運命ではありません

unmei dewa arimasen

運命ではありません
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神31
  • 萌×253
  • 萌23
  • 中立8
  • しゅみじゃない8

--

レビュー数
17
得点
444
評価数
123
平均
3.7 / 5
神率
25.2%
著者
一穂ミチ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
梨とりこ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
価格
¥639(税抜)  
ISBN
9784403524509

あらすじ

恋愛経験ゼロの澄がマッチングアプリに“運命の人と”診断されたのは、
先輩社員の楡(男)だった。
半信半疑で、ゆるいおつきあいをするうち…?

表題作運命ではありません

29歳,澄と同社のAI開発責任者
23歳,マッチングアプリ運営会社広報

その他の収録作品

  • それでも、運命ではありません
  • おりこうではありません(あとがきに代えて)

レビュー投稿数17

マッチングアプリ開発担当者×マッチングアプリの広報

IAの判断は間違ってないけれど、そうじゃない時もある。一長一短だと分かりつつある今の世界にマッチしているテーマでまず惹き付けられます。
マッチングサービスだけでなく、VRでイベントに参加という話題もありメタバースを感じさせて2018年発売の本作ですが、2023年の今読んでも違和感がありません。
主人公たちの会社が多様性を重んじる近年の感覚にフィットしたサービス仕様になっていて好感です。

初めに受けが攻めに上手く断わる言葉が出ない流れも、事前に恋愛経験がないと言っていること、攻め以外の受けと近しい人物との絡みからある程度の性格がわかります。かつ受けの好きな恋愛漫画を絡めて描写されていて受けの嗜好と思考がダイレクトに分かって感情移入していきました。
受けと妹と幼馴染みを三者三様の表現で人となりと3人の関係性がなんとなくわかる描写もサラッと読み飛ばしてしまえるのにスパイスのように後からソコが効いてくる構成も本当に好きです。
受けが自分の好きな恋愛漫画の妄想入れてくる思考も読んでいて楽しくて口角が上がっちゃいます!

作者様の一つ一つの文章、例え、表現の仕方が、グッと胸に来て自分の好みだと痛感しながら読み進めました。ピックアップしたい文や台詞が沢山あります。
その1つが、幼馴染みしか言えない「愛ならいいけど、同情すんな。愛より情の方がたち悪い時があるんだから」という台詞は真理だな、と思います。最近同情でとんでもない事になったエッセイを何作か読んでいたのでそれを思い出して身につまされるような気持ちでした。
『自分が“見せている”以上のものが探られてしまっているシステムが不気味』
「ゲイとヘテロの間はグラデーション」
「自分たちだって好きな女と結婚したはずなのに、年月が経ったらそれを平気で否定するやつは最低だと思う。だけど空気を読んでネタでも嫁の愚痴とか言わなきゃならなくて、俺もいつか人前で悪く言うようになるのかって思ったら、怖くなった」
「運命なんて〜傷つけていいほど大層なもんじゃない」など自分にビビッとくるフレーズが沢山あって考えさせられました。
丁寧で、例えなどが的確で読み手に取りこぼしなく伝えたいことが伝わってきて完璧な追体験が出来る気がします。
読みながら、あ!ここ好きなポイントだ!という所があって、攻めはマッチングIA開発に携わっているのでマッチング情報を見て受けにアプローチするけど、受けはIAが相性が本当に運命レベルって算出しているならそもそもIAに頼る必要がないから情報見ないという2人の対比に掴まれました。

社長とのご飯で、受けが恋愛漫画好きで恋愛経験無い故にどう『懐疑的』なのかを鋭く切り込まれる流れがスムーズで圧巻でした。腑に落ちました。この、なぜ懐疑的かのカードが切られるタイミングが完璧でした。確かに、初対面の人に運命の相手だから信じろ!と言われて信じきれないというごく普通の思考より一段深く掘り下げる鮮やかさ…凄いです。
社長のマッチングサービスに対する理念が良いです。でも宣伝として使えないというのが本当に現実でもそうなのかもと、ありそうに感じて色々考えが巡りました。もっと時代が追いつけば『結婚』に重きを置かない国になるのかなって。『自分以外の誰かと生きていく道が結婚以外にある』社会をこの先見てみたいです。それを1つ提示してくれるBLジャンルと、本作、だから好きです。

