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watashi wa shikaisha
まずタイトルがおもしろいなと思ったら中身も相当でしたw
パチンコ屋の廃屋というたとえがよくわからなかったのですが、じわじわきています。
花城が自分の本性が世間にバレることを恐れるの、わかるけど、でもただの性癖だし、不祥事ではないからいいのでは…などと考えていました。
が、そういうことではなく、自分の内面のアレだったんですね(ざっくり)
にしても、Tシャツくんが独特です。
なのに核心をついたことを言う。
番外編もおもしろくて。
「親切」というタイトルが読んでいるうちにじわってきました。
ハルト、お前もか…。
君も変な奴だった。
でも根はいい子。それが味噌(Tシャツくんも)
蛯原の「若者のハイテンションにまともについていくと気が狂うかもしれない」が笑っちゃいました。
で、結局「親切」にされてしまうというww
TシャツくんのTシャツの花城さんが2分割になっていたところで声出して笑ったんですが。
その後、ほんとに4分割にしてて爆笑しました。
お昼のワイドショーの爽やかアナウンサー。
夜はエッチな中年男性って
めちゃ良くないですか???
人間誰しも二面性ってあるんですよ、表の顔と裏の顔。そのギャップを楽しめればいいんだけど、こちらの主人公はその違いにだんだん闇を抱えてて。。。
純真な追っかけのTシャツくんに癒しを感じてたもののある時から裏の顔も見透かされているような気になってしまってっていう軽い絵柄だけど読ませてくれる内容です。
Tシャツくんが捉え方次第で不気味なストーカーにも感じられるんだけど、マヂただのいい子なんですよね。花城さんにある意味利用されちゃったんだから。
最後の描き下ろしを読むと完全なるハッピーエンドとはいえない感じなんだなー。そこもまたよし。
もうひとつのカップルのお話は2人の噛み合ってなさが、面白かったです。
何度か読み返したい作品です。
ジョジョからです。読んでない方にはすみません。
でも本作読んで思い出しちゃったんだもん。
本作の主人公・花城の表と裏、光と影、善と悪…まるで鏡の中の世界のよう。花城は鏡の男…
だけど、誰でもある程度そうでしょ?
この作品の弱いところは、爽やかで売っているタレント・花城のド淫乱でドグサレビッチの一面が「裏」で「影」で、なんなら「悪」まで感じさせる所のような気がする。
おキレイな部分に疲れて、ストレスを解消するために「本当の自分」が必要だ…それだけじゃなくて、逆にド淫乱な自分であるために昼の自分が必要なんだ、っていう側面もあった方がもっと刺さったんじゃないだろうか。
別に「昼の自分」が「嘘の自分」というわけじゃない。
Tシャツくんが何か知ってるのかも…という疑心暗鬼になる部分が一種のミステリ/サスペンスなんだけど、ここは呆気なくTシャツくんが「夜の花城」も当然のように受け入れて、ここがジョジョ5部のイルーゾォ戦を思い出した所以。
Tシャツくんは花城を全て許可し。
花城がそんなTシャツくんを許可する。自分の世界に招き入れる。
作品の後半は花城の相手をしたことがあるイケメン・陽斗の物語となります。
こっちのお話もまあ何というか。
ぶっ飛んでます。
だけど、陽斗は自分がひとりよがりだった事を理解したし、被害者?の蛯原さんは普通に常識人な訳で、それがラストに結局そうなる事がなんとも奇妙というか。
人の心というか結びつきの怖い側面というか。
怖い?イヤ違うな…、思いがけない方向に転がって人に当たった落石みたいな?
