影あるところに

kagearu tokoro ni

影あるところに
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神47
  • 萌×215
  • 萌10
  • 中立2
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
23
得点
327
評価数
75
平均
4.4 / 5
神率
62.7%
著者
西田ヒガシ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
新書館
レーベル
Dear+コミックス
発売日
電子発売日
価格
¥552(税抜)  
ISBN
9784403661051

あらすじ

外科医・中道の医局にやってきた調子のいい後輩・堤は、脳梗塞で倒れた院長の息子。その院長と付き合っていた中道は、居心地が悪い。そんな折、院長は他界する。父親を奪った相手として憎みながらも、中道を心配する堤は、彼に以前の笑顔を取り戻してほしくて……。描き下ろしも収録した、西田印、大人のビター・スイート・ラブ!!

表題作影あるところに

前院長の息子で研修医
前院長の愛人でベテラン小児科医

その他の収録作品

  • 風呂あるところに
  • あとがき

レビュー投稿数23

大人ならではの良さ

西田先生作品読むの久々です。数年前に7作ほど読みまして大人のざっくりとした作風かなという印象でした。その後、いろんなBLを読みまして今なら以前より西田先生作品の良さがよりわかるのではないかと本作を手にとりました。
やっぱり思った通りでした。大人のざっくり感はそうなんだけど、大味な中にも哀愁とか愛おしさを感じられてよかったです。

中道と堤が最初はそんな仲になる雰囲気ではなかったのに、堤が中道を気にかけていくのがなんとなく惹かれていってるのがわかるのがいい。
中道は堤の父を思いつつ堤に抵抗しながらも惚れていくのが大人な男っぽくてステキでした。
中道はいい医者だし、ちゃらんぽらんだった堤が中道の影響によりいい医者になろうとするところが好きです。
地方の病院の院長がいい味出していました。
あとがきを見て、ああこういうのでしたね〜と思い出しましたw

0

泣けて泣けて。

これは本当に最高の傑作だと思う。
もう泣けて泣けてしょうがないよ。

主人公は中年医師の中町。実は老院長・堤と関係していた。
今、堤院長は倒れて死の淵にいる。
男で。
愛人で。
二重の意味で影にいなければならなかった中町の心を思うと…
昏睡の最愛のひとの傍らで「今すぐ…ここを誰か爆破してくれ……!」とすがる姿。
初めは嫌悪感を抱いていた堤の一人息子は、中町の心からの思慕/愛を見て中町から目が離せなくなっていくわけだけど。
堤院長の死後、いっときすさんでしまう中町。
ひとりの中町に寄り添うようになる堤。
病院の中庭でぼんやりする中道に病棟の子供達と作った紙の花を降らせる堤。
やっと泣く事のできた中道に父親の代わりに、と謝る堤。
立ち直ったわけじゃ無いけど時は過ぎていく。
誘いを受けて過疎地の病院に赴任する中道は笑っている。その笑顔の晴れやかなこと!泣いて引き留めようとする堤の可愛らしさ!
この機微というか…たまらんよね。
ラストのドラマチックはできすぎな気もしますが、愛の力なのかな…なんて。

「風呂あるところに」は西田先生ならでは!のおかしみ満載。
堤は中町の光。ただ…父親と息子か〜とは思っちゃうけど。ネ。

1

エロは無いのに

昏睡状態の老医師←ベテラン医師←老医師の息子
最初は息子は当然ベテラン医師が大嫌いだし許すまじなんだけど、そこから少しずつ気持ちが変わって行く様やベテラン医師もその影響を受けて気持ちが変容していくその移り変わりの描き方が素晴らしいのです‼️
老医師は死を待つ昏睡状態なので、登場するだけですけど、父の手帳から息子が二人の関係に気が付き憎悪するところから始まりますが、そんな対象を自分が好きになっってしまう流れも仕方ないなと思えます。
個人的には駅での別れシーンが大好きです。

2

カブトガニ

西田ヒガシ先生の西田ヒガシ先生らしさが詰まっています。先生の作品はどれもこれも本当に面白い。

どの作品も、この作品も、恋愛の成就が必ずしも作品の解決ではなく、もっと根本の問題が浄化されていくことで完結しているような気がします。
この作品だってセクシーなシーンは全くないですからね。それでも働く男のセクシーさは感じるし、BLではあまり見られないほどの生々しさも感じる。

