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昨日原画展に行って、過去のカラー原画の数々、そしてこのMarbleのChapitre1全部のアナログ原稿、Chapitre16全部のネーム&デジタル原稿、描き下ろしのミニネーム&ネームといった圧巻の展示内容を見て作品を改めて読み返して、興奮さめやらぬ…というかちょっとやばいくらい感動している!という状況なので、まともな文章書けそうにないのですが、そのままぶつけます。
まず。
ソムリエの梶が人たらしでイケメンでした。かっこいい。
彼は、本来は厨房希望だったけど運命のいたずらで、サービスをする事になりソムリエになったのだけど、人に接することは彼の天職だったのだなぁ、運命のいたずら、ありがとう!と言いたい。
そしてシェフの近森。
チラッチラと見え隠れする彼の恋心。だけど梶はまーったく気づかない。
梶は近森のダメなトコ全部許してしまえるくらい彼の料理に惚れ込んでいるもんだから、彼のワガママをいつも許してやっている。
そして
「うちの大事なシェフだから特別」
「俺はお前に惚れてんの、お前の料理がいちばん好きなの!」
とか言っちゃう。
料理人にとっては最高の褒め言葉だけど、好きな相手から無邪気にこんなこと言われたらそりゃ辛いよね…。
つーか、梶、罪作りなほどに無自覚人たらしすぎる。
この人たらしぶりに近森はどぎまぎさせられて…かわいそうでかわいい。
380Pを超えるコミックスだけど、梶&近森だけではなく、周りのキャラが皆、生き生きしているので中弛みもせず一気に夢中で読めてしまいます。
特に近森の師匠でもある小鹿シェフがいい味出してた。普通なら当て馬として登場しそうだけど女の子大好きキャラで、近森の店の女の子から天敵扱いされてるようすがウケました。
私は二人が、近森の試作品をやいやい言いながらも仲良く食べてるシーンが好き。
不味いものを不味いとはっきり言える梶の性格、そういうところにも近森は惹かれたんじゃないかなぁと。
そしてこんな天才シェフでも、不味い試作品、凡庸な試作品を作っては落ち込む…という陰の努力部分もいい。
ビストロが舞台なのでフォアグラのラビオリ・鳩のロースト添えとか、鴨のリエットとか、窒息鳩のコンフィとか色んな料理が出てきます。
そのメニューを見て、あぁあれね!とピーンとくるような食生活を送っているわけではないのですぐに味を思い浮かべられないのですが、なんか美味しそうだなぁ〜…じゅるるっと妄想たくましくなってしまいます。
あ、あと赤ワインが無性に飲みたくなる!
二人の恋愛模様もさることながら、飯テロ系、酒テロ系としても罪作りな一冊です。
最初はこんなお店があったら私も常連になりたい…と思ってたんだけど、今は違う!
あの店のサービススタッフとして働かせてほしい。もちろん無給でいいです、あの二人のやり取りを間近で見れるなら…。(あ、でも賄い付きでお願いします。)
あぁ、でも二人のことを目で追いすぎて仕事にならなそう…。
Chapitre17からの二人はもうただひたすらに眼福。
梶は絶対攻めかと思っていたのに、まさかの「この際どっちでもいいや」発言。萌える!梶は色んな意味でチート過ぎる!
