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生前に、凄く、好きな人がいたんだ。
neko no oukoku
犬飼のの先生の作品は、暴君竜シリーズや薔薇の宿命シリーズなどその他複数、拝読させて頂き、今作も作家買いさせて頂きました。
自分の命よりも猫を助け、命を落とした者だけが、入国を許された天国。そこは猫の為の天国、猫の王国だった。猫を助けて死んでしまった由良は、猫耳と尻尾が生えた猫人として猫の王国に迎え入れられる。そこで由良は、親友の貴洋との喧嘩が原因で自殺したと誤解されていることを知る。謂れの無い批判を受けてしまう貴洋の為、誤解を解くには猫騎士となり、願いを1つ叶えてもらうしかない。そして由良は猫騎士を目指すべく騎士養成学校、クリソベリル・キャッツアイに入学する。騎士候補生として由良は専属の指導教官のイズミと出会うが、イズミは貴洋とよく似た猫人だった。
猫を助けるなど、動物の猫は勿論だが、猫の王国では猫耳と尻尾が生えた猫人が多く登場したり、驚いたり感嘆した時に「ニャッ」と鳴いたり、猫耳や尻尾の動きの描写や猫人同士の毛繕いなど、動物よりも猫人要素が多めな気がするが、個人的、各項目5段階で
猫 4
ストーリー 4
ファンタジー 4
切なさ 3
エロ 1
な感じだと思います。
シリーズ物ではなく一冊完結で、物語のその後が気になったりしますが、一区切りとしては綺麗にまとめられていると思いますので、ページ数的にも読み応えはあると思います。
しかし注意点として、猫を助けて命を落とす者達がいると言うことはすなわち、猫が危険な目に遭う描写があると言うこと。更には猫騎士の使命として魔を祓うのだが、その魔と言うのが人に虐待されて命を落とした猫の怨念なので、猫派の自分は割と平気ではあったが、猫派じゃなくても動物が辛い目に遭っているのが嫌と言う人には、読むのが少しばかり心苦しい可能性が無いとは言い切れません。
ですが、それを乗り越えた時、飼っている猫をもっともっと愛してあげようと思える、慈愛を分けてもらえます。自分は頂きました。
冒頭は主人公の高校1年生の由良君が親友の貴洋くんといつの間にか疎遠になってしまったことやクラスメイトが用意した偽物のラブレターの所為で貴洋くんと更には関係が悪化したりと序盤から由良君にとって辛くて切ない展開に読んでいて胸が苦しかったです。
読み始めた時から、貴洋君は由良君のことが好きで、好意を悟られない為や男同士だからと言う理由で疎遠になったのではと予想していたが、その予想が当たっていたとしても貴洋君の言動で、偽物のラブレターの件で「貴洋のことは、ただの友達」と抗議した由良君に対して「いつから友達になったんだ?」と言い放ったり、遂には、由良君を呼び出しておいて当の貴洋君は彼女と帰る所を見せ付けると言う鬼畜の所業に少しばかり業腹でしたよ。
更に許すまじなのは、由良君が助けるきっかけとなった仔猫を虐待していた悪童達。由良君がガツンと叱った時は、よくぞ言ってくれた。悪童への一喝が勇ましくて格好良いよ。その後のメインクーンとなった番人とのやり取りがちょっと微笑ましてくて、悪童への苛々が緩和されました。メインクーンって大きいもんね。
しかし個人的には悪童達には少しでも痛い目に遭えばな、と思ってしまった自分もまた悪なのか。
命を落とす前の由良君は寂しく思い悩む姿の印象が強いのだが、猫の王国での由良君はとても穏やかで優しく、貴洋くんとの誤解を解く為一生懸命に、そしてイズミさんの指導に応える為健気に、猫騎士を目指す姿に頑張れと応援したくなります。
個人的に様々な場面で猫語で鳴いたり無意識に猫の尻尾を絡ませ合ったりするのが可愛くて、猫らしくて癒されました。
由良君が出会った猫人達は表紙にも描かれていてとても魅力的だが、やはり気になるのは貴洋くんに似た猫人のイズミさん。ストーリーやCP要素的にこうなのでは?と予想はするものの、由良君とイズミさんのおおよその年齢差や猫の王国に来た時系列などで疑問が残ってしまうのだが、全てが明かされた時は、自分のおつむでは予想出来ない展開で脱帽致しました。
親友と疎遠になったり家族との死別だったり切なくて辛い描写もあるが、猫要素は勿論、異世界ファンタジーな学園物としても楽しめると思います。更には協力書店限定SSではマタタビでとろーんとする由良君が可愛くて、本編も特典も是非とも読んでほしいです。
作家買いなのと、yoco先生の素敵な表紙に惹かれました。