不条理ギャグみたいなテンポを見せたと思いきや、泣かせてくるのが先生。テレビをつけたままぼんやりとする中道、堤が紙の花をふらすシーン、心に残る描写が沢山あります。

影あるところに光はある。

4

その気持ちはわかる

私がびびったのは皆様のレビュー内容です。「あの世に持っていきたい」だの「お墓に持っていきたい」「棺に入れてほしい」「BL作品で一番好き」などなど。愛され方が半端ない作品だと思いました。

読んで納得です。これは名作。宝物にしたくなる。BLの枠を超えて普通の作品として素晴らしいと思う。タイトルの付け方、ラストの終わり方まで完璧です。中盤で攻めが受けを元気づけるシーンは受けと一緒に号泣。受けが暗い人なので攻めのあの明るさは本当に救いだと思う。タイトルの通りにね。ラストシーンの前に起こる不思議な出来事。ああいう演出も好きです。虫の知らせみたいなものは本当にあるかもと思ってるので。

西田さんのすごさはあんなにシリアスだった本編とおまけ漫画「風呂ある所に」との落差。新天地の院長さんが「ごめんな邪魔して」を2回言う所…最高かよ。2人の仲はすっかりお見通しみたいです。おまけのおまけも毎回シュールですごいよね。

この素晴らしい作品に唯一ケチをつけるとしたらやはり前院長の奥さんの立場かな。受けの中道は不幸で暗くて可哀想な人だけど、奥さんの立場からだと夫も息子も惑わせた魔性の男ですから。西田作品は女性もかっこいい人が多いし、息子の性格があんなに良いから奥さんも悪い人じゃなかったら気の毒。遺産で幸せになれることを祈ります。

4

彼が愛した父子は共に最高の男だった

 こういう題材好きだなぁと改めて思いました。小児科医の中道は妻子持ちの院長と不倫関係にあるんですが、その院長が病床に臥せっている時に、息子の堤が研修医として中道の下につくところから始まります。父親の不倫相手でしかも男である中道に、堤は最初当然嫌悪感を抱きます。でも、父親がとうとう亡くなってしまった際、最期の瞬間や葬式の立会いにはあくまで妻子を優先し、自分のことは後回しにして1人で孤独を抱え込む中道のことが段々気になるようになっていきます。

 院長とは不倫な上にゲイ同士、さらには職場恋愛ですから、今まで一度も堂々と恋人らしい付き合いができなかった中道。それでも院長を想って涙する彼の一途さや健気さに、堤が惹かれていく過程がとても丁寧に描かれていたと思います。父親を越えて中道に振り向いてもらうために、とにかく直向きに行動する堤が素直でかっこよかったですね。すぐに関係性を公表するのは無理かもしれない、でも、父親と違って1人で寂しい想いは絶対させないという堤の強い意志が感じられました。傷心中だった中道も、院長との関係にしっかりけじめをつけて、新たな楽しい恋に気持ちが向いてくれたようで安心しました。

3

見た目ほどダークでなく、ちょうどいいくらい。

表紙からはダークな感じが強めですが、あらすじの方が内容を捉えてる気がします。普段の日常のやりとりは明るい方なので、ダークではなくグレーくらい。
自分にはちょうどいいビター加減。
ちるちるの特集でこの作品を知りました。

数ページ開いてみた時、ハズレかな〜汗 とやや古い絵柄から思ったのですが、ストーリーに惹きつけられ、そのまま読み続けました。
1話を読み終わる段階になると、ハズレではないと思いましたが、まだこの作品が良いか悪いかわからず、この後の展開で評価はまた分かれるなーという感じでした。

その後読み進めていくにつれ、人物の表情に乏しいと思っていた絵も味が出てきて、絵全体に関しては細かな心理も上手に表現していていいなーと。
顔の表情は大まかにとどめ、顔のうつむき加減などのしぐさ、コマ割り、モノローグの使い方、トーンの明暗etc...といったようなテクニックを上手く用いて丁寧に心理表現をしています。

