竜伯爵の花嫁選び

ryu hakushaku no hanayome erabi

竜伯爵の花嫁選び
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神9
  • 萌×23
  • 萌5
  • 中立1
  • しゅみじゃない5

--

レビュー数
7
得点
73
評価数
23
平均
3.4 / 5
神率
39.1%
著者
華藤えれな 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
価格
¥890(税抜)  
ISBN
9784773088830

あらすじ

竜伯爵に花嫁を捧げる祭の夜。
生贄の花嫁としてさらわれた日向は「私の卵を宿せ」と、竜の舌から与えられる媚薬のような蜜液に溺れ、犯される。
命からがら逃げ出した日向を助けたのは、薔薇園でひっそりと暮らす謎めいた貴族の青年フェレンツ。
彼の優しさに傷ついた心と体を癒されるうちに、彼が竜に人生を縛られて愛を知らず
孤独に生きる運命を強いられている事実を知る。
幸せになるため、愛を誓い、日向と竜を倒す決意をする彼だが、その向こうに切ない真実があって……!?

表題作竜伯爵の花嫁選び

フェレンツ・伯爵家の末裔・年齢不詳
日向・オルツィ子爵の曾孫・18歳

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数7

ヨーロッパの竜は、翼があって火を噴く竜

えれな先生の獣婚ファンタジーシリーズ。
華藤えれな作品の新刊は作者買いしているので、うっかりすると、直ぐにどれが既読でどれが未購入かわからなくなっちゃうけど、今回は間違いなく予約購入の届きたての新刊。
今回の舞台はハンガリーのそれも迷信深い辺境の地。
深い森に囲まれた、絶壁の岩山に住む最後の竜と、伝統の竜の花嫁選びのお話。
竜の時間と、人間の時間。
その長さの違いから、現代を生きる人間の社会では、竜と人間の間で交わされた契約の本当の意味は忘れられ、竜はただ恐れられ、憎まれるだけの存在となってしまっていた。
そんな現代で、竜伯爵との契約の担い手である子爵家の跡取りとなった日向が、70年に1度の竜伯爵に花嫁を捧げる儀式に臨みます。

お話自体は、最初から結末がわかっている所へどんどん進んでいくようなものなので、安心してフェレンツの健気さに涙しながら読んでいけます。
この文体とこの雰囲気が好きだから、私は、気持ちよくうっとりうるうるですっきりできました。

5

ヨーロッパ旅行に行ってこようかな

面白かった。華藤先生のヨーロッパ物大好きです。親族が向こうにいるので余計に物語の舞台の想像(妄想)が掻き立てられます。ハンガリーのスープのレシピを思わず検索してしまいました。途中、日向よ、何故気が付かないと焦ったくなりましたが、そこは龍伯爵ことフィレンツの切なさが伝わって来て萌えたので良しとします。こう言う切ないの大好物です。ハンガリーの森の奥の薔薇園のあるお城見てみたいですね。それにしても教会のステンドグラスとか祠の壁画とか、他の作品ではタペストリーとか華藤先生は上手いですね。龍の赤ちゃん見たかったです。

4

人間の傲慢さや身勝手な思いに絶滅寸前の竜一族と花嫁

その昔、人との間でしか子を成せない竜と人は、外敵や災害から守り自然の恵みを与える代わりに70年に一度花嫁を差し出す契約をしました。

日向は竜の花嫁選びの祭事を司る子爵家の後継者でした。

花嫁選びの日に竜を退治して宝を奪おうと考えた村人によって殺されそうになったところ竜に浚われた日向です。
竜のもとから逃げ出した日向が偶然出会ったにが森の番人フィレンツでした。

日向は、子を成すために人の意思を無視する行為を糾弾し、竜伯爵のせいで自由を奪われている番人であるフィレンツを解放したいと考えた。
村人のため、フィレンツのためにと竜伯爵を倒す決心しフィレンツにも共に戦おうと計画するのでした。

最も切ない展開は、伯爵が自分の存在こそが人に対してどれほど恐怖であり許されない存在であるかを知った時、日向の持つ神剣によって命を絶ってもらうことが最善なのだ考えるところです。
自分の存在を消すことで最期の竜族を消滅させ苦しみを終わらせたいと思ったのです。
孤独を知ったフィレンツが愛しい人の幸せのために愛しい人の手にかかって消えることが幸せに思い、その日を目指してカウントダウンしていく描写が悲しかったです。

