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この作品、もう本当に本当に良くて、神of神だと思いました。
通勤電車で読みながら泣いてました。こんなに愛に溢れたやさしいお話があるでしょうか。
そして、二人の選択もとても慈愛に満ちたもので、私はもうずっと応援していました。
こうして書いていても泣けてきます。こんなに素敵な作品を読めて本当に幸せです。
阿部氏も高嶺くんも勿論ですが、美優ちゃんも芝も御両親も大好きです。
「私は起動したときから人が大好きでした。」という美優ちゃんの一文に泣かされました。
戦争にドールを送り込んだ人間を許せず、あり得そうで恐ろしいし、ドールが可哀相で可哀相でやりきれない。
この作品が埋もれてしまうことがもったいなさ過ぎます。
重版をかけたり、一般書の文庫からも出したりして、たくさんの人に読んで欲しいです。
前作(ショートケーキの苺にはさわらないで)のスピンオフです。もちろん前作を読んだ方が話の流れが分かるので読んでからが良いと思いますが、私は断然こっちのスピンオフの方が好きです。前作が悪かったというより、賛否両論ある前作よりも本作の方が自然だったなぁと。自然なラストの方がスピンオフというのも面白いですが、全編通して幸せな気持ちになれたので「神」を100個くらいつけたいです。
本作は前作にて大活躍(?)したオタクの友人、阿部ちんを主人公にしています。設定などは概要通りですが、ドールオタク×幸薄ドールというのは前作と同じパターンですね。なので、どうやって前作と展開を変えるのか気になったのですが、記憶がなくなる不幸をテーマとして扱った前作に対し、記憶が永遠に残る不幸をテーマにした本作は、物語の構成も結末も前作とガラッと変わっています。同じ作者さんでこの振れ幅はすごい。改めて凪良先生の表現の幅に驚かされました。
キャラクター性で言っても、阿部ちんはオタクでありながらベースが陽キャラです。ゲイであることに悩んでドールにハマった南里と違い、阿部ちんは美優に憧れる形でドールにハマります。一口にドールオタクと言っても全然違うんですよね。なので、南里にあった危うさが阿部ちんにはなく(年齢的な要素もありますが)、その辺りも本作が読みやすかった理由だと思います。情熱と冷静さを等しく併せ持つ阿部ちんの本質は、恵まれた両親やその両親が経営するレストランの常連さん、学生時代の友人との関係性が全て影響していると思います。誰かに優しく出来るからこそ優しくしてもらえて、誰かを助けられるからこそ助けてもらえる。理想的な人間関係を築ける人なんですね。そのせいか、前作は切なくて泣けるシーンが多かったのに対し、本作は幸せ過ぎて泣けることが多かったです。阿部ちんは素敵なお客さんが通うレストランの魅力的なシェフであり、この軸が最後の最後までブレなかったことが本作の魅力に繋がったと思いました。
ちなみに以下ネタバレですが、阿部ちんは美優と暮らすこともマスターになることも選びませんでした。夢は何一つ叶えていないんですね。ただ、高嶺と恋をして一生をともにしただけ。私はこの結末がすごく好きです。「家族がいれば数千万円くらいかかる」「神に誓って結婚しても、別れるかもしれない不安は消えない」「どんなに好きでもどちらかが先に死ぬ」など、高嶺(ドール)との関係が、人間同士の関係と何も変わらない大切なものだと理解できました。ドールである高嶺が人間のように心を持ち、システムに反した愛情行動を示してくれる。ロマンチックな愛の形だと思いました。「おやすみなさい、また明日」が好きな人は絶対好きだろうなと思えるラストです。
悲しい結末だと想像がつくのでずっと積読していた本。
「ショートケーキの苺にさわらないで」を読み、やっと今頃読了。
目が腫れてしまった。
悲しいというより、安倍と高嶺が築いた信頼関係に感動して泣けました。
製造禁止になった裏ドール。
安倍が欲しかった裏ドールの新品はもう入手不能。
中古の裏ドールをひょんなことから手に入れた安倍ちん。
愛想のない裏ドールだけど、安倍ちんは大事に「人格を持った一人」として大事にする。
南里のような決意ができない安倍は、老化していく。
老衰していく安倍に併せて、高嶺も老化をメンテナンスしていく。
安倍を看取り、葬儀を終え、身辺を整えていく高嶺。
エピローグの「2119 9 29」の意味を知る場面で、すっかり感情移入して、読みながら泣けた。
大事な安倍の為に力を使い尽くした高嶺は、立派な人格を備えたドールだった。
安倍ちんも高嶺も、お互いに愛に応えようとする姿勢に感動。
「ショートケーキの苺にはさわらないで」のスピンオフです。
読まなくても分かるかもしれませんが、出来ることならそちらを読んでからこちらを買ってください。
そしてショートケーキを読んだけどこちらは買うか悩んでいる、という方がいらっしゃったら是非こちらも読んでほしいです。
ショートケーキを読んだ際にもボロ泣きしましたが、こちらに関してはショートケーキの二人の描写が出てくるだけで涙が滲みました。後遺症が重症です。
ただ、ショートケーキの方では「萌×2」評価をつけましたが、こちらは文句無しの「神」です。
人間とアンドロイド。
大団円の円満ハッピーエンドにはならないことは誰が考えてもわかると思います。決められた終わりへと話が進むだけですが、読みたかったお話を読ませてもらえました。
「ショートケーキの苺にはさわらないで」の阿部ちんがキャラ立ちしていて好きだったので、期待と心配半々で読み始めました。
こちらだけでも楽しめるとは思いますが、話が絡んでくるので「ショートケーキ~」共に読むことをオススメします。
読んだ人に、考えさせる物語だと思いました。
この本を読み終えたとき、あなたの心に語りたいことが浮かんでいるでしょう。
ドールのこと、戦争のこと、人間のこと、心のこと・・・・・・読む人に問いかける物語です。
あのシーン、このシーン、思わず泣いてしまいました。
心に訴えるような物語を生み出していただき凪良先生ありがとうございます。
欲を言えば、私は「ショートケーキ~」の阿部ちんが好きだったので痩せる必要はなかったのでは?と(笑)
阿部ちんは阿部ちんのままでとても魅力的なので・・・この本から読む人にとっては痩せて主人公っぽい阿部ちんの方が入りやすいのは分かりますけど。編集さん、ダメですか?