『雨は降らず、だから消えもしない』の一文で今まで攻めを雲男と表現していたことになぞらえて未練や複雑な気持ちを表現するのにピッタリで痺れました。

妹と幼馴染、本当に全ての登場人物に意味があって無駄がありません。受けに関わる人物なので当然受けの関係性と対比できる2人なのですが、家族共々こういう風に関係性を物語に絡ませてくるのかと唸りました。
さらに、意外な関係性も判明して、ある場所で家族集合で話がまとまって…これぞ『話がまとまる』だなと感じてその纏まりの良さ、手腕に脱帽します。
感想・レビューを読むのが好きで基本ネタバレは気にならない私は、知った情報を自分の目で確かめようという気持ちで作品に向き合うのですが。
こうして点と点が繋がるワクワク感を得ると、先を知らずに読む良さを再度教えてもらったような気がします。
だんだんとタイトルを回収していくのもすごく面白かったです。
運命マッチングに懐疑的な受けと、そのマッチングIAに自信のある開発担当の攻め、というだけじゃない一捻りされた中でタイトル通りの展開を繰り広げて、その捻りの余波を物語に浸透させる『運命から遠ざかる』流れが、後半加速度的に面白くて夢中で駆け抜けました。

運命ではないタイトル通りの本編と、運命だった?縁が繋がっていた続編。こういう伏線回収好きです。
本編後は温度の低そうな攻め視点でのお話が読みたいと思っていたのですが、受け視点で見るからこその見え方があり、そのフィルターで見る攻めの変化を楽しむのも乙でした。

マッチングやAIが絡むのでその是非を問う流れがあるのかな?と予想したのですが違いました。それはそれとして、2人はどうするのかというお話で、でもそれでこそタイトル通りの作品で楽しく読めました。

1

運命なのか否か

明け透けな感想を述べてしまうと、かっこよくて優秀なんだけど人の心の機微がわからない天才肌の男が出てくるお話、けっこう好きだ。実生活では全く関わり合いになりたくないタイプだから、物語の中でこっそりそのかっこよさと変わり者っぷりを楽しみたいのかも。そして、大体において全く悪びらないそんな男が人との出会いによってちょっと痛い目にあったり、少し改心したりする様を見ると心が晴れる。主人公が少女漫画が好きで少女漫画のセリフやシチュエーションが本編の進行に取り入れられているのが楽しかった。

0

ノンケが落ちる恋

あらすじは、上記を読んでください。

ノンケの受がひょんな事から攻との出会い、一緒に居なければならない状態になる。
そんな話の展開が好きで、その受がまんざらでもなく惹かれていくのを見るのも大好きな私からしたら、神評価作品です。
昼は一緒に手作りお弁当を食べ、休みの日にデート。なんて事ないのに、警戒していたはずの澄の心が期待に変わっていく流れが良いです!そして、意外に早かったキス。
ここから、澄の恋心が加速。
でも、楡のお母さんの話はちょっと意外でした。この展開で少し気持ちが冷めてしまいましたが、後半楡が普通の人間らしくなってからの澄とのHは、中々濃ゆくて良かったです。
マッチングが楡の裏工作なのは、何だか可愛く感じました。

2

ドラマチックでもないけれど

このページで、登場人物の年齢を改めて見て「え、こんなに年齢差あったっけ?!」って驚いちゃいました。もし、本文読んでる間に再確認したら、現実にはあり得てほしくない楡の年齢に不相応な振る舞いと澄の許容量の広さに疲れて最後まで読めなかったかもしれない(笑)
それほど仕事没頭型ダメ男・楡とロマンチスト流され系広告マン・澄のお話です!


