読んで、やっとキャラの状態への不安が消えて、読後感が爽快になった。
男性も、女性も、お互いの生き物としての性の違いと意味を理解する必要があるのだと、学びました。
体液交行を伴う行為は、繁殖の為だけではない一面がありますよね。(融合遺伝子(キメラ遺伝子)とエンパシー)