そしてその後の近森のカチコチぶり、初々しさといったら!あれがあのいつも「梶ーーーー!!!」と呼びつけている暴君と同一人物ですか?!と。
梶は雄モード全開になってくらくらするほど色気があるし、近森はめちゃくちゃ可愛いし、で超絶良かったです。
私はこの380ページ超えの中で、こうだったらもっと良かったのになぁと言う箇所が一つもなかった。もう全てに満足です。
川唯さんはもう単行本出されないのかな…と思っていたので、この新刊は本当に本当に嬉しかったです。
そしてあとがきを拝見すると、絵でかなり苦しまれたご様子が綴られており、こんなに綺麗で素敵な絵を描かれるのに、いったいどこが?!と思うのだけど、きっとご自身に厳しい方なのでしょうね。
そしてそういった作家さんの迷走みたいなものは作品には一切現れず、380ページ超えの何処もかしこもが輝きを放っている。もの凄い事だと思うんです。
川唯さんが長い苦しみを乗り越えてこの作品を完結させ、こうやって私たちを楽しませてくれる事に、私は心の底からの感謝を捧げたいと思います。
あぁ…ため息しか出ない…
本当に素晴らしい作品でした。
内容も、ページ数も、ボリューム満点。
まさに、「ご馳走さまでした!」
作中に出てくる料理がもう…
美味しそうで美味しそうで悶絶っ!
知らない料理名が出てくるたびに調べてはお腹を鳴らし、近くで食べられそうなお店がないかしら?と検索魔と化す深夜二時…危ない危ない(^^;
そのくらいに素晴らしい描写力で、幸せな時間を与えてくれた本作。
のっけから食欲全開で書いちゃいましたが、さて本題。
料理の腕は超一流!でも無愛想で接客は苦手なシェフ近森と、コミュ力が高く有能なソムリエの梶。
梶は近森の料理に惚れ込んでいて、まさに胃袋を掴まれちゃっている状態。
近森が仕事しやすいよう周辺業務を完璧にこなし、二人三脚でお店をもり立てます。
スタッフやオーナー、違う駅のイタリアンレストランのシェフ小鹿など、魅力的な仲間たちに囲まれて繰り広げられる日常が楽しい。
近森→梶への恋心は見え隠れするものの、中盤まではお仕事中心で進むストーリー。
そこに不意に差し込まれる近森の自慰シーン。
「あ!これBLだった!」
と我に返り、そこからの展開がまた素晴らしかった〜。
再びため息…
前半、中身の濃い仕事ストーリーを読ませてもらい、正直「これはエロがなくてもいいかも」と思っていました。
ですが、梶が近森の恋心に気づかぬままに恋心を煽りまくるため、近森が恋する男の顔に変貌していくーー!
なんですか!あのキスは!
梶の言動に一喜一憂して、こっそり赤面したりトロけたり、でもツンツンしていたり…
こうなるともう、近森を抱いてあげて欲しくなっちゃうのよね…
梶は近森の料理が大好きだけど、実は近森も梶の作ってくれる温かい料理が大好き。
二日酔いの朝に作ってくれるお味噌汁。卵焼き。浅漬け。粕汁。
お互いに胃袋を掴まれ、仕事ではなくなはならないパートナー。
二人が別離し、迷い苦しみながら出した答えが、結果ぴったりとハマり、恋愛面でも相性バッチリのパートナーになれて本当によかった。
エッチシーンには本当に萌えました。
最初あわや梶が受けに!?という危機(?)もありましたが、ガッチガチに緊張して攻めに回れなかった近森のファインプレー(?)のおかげで無事近森が受けてくれました。
梶はやっぱり男前で、しっかりリードしてあげるよい攻め(^^)
最後に、小鹿シェフ!あなたもいい男すぎました。
気さくだけどちょっとウザいキャラを装いながらも、実は優しく、洞察力が鋭い人。
適切なアドバイスや、必要なときにさっと差し伸べてくれる手に、二人はとても助けられたはず。
松子ちゃんにはいつも「ギャー!こっちくるな!」と避けられてたけど、きっとそれは愛情の裏返しで、実は小鹿シェフLOVEなんじゃないかな?なんて思ってたけど、結局最後まで嫌がられてたね(´-`).。oO(遠い目)
