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kagearu tokoro ni
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
レビューしきってしまうのがもったいなくて、レビューしたいけどしたくないというジレンマにいつも悩まされる西田作品。
中でもこの1冊は、とっておきの名作です。
泣きました。
感動という言葉を簡単に使うと安っぽくなるので使いたくないけど、感動しました。
大事な人を失って、苦しみに押し潰される。でも、ゆっくりゆっくりと立ち直っていく…
恋愛話ではありますが、そういう中道の人間らしい姿に感動しました。
前院長のバカ息子で研修医・堤×父親の愛人だった医師・中道。
父親の愛人という最悪の関係です。当の父親(前院長)は脳梗塞で倒れて以来、意識不明の寝たきり状態。
このドロドロした設定でどうしてこんなに爽やかな話が描けるの兄貴、と問い質したい。
自分の父親しかも男の愛人――そんな相手に良い感情を持てるはずもなく、あるのは嫌悪感。
でもその嫌悪感は、中道という人間が真剣に父親を愛していたことを知れば知るほど小さくなり、いつしか放っておけない相手になっていきます。
いつも思うのですが、悲しみや苦しみの表現が巧い。
大きすぎる悲しみの直中にいるとき人は、ただただ苦しいだけで涙なんてでないものだと思います。正体不明の塊が身体のど真ん中に居座って、頭の中や喉元までそれが押し上げてくる。比喩ではなく窒息してしまいそうなほど。
台詞やモノローグも秀逸ですが、無言のコマのともすれば無表情ともとれる表情の中に、目の中に、そんな文章不可の悲しみが宿っていて訴えかけてくるんです。ぐわーって。
簡単に涙として昇華できない中道のその苦しみが、不倫相手の息子である堤によって氷解していきます。
何もかもを一人で飲み込もうとする中道に、堤が笑顔でお花のシャワーをプレゼントするシーンが胸を打ちました。
泣ける場所があって初めて人って泣けるんだなぁ…。
真っ暗の部屋の中で一人で月を見つめていた中道が、自分を照らしてくれる光をもう一度見つけます。
堤もね、いい男です。可愛げがあって、あったかくて。
中道を…その胸の中にある父親ごと、堤はきっとずーっと照らしていくんだと思います。
これは息子だからこそできることかも…あー、また泣いちゃった。
ふざけたタイトルの(笑)描き下ろし含めて、セックスどころかキスさえ1コマしかないプラトニックさ。
でもそのおあずけ具合さえも西田兄貴の罠です。
萌える。とにかく萌える。そして泣ける。
読んで損はなしの、お墓持ち込みマイリストの一冊です。
みんな読めばいい(呪い)
主人公・中道(医者)は院長である堤と愛人関係にあったけれど、堤が病に倒れ、意識不明の重体に陥り、迫りくる別れの瞬間に中道は怯えながら看病し続けます。
意識もない愛しい人に触れながら、「このまま世界が終ってしまえばいい」「今すぐここを誰か爆破してくれ…!」と涙するシーンが泣けて泣けてしょうがない。。。
そんな折、堤の息子・英男が研修医としてやってきます。英男は中道が父の愛人である事を知っていて、敵意と嫌悪を露わにするのですが…。
堤院長が亡くなった事がきっかけで、ボロボロになりながらも一人で寂しさに打ち勝とうとする中道に英男は惹かれていくのです。
中道を英男が慰めるシーンが可愛くて、泣ける。
窓から紙の花を子供たちと一緒に中道の上に降らせて、不注意で落ちちゃって…駆けつけ泣きだす中道を抱きしめて、何も言わないまま死んでしまった父の代わりに謝り続けるだなんて反則だ!カッコいいよ息子…!!!!!惚れる!!!!!!
ラストはもうとても素敵で、とてもとても文章に出来ない…。
西田作品の中でも最も好きなラストシーンです。
オマケの話は「風呂あるところに」(笑)
一緒にお風呂に入る事に躍起になる英男が可愛い。。。
中道先生は結構鈍チンなのかしら…。いきなりピュアモード炸裂です…。
しっかしまぁ…最後の最後まで結合はございませ………ん…(涙)
まぁたまにはいいか…。攻め受けで書くなら英男×中道っぽい。
BL作品の中で一番好き。
これを柩に入れて一緒に燃やして貰いたいぐらい、あの世にまで持っていきたいぐらい好き。
おススメです。
初西田東です。
ちるちるレビューの二極化具合と
「見つめていたい」の濃ゆいオッサン表紙にあてられて、
西田東作品に挑戦するのを今まで躊躇していたのです。
50代以降のくたびれたオヤジたちによるリアルゲイ的ドロドロ不倫葛藤で
重々しく考えさせられるストーリーと
暗くて読みにくい絵柄なのかな、と思い込み
これは相当の覚悟がないと読めないぞと。
読んでビックリ。
まったくそんなことはありませんでした。
シンプルスッキリな絵柄と、わかりやすい内容でとっても読みやすいです!