愛を知り、共にいることの幸せを知ったとき、仲間も家族もいない、愛されることもなく憎まれるだけの人生を終わらせることに喜ぶフィレンツの心情に胸が締めつけられる思いでした。

日向が竜伯爵への憎しみや存在することへの害悪を語るのを聞くフィレンツが、共に倒そうと強く答える場面が幾度かあり、好きな人の口から自分への憎悪を聞く気持ちを思うと悲しくなりました。

4

攻めさんがツボ過ぎて

yocoさんの描かれた表紙とあらすじに惹かれ購入。



主人公は日向。
両親を事故でなくし、その後母の祖父(日向から見たら曽祖父)に引き取られた青年。
日向の両親は駆け落ち同然に結婚し、以降母方の実家とは疎遠だったという経緯がある。そんな日向が曽祖父に引き取られた後に聞かされたのは、彼の家が子爵として受け継いできた「竜とのかかわり」で…。


最近ファンタジーものといえば=竜、というくらい竜が出てくるお話を読んでるなあ…、と思いつつ読み進めました。

両親を亡くし、接点のなかった曽祖父に引き取られた。
竜に、花嫁として連れ去られてしまった。

というバックボーンが日向にはありますが、彼に関してはあまり悲壮感はない。主人公は彼で、あくまで彼視点でストーリーは展開していきますが、彼の目を通して描かれているのは彼を連れ去った「竜」の孤独でした。

過去にあった、人と竜との闘いの日々。
視点が変われば、見方も変わり、どちらが正しいとか間違えている、といった単純なものではない。そういったものが、細やかな描写で描かれています。

健気で薄幸な受け、というのはよくありますが、このストーリーは、健気で薄幸な攻め、のお話でした。

視点が攻め・受け交互に描かれているので、日向が出会い、恋をしたフェレンツの正体は早々に分かってしまいます。このストーリーの軸となるのは、フェレンツの正体は?という部分ではなく、そこから読み取れるフェレンツの孤独と彼の決意だったように思います。そんなフェレンツがなんとも悲しく、思わず落涙しました。

そして、フェレンツの本当の想いを理解できない日向にジレジレ。

このもどかしい二人のすれ違いに、激しく萌えました。

しいて言えば、日向の感情が淡々としているためにさらっとストーリーが進んでしまったな、という感じが。フェレンツが思い悩んだ分だけ、日向にももがいてほしかったな、と思ったりしました。

ただ、この淡々としたストーリーに、yocoさんのイラストがぴったり。
優しく、もの寂しく、けれどどこか温かい。
そんな世界観が、ストーリーと挿絵の相乗効果でより一層鮮やかに描かれていたように思います。

個人的にスパダリな攻めさんが好きなのですが、この作品のような健気・薄幸攻めもいい!
とにかく攻めさんにKOされる、素敵な作品でした。

6

切ない攻め。

タイトルからもわかるように竜と人間の切ないおとぎ話風ファンタジーです。

竜伯爵や竜一族の事を思うとすごく切なかったです。
攻めの竜伯爵が孤独や人間から忌み嫌われているとされてる存在・状況に何度も涙してしまいました。

作品内では薔薇や音楽や建物などとても美しい情景が描かれています。
素敵な愛情と共に描かれて美しい世界でした。
そして、美味しい食べ物の描写もあって、食べたくなるものばかりでした!
様々なデザート、ハンガリー料理やパブリカのスープ美味しそう!

でもこういうの読むと本当に人間が一番怖いな・・・とつくづく思います。
直接関係はないけれど、華藤えれな先生の人狼譚シリーズ含めてyoco先生のイラストが、奇譚シリーズの世界観にとっても嵌っていてそこも見どころでした。

ハッピーエンドなのはわかっているのですが、本当に幸せになって良かったです。
そして、過去にも添い遂げた花嫁がいたと知って安心しました。
末永くお幸せに!