大切な一冊に出会えた一日に感謝。
もうすぐ作者の新刊が出るよ、と聞いて楽しみに待っておりました。
17話+描き下ろし(あとがき含め12p)で380ページを超えるコミックス。
人の心を開くのに、おいしい料理はお酒より効くんじゃないかと思ってます。出てくるメニューは響きだけでも空腹感を刺激するので、夜中に読むのは危険かも…。いいところでお味噌汁なんかも登場するからもう大変です。
「街で一番のビストロ」と店のソムリエ(表紙右・梶)が自負するレストラン。彼が惚れ込むシェフ(表紙左・近森)がそこで腕を振るいます。自慢のシェフが作るおいしい料理、ともに働く仲間たち…。ときどきオーナーや他店のシェフ、お客様も登場しますが、どのキャラにもそれぞれにまたストーリーがあるんだろうと思え、とても印象的でした。美しいイラストから手書きのホントに細かい文字まで、どこまでも楽しませてくれます。
料理人としては器用な近森が、それ以外ではとことん不器用。口も愛想も悪いし客への対応も下手なんです。一方の梶は、鈍感すぎる部分もあるが何でも器用にこなしてしまうムードメーカー。近森が梶を信頼しているのがよくわかる描写が序盤からとにかくたくさんあって。そうなったきっかけもちゃんとあって。この関係いいなぁと思える。近森は表紙ではコックコート姿ですが、作中は主に半袖Tシャツの袖を折り曲げているスタイルです。それに、腰下エプロン。これも好き。「梶ー!!梶ー!!」と大声で呼びまくります。
仕事に、料理に対する情熱がまずあって、あって……そしてラブになる、みたいな一冊かな。笑いもたっぷり、きゅんともできて、初々しいのもよかった。私はずっとふたりのHシーンが想像できなくて、梶と一緒に「近森ってどんなセックスするんだろ」って考えてましたけどね(笑)。しかし初エッチのかわいいこと。梶のセリフが、試合のハーフタイムに監督とかキャプテンが言いそうなやつで、声出して笑っちゃいました。もうエロさはなくてもいいよと思ってしまうぐらい、緊張全開の近森が可愛いくて全部◎です。
税込1000円超えということできっと分厚いのだろうと予想してはいましたが、一冊注文でもポスト投函便とはいかない厚みでしたよ。
あー、梶がいないとFAX送信できない君が可愛すぎるよ〜(これツボでした)。
Cover Design:Miharu Takatsu(CoCo.DESIGN)
カバー下なしです。
川唯先生、6年ぶりのコミックスです。
『Marble』は雑誌でも何話か読んだことがあり、ストーリーは知っていたので、正直なところ、私にとっての名作中の名作『雫 花びら 林檎の香り』を超えることはないだろうと思っていました。
でも一冊通しで読むと、川唯流ラブストーリーの世界観にどんどん引きこまれていき、『Marble』も『雫 花びら 林檎の香り』に並んでいました。
フレンチビストロのソムリエ兼ギャルソンの梶と、シェフの近森。
梶はイケメンで社交的で問題が起きてもうまく収めることができる。
対して近森は不愛想で社交性のカケラもなくて、料理しかできることがない…
でも、その料理が天才的!
私にも大好きなフレンチのビストロがあります。
その素材にどこまで火を通せば最高の状態になって、最も美味しくなるソースがなにかを知っているシェフ。
それは素材そのものと、その日の気候によって変わるからレシピにおこせるものなんかじゃない、シェフ自身の経験と感覚で成せるその日だけの一皿。
近森の作る料理は、私が大好きなシェフと同じくらい感動的な味なんだと思う。
だからね、最悪の出会いと対抗心から最初は近森を快く思っていなかった梶が、近森の料理を一口食べただけで、そんなことどうでもよくなって、近森の味に心酔してしまう気持ちがすごくよくわかるんです!
