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boku no te totte
三崎先生らしい雰囲気と可愛いタッチを最後まで楽しめる作品でした。結構シリアスなんだけど、ずっと痛々しい悲愴感が漂っている感じは不思議としなくて。絵で緩和されているのと、時折くすっと笑えるシーンもあるからでしょうか。攻めの翔が人気俳優とありますが、既に俳優の彼が守を見初めるのではなく、守とは俳優になる前から深い面識があるので、そこまでベタなシンデレラストーリーにも感じませんでした。
相手を頼るということの難しさと大切さ。BLでは受けが何か深刻な悩みを抱え込んでしまった時に、攻めを頼ろうとせず1人で解決しようとしてしまう、もしくは一生1人でただ抱えたまま生きようとする展開はよくありますね。守も例外ではないのだけど、それでも彼が一度でも翔に相談しようと決意したこと、ここはすごく評価したいなと思うんです。読者は何よりも正直に話すことが一番だと分かりきっているけれど、当事者からすれば相手のリアクションの想定は何通りもしてしまうもの。翔を信頼して、彼からの信頼にも応えようとした守は、ただ悲劇のヒロインなだけじゃない、と思いました。長年一途に想い続けた翔も素敵でした。
きつい話をサラッと描いている……という印象の作品でした。
年下男前攻めと年上健気受けの王道カップルなのですが、
受けの境遇が不憫で幸せと不幸せが次々重なっていきます。
私は、読んでいて少し辛くなってしまいました。
清掃員の守が拾ったのは、中学生の家出少年・翔。
ゲイの翔は優しい守に惹かれていきますが、
守は翔のことを思って突き放します。
そして数年後二人は再会しーーという展開です。
タレントになった翔と清掃員の守の格差恋愛なのですが、
そもそも翔が何故そこまで守に執着するのか伝わり辛かったです。
そして記者に翔とのことを脅され、AVに出演させられる守。
この展開はキツかった……
しかもそれが翔にバレてしまうという鬱展開……
全ては翔を好きな白井の策略なのですが、
中学時代の翔のゲイバレの原因も白井のようです。
この子、可愛い顔して一線超えすぎ……怖い。
翔と守はすれ違って別れてしまいますが、
最後は守が強い気持ちを見せてくれたのでホッとしました。
受け身ではない守の姿は感動です!
ミスの多さとか脅されたりとか事故とか……
必要以上に守に不幸が降りかかり過ぎな感は否めませんが、
そこに強い悲壮感を与えないストーリー展開はある意味素晴らしいと思いました。
一途な翔もカッコ良かったです。
清掃員の守。
スパダリだけど高校でゲイバレして家出した、翔を居候させることに。
母を亡くし、18歳で自立して生きている守。優しい性格で、グレずに頑張っている。かわいい感じだけど、ちょっと臆病で、人に頼ることをしない。
一方、守に恋した翔。クールだけど、中身は熱いみたい。
いったんは、釣り合わないと翔を突き放した守だけど、俳優になって自立した翔に再開し、恋人同士に。
当て馬の白井くん。高校の時から翔が好き。今は、守を陥れようと、翔との仲をバラすと脅してゲイビに出させて。。
と、かなりひどい奴。彼の救済はないけど、翔に陰謀がばれて、もう何もしてこないかな?