作者買いで買ったわけではないので、いくつか読んだ印象ですが、一穂先生はストーリーというか、キャラクターの背景をしっかり描かれるので、一つ一つの発言や行動に説得力や納得度が高いな、とこの作品で改めて感じました。
そこに今回、楡という実態の掴めないキャラクターが出てきたので、ハラハラ感とか含めて澄の気持ちも追って共感しやすかったです。


そんなリアリティもあってか、この2人の恋愛ってドラマチックではなくて、一気に読んで恋模様を追う!って言うより、休み休み、今どんなんかな、って伺いながら読み進める感じでした。だから読後の達成感とかはあまりないです。逆に、通勤中とか、ひょっとしたらそこに澄がいそうな、そんな日常に溶け込む形で残りました。

評価について、感覚的に言うと、神や萌萌の作品って、観光地を訪れて「うわもうめっちゃよかったまたここ絶対来よう!」って絶大的なインパクトに対する高めなテンションなんですけど、この作品の場合、近所の「あそこいいよね、月二回は行っちゃう」っていう安心感や包容力に近いです。
なので、萌評価にしました。


そういえば、個人的には「梨とりこ先生が挿絵の一穂先生の作品」というのが購入理由だったのですが、作風に繊細なイラストがとても合っていて、特に独特の浮遊感を纏ったような楡を見て、一冊の作品として買って間違いなかった、と思いました。とはいえ、挿絵はかなり少なめです。そういう意味では残念だったなあ。


今日もきっと楡に振り回されながら幸せな澄がいることを願います。日常の目の端で存在しそうな2人を応援する人が増えますように。

1

運命という名の

AIが選ぶマッチングサービス。
まさに運命レベルの結果あらわれたのは男!?
いや、無理ですから!!!
ちょっとずつ絆されていつの間にか。

結果、意図的に生み出された運命だったとしても、
ある意味結果ちゃんと成立したのであればそれは運命と呼んでもいいのではないかとおもうのよね。
そもそも女の子とすら・・というのは置いといても
ノンケで男となんてカケラも想定していなかったのにもかかわらず
出会って好きになるって割と運命的なところだとおもう。

せっかっくだからっておつきあい(仮)はじめちゃう受も対外だけどなw

二人の掛け合い含め楽しいお話でした。
もう少し先の二人も見てみたい。

1

体温低そうな変わり者×夢見る乙女

マッチングアプリから恋愛に発展のラブストーリーはありえそうな話です。
♂×♂ではどうかと思いますが、多様性の時代の可能性としてありだとする社長の方針からマッチングの末男同士が運命の相手と紹介されるという、突拍子もないお話に初めからくすくす笑ってしまう展開でした。
ギャグでもないのにこんなに気持ちよく笑わせていただけるのはイエスかノーか以来です。

付き合うことになるのは、マッチングアプリのAI開発責任者 門脇楡と同社の運営会社広報担当 御影澄

澄から見た楡の印象が面白い
遭難者かという風態がシュッとしたサラリーマンに変身してギャップ萌え!?
チョークに塗れた白衣の化学教師がちょいSのイケメンとか
妄想や自分へのツッコミがおかしすぎる

楡はからかってるのか遊んてるのかつかみどころのない得体の知れない人。
のらりくらりとした常にテンション低く息をするように嘘をつくタイプの付き合いにくそうな人だから、澄くんはどこに惹かれたのやら。
なににも執着しなさそうで、自分にも他者にも興味がないような感じです。

澄は真面目で律儀、義理堅い夢見る乙女です。

本編最後の会話で「運命ではありません」と言うセリフで終わるところが洒落ていてよかった。
でも、二人の母親同士の接点や出会う数時間前の二人の接点なんかを考えるとやっぱり運命だよって言いたくなりました。