「美味しいものは閉じた扉をひらかせる」まさにその通り。
そこで潔く謝って、ヨロシクと言える梶も気持ちの良いイイ男です。
そして、梶は惚れ込んだシェフの横暴なワガママを全力で叶えてあげる。
フレンチなのに、粕汁・どて煮なんて和のまかないをせっせと作ってあげて、梶の近森への尽くしぶりは半端ない。
私の大好きな店のギャルソンも、ただ丁寧なサービスだけじゃなくて、その人なりの言葉で親し気に接してくれて、その場の雰囲気を作り、料理の美味しさをさらに引き立ててくれます。
美味しい料理を作るシェフと、店の居心地を演出するソムリエ兼ギャルソン、二人は最高のバディで、ビストロの重要な要。
でも、そんなに梶に尽くされたら近森の気持ちは動いてしまうんです。
こんなにワガママな暴君が内心では梶を想っていた、それがわかった瞬間、メーター振り切れるくらいテンションが跳ね上がりました~♪
近森が抑えきれない想いを梶に言ってしまうまで、どんなに切ない想いを抱えながら最高のバディを演じてきたんだろうと、あの時のあれはこの想いへの伏線だったんだと、いろんな想像がグルグルしだしました。
中盤までグルメマンガだったのが、一気にラブストーリーへ急変!
近森の師匠である小鹿シェフが、悩んでいる梶に、近森の気持ちを(想像で)代弁するのですが、梶の尽くしぶりに反して梶がなんのためにやっているかわかっている近森は苦しかったろうなぁ。
(っていうか、小鹿シェフ、イタリアナイズされたスケベなオッサンかと思ったら、すげー良いこと言う!)
ここで『Marble』が、私の中の『雫 花びら 林檎の香り』に並びました。
やっぱり川唯先生はラブストーリーの神様です!
二人がすれ違ってしまうのは苦しかったけど、やっぱり最高のバディだったからこそわかる部分があって、一瞬で元の二人に戻れる!
梶と近森のリスタートはとても晴れやで、川唯先生のリスタートも願いながら本を閉じました。
私はTORICOで受け取った特別な本で『Marble』をちゃんと読むと決めていたので、描き下ろしもあとがきも知らずに原画展に行きました。
川唯先生の画力と世界観を堪能できる、素晴らしすぎる展示の数々をただテンション上げて眺めていました。
描き下ろしの負けず嫌いすぎて、とんでもないプレイを自ら志願しちゃう近森w
そのかわいさとバカさは原画展にあったネームで初めて読みました。
近森が感じてしまっている証拠のあのコマ、本ではパンツを履いてるけど、ネームでは真っ裸だったことをお知らせしておきますw
(その場でこのシーンどう描かれてるんだろう?と本を確認しちゃいました。そのままを通してくれたら良かったのにねぇ。>リブレ編集部)
川唯先生が『Marble』執筆中に作画で苦しんでいたことをあとがきで知りました。
『Marble』も原画展で見た絵も、ファンの私から見たら、ただただ素晴らしくて感動的なのに、クリエーターにはクリエーターにしかわからない苦しみがあるのですね…
でも私は川唯先生の作品をこれからもずっと読んでいきたい。
ファンのワガママではありますが、6年ぶりのコミックス発売、これが川唯先生の活動のリスタートになることを心から願っています。
とにかく読後に充実感を味わえる一冊です!!
普通の単行本2冊分の内容が一冊にまとまっているためとても丁寧に2人の関係性が描かれています。
舞台はビストロ。
ぶっきらぼうで愛想はないが腕は一流のシェフ(受け)とムードメーカーで見た目もよく仕事もめちゃくちゃできるソムリエ(攻め)のお話です。
もう受けがとにかく可愛い!!!