いつものことながら犬飼のの先生の緻密な設定に感心させられ、特殊な世界観を楽しむことができました。
ネタバレてんこ盛りな感想なので、未読の方はご注意ください。
本作の舞台は、猫を守ったり救ったりした際に命を落とした人だけが死後に招かれるという天国の中にある猫の王国でしたが、こんな風に現世で何らかの徳を積んだ人が死後に何らかの形で報われる世界が本当にあったらいいのにな、と何度も思いました。死後の楽しみがあれば、現世はもっとがんばって生きようと思う人がたくさん増えそうですよね。
あと、本作は映像化に向いているなと思いながら読んでいました。グラスソードやデートと称した跳躍シーンや戦闘シーン、そして何より猫耳や尻尾がついたキャラが動いているのを想像するだけで愛らしいです。
中立評価にしましたが、由良が過去を改変するまでは神寄りの評価でした。
生前の場面は辛かったけど、生前も死後も由良があれだけ執拗に貴洋にこだわっているのを見せられたので、イズミはおそらく貴洋だろうと思っていました。そうなると貴洋が由良より先に死んでいないと矛盾しますが、そこは犬飼先生の手腕で上手く納得させてくれるだろうと期待していました。
なので、由良がイズミに惹かれながら二人の距離が縮まっていく過程に萌えていたのですが、全てを明かされてからではイズミが卑怯な人間という印象が強いです。
素性を隠したまま望みが叶った通りにイズミとして由良に近づき、子孫繁栄の必要がない世界だから同性愛や同性同士で番になるのも普通のことだと刷り込み、由良から恋愛的な意味で慕われているのを確信してもなお、由良が過去を改変して貴洋の罪がなかったことにされるまで真実を話しませんでした。この一連の行動がどうしても保身に走っているようにしか見えません。
結局由良のゲイ疑惑をでっち上げたのは誰だったのでしょう? 貴洋は普通でいたいから由良への恋愛感情を抑圧していたはずなので、そっちの方面で由良を吊し上げるのはおかしい気がするし、かといって他の誰かであれば自分も被害者として揶揄されている状況も耐えられないと思うし、由良が友達としか思ってないとゲイ疑惑を否定した直後に貴洋が友達とすら思ってないとわざわざ傷つけるようなことを言ったのも、愛憎なのか何なのかよく分かりません。
由良が川で溺れた件だって、子供たちが猫を虐待したことはもちろん人としてありえませんが、貴洋が由良を呼び出して放置しなければ由良が死ぬことはなかったのです。それも由良から一方的に恋愛感情を向けられているのであれば、彼女といるところを見せつけるのは効果があると思いますが、友達としか思ってないと言った由良にこれをする意味とは一体……。
貴洋は由良のことを家族を捨てて死ぬような人ではないと言っていましたが、極限まで追いつめられた人が衝動的に自殺という今まで考えたこともなかった選択をするのであって、普段の人柄なんて何の参考にもならないと思います。それを第三者の立場が思うならまだしも、本当に自殺に追いこんだ可能性があるかもしれない立場の貴洋がそう思うんだ……とガッカリしました。
おそらく、遺族が由良の死の真相を知ったとしても、やっぱり貴洋を責めずにはいられなかったと思います。
そして由良ですが、とにかく貴洋第一なところにあまり共感できませんでした。どんなにひどい扱いを受けてもあそこまで執着するなら、いっそのこと貴洋に恋している設定の方が納得できたのではないかと思います。
過去改変の場面も、結果的に自分だけでなく貴洋の死に繋がってしまう人物だったとはいえ(でも由良はまだそのことを知らない)、猫を虐待した子供たちをクズ呼ばわりする由良に違和感がありました。
猫の王国で騎士になるために猫の死と向き合ってきたからこそ沸き起こった憎悪なのだと思いますが、私からすれば貴洋もクズに等しい行為をしたと思っているので、子供たちには写真を撮ってデジタルタトゥーをちらつかせて脅した上にデータを消すことを失念したのに、一方で貴洋の所業は無条件で許して貴洋の罪を消すことで頭がいっぱいになっている態度の落差について行けなかったです。
何より、過去改変の被害者は由良の家族だと思います。
事実をねじ曲げた失踪なのに、家族は由良の悩みに全く気づけなかった自分を一生責め続けるのではないでしょうか。特に弟の紗良は全力で由良を引き止めなかったことを両親に責められたかもしれないし、これからずっと悔やみ続けるのかと思うと本当に気の毒です。