死が1つのテーマになっていて、丁寧に描かれていきます。
中道先生が院長とは不倫の関係だったため、おおっぴらに悲しむことができない…、けどやっぱり悲しい。そんな中道の気持ちを院長の子の堤が吐き出させる、3話のラストにウルっとなりました。
4話のラストも泣けます。てか泣かせにきてます。ラストのコマでしんどさが頂点に達します。
最終話や描き下ろし、もちろん最高でした。

後半から大きく物語が動いていくタイプです。
詳しくははばかられますが、3話からラストがそれぞれ劇的になってくので、ドラマにしたら面白いだろうなあと思います。
話全般に臨場感がありますし。


また中道先生について、堤が言ってたように見た目はパッとしない感じにみえますが、後半から色気が増します。カッコいいやんけ…!


あと補足で、登場人物の名前で後半少し…ん?となったので、説明を。
中道先生が「堤」、「堤君」と呼ぶときは院長の息子の堤ひでお(漢字だと英男?)を指し、「堤先生」と呼ぶときは院長を指します。

エロに関して、多少ありますが、がっつりではないので、エロが見たい方にはあんまりオススメできないかもです。







2

読み応え◎

この作家さんは好みが分かれると思います。
失礼ながら、絵もすごくいいって訳でもないと思うし...(好みにもよるかと思いますが)
話もしっかりしていて、重たいことが多いし。
ハードルはちょっと高いかもしれないけど、読んでみると、
その分読み応えがあって後じわ...と言うか、深くて、
これ、単なるBL枠じゃもったいないんじゃない?!って、感銘さえ受けるのですが...。
でも、好みはそれぞれなので、誰にでもオススメできる感じではないのですが
迷ってるなら(ハードル越えられそうなら)、ぜひ読んでみてほしい作家さんです!


外科医の中道の病院に、不倫相手(医院長♂)の息子・堤が研修医としてやってくる。
最初はゲイで、父親の不倫相手の中道に嫌悪感を抱いている堤が段々と気を許すようになり...
ってちょっと昼ドラみたいな設定(笑)そして展開もなかなかにドラマチック。
かなりシリアスな話なのに、西田さんらしい笑いもちょこちょこあるので、重くなり過ぎてない。
未来のある終わり方も救いがある。

1冊まるっとこのお話なので、中道の心情なんかは、短編では出せないだろう
丁寧さで描かれてると思う。
中道に感情移入しちゃってかなり切なかったんだけど、能天気な堤に救われる...。
正しく彼は光なんだなぁと思いました。
お幸せに~!(笑)

3

全部持っていった

短編や中篇が多い作者様なのですが、これは1冊丸ごと表題作です。
全5話に後日談「風呂のあるところに」が収録されています。

院長が脳梗塞で倒れたことから、院長の息子・堤(攻め)が研修医で働くことになります。堤は同じ病院に勤める内科医の中道(受け)が不倫していることを知っていて…。

1・2話は中道の目線で、院長が死ぬまでの二人の話。
3話は堤の目線で、落ち込む中道を慰めようとする話。
4話は中道の目線で、病院を去るまでの話。
5話は堤の目線で、中道を追いかけてくる話です。

お互い惹かれていて、そのことを分かっているのに、どうにもうまくいかない。いくことができない。そんな大人であるがゆえの葛藤がよく表されていると思いました。カップの話とか、切なかったです。

ラストまで読んで、いいところ全部オヤジが持っていった、そんな感想でした。不倫した、中道に我慢させていたというのに、堤は嫌うわけでもなく、中道には死後も愛されていて…ズルい。

不倫が好きでない方、受けが他の男を好きだという設定が苦手な方にはご注意です。あと、中道は堤とはエッチしていないので、物足りないと感じるかもしれません。医師×研修医、年下攻め、健気な受けがお好きな方にお勧めです。