3

あんまりすっきりしない・・・

いつもの一穂先生らしくない、あっさりさっぱりした作品です。
正直、読んでもあまり心に残りませんでした。
サクサク読めたのですが、その分、色々なものが通り抜けてしまったように感じます。

そしてあまり攻めが魅力的じゃなかった。
これが痛い。
一穂先生の書くキャラはクズでもどこか憎めないのですが、今回の攻めは何がしたいのかよく分からない感じのキャラでした。

やはり先生の作品はもっとテーマの重いものを読みたいと思います。

5

ご縁ですね

確かに運命ではありませんでした。ご縁ですかね。

マッチングアプリが澄の100万人に一人の運命の相手と指名したのが同じ会社の男性の楡。

最初から楡は好意的でしたね。澄もどんどん楡を意識しちゃって。

そしてある日突然の別れ。
まさかの種明かし。ひねってますね!

それでも、運命ではありません
元カノ登場に澄が心を乱されるお話でしたね。
どんどん澄が卑屈というか負のループにはまって。

でもあの楡が必死で真冬にシャツ一枚で探し回ってたどり着いてくれて愛を感じました。

楡の中でも澄がこれまでで一番純粋に好きな相手なのではないかなと思いました。

ここからは辛口なのですが、文章が読みづらかったです。なぜだろうと不思議でした。これまで一穂さんの作品では感じなかったと思いますが。

あと比喩や例え話が多くて余計わかりにくく感じました。

全て受け目線で書かれてますがもうちょっと楡の感情を詳しく書いて欲しかったです。

そして澄は童貞だしお互い同性とのお付き合いは考えたこともなかったでしょうに、ハードルがほぼなくてそれはそれでいいのですがちょっと不思議でした。

5

オモチャみたいなマーブルチョコクッキーが食べたくなった

一穂さんの文章は季節や風景描写が良くて、主人公や登場人物達が見たり感じている空気感というものが読み手に伝わってきます。今回も雨や樹々の緑などが主人公の感情に沿って効果的に使われてたのがさすがだと思いました。主人公の澄は名前通りの人物、でも聖人君子みたいなのではなく、正直で少女漫画が好きで、ちょいロマンチストだけど普通の感覚を持った人でした。その澄が人生初めてお付き合いをして、だんだんと絆されていって好きになったのが、本心が見えない、つかみどころの無い楡なわけです。出会いはAIにマッチングされたけど、運命じゃなくて澄だから好きになったんだと言って欲しい!って思った澄に凄い共感しました。楡にはAIをいじってまで澄に近づいた思惑があったわけですが、近づけた後までは考えてなかったなんて、頭が良すぎる人は理解出来ないって思いました。この作品にはいろんな形の愛があります。楡のお父さんのハカセの妻に対する愛、社長の弟の楡への愛、澄の妹カップルの愛など、どれもそれぞれ違ってて切ない。澄の母は漫画家なのですが、いつか澄と楡の漫画を描きそうで番外編読んでみたいです。

6

AIがマッチング

作家買いです
一穂先生の作品は自分がもっとピュアだったら世界観に浸れるのかも
って思ってある意味うちのめされてしまうってのもあるのですが

この作品はテンポよく読むことができました

AI…ITだって四苦八苦なのにい…

マッチングアプリ会社に勤める入社二年目の澄は自社のに登録していたら
ある日社長に呼び出されて、「百万分にひとり」レベルの相性の相手が見つかったと
同じ会社のAI開発者楡を紹介される

楡はどこかつかみどころがなくて
それでもだんだん心を通わせていって…

そして、直近の過去と、大昔の過去とが
交差する私からみるとだいどんでんがえしで

そうなるかあ〰とうなりました

楡のお父さんとお母さんが二人とも施設にいるよって
っていう意味が一度読んでもう?って
なって、もう一度読み直したら意味がわかった
大概理解力少ないなあと思った次第です

最後は私の好きなハッピーエンド
気持ちよく読み終わることができました!

7

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