最速読了かというくらいツルっといけました。
表紙のイメージってこわい・・・。
ストーリーは割りとよくある感じでしたが、
心理描写が一品なのですね。
なんてことない日常の積み重ねでの心の動きをじっくり丁寧に描いていき、
ある時突然ふっと人物の気持ちが変わる瞬間が訪れる。
そのキメ具合たるや圧巻。
BL通の方がこぞってイチオシされるのはここかと納得しました。
あっという間に読み終えてしまい、
まだまだこの二人の物語を読んでいたいと思いました。
これから西田東作品、読み漁りたいと思います。
「ちるちる」さんが出来たのが去年(?)で、レビューを書き出したのも最近なので、つい新しい作品の感想を書いてしまうのですが、やっぱり大好きな作品はレビューしておかないとねー、ということで。
「影あるところに」です。
西田先生のはどれも好きですが、これは何度も読み返してしまいますね~。
誰にも言えない愛と、かなわぬ恋。妻もいて男で院長で、と不倫する外科医の男。真剣に愛しあっていたけれど、院長は亡くなってしまい……。
その悲しみに耐える外科医中道ですが、院長の息子堤によって堰を切ったようにあふれる思いには……もうっ!
おおっぴらにできない関係で、泣くことすら出来ない大人の男。
西田先生の描く男の人は、リアルだけど恋する乙女のようで、大好きです。
そして、院長の面影を残す堤との恋は……。
全然エロがないんですよね~。それなのに、こんなにドキドキするって! 泣けるし。
でも、この二人がいちゃついてるのとかもっと読みたいんですけど……。
西田東さんは押しと引きが非常にうまい作家さんだと思う。
少し間違えば重くなりすぎてしまいそうな「死」がテーマに盛り込まれて
いる作品なのに全く重苦しくならずに読めたのは
少しづつ良いタイミングで繰り出される西田さんのギャグ。
それが最も印象に残ったシーンは中道先生が電車で旅立つ場面。
ドラマチックで最高潮に盛り上がる格好いい場面で
秀男くんの顔のぶさいくなこと・・・(笑)
なきじゃくる彼の顔をデフォルメで描いていったん引いた熱を
電車が出発した後ドアの前で肩を震わせながら一人泣く中道先生の
後姿を描いて、またグッと上げる。
このシーンの感動は今でも心に残っています。
中道先生の女々しく、湿っぽい部分がやけにリアルで
これからもずっと院長を愛し続けるんだな、と思わされました。
彼のような人に「すっぱりきっぱり忘れろ」なんて酷だしできるわけがないのです。
だけど秀男君も中道先生には必要不可欠な存在。
生きることに心のそこで諦めにも似た気持ちを持っていた先生自身が
やっと自分で動き、つかんだ「光」だから。
西田さんの作品のなかであまり知られていないようですが、断言できます。
名作です!
何冊もBLを読んでいると、ちょっと頭が鈍ってくることがある。
そんな時の心を洗う、とっておきの中の一冊がこの本だ!
激しい感情のぶつけ合いが頻発するわけでも、ドラマティックな劇的展開があるわけでも、甘~いラブエロがあるわけでもないのだが、
ひたすら深く、心に染みいって、泣かない主人公の代わりに自分が泣いてしまうのだ。
下世話な表現をすれば「親子どんぶり」
父親の不倫相手だった男を好きになってしまう息子。
でもそうなるまでの、誠実なひととなりを見つめる客観的に一歩引いた態度、時々感情をぶつけもするけれど、どうやって息子が父の愛人だった男を受け入れていくか。
それはその医師・中道の孤独ととても控えめな抑えた、内に秘めた本当の情熱を表わすことで、訴えかけてくるのです。
息子の父親である院長が亡くなった時、そして葬儀の時、本当は泣きたかったのに、泣けない中道が、切なくて辛くて、
一人で抱え込んで、昇華させようとするその姿に、自分自身も息子の堤と同じ気持ちになり、立場を感じて、彼を抱きしめてあげたくなるのです。
その後の中道の選択と堤の関係に、医者としての自立と、恋人の息子でない堤と向き合うための姿勢を感じられて、更にこの二人に惚れるのです。
植物状態の院長に、このまま世界が終わってしまえばいいとすがるシーン、
葬儀のあとの呆然とした顔、
仕事に復帰した時、息子の堤にサプライズされて涙が一気にあふれるシーン。
場面場面ごとに印象的な顔があります。
表情があります。
それが本当にすばらしいんです!