何がヘンなのか分からなくなる。
ともかくかなり奇妙な作品世界。ずっと読みたかった作品なので読めて満足です。
実生活が性的に乱れまくってる昼の顔として有名な司会者と、その司会者の熱狂的すぎるファンのお話です。
決して萌えないという意味ではないのですが、花城さんが乱れれば乱れるほど、そして花城大輔という人間が作中で少しずつ明らかになるにつれて、とてもやるせない気持ちになってきます。
それに対して攻めのTシャツくんこと風牙くんは、独特すぎる愛情表現からも分かるように、かなり人とは違った不思議な感覚を持っている子です。ある意味そういう性格だからこそ花城さんに寄り添える存在になるのかもしれませんが、本当にそれでいいのかな……というなんとも苦い後味の作品でした。
個人的にはひとくちにメリバと言いたくない気持ちもあるのですが、正直この後事態が良い方向に転がるとも思えず……ひとまず花城さんにはあらゆる責任から解放された長いお休みをあげたいです。というか多少無理にでも休まないといけない人なんですよね。
同時収録作はTシャツくんの友達が攻めとして登場します。この子もまたTシャツくんとは違うベクトルで独特の感覚の持ち主で、コミカルなのにどこか世にも奇妙な物語に通ずる薄気味悪さがある話でした。
こんな話もあるんだなー…とBLというジャンルの間口の広さを感じる一冊でした。
私は割とシリアスにコミカルしてるなあと思いながら読みました。
そこがツボだったので。
特に攻め(国枝)がツボでした。受けのサイン会に受けの顔写真を印刷したTシャツを着てきたり、毎回ラジオ番組の度に新幹線に乗って出待ちをして握手してもらったり、握手してもらった自分の手形をとって受けにあげたり、食パンにマヨネーズで『幸』と書いて幸せパンと命名したり、えっ強い・・・。Tシャツは最終的には4面になっていました。
受け(花城)も、昼と夜の顔で悩みながらも、マンションのベランダで致し、お偉い人の前で若い子と致したりと、割と満喫しているように思えますが、恨みで始めた昼の顔ともっと性生活を堂々としたい夜の顔でちょっと心が落ち気味に。
そんな中好きなものに一直線な攻めを見て涙する姿は綺麗でした。
番外編「親切」
表題作で花城と致した若い子(攻め 伊勢谷)がメインです。
国枝の相談に乗っていたり割と落ち着いたキャラかなと(花城とはお仕事もらうためにやってると)思っていましたが、そんなわけなかったです。くたびれたおじさん好き。ラーメン屋の前で出会った受け(蛯原)を助けてあげなくちゃと思い込み、ホテルに連れ込み親切心の押し売りでえっちなことまでしちゃいます。
そうなると蛯原さんが一番まともかもしれないです。ノンケなのに若い男の子しかも芸能人から押せ押せでこられて戸惑わないことないかと。最後は考えすぎかななんて答えにたどり着いていましたが。
正式に恋人関係になったのかわからない人たちですが、この影があってこそコミカルが生きてるなと思いましたし読み返したくなります。
表題作は、以前読んだときにどう扱ったらいいのやら……みたいな困惑したまま読み終わってしまい、もう一度再読したのだけどやっぱりどうにもこうにも……です。
好感度が高い看板キャスターだけど夜はセックス依存症のド淫乱ビッチという二面性を持つ「花城大輔」という存在も、大ファンだというTシャツくんもどちらも目がイっちゃってる感がしてコワイ。
派手に狂っていくわけではなく、微笑みながら静かにひたひたと狂っていくかのような感じ。
日常と狂気の紙一重感みたいなの、好きな人にとってはたまらないんだろうなぁと思うけど、私にはこの作品を語れる土壌がないと言うことしか言えない……。
後半のお話は好きです。
ガラの悪い若者に絡まれていたノンケリーマンを助けたモデル君。
メガネのしょぼくれおじさんを見た瞬間に「ド好みのおじさんー!!」と雷打たれちゃったかのようになったモデル君なんだけど、「このおじさんを癒してあげるのは俺のチ●ポ」と謎の使命感に燃える姿にどーしてそうなるの?と笑いがこみあげる。
「俺のチ●ポはおじさんにとっての癒しになるっ!」
と信じて疑わない姿に、おじさんも、これはもう一回掘られるしかないのか……となり、やがて「親切」の意味をぐるぐる考え出し……というところが好きです。
このモデル君は、無邪気な狂気って感じかしら。
表題作は、昼間の顔と夜の顔、二つを使い分けて生きているお昼の情報番組の司会者が、最後にたどり着いた安心して過ごせる場所は…っていうお話。
この作品って、この絵だからいいのよね。
村上先生の絵は、美麗だとか華麗だとかは言えない絵ではあるけれど、この飾り気のない絵だからこそ、ストーリーが素直に伝わってくる。
花城はいい感じに隙ができてスーパー過ぎないし、国枝はいい感じに不気味で残念だし、花城のマネージャー(名前あったっけ?)のモブ感とか絶妙。
同録の、伊勢谷の気持ち悪い素直さもこの絵だから納得できる。
お話の力に萌+。
表題作と番外編「親切」の2本立て。
主人公は違いますが、どちらも同じ世界(表題作で出てくる棒役で攻の友達の子が、「親切」の攻)もお話です。
個人的には表題作が「神作」でした。
賛否両論ありそうな話ですが、私は好きです!
受けもおかしいけど、攻めもおかしい。
どんより曇った黒村上キャンプさん。黒っていうより、グレー?
飄々としているけど、どこかズレているキャラがキャンプさんの持ち味だと思うんですが、今回はその上、絶妙に壊れてます。
パチンコ屋の廃屋みたいな感じのBL
ってご本人もおっしゃるとおり、明るいけど寒々しい。
とっくに終わってしまったひとの話、なのかもしれないなー。
バッドエンドでは決してないけど、ハッピーエンドともまた違う。
この先を知りたいような、知りたくないような。
とても好みのお話でした!