4

愛する人を失う哀しみに涙

泣けるBLとしてオススメされていたので電子版で読みました。
泣けました。。
萌×2評価ですが、正直萌えと表現して良いのかは分かりません。
愛する人を失う哀しみに胸を打たれました。
多くは語られないのですが、先生の表情が物語る哀しさが切なくて切なくて。。
息子さんも自分のお父さんの愛人と思うとカナリ複雑な心境だと思いますが、徐々に先生に惹かれていく様子が描かれていて良かったです。
どうか先生が幸せになりますようにと願うばかりです。
絵柄は古めかしいですが、読んでいくと気にならなくなってきます。

3

スッキリした絵柄とわかりやすいストーリーでとても読みやすい

初西田東です。

ちるちるレビューの二極化具合と
「見つめていたい」の濃ゆいオッサン表紙にあてられて、
西田東作品に挑戦するのを今まで躊躇していたのです。

50代以降のくたびれたオヤジたちによるリアルゲイ的ドロドロ不倫葛藤で
重々しく考えさせられるストーリーと
暗くて読みにくい絵柄なのかな、と思い込み
これは相当の覚悟がないと読めないぞと。

読んでビックリ。
まったくそんなことはありませんでした。
シンプルスッキリな絵柄と、わかりやすい内容でとっても読みやすいです!
最速読了かというくらいツルっといけました。
表紙のイメージってこわい・・・。


ストーリーは割りとよくある感じでしたが、
心理描写が一品なのですね。
なんてことない日常の積み重ねでの心の動きをじっくり丁寧に描いていき、
ある時突然ふっと人物の気持ちが変わる瞬間が訪れる。
そのキメ具合たるや圧巻。
BL通の方がこぞってイチオシされるのはここかと納得しました。

あっという間に読み終えてしまい、
まだまだこの二人の物語を読んでいたいと思いました。

これから西田東作品、読み漁りたいと思います。

8

ゲイも突き詰めれば・・・

自分の父親と不倫していた男と、その男に惚れた息子のお話です。
まるまる一冊表題作です。

西田さんと言えば、受け・攻めのどちらかが妻子持ちのパターンが多いですが、これもその一つ。
先生ご自身の萌えポイントということもあって、妻子持ちキャラが高確率で出てきます。
その時点で読む人を選ぶような気がします。
苦手な人はそこのところが我慢できるかどうか考えてからお手に取ったほうがいいかもしれません。でも基本的には別居中とか仮面夫婦とか完全に離婚していたりとか、腐女子向けにそのあたりは考えて設定されているような気がします。
またリアルゲイよりな内容が多いので、ダメな人はダメかもしれない。
私はどっちも楽しめるので西田さんは新刊が出るたびにチェックしている人です。

さて、この内容、不倫も絡んでいたり、お父さんが死んでしまうなど、精神的に負荷のかかるお話ではありましたけど、
二人がすぐに肉体関係にならず、どちらかというと男友達同士がわちゃわちゃやるような、そんなくつろいだ雰囲気でお話が終わるので、そこが気に入っています。
もちろん濃厚なエロがあってもバッチコーイでしたがw
まぁ男女もゲイも突き詰めれば、恋は愛に変わりますよね。

2

不倫を美化するのはちょっと・・・

完全に趣味の問題なのかもしれませんが、私には合わなかったです。

ストーリーはよく練られていて、多くのレビュアーの方が絶賛するのも納得の作品です。

しかし、不倫を美化しているように感じて、受け付けなかったです。
お互いの愛がどれだけ深かろうと不倫は不倫だろう、とかなり冷めてしまいました。

不倫が絡んでいても、倫理観も何にもないようなお話だったらかえって軽く読めたかもしれないのですが、普通に良識ある人が不倫をするとかなり気分が重くなるので苦手です…。

もちろん、この作品のテーマは不倫ではなく、「愛する人を失った後、どのように立ち直るか」がテーマなので、そういうお話だと思って読めば、充分楽しめるかと思います。

1

西田東先生 好きです。
この本は 名作の中でも得に名作です。
読み出したら止まりません。
泣いて泣いて泣きまくって号泣。
テッシュを横に置いておくのがベストでしょう。
ひとりで家の中で読む事をお勧めします。
決して 電車の中やコーヒーショップの中で読まないように!!
注意したからね!約束守ってちょうだいね。
とにかく感動の嵐が吹いている。
何百回読んでも私はこのように魂の抜け殻だ。
神以外ありえない!!
棺おけに入れてくれ!!

