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akasen tokku
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
好きな人の世界を自分が関わることで壊したくないと思う、思いやりが深い人達が務めている、架空のΩ特区の娼館の物語、と書いたら分かりやすいのかな。
母を看取ったあと、娼館で働きだしたみつるは、今日あったこと、出会ったことを記憶しないで消してしまうことで自分を保っている。手はリストカットの傷跡だらけ。死にたい病を抱えているらしい。
そんなミツルに、特別な人が出来た。でも自分だけで気持ちを整理出来ない、ミツルを取り巻く仕事仲間と、娼館経営者のチハルさんが優しい。
巻末は、チハルさんが若い頃、店を持たせてくれた恋人がまた探して会いに来てくれた。けれどそれは、約束を守れないお詫びと最後のお別れ伝える為だった。
相手を思いやって、一歩身を引くチハルさん。聞き分け良いチハルさんの身の振りや台詞に共感するゲイの読者が居そう。チハルさんは、わがまま言ってもいいのに。母性が深い人。
絵柄は、醤油ベースの平坦な描写で、表紙のようにカラーだと華やぐ画風、作品の中身の絵は簡略化されていることと、白黒になると和顔で寂しいタッチ。でもデッサンが割合しっかりしているので、崩れや手抜きが目立たないので好印象。
アシスタントが増えたら、作品の中身の絵も華麗な画風になると思う。手が追い付かないので、表紙絵のレベルで中身を書けないのだと思う。
私的な好みの我儘ですが、チハルさんが年を取ってからの顔の描写が老人すぎて巻末まで、老婆と勘違いしてました。現役娼夫なので、華のある翳りで老いを描けていたら、信念を貫いた美人の老後の哀愁が深まったかも。老け顔を書くって難しいんですね。
萌2です。
楼閣、赤線、男娼に蔭間と来たら、「悲しすぎて無理」というイメージですよね。
想いだけではどうにもならない状況とか、先のない恋とか、とにかくつらいイメージが先行しますが、声を大きくして言わせてください。
「この作品は大丈夫!」
つらい描写が一切ないかと言えば、あります。
あるけど、それよりも希望の方が大きいので、感情移入し過ぎる方でも胸を締め付けられすぎて目を泣き腫らすことはないかな。
2CPの話が収録されています。
1組目は893の高峯と男娼のみつる。
いきなり高峯が追われているところからスタートしますが、その事情が「他の組が経営する店の女の子たちの待遇が悪いからごっそり引き抜いた」ためという人情派。
快楽を得るためだけにみつるを指名する他の客と違って、「ひと」として接してくる高峯が、「客を一切覚えていない」みつるにどんな影響を及ぼすかは、ぜひとも読んで確かめてほしいです。
みつるの育った環境は過酷なものだったけど、そこまで重くならなずに読めるのは、高峯の明るさのおかげかな。
ラストに「え!?」ってなりますけど、それもみつるを「ひと」として尊重してるから…なのかな?と納得することにして読み進めると、描き下ろしでほっとしますよ。
そうそう、やっぱり男娼ものの攻めはそうじゃないと!と思わせてくれます。
2組目はみつるが籍を置く男娼館を営むちはるの話です。
ちはるの回想から、店を始めるに至るまでが描かれたこちらは、「そういう風に生きる」しかない道から、「こういう風に生きたい」という道へ歩み出すちはるの凛々しさと強さが際立っていました。
ちょっと悲しい部分もあるけれど、背筋をピンと伸ばして生きてきたちはるをちゃんと見ていてくれたひともいるわけで、年の差CPの誕生です。
ちはるの容姿が結構老けているので、おじさん受けが苦手な方にはえろすは微妙かも。
どん底で打ちひしがれる姿が描かれていないので、清々しい気持ちで読み終えることができる、貴重な男娼もの。
興味はあるけどつらくなりすぎるのはいやという方は、まずはこちらを試してみてはいかがでしょうか?
作画も綺麗で読みやすいですよ。
作家様のお名前は知っていましたが、作品を読むのは初めてだ。
まず目を引いたのが深紅の表紙の美麗なイラスト。
あとレトロ感溢れるコピーの数々。
あらすじは【特区】と呼ばれる塀に囲まれた売春を許可された歓楽街…。客はIDを提示し ボディチェックを受ければどの店にでも入店でき、ひと時の快楽を合法的に楽しめる場所。その中には男娼を扱う店も建ち並び、みつるは日々、男達の情欲をその身体に受け止めていた。
なんに対しても興味を示さない彼…まるで感情を置き忘れでもしたかのように。
そんなある日、ヤクザの男・高峯が特区に逃げ込んでくる。成り行きで匿ったみつる…しかし彼との出会いで全てに無関心だったはずの心が動き始め……
…と、ストーリーはなかなかいいのだ。
ただキャラ全てがフワフワとした印象が拭えない。
設定がそうさせるのか、元の設定が浅過ぎたのか、とにかくそれぞれのキャラのバックグラウンドや性格、行動…全てがまるで誰かに(動かされている?)ように感じてしまう。
特に高峯の設定は分からず、最初など警察関連の人物か?と思ったりした。…にしては追われているし…???ヤクザならもう少しそれらしく描けないものか?!
舞台も心惹かれる【特区】と言うある種独特の隔離された区域で客はID提示やボディチェックなどを受けなければいけない割に、中の住人は店のオーナーの許可さえ出ればいつでもOK…というのも合点がいかない。もっと制約があって然るべきなんじゃないのか?
そして時代的にも現代と変わらないのも興醒め要因の一つだろう。近未来等、今とは違った世界ならもっと話に深みが増したのでは?と思ってしまう。
最大に残念だったのが表紙絵(雰囲気も含め)と中身(絵も含め)のギャップだ。
ギャップは好きだが、自分が望むギャップは全く逆の物で、表紙で期待した分、キャラ絵は表紙がMAX。背景や構図、デッサン一つとってもおかしかったり、表情が心理を伴っていない印象を受ける。
背景に至っては(仕上げをし忘れたのか?!)と思う程 情緒も何もない。男娼の館の筈なのにただの民家にしか見えない等…とにかく残念。
萌(評価)にしたのは同時収録されている7話以降の
ちはるさん(現在の店長)のストーリーに対して。
ただもう少し絵が綺麗ならなぁ〜(T^T)
売春が合法化された世界が舞台です。
まず、ものすごい題材だなとびっくりしてしまいました。売春が合法化‥。
その「特区」と呼ばれる場所で男娼として働くみつるとヤクザの高峯のお話。
過去のトラウマから、客との出来事は
記憶をリセットするが如く忘れてしまうみつるが
忘れたくないと思った相手が高峯だった、と。
本能でそれを悟ったということなのでしょうか‥
ふたりのやりとりは微笑ましいものがあったのでいいのですが
「特区」自体は大胆な発想なのに
中身がふんわり設定なのが気になりました。
ID管理されているなら危ない客は出禁に出来るのでは‥?
特区の住人が簡単に外の世界に出るのは危ないのでは‥?
など、気になり始めたらキリがなかったので
それは残念だったなと思います。