由良の死に直面しないとはいえ、二度と姿を見せることのない由良の帰りを待つ人生は果たして家族の救いになるのでしょうか。私ならこちらも相当地獄だと思います。真実を知っているだけに、ただただ家族がかわいそうという思いしかありません。
由良の望み通りに過去を改変して一番救われたのは貴洋です。貴洋の家族も加害者一家というレッテルはなくなりましたが、事故死だったはずの貴洋が謎の失踪に変わったので新たな苦しみがずっと続きます。改悪と言ってしまいたいほど貴洋本位なのに、そこまでのことをしておきながら友情しかないのはさすがに突っ込みたくなります。
無自覚で好きだったわけでもなく頑なに親友の憧れと言い切りましたが、もしも猫の王国が同性愛が普通ではない世界だったら、同性愛を全く意識しない由良はイズミに恋しなかったという裏づけになるのでは? と思ってしまいました。せめて両片想いだったらまた別の見方ができたのかもしれません。
辛口な感想になりましたが、どんな過ちを犯しても、何かしらの善行があれば天国に行ける可能性があるという希望を持たせてくれる作品です。
納得できない部分はあるものの、小規模なセカイ系と解釈したら、まあそういうものなのかなと思いました。
攻め様の後悔や悔恨といったものが大好物なので、とっても萌えさせて頂きましたヽ(*^^*)ノ
受け様の由良と、攻め様の貴洋は、幼なじみ。
高校生になる頃から、貴洋が素っ気なくなって、由良は寂しい思いをしていた。
仔猫を助けようとして溺れた由良は、目が覚めたら猫を助けて死んでしまった人だけが来れる『猫の王国』に迎えられていた。
自分が溺れる前の出来事により、自分が貴洋のせいで自殺したとされ、家族や貴洋が苦しんでいると知った由良は、それを回避する為、猫の女王に願いを叶えてもらえる騎士を目指すことに。
自分の行いが自分に帰ってくるから、人を蹴落とすんじゃなく、自分が頑張る。
名前も出なかったユラの隣室の人の恋人になりたい子達も、そんな邪魔の仕方ならいいわね、なんて思っちゃいました。
他にも、騎士の学校のメンバーは、魅力的(^-^)
で、ユラの前に教官として現れたのは、貴洋そっくりな容姿のイズミ卿。
イズミ卿のそばに居るのが嬉しくて、自然と惹かれていくユラ。
イズミ卿の正体は想像がつくものの、なぜ?と不思議に思いつつ読み進めました。
全てが分かった時は、なるほど、そういうことだったのか~。
全編由良視点で進むので、貴洋の方は想像するしかないのですが、それを考えるとめっちゃ萌えた(≧∇≦*)
攻め様の後悔する姿を読みたい時に、手に取る1冊です(*^^*)
2018年刊。
温情溢れる寛大な女王陛下に常に見守られている、猫好きだったら堪らないであろう天界の一国の物語。
作品ごとの独自の世界観を味わえる醍醐味は犬飼さん作品ならではのものだ。
今回は特に細部に渡って設定が凝っているのもあって、綺麗な色彩で映像化された状態でも見てみたいな…なんて思った。
もしアニメ化されるなら頑張って全話見るぞ(笑)
猫を守った為に命を落とした者達が招かれる"猫の王国"。
そこに招かれた主人公・由良はその後に遺された家族や友人が荊道を歩む人生を憂い、一つだけ女王陛下に叶えてもらえるという願い事で死の直前のトラブルを回避したいという想いを持ち、猫騎士を目指す。
一番心残りだった友人・貴洋に対して由良が抱いていた気持ちは、思春期特有の友人を独占したい気持ち、とも取れるけれどね。
猫の王国で専属教官として由良の前に現れたイズミが貴洋と瓜二つの容姿で、かつての由良の気持ちに恋愛感情が芽生えていたかは定かではないが、そういう目線で意識し出す。
周囲の猫人達も自由恋愛を謳歌している環境なのだが、性欲でギラギラしておらず発情期とかマウントといったようなものがなく始終穏やかだ。
最近BのL面では性癖こだわりとか過激エロが重用されている中で、久々に穏やかなLOVEを読めてほっとした。
肝心の話の展開も御座なりにされる事なく流れているのには見事だ。
これだけ設定が凝っている中でもきちんと各キャラクターの個性が伺えて、心情が入り込める余地があるのが嬉しい。
・感情で読ませるタイプ 樋口美沙緒先生、朝丘戻先生、一穂ミチ先生、凪良ゆう先生etc…
・物語の起承転結、勢いがある展開で読ませるタイプ、犬飼のの先生、夜光花先生、かわい有美子先生(この方はたまにものすごく静謐なお話も書かれますが)etc…
みたいな印象を持ちながら読書している私がレビューします。
神評価沢山あるので、良作と受け止めつつ、こんな意見もあるよ〜程度に見てくだされば!幸いかと!