5

大好きです。

大学付属病院の院長の息子(研修医)×院長と不倫していた小児科医。
この一行だけで、けっこうもう私、腹八分目まできてますよ。
軽く5年も前の作品なのに、全然古さを感じさせないのは、絵が大きく変わってないからってこともあるけど、それよりも、秀逸な作品はいつ読んでも震えるほどの感動があるってこってす。
大切な人間を亡くしてしまったことへの喪失感と絶望をさらりと2コマで表現するカッコよさ、面影を思い出すシーンの挿入のさせかたのなんともいえない絶妙さ。
そして重くシリアスなお話の照れ隠しのような端々のギャグ。

……。


・・・・・・・・。

やっぱ好きだー!!愛してるといってもいい。

2

泣けた!!

何冊もBLを読んでいると、ちょっと頭が鈍ってくることがある。
そんな時の心を洗う、とっておきの中の一冊がこの本だ!
激しい感情のぶつけ合いが頻発するわけでも、ドラマティックな劇的展開があるわけでも、甘~いラブエロがあるわけでもないのだが、
ひたすら深く、心に染みいって、泣かない主人公の代わりに自分が泣いてしまうのだ。

下世話な表現をすれば「親子どんぶり」
父親の不倫相手だった男を好きになってしまう息子。
でもそうなるまでの、誠実なひととなりを見つめる客観的に一歩引いた態度、時々感情をぶつけもするけれど、どうやって息子が父の愛人だった男を受け入れていくか。
それはその医師・中道の孤独ととても控えめな抑えた、内に秘めた本当の情熱を表わすことで、訴えかけてくるのです。
息子の父親である院長が亡くなった時、そして葬儀の時、本当は泣きたかったのに、泣けない中道が、切なくて辛くて、
一人で抱え込んで、昇華させようとするその姿に、自分自身も息子の堤と同じ気持ちになり、立場を感じて、彼を抱きしめてあげたくなるのです。
その後の中道の選択と堤の関係に、医者としての自立と、恋人の息子でない堤と向き合うための姿勢を感じられて、更にこの二人に惚れるのです。

植物状態の院長に、このまま世界が終わってしまえばいいとすがるシーン、
葬儀のあとの呆然とした顔、
仕事に復帰した時、息子の堤にサプライズされて涙が一気にあふれるシーン。
場面場面ごとに印象的な顔があります。
表情があります。
それが本当にすばらしいんです!
理屈抜きで、心にダイレクトに染みてくる、秀作の一つだと思います。

あ、あとがきマンガと表紙カバーをはずした本体表紙の絵も忘れずにww

5

残念です・・・

本は作家買いが基本なのですが、時々某通販サイトのランキングを参考に新規開拓も行っていました。
その時白羽の矢を立てたこの作品。
大好物のひとつである親子どんぶりモノ。
絶対に私の好みだと確信して購入しました。

それなのに、何故だか心が揺れませんでした。
これには自分でもびっくり。
ダメな理由が分かりません。

絵が良くないと言われている方ですが、すっきりしていて読みやすく、特別下手だとは感じませんでした。
ストーリー的にもいいお話だとは思うんです。
気持ちが動かないということは、感情移入が出来ていないということですよね。
表現の仕方が私には合わないのかなー?

著作のあらすじを読むと、面白そうだなと興味が湧きます。
なので西田さんへの関心は失っていません。
いずれ再チャレンジしたいです。

2

西田兄貴のとっておき作品

レビューしきってしまうのがもったいなくて、レビューしたいけどしたくないというジレンマにいつも悩まされる西田作品。
中でもこの1冊は、とっておきの名作です。
泣きました。
感動という言葉を簡単に使うと安っぽくなるので使いたくないけど、感動しました。
大事な人を失って、苦しみに押し潰される。でも、ゆっくりゆっくりと立ち直っていく…
恋愛話ではありますが、そういう中道の人間らしい姿に感動しました。

