chikakumaco
shangrila no tori
そこは、まさにシャングリラ。夢の桃源郷。それは楽園。
場所は定かでは無い。
オーナーは美しい豪奢な、リゾート地の様な娼館に美しい男娼たちを「小鳥たち」と呼び、住まわせ。
客よりも「小鳥たち」の要望を優先させる。
客は選び抜かれ、「小鳥たち」に気に入られ無ければ、二度と来店を許されない。
オーナーは言う。ここは「愛おしい小鳥たちが、性と人生を謳歌する場所」なのだと。
ワケありげなアポロが、ここに居る「小鳥たち」のお世話係として、雇われる。
物語はここから始まる。
お世話係は、ここで「試情夫」と呼ばれ、所謂「当て馬」的な役割を果たすという。
試乗車と言った方がいいかもしれない。
いずれも美しい男たちで、客を取る前の「小鳥たち」を甘やかし、準備させる。
例えば、穴の準備とか。事後の身体を労わり洗ってあげるとか。
疑似恋愛の恋人未満の様な。「小鳥たち」が安心して甘えられる様な役割を担う。
試情夫には掟があって。
『男娼をイカせないこと。』
『挿入行為はしないこと。』
『絶対に恋に堕ちないこと。』
これ、完全にフラグです。きっと、二人は恋に堕ちるのだろうと。
アポロはドストレートな男で、妻の浮気相手をフルボッコにした事で、傷害の罪に問われていて。
離婚調停中だが、妻は離婚しないと言っている。
アポロは女しか抱いた事がない、勿論、男娼の世話をするのも初めてで。
少しおっかなびっくり、とても、とても優しく触る。
まるで、女にする様に、優しく優しく触れる。
試情夫の担当になった男娼のフィーは、それをもどかしく思いながら、
アポロの優しさに多分惹かれてもいる。
他の「小鳥たち」もかしましく、アポロの背の高い、素晴らしい肉体と、ノンケだということと、
その朴訥そうなルックスに惹かれ始めている。
アポロの思い悩んでいるだろう、翳りのある表情も美しい。
男娼のフィーには、この楽園に辿り着くまでに荒んだ生活をしていた様で。
ストリートチルドレンだったという彼もまた、重いトラウマを抱えている。
美しい島で、美しい男だけのシャングリラ。
甘くて強いお酒のような。続きが楽しみで仕方がない作品です。
一冊のコミックスに纏められたなら、それはどんなに美しいだろうかと。
今から楽しみに待っています。