yoco先生の挿絵が入った小説を読みまくる月刊だったこともあり、こちらの作品にも縁がありました。
重力を感じさせない素晴らしい表紙と、それとは裏腹に思いの外切なくてシリアスめな内容だというレビューを好ましく思い購入。
全体的にはさすが犬飼先生なだけあってぐいぐいお話を読ませてくれたんですが、私的にユラが良い子すぎると言うか…ちょっとそれに違和感があってなかなか入り込めず…泣
猫に対しての気持ち、悲惨なニュースに鬱々とするのはわかるんですが、それをバネに騎士になろうと励む気持ちに共感しきれず、共感しきれなかったからこそ、所々、いきなり泣いたり膝を着いて蹲ったりした場面の、感情の起伏についていけなくて取り残されてしまいました。
正義感が強いのかな?正しすぎて、ちょっと引いてしまったというか…
でもそういう受け様は犬飼先生の作品の魅力の一つでもありますよね。難しい…
貴洋や、家族のことを思って騎士になりたいのはわかるんですが、頑張ろう、頑張ろうって言葉が響いてこず、また貴洋の性格も把握しきれず…
ただ、最後の最後で、貴洋の長い悔恨の人生が、やっと救われたな、という部分には大変萌えました。
攻め様が人知れず受けを想い苦しんでるのって、切ないのに心がぎゅっとしてしまって、とても良かったです!
ユラがお人好しすぎだと思った。
序盤の貴洋の行いは、仮に好きな子をいじめちゃう〜とか素直になれなくて〜だったとしても、ユラの死後の扱いは当然。親族や友人に罵倒されたり縁切られたりとか当然の報い。
なのにユラはそんな扱いは貴洋が可哀想! みたいな……。
たしかに自殺した訳では無いけど、ユラに対する態度とか言動行動を考えると、そのままのほうが貴洋ざまぁ展開でいいと思う。
騎士になるための訓練中も、イズミが憧れだなんて烏滸がましい! 同じ土俵に立っちゃいけない! だから他の人の名前出しとこ! みたいな謙虚さが少しイラッとします。
謙虚な態度は人を苛立たせる、ってよくわかる性格のキャラです。
二人がくっつくところも、うーん……。
前半は徐行してたのに、くっつきそうですよ〜ってにおいが出た途端、急発進した感じ。
死後の猫の世界設定と挿絵のyocoさんが好きなので「萌」評価です。
差をつけるためだとは思うんですけど、猫は猫耳と尻尾姿。(そう見えてるだけで実際は動物の猫姿)人間は人間耳と猫耳と尻尾。しかも人間耳の方が機能していて、猫耳の方はお飾り。四つ耳が苦手なので序盤から微妙な思いで読み進めてた。
あと、受けは結構ニャーニャー言っちゃうけど、イズミやほかのタチはなんであんま言わないんだろう。皆無に等しい。
以降はネタバレもネタバレになります。
死後の世界でのイズミが貴洋の可能性って、ユラが先に死んだのにありえなくね? って一瞬考えた。けど多分、ユラが猫の世界に着いてから目覚めるまで時間がかかった〜とか、実際溺れてから死ぬまで植物人間みたいな感じなんだろうな〜って想像してたらその通りだった。やっぱりねってかんじ。
最後だけタイムリープの要素が出てきた。
凄い世界観!!