理屈抜きで、心にダイレクトに染みてくる、秀作の一つだと思います。
あ、あとがきマンガと表紙カバーをはずした本体表紙の絵も忘れずにww
西田東先生 好きです。
この本は 名作の中でも得に名作です。
読み出したら止まりません。
泣いて泣いて泣きまくって号泣。
テッシュを横に置いておくのがベストでしょう。
ひとりで家の中で読む事をお勧めします。
決して 電車の中やコーヒーショップの中で読まないように!!
注意したからね!約束守ってちょうだいね。
とにかく感動の嵐が吹いている。
何百回読んでも私はこのように魂の抜け殻だ。
神以外ありえない!!
棺おけに入れてくれ!!
泣いた。
登場人物の心情の移り変わりに、物凄い説得力を感じました。
さすが西田東さんだ。
舞台は病院です。
中道という医者には、恋人がいた。その病院の院長だった男だ。彼が脳梗塞で倒れ、そこに息子がやってくる。
息子は最初、中道を恨んでいる。確かに自分の父親のホモの愛人なんて、受け入れられるはずがないよね。
そして、院長が死ぬ。
息子やその母親がたんたんと院長を見送るなか、愛人の中道だけが心から院長のために泣いていた。しかもけして周りにはバレないように。
息子は中道のそういう姿を見て、放ってはおけなくなる。中道に付きまとい、関わっていくうちに、中道に惹かれていく自分に気づかされてしまう。
中道の孤独や苦悩を知り、自分がいかに甘ったれた子供だったかを知り、『親父を超えて、中道に相応しい男になるべく』頑張りはじめる。
泣けるシーンがいっぱいある。
院長に取りすがってなく中道。普段はクールビューティメガネなので、その落差でガツンときた。
電車に乗った中道を見送る息子。泣き笑いしてしまう場面です。
崖から落ちそうになった中道を助ける息子。
『俺の光だ──』
私がびびったのは皆様のレビュー内容です。「あの世に持っていきたい」だの「お墓に持っていきたい」「棺に入れてほしい」「BL作品で一番好き」などなど。愛され方が半端ない作品だと思いました。
読んで納得です。これは名作。宝物にしたくなる。BLの枠を超えて普通の作品として素晴らしいと思う。タイトルの付け方、ラストの終わり方まで完璧です。中盤で攻めが受けを元気づけるシーンは受けと一緒に号泣。受けが暗い人なので攻めのあの明るさは本当に救いだと思う。タイトルの通りにね。ラストシーンの前に起こる不思議な出来事。ああいう演出も好きです。虫の知らせみたいなものは本当にあるかもと思ってるので。
西田さんのすごさはあんなにシリアスだった本編とおまけ漫画「風呂ある所に」との落差。新天地の院長さんが「ごめんな邪魔して」を2回言う所…最高かよ。2人の仲はすっかりお見通しみたいです。おまけのおまけも毎回シュールですごいよね。
この素晴らしい作品に唯一ケチをつけるとしたらやはり前院長の奥さんの立場かな。受けの中道は不幸で暗くて可哀想な人だけど、奥さんの立場からだと夫も息子も惑わせた魔性の男ですから。西田作品は女性もかっこいい人が多いし、息子の性格があんなに良いから奥さんも悪い人じゃなかったら気の毒。遺産で幸せになれることを祈ります。
西田ヒガシ先生の西田ヒガシ先生らしさが詰まっています。先生の作品はどれもこれも本当に面白い。
どの作品も、この作品も、恋愛の成就が必ずしも作品の解決ではなく、もっと根本の問題が浄化されていくことで完結しているような気がします。
この作品だってセクシーなシーンは全くないですからね。それでも働く男のセクシーさは感じるし、BLではあまり見られないほどの生々しさも感じる。
不条理ギャグみたいなテンポを見せたと思いきや、泣かせてくるのが先生。テレビをつけたままぼんやりとする中道、堤が紙の花をふらすシーン、心に残る描写が沢山あります。
影あるところに光はある。