前院長のバカ息子で研修医・堤×父親の愛人だった医師・中道。
父親の愛人という最悪の関係です。当の父親(前院長)は脳梗塞で倒れて以来、意識不明の寝たきり状態。
このドロドロした設定でどうしてこんなに爽やかな話が描けるの兄貴、と問い質したい。
自分の父親しかも男の愛人――そんな相手に良い感情を持てるはずもなく、あるのは嫌悪感。
でもその嫌悪感は、中道という人間が真剣に父親を愛していたことを知れば知るほど小さくなり、いつしか放っておけない相手になっていきます。

いつも思うのですが、悲しみや苦しみの表現が巧い。
大きすぎる悲しみの直中にいるとき人は、ただただ苦しいだけで涙なんてでないものだと思います。正体不明の塊が身体のど真ん中に居座って、頭の中や喉元までそれが押し上げてくる。比喩ではなく窒息してしまいそうなほど。
台詞やモノローグも秀逸ですが、無言のコマのともすれば無表情ともとれる表情の中に、目の中に、そんな文章不可の悲しみが宿っていて訴えかけてくるんです。ぐわーって。
簡単に涙として昇華できない中道のその苦しみが、不倫相手の息子である堤によって氷解していきます。
何もかもを一人で飲み込もうとする中道に、堤が笑顔でお花のシャワーをプレゼントするシーンが胸を打ちました。
泣ける場所があって初めて人って泣けるんだなぁ…。

真っ暗の部屋の中で一人で月を見つめていた中道が、自分を照らしてくれる光をもう一度見つけます。
堤もね、いい男です。可愛げがあって、あったかくて。
中道を…その胸の中にある父親ごと、堤はきっとずーっと照らしていくんだと思います。
これは息子だからこそできることかも…あー、また泣いちゃった。

ふざけたタイトルの(笑)描き下ろし含めて、セックスどころかキスさえ1コマしかないプラトニックさ。
でもそのおあずけ具合さえも西田兄貴の罠です。
萌える。とにかく萌える。そして泣ける。
読んで損はなしの、お墓持ち込みマイリストの一冊です。
みんな読めばいい(呪い)

15

押しと引きを楽しんで!

西田東さんは押しと引きが非常にうまい作家さんだと思う。
少し間違えば重くなりすぎてしまいそうな「死」がテーマに盛り込まれて
いる作品なのに全く重苦しくならずに読めたのは
少しづつ良いタイミングで繰り出される西田さんのギャグ。
それが最も印象に残ったシーンは中道先生が電車で旅立つ場面。
ドラマチックで最高潮に盛り上がる格好いい場面で
秀男くんの顔のぶさいくなこと・・・(笑)
なきじゃくる彼の顔をデフォルメで描いていったん引いた熱を
電車が出発した後ドアの前で肩を震わせながら一人泣く中道先生の
後姿を描いて、またグッと上げる。
このシーンの感動は今でも心に残っています。

中道先生の女々しく、湿っぽい部分がやけにリアルで
これからもずっと院長を愛し続けるんだな、と思わされました。
彼のような人に「すっぱりきっぱり忘れろ」なんて酷だしできるわけがないのです。
だけど秀男君も中道先生には必要不可欠な存在。
生きることに心のそこで諦めにも似た気持ちを持っていた先生自身が
やっと自分で動き、つかんだ「光」だから。

西田さんの作品のなかであまり知られていないようですが、断言できます。
名作です!

5

俺の光

こんなに素敵な作品を描ける西田東さんは凄いです。
たった200弱のページにドラマがあります。登場人物の心境の変化が台詞や説明がなくても、見ていて分かる。

冴えないオジサンなのに、こんな綺麗な恋愛になるなんて!!
西田さんの描くキャラクターはみんな可愛らしくて、愛着がわきますね。オジサンなのに!!w
あとがきでもわかる通り、あのぶっ飛んだギャグが作品にも散りばめられていて、重過ぎず、ギャグに走り過ぎずに良いです。

父親の愛人、しかも男との恋愛。
中道先生はきっと一生、医院長を愛し続けるでしょう。
それでも堤の存在は、もう不可欠。
もう大人ですし、どっちが上かではなくて、今一緒に居る事を誇って欲しい。