最初から受けのピュアな恋心が上手く受けの表情で表現されていて溢れ出るその可愛いさに、本を閉じては開き閉じては開きをを繰り返してしまうほどキュンキュンしました。
また、ビストロが舞台のため料理やワインが物語の要としてでてくるのですが本当にどれも美味しそうに描かれていて実際に料理を食べたいという衝動に駆られてしまいました。
ストーリーがしっかりしていて、絵も美しくBL初心者さんにもおすすめしやすい一冊です。
デビュー20周年おめでとうございます☆
20年近く前に読んだ川唯さんのデビューコミック「形而上なぼくら」が私のファーストBLなものですから、新刊を手にしながら今こんな風にレビューを残していることがなかなか感慨深いです(*´ー`*)
分厚いとは聞いていましたが、実際に読んでみるとさらにその1.5倍くらいの読み応えで、気持ち的には“たっぷり全3巻”くらいの満足度でした。
主役2人以外の登場人物達も魅力的で、世界観まるごと楽しかった!
次々に美味しそうな料理が登場しますからダイエット中の方は要注意ですよ〜
でも個人的には失敗作の不味そうな料理もところどころで登場してきちゃうところにグッとやられたなぁ(〃ω〃)
不味い料理でも2人で食べるなら楽しい時間で・・・萌える〜〜( ´艸`)
あ〜幸せ!
にまにましちゃう!
この2人、シェフの近森だけじゃなく、梶も料理が上手いんです。
お互いに胃袋を掴まれ合ってるんです。
それって最高の相思相愛じゃないですか???
作者のストーリーがまた上手いんだ〜
2人は途中で一度離れ離れになっちゃうんだけど、本人達の心より先にね、2人の胃袋がね、“好きなあの味”に会いたがっちゃう。
恋愛で「胃袋を掴む」ってよく聞く話だけど、そうか、こういう形なら最高に幸せかも!って思わせてくれる、とっても素敵な相思相愛の形でした。
もうね、他人が入り込む余地なんて全然ないんだもの。
こういう読んで幸せ系の作品って言葉にしてレビューするのが意外と難しくって困ります。
素敵なレビューがすでにいくつも並んでるからもういいかな。笑
とにかく最高でした!
近森さんのツンデレっぷりが理想的過ぎました♡
恋愛サイド以外が大充実だからエッチ薄めのお仕事BLでも全然イイ!って思って読んでたけど、ベッドの上での近森さんを見ちゃったら「やっぱりエロも!エロもください!」ってなっちゃいましたねw
描き下ろしは梶さんじゃないけどヤバかった!
近森さんの可愛さ凶器!!!
ぶっちゃけ私の性癖はモロ梶さんタイプ(俺Sっ気ないはずなのに・・・)なので、解るわ〜〜〜梶さんそれすげー解るわ〜〜って私の心のtnkが梶さんにめっちゃ共感してましたよ。
はぁ〜読めて幸せでした(*´ー`*)
【電子】シーモア版:修正白抜き、カバー下なし、裏表紙○
ボリューム満点、読み応えたっぷり。
読了後に「読めて良かった!」と心から思った作品です。
愛情溢れた素敵な物語に出会えたことに感謝。
そして何より、この作品を生み出してくれた川唯東子さんに心からの感謝を。
とても良い意味で「BLはファンタジー」を感じさせてくれた幸せな作品。
悪人は出てこず、主役二人はもちろんのこと脇役(女の子も含め)も魅力的で読んでいて大変気持ち良くページをめくることができました。
その気分の良さは読了後の余韻も含めてずっと続き、この感想を綴らせていただいている今も満たされた気持ちでいっぱいです。
物語としては小さなビストロを舞台に、梶(ソムリエ)と近森(シェフ)が恋人になるまでを丁寧に描いたもの。
近森は料理バカで、料理に対しては素晴らしい才能を持ち努力も厭わないけれど、それ以外のことはわりとダメダメ。対人関係も不器用だし、事務仕事のファックス一つまともに送れない、といった感じ。
ノンケの梶は仕事は有能でルックスも良く、包容力と柔軟性に富む人物。
そんな梶なので近森から想いを寄せられて悩むけれど、持ち前の包容力と柔軟性と切り替えの早さで恋人関係へそこまで拗れずに移行していきます。
ですので、作品全体として多くはお仕事描写(それはそれは美味しそうな料理やワインが描かれていてお腹が空きます!)をメインに二人が仕事のパートナーとして料理について話し合ったり、近森が料理だけに没頭できるように梶が店を完璧に仕切って支えていく姿が描かれています。
仕事のパートナーで恋人という素晴らしい関係性!