2

どこかお伽話を思わせます

作家買いです。
ハンガリーを舞台とした、淋しい竜と青年のどこかおとぎ話を思わせる作品でした。


内容です。
竜伯爵に生贄の花嫁として攫われた日向。
竜伯爵に無理矢理犯され、強い怒りの中逃げ出します。
そんな日向を助けたのは、森の中でひっそり暮らす青年貴族のフェレェンツ。彼の優しさと孤独に触れ、惹かれ始める日向。
そんなフェレェンツが、竜によって人生を縛られている事を知り、共に竜を倒す決意をする二人。
しかしその向こうに、悲しい真実があり-・・・というものです。


こちら、現代が舞台でありながら、どこかミステリアスでおとぎ話を思わせる作品でした。
竜の元から命からがら逃げ出して来た日向が助けられたのは、謎めいた美貌の青年・フェレェンツ。
時が止まったかのような古城で、穏やかに傷を癒して行く日向。
物静かで優しい情景描写が素敵です。

そんな中、何故か一向に癒えないフェレェンツの腕の傷。
そして彼の、何かを諦めているかのような言動-。

実のところ、日向とフェレェンツの両視点で進む為、フェレェンツの正体は読者には分かります。だからこそ余計に、彼の孤独や決意が切なく感じられるのですね。
また、日向の混乱や迷いが、とてももどかしく感じられる・・・。

と、終始ミステリアスで、どこか物悲しい雰囲気の世界観なんですよね。淡々としていると言うか。美しい情景描写とも相まって、透明感を感じさせてくれる作品でした。
ただ、その分、登場人物に感情移入しにくくも感じられたのが残念でした。
何だろう・・・。生身の人間感があまり無いと言うか。

とは言え、全体的にはこの静謐感漂う世界観が魅力的でした。
あと、ラストのやっと孤独から抜け出せたフェレェンツには何だかホロリと。
おとぎ話の結末は、やっぱりメデタシメデタシが素敵ですね。

4

健気な二人

表紙買い。最近yoco先生ホイホイになってきている気がします。帯外して、文字消して額に入れて飾りたいぐらい、このシリーズ(?)の表紙好きー。カラー口絵もめっちゃ素敵ですよ!受けさんが表紙より少年っぽく見える衣装で、伯爵の庇護感が滲み出ている気がします♡
絵はそうなんだけど、内容は庇護じゃなく、ようやく手に入れたものから一瞬たりとも離れたくない、そういう気持ちかな。素直に読めば多分、王道健気話のはず・・・本編240Pほど+先生のあとがき です。ちなみにシリーズと書いてしまいましたが、他作(雪豹、銀狼、狼王等)との関連性は見出せず、単独で問題なく読めると思います。ポイントは獣姦(獣といっていいのかどうか ですが)です。ご留意ください。

舞台はハンガリーでも有数のトカイワイン産地。最初にバスは出てきますが、携帯等の文明の利器が出てこないこと、竜の伝説がまことしやかに伝えられている事などから、現代というより少し昔の時代を連想します。その子爵家の曾孫である日向(ひなた)は、病に伏せる子爵(90歳)の介護をする優しい青年。父に似た黒い髪、瞳と母に似た綺麗な容貌で、曾祖父と仲良く暮らしていましたが、ある日、曾祖父から大事な話があると、金細工に宝石が散りばめられた短刀を渡され・・・ とお話は続きます。その他、白いピアノだの、薔薇だの、森だの、ロマンティックな舞台はばっちり♡です。

登場人物は、子爵(曾祖父)、日向、フェレンツ、マジの竜といったところ。
yoco先生、マジの竜を4枚ほど描いてくださってるのですが、黒いためやや怖い系(=可愛くない)。お話のイメージに沿ってるっちゃ沿ってるんですけど、これに舐められても、怖いよなーと少々最初の方の受けさんに同情です・・・舌が二つに分かれているそうなので、惚れたら感触は倍増かもしれませんが・・・

*********以下は個人的感想

絶滅危惧種、レッドリスト掲載間違いなし な竜さんで、孤独感いっぱい、可哀想すぎる攻めさんです。受けさんも両親は事故でお亡くなりのため、誤解が解け、二人寄り添って生きていこうという結末には納得~なんですが。攻めさんが前向きじゃないので、萌えられず・・・・攻めさんの「誰からも愛されない」という状況はよく分かるのですが、やっぱり強くたくましく前を向いていこう!という方や俺様ぐらいな方の方が、単に好みなので、すいません、萌どまりです。

えれな先生の最近作がお好きな方には、間違いなし、ご安心ください という一冊に思いました。

2

この作品が収納されている本棚

レビューランキング

小説



人気シリーズ

  • 買う