人を好きになるのに、トキメくのに、年齢は関係ないんだなぁ。

2

めちゃくちゃ好きです

 「ちるちる」さんが出来たのが去年(?)で、レビューを書き出したのも最近なので、つい新しい作品の感想を書いてしまうのですが、やっぱり大好きな作品はレビューしておかないとねー、ということで。

 「影あるところに」です。

 西田先生のはどれも好きですが、これは何度も読み返してしまいますね~。

 誰にも言えない愛と、かなわぬ恋。妻もいて男で院長で、と不倫する外科医の男。真剣に愛しあっていたけれど、院長は亡くなってしまい……。
 その悲しみに耐える外科医中道ですが、院長の息子堤によって堰を切ったようにあふれる思いには……もうっ!
 おおっぴらにできない関係で、泣くことすら出来ない大人の男。

 西田先生の描く男の人は、リアルだけど恋する乙女のようで、大好きです。

 そして、院長の面影を残す堤との恋は……。

 全然エロがないんですよね~。それなのに、こんなにドキドキするって! 泣けるし。

 でも、この二人がいちゃついてるのとかもっと読みたいんですけど……。

 
 

6

すごい説得力です

泣いた。
登場人物の心情の移り変わりに、物凄い説得力を感じました。
さすが西田東さんだ。

舞台は病院です。
中道という医者には、恋人がいた。その病院の院長だった男だ。彼が脳梗塞で倒れ、そこに息子がやってくる。
息子は最初、中道を恨んでいる。確かに自分の父親のホモの愛人なんて、受け入れられるはずがないよね。
そして、院長が死ぬ。
息子やその母親がたんたんと院長を見送るなか、愛人の中道だけが心から院長のために泣いていた。しかもけして周りにはバレないように。
息子は中道のそういう姿を見て、放ってはおけなくなる。中道に付きまとい、関わっていくうちに、中道に惹かれていく自分に気づかされてしまう。
中道の孤独や苦悩を知り、自分がいかに甘ったれた子供だったかを知り、『親父を超えて、中道に相応しい男になるべく』頑張りはじめる。

泣けるシーンがいっぱいある。
院長に取りすがってなく中道。普段はクールビューティメガネなので、その落差でガツンときた。
電車に乗った中道を見送る息子。泣き笑いしてしまう場面です。
崖から落ちそうになった中道を助ける息子。

『俺の光だ──』

4

あの世にまで持ってきたい。

主人公・中道(医者)は院長である堤と愛人関係にあったけれど、堤が病に倒れ、意識不明の重体に陥り、迫りくる別れの瞬間に中道は怯えながら看病し続けます。
意識もない愛しい人に触れながら、「このまま世界が終ってしまえばいい」「今すぐここを誰か爆破してくれ…!」と涙するシーンが泣けて泣けてしょうがない。。。
そんな折、堤の息子・英男が研修医としてやってきます。英男は中道が父の愛人である事を知っていて、敵意と嫌悪を露わにするのですが…。
堤院長が亡くなった事がきっかけで、ボロボロになりながらも一人で寂しさに打ち勝とうとする中道に英男は惹かれていくのです。
中道を英男が慰めるシーンが可愛くて、泣ける。
窓から紙の花を子供たちと一緒に中道の上に降らせて、不注意で落ちちゃって…駆けつけ泣きだす中道を抱きしめて、何も言わないまま死んでしまった父の代わりに謝り続けるだなんて反則だ!カッコいいよ息子…!!!!!惚れる!!!!!!

ラストはもうとても素敵で、とてもとても文章に出来ない…。
西田作品の中でも最も好きなラストシーンです。

オマケの話は「風呂あるところに」(笑)
一緒にお風呂に入る事に躍起になる英男が可愛い。。。
中道先生は結構鈍チンなのかしら…。いきなりピュアモード炸裂です…。
しっかしまぁ…最後の最後まで結合はございませ………ん…(涙)
まぁたまにはいいか…。攻め受けで書くなら英男×中道っぽい。

BL作品の中で一番好き。
これを柩に入れて一緒に燃やして貰いたいぐらい、あの世にまで持っていきたいぐらい好き。
おススメです。

9

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