それも、仕事では傍若無人で暴君な近森が二人きりの恋人時間になると“超負けず嫌いなドM”(近森本人は無自覚)になるという心くすぐられる設定。
お互いの仕事をリスペクトして認めあっているからこそ生まれる信頼関係も、恋人としての甘い空気感も両方楽しめて大満足な一冊でした。
芸術方面で活躍されている方が言う「わたしにはこれしか出来ないから」という台詞。
「これ」が、一般人には「背伸びしたってできないもの」ゆえに、「天才なのに不器用アピールですか」と嫌味っぽく受け取られてしまうことが多いような気がします。
言った本人は、いろいろ器用にこなせる人の方がすごいと純粋に思ってそう。
もし「これしか出来ない」ひとが、「これ」すら出来なくなったら、ものすごく怖いだろうなと思うのです。
「漫画を描く」というのは誰にでもできることではなくて、漫画原作の映画が多いのはストーリーやビジュアルだけでなく、既に絵コンテまで仕上がっているという点も大きな要素だと思ってます。
自分が創り出した物語を絵で全部伝える。それを1人でやる。すごい才能ですよ。
川唯さんはストーリーも良いけど、作画力が圧倒的に高い作家さん。
その川唯さんが「自分の絵が分からなくなった」。
どんなきっかけでそうなったのか知り得ませんが、ものすごい恐怖だったろうなというのは想像できます。
その状態が1年、2年、3年と続いて、4年経ったとき、「これ」があるから認められてきた自分と向き合い続けた川唯さんが、戻って来てくれた。
4年間の苦しみは、わたしたちには分かりようがありません。
でも「やっぱりわたしにはこれしかない」と戻ってきてくれた川唯さんの強さだけは分かる。
前置きが長くなりましたが、活動再開後の1作目となるこちら。
若き天才シェフと、彼の右腕どころか、料理以外の全てを担うソムリエの話でした。
無愛想で無頓着、横暴でわがまま。
料理しかできない近森を、「お前は料理だけしていれば良い」と支える梶は何でも卒なく器用にこなすタイプ。
梶のサポートがあるから許されている状況で、梶を突き放したら…。
いろいろな雑務に追われて、肝心の料理すら向き合えなくなって、翼をもがれたような状態になってしまう近森が、川唯さんの苦しみを代弁しているかのように感じました。
食べ物が出てくる作品最高!飲食店設定大好き!という方は多いと思います。
さらにイケメン大好き!イケメンで読めるBLはご褒美です!という方も。
わたしもそうです。
この作品は『雫 花びら 林檎の香り』でも発揮されていた、「仕事」の部分もしっかりと描きつつ、そこを絡めた心理描写が巧みな川唯さんならではの技が光っています。
でもそれだけじゃない。
悩んだ川唯さんだからこそ描けた作品だと、しみじみ感じます。
作品のことよりも付随する部分の方に文字数を割きすぎてしまいましたが、事情を知らずに読んでも、じっくりと練り上げて、創り出された素晴らしい作品です。
陳腐な言葉しか出てきませんが、また大事な1冊が増えました。
↑ビストロメニューっぽく書いてみました。
川唯先生の他の作品が大好物で、こちらも気になり購入。
本を探していて、見つけたとき、
まず、本の厚さにびっくり!!分厚っっ。
2巻分を1つにまとめたのかな?と思い、読み進めていくうちに、
これは、2つに分けちゃいけない。と実感。
と、いうのも、恋が走り出すのがホントに最後の方なのです!(いや~、待った、待ったよ~)
分厚いが故に、あらすじ長いけど、ちゃんと恋をするプロセスが感じられて良かったし、
後半のソムリエ梶の暴走ぶりが非常に良かった!