ファンタジーのみを期待して読み始めたのですが、単純な話の展開かと思いきや、その真逆!何て綿密に練られた設定なのだと驚きました。
猫を助けたために死んでしまった由良が、猫の国に導かれ、そこである願いを叶えるために、騎士になる決意をする。
騎士になるための学園が男色で溢れていて、色恋沙汰に関心のない由良を、指導教官のイズミがさり気なく助ける様子や、騎士になる意志は強い由良だけど、不安に押しつぶされそうな時に、癒やしとなってくれるイズミの存在が、すごく温かくて幸せでした。
また、由良の「こんな事を考えるのは、おこがましい」といった思考が健気で、育った環境の温かさや、性格の良さか出ているなぁと随所で感じました。
嫉妬や不満がない世界で、この先ずっと幸せなんだろうなぁと思うと、究極のハッピーエンドですね。
また幸せを感じたい時に、再読したいと思いました。
猫を助ける事で命を落とした者だけが入れる天国、猫の王国。
その設定からふわっとした話を想像してましたが結構シリアスでした。
由良の死亡した理由も馬鹿な子供が川に放り込んだ猫を助け自分は流されたから。
猫の王国に転生出来ると耳や尻尾等の変化と運動神経の向上が見られますが、
それ以外にも自分の姿に違和感を覚える由良。
yocoさんのイラストからも想像できる通り、猫耳騎士候補生達による学園生活は大変楽しめました。
悪ガキのせいで川に流された子猫を助けたせいで、死んでしまった由良。
気づくとそこは「猫の王国」と呼ばれる天国で……ということで「死後の世界」であることは重々承知してたんですね。
そして騎士になると一つだけ望みを叶えてもらえる、ただし生者として戻れるのは一時間だけという厳しい条件だけど、犬飼先生ならではの大どんでんで、もしかしたら、もしかしたら……二人とも生き返ってすべてをやり直すことができないかなぁという薄い望みを抱きつつ読んでいたのだけど……
やっぱりそこは覆らないのですね……。
私はこの世で結ばれてハッピーエンドになってほしい派なので、いくら本人たちが幸せそうとはいえ、死後成就でめでたしめでたし……というのは、読んでて心が萎れました。
もし由良が天涯孤独ゆえに遺された人々の悲哀といったものが描かれていなかったら、多分、あぁ結ばれて良かったなぁって思えたと思うんです。
だけど、由良が自殺したと知って半狂乱になる母親、遺された側の苦しみといったものが描かれていて、そこに気分がシンクロしてしまった。
本当は猫助けの末の溺死なのに、攻めとの諍いが原因の自殺とされている。
だから自殺ではなく「とある女性と添い遂げて幸せになるための失踪」と書き換えるべく、由良は必死に頑張るのだけど、自殺よりも失踪のほうがマシなのか?と。
この世のどこかで生きててくれているという希望を持たせるための優しい嘘ではあるのだけど、自分だったら、どこ歩いててもあれ?息子かも?と探してしまう。
いつか戻ってくるかも……と期待を捨てきれない。
電話がかかってくるたびに、もしや?!とドキンとする。
会いたいな……なんで手紙の一つもよこさないんだろう……なんで打ち明けてくれなかったのか‥‥そんなに信頼されていなかったのか……嫌われていたのか……と涙にくれる。
残された側としては、終わりのない地獄だなと。
そして個人的には攻めよりも、ミケーレの方がいいなと思ってしまった……。
良かった点は、あちこちに散りばめられたネコ萌え。
時々「ニャッ」と猫語になってしまったり、ラティーノ系イケメン猫人なのに、白耳でおまけに耳の内側がピンク色描写とか読んでてたまらなかったです。
表紙買いです。もちろん犬飼のの先生も好きな作家さんなので、ダブルで嬉しい感じです。
yoco先生のイラストがとにかく素敵で可愛くてカッコいい。
主人公の由良の笑顔にキュンキュンしました。
あらすじは割愛します。ここからネタバレします。
私はどうしても言いたい。攻めの貴洋がいただけない。いくらゲイバレしたくないからって、幼馴染で大好きな由良をあんな風に傷つけていいわけ?
しかも自分から「話がある」って呼び出しといて彼女と二人でいる姿をわざわざ見せつけるって人としてサイテー。
他に好きな人がいるくせにそれを隠したくて女と付き合うって、その彼女の気持ちはどうなの?
・・・という下りを貴洋の口から言い訳というか弁明を聞きたかった。
それに生前の教室で二人をからかって仲違いさせたのは結局誰だったの? そこは本筋と関係ないからスルーなの?
その辺がスッキリしなかったので残念でした。
ただ、本当に由良が健気で一途で家族思いなので救われました。
最後の伏線の回収はさすがでした。
お二人共末永くお幸せに、というところでしょうか。