ようやく翔に対しては、自分を少しずつ出せるようになってきた守。
こんな王子様がいたら、というシンデレラストーリーでした。
途中はひたすら、はぁ、ツラァ……って感じです。
最初読んだときは、予想以上の辛い展開でビビりました。
芸能人の年下攻め×薄幸受けのお話なのですが、二人の仲を引き裂こうとする当て馬の仕打ちがかなり酷い。
受けは、亡き母の「ひとりでも頑張りなさい」という言葉を胸に何でも自己解決しちゃおうとする子なので、攻めに相談することなく全部自分で抱えて追い詰められちゃうんです。
薄幸+不憫+健気のトリプル盛りです。
しがない清掃員・守(受け)が翔(攻め)と出会ったのは、翔が中学生の時。
ゲイばれをして自棄になり家出してきた翔と短い間ですが一緒に過ごします。
しかし必死で息子を探している母親の姿を目にした守は、翔を親元に返すことにします。
それから数年後、人気俳優になった翔が守の前に現れて、二人は恋人同士に。
だけどある日、守の前に、二人が寝ている動画をタネにゆるす男が登場。
芸能人である翔を守るために、自分で何とかしようと思った守はゲイビ出演しちゃう……
その後の守の精神のやられっぷりが痛々しいし、おまけに何者かによって送られた守のゲイビを翔が見てしまったとか、相思相愛なのにどんどんすれ違ってくさまがほんと辛い。
だって翔はひたすら守一筋。
芸能人だって特になりたかったわけではなく、親元離れて守と一緒になるためにてっとり早く自立する手段として芸能人になっただけだから特に業界に未練はないんです。
だけど守からすると、自分は世間から見れば悪い虫でしかない存在だと思っているので身を引いてしまう……。
どうして自分を頼ってくれないのかと思っていた翔ですが「言わなかったのではなく、言えなかったんだ…」という気づき、そして「自分が守を巻き込んだ」という気づきが、ひたすら切ない……。
というわけで、起伏ありの切なさ含んだお話なのですが、三崎さんのかわいらしい絵柄と、守が握る鮭おにぎり、そして襟元を暖めるマフラーといった彼らの心の繋がりを表しているほんわかアイテムが、中和してくれてます。
最後の母親が遺した「ひとりでも頑張りなさい」に繋がるラストの一文が良かったです。
さて、当て馬の白井。
当て馬のレベルを超えて悪意がありすぎた白井の「育ちが悪い」発言に思わず失笑。
あなたは育ちの前に人間としてどうなの?と。
ただただ好きという気持ちはわかるけど、やっちゃいけないことってあるし、怖いわ。
そして「女なんてちりあくたのごとくいますよ!!!!」と慰める同僚女子、好き。
なんでも自分でどうにかしようとする守(清掃員・表紙左)と、
もっと自分に頼ってほしい年下の恋人・翔-カケル-(若手俳優・表紙右)。
このお話はふたりの出逢いを振り返るところから始まります。
少し前に母を亡くし、高校をやめ清掃員として働く守と、家出最中の中学生だった翔。
公園で、守は特別な鮭のおにぎりを彼に分けてあげます。
これは彼らの最初の出会い。
作中でよく登場する「おにぎり」と「マフラー」。手作りのおにぎりは温かみが感じられ、心に沁みる。マフラーにも、ふわっと包み込むような温もりがあって、「僕がついてるよ」と言われているような気持ちになる。そのふたつが彼らをつなぐ特別なアイテムとして、出逢いからラストまで効いているんです。
すれ違っても、何度も再会するふたり。
途中苦しくなるけれど、ああ、一途っていいなぁと思います。
彼らの出逢いを思い出させるラストシーンにきゅっとなって、甘くてにやけちゃう見開きの描き下ろしに癒されて、かと思えばカバー下の漫画でまたチクチクきて…。最後にそれを表向けると、恒例の幼少期イラストがちゃんと待っててくれました♡いつもこれを最初に見たいけれどガマンして本を開くのです。
作中で出てくる名探偵犬シリーズ、いいな、観たいな。こんなカッコイイ子と賢い犬ってこれもう反則ですよね。恋人である守はたまらないだろうなぁ。公開前夜はワクワクして眠れず、当日ひとりで映画館に足を運ぶ…そんな守を思い浮かべて本を閉じました。きっとポップコーンをぶちまけちゃったりして、顔真っ赤にしてるんだろうな。で、吉岡マネジャーがそれを目撃するとか(ニヤリ)。
「はるのうららの」を彷彿とさせるお話で、作者のファンである私は嬉しくて何度も読み返してます。
不遇な清掃員の主人公にイケメン芸能人の彼というシンデレラストーリーに、作者の切ないモノローグが加わって、でも最後はハッピーエンドで。
当て馬くんも、かわいいといえば、まぁかわいくて。
最近絵のきれいな漫画ばかり読んでいて、ちょっと絵の雑さが目につきますが、縮んだときのかわいさはたまらないです。
エロ度は少ないかもしれませんが、キュンとしたいならぜひおすすめです。