付き合おっかってなった帰りのスーパーでゴム買うとか…
(早い!?早いよ!?!色々すっ飛ばしたよ?!いや、正直この展開待ってたし、大人のたしなみなんだけどね??)
要所要所で笑えるところもあり、特に印象に残っているのは…(タイトルに戻る)
まず書店で手に取った時にあまりの分厚さに驚きました。最後のページで知ったのですが、なんと2013年から連載されていた作品だったんですね。こんな厚さになるわけです。一般的には1巻に5、6章収録されていることが多いかと思いますが、当作は17章もあります。短い章もありますが、それでも読み応えたっぷりな作品でした。
とあるフレンチ店のソムリエ×シェフということで、料理の描写も多く、美味しそうなメニューの数々についお腹が鳴りそうでした。シェフの近森は料理以外はてんで駄目で、面倒な用事はすべてソムリエの梶に押し付けています。一方の梶は近森に胃袋を完全に掴まれていて、彼に良い気分で仕事してもらうのが自分の役目、と甘んじてこき使われています。でも、近森の試作を食べる際、不味い時は不味いと正直に言えて、どこが駄目かも正確に指摘できるのは梶だけなんです。この関係性が本当に素晴らしい。まさに、持ちつ持たれつですね。
梶はお店の回し方も上手いですし、常に近森がシェフとして最善に動けるよう支えてますから、梶が抜けるとすっかりお店は回らなくなってしまうんですね。でも、何年も梶に甘やかされ、彼の思わせぶりな態度に一喜一憂してしまう近森は、仕事に支障が出る、と梶と別々の店で働きたいと言い出します。初めて近森の自分への気持ちを知る梶ですが、当然ゲイでもないし今までそんな風に近森を見たこともないので、他店で働きながら悩みます。近森と会えないのも、彼の料理が食べられないのも嫌。なら、試しに付き合ってみるのもありなんじゃ? そう結論を出した梶は、お店のために戻ってきて欲しいと頼みにきた近森に提案し、やっと2人の恋愛の歯車が動き出す、という流れでした。
近森が梶の言動にどきっとする場面は序盤から多々ありますが、梶は近森に告白されるまで恋愛的目線を一切持ってないので、途中までは本当に近森の片想いという感じが強く、本格的なBLらしい展開はかなり後の方からになります。逆に、そこが良かったです。近森の料理を世界一愛していて、彼の才能に惚れていて、でも恋愛的好意はなくて清々しいほどにノンケな梶。だから告白を聞いても、「実は俺も好きだったかも」「実は近森ならイケると思っていた」なんて急展開にはならないし、あくまで今後も近森と一緒に働き彼の料理を食べるにはどうすればいいのか、そこから考える。遊びではなくそういう真摯な気持ちでなら、試してみるのもありかもしれない。そしていざ恋人らしいことをしてみたら、人使いが荒い近森の意外なギャップも知って、可愛いと思い始めたり。
初めてことに及ぶ時も、近森を抱きたいと言うのではなく、俺はどっちでもいいという梶が本当にどこまでもついさっきまでノンケだったんだなぁと感じさせてくれます。そんな彼が近森の乱れる姿に興奮して、やっと主導権を握って攻めになるんですよね。この辺の梶の変化の描写が冴えてるなぁと思いました。もちろん、近森も読者の期待を裏切ることなく、今まで抑えていたデレの部分を解放してくれてとっても可愛かったです。超負けず嫌いなドM、なんて破壊力のある称号も得ましたしね。自分もレストランの従業員の1人になったような気分で、料理を愛する2人の男性の関係を見守っているような、そんな気分にさせてくれる素敵な作品でした。