国民的人気の男性司会者と、彼の熱狂的なファンの男子のお話です。
朝の情報番組の司会者として、老若男女から大人気の受けには、性的羞恥に快感を覚える性癖がありました。夜には遊び相手と放埓なプレイを愉しみ、朝には爽やかなお茶の間の顔としてカメラの前に立つ、そんな日々を送るうちに、少しずつ精神は疲弊していきます。
そんな受けには熱狂的なファンがいました。いつも深夜まで受けの出待ちをし、受けの顔写真入りのTシャツを着ている若い男性です。その彼と言葉を交わしたり、握手やサインを求められ、癒されていた受け。でもふとした会話から、もしかしたら彼は自分の裏の顔を知っているのではないか、という疑念がわき起こってきます。
コミカルな話の中の得体の知れない怖さ、というのがこの話の肝だと思うのですが、個人的には攻めが天然すぎてあまり怖さを感じませんでした。それよりも、微妙に乖離していく受けの精神状態の方が怖かったです。朝の顔と夜の顔が違いすぎて、どちらが自分なのか、ここにいる自分は誰なのか分からなくなっていく怖さ。
受けと攻めがけっこうほのぼのとくっついてからも、その受けの状態が放置されるので、何となくメリバっぽい印象も感じました。
同時収録は、前作受けと少し絡みのあったモデルが主役のスピンオフ。
こちらは本編よりもギャグ風味が強く、でもキャラクターの何考えてるか分からない怖さは上回った感じの作品でした。
まあ、人間誰しも、人には見せられない、自分自身にも分からない自分がいるんだな、と思わされる感じの1冊でした。
作家買い。
村上さんに、このポップな表紙。
笑いありの楽しい作品かと思って読み始めましたが。
ネタバレ含んでいます。
うん。
新境地、なんですかね。カバー下で村上さん自身書かれていらっしゃいますが、
パチンコ屋の廃屋みたいな感じのBL
を描きたいと思って描かれた作品なんだそう。
今までのコメディ路線をぶっちぎった、シリアス感満載の作品でした。
主人公は人気アナウンサーの花城さん。
絶大な人気を誇るアナウンサーという表の顔と、淫乱でだれとでも関係を持ってしまうという裏の顔を持つ。
設定としてはよくあるパターンですが、ここに花城さんがひそかに「Tシャツくん」と愛称をつけている青年が出てくるところが村上さんらしさがあふれてました。常に花城さんを応援し続けるTシャツくん。
花城さんの顔がプリントされたTシャツを着ていたり、常に出待ちをしていたり。村上さんらしい暑苦しく受けを想う攻めさん、といった体を成す彼ですが、けれど、彼もまた、さわやかな好青年、というだけの存在ではない。
村上さんて、どちらかといえば繊細な絵柄ではないしあっさり目な作風なイメージがありますが、ちょっとした目線とか仕草とか表情でジワリとくる怖さがきっちり表現されている。むしろたんぱくな絵柄ゆえに、怖さが増す。
花城さんは誰とでも寝てしまう淫乱さんではありますが、彼が「そう」なってしまった理由もチラリと見え隠れする。
ゲイである性癖が家族にばれ、孤独な青年時代を過ごしてきたこと。
自分に鎧を付けなければ自身を保っていられなかったこと。
「表の顔」にストレスを感じていたこと―。
そういう部分も描きこまれているため、花城さんの壊れっぷりが恐くある一方で憎み切れない。彼の気持ちに寄り添うことができる。
Tシャツくんこと国枝くんも。
花城さんのすべてを知ったうえで、それでも彼をまるごと愛せる。
すごいと思う一方、彼もまた壊れているように見える。彼は、花城さん、という存在を失ったとき、どうなってしまうんだろう、という脆さがある。
この二人は、この二人でいないとダメなんだろうという共依存の関係であり、そして、彼らが出会えたからこそ、壊れ切る前に自我が保てているのかもしれない。
怖いけれど、切ないというのか。
後半は花城さんと関係を持っていたタレント・陽斗くんのお話。
彼もまた、「宇宙人か?」と思ってしまう話の通じなさを持っている。
イケメンでモデル業をこなす彼はくたびれたオジサンが好きという性癖の持ち主。
ある日、若者に絡まれているリーマンを見かけますが、そのリーマンが好みドンピシャだったため助けに入るという、こちらもちょっとクズ要素が入った青年。
お疲れ気味なリーマン・蛯原さんを「癒す」という名目で抱こうとするけれど…。
この蛯原さんというおっさんが、この作品の中で唯一といっていい常識人。
そんな蛯原さんが、陽斗くんに振り回され、尻を狙われ、そして落とされちゃう、というややコメディ寄りなお話。
なんですが、こちらも陽斗くんの宇宙人ぷりが、ちょい怖い。
読後ほっこりした気持ちになったりする類のストーリーではなく、ましてや村上作品という事でコメディ寄りな作風をイメージして手に取られた方にはちょっとびっくりするんじゃないかな、と思う展開の1冊でした。
けれど、個人的にはこの病みっぷりがツボでしたねえ。
花城さんはもとより、国枝くんもまた、病んでる感じがなんとも良い。
コメディ寄りな話ももちろん好物ですが、こういったシリアス路線もお上手に描ける作家さんなんだな、と感心しました。