ショートケーキよりは良かった。
しかしながらなかなか読み進めず間に色々と他の本を読む私。
どうやら相性が悪そうです。
戦争って安易に扱って良い題材ではないと思うんで。
なんか二作読んで、作者の思想とか感覚が透けて見えてしまった様な。
そんなもん求めてないからダメなのかも。
恋愛なの?
私的にはペットに対する深い愛情の様なものと重なってしまいました。
とても人気の作品にこんな感想しかもてない私が変わり者なんだろうな。と思いました。
今までファンタジーはあまり好きじゃなくて読んでこなかったのですが、「ショートケーキの苺にはさわらないで」でファンタジーもいいなと思い購入しました。
人間とアンドロイドってそんな〜とはじめは思って舐めていましたが。めっちゃくちゃ泣きました。阿部ちん!なんていい子!!
阿部ちんの人の良さとこの歳で付き合うということに慣れてない初々しさ。最高でした。あと何歳になってもあの口調っていうのも阿部ちんぽいなと思いました。
途中から涙なしでは読めずボロボロ泣いていましたが、本当に最後の最後、「あぁこのタイトル!なるほど!!」となりながらめっちゃ泣きました。
凪良先生、私をどんだけ泣かせるんですか····。
心優しいアンドロイドオタク・阿部と、つらい経験のせいで感情を表さない男性型アンドロイド・高嶺が、困難を乗り越え結ばれ、限りある人生を選び、添い遂げるまでの恋物語。
少しずつお互いに惹かれていく二人のもどかしいやり取りにキュンとし、過去の高嶺の主人の縛りを越えて二人が結ばれる場面には胸が熱くなりました。阿部が高嶺に看取られる場面、高嶺が阿部を想いながら命尽きる場面では、涙をこらえきれませんでした。
こんなにも心を打たれるのは、登場人物たちの生き方が身近に感じられて、今の暮らしにも通じるエピソードがちりばめられているからではないかと思いました。
阿部は、まっすぐな性格で、思いやりにあふれています。
高嶺にも女性型アンドロイド・美優にも、人間と同じように接し、彼らの不遇に心を痛めていて。
社会がアンドロイドを道具扱いしても、彼らにも心があると信じて肯定し続けます。
そして、高嶺の何気ない振る舞いの中に隠されている悲しみを見逃さない繊細さも持ち合わせているのですから。
こんな男性がいたらいいな、と思わされます。
高嶺が阿部と一緒にレストランを切り盛りする描写も好きです。
二人が恋愛以外に仕事でもパートナーとして働くのが、対等な感じがして素敵です。
高嶺は性行為で奉仕するためのアンドロイドだけれど、そのことに悲しみを感じていて。
だから阿部と一緒においしい料理でお客さんを喜ばせることができて、すごく幸せだったに違いありません。
社会に居場所があるって、大事だと思います。
「なにがあってもとりあえず飯をくう」という阿部家の方針にも賛成です。
食はあらゆることに善に作用する、というのが両親の持論だそうで。
食べることが阿部と高嶺を良い方に導いて、強く結びつけましたしね。
味わい、噛み、飲み込むという動作が激することを抑えてくれる…。なるほど、実践したいと思います(笑)。
阿部のおばあさんの教え「自分が正しいって思い込みすぎちゃいかんのよ」も、耳に痛く、忘れないようにしたいです。阿部はこの言葉を大事に生きてきたのですね。きっとお父さんも。
南里とシンのエピソードは短いですが、自分の幸せの形について考えてみたくなりました。
自分なりの幸せを忘れなければ、もっと幸せを感じて生きられるかもしれませんね。
そして、人間の都合でアンドロイドを虐げる未来社会の設定が、弱者に冷たい今の世の中を暗喩している気がしてズキリとしました。
ほかにも名言、名エピソードがあり、たびたび頷きながら読んだのでした。
こうした一つ一つの描写がしっかりとこの物語を支えていて、読むたびに心を打たれてしまいます。
「ショートケーキの苺にはさわらないで」のスピンオフなの知らなくてこれだけ読んでしまいました。
元のお話もよまないと!
切なくて優しい物語。すごく素敵な愛情がつまってました。
後半から涙が止まりませんでした。
読後も思い返し、彼らの愛を反芻すると涙が溢れてしまいます。
人間として生を終える姿には本当に言葉にはできないほどです。
49日までの高嶺の行動と気持ちが本当に本当に切なくて。
涙無しでは読めません。今思い出すだけでも号泣です。
阿部ちんと高嶺の間に流れて溢れている愛情が本当に素敵でした。
あとは「ショートケーキの苺にはさわらないで」に出てたり、芝さんの物語書かれてるかわからないのですが、もしあれば読んでみたいです。なければ芝さんのマスターも気になりましたので、いつか書いて頂けたら嬉しいなー。
前作『ショートケーキの苺にはさわらないで』でも大号泣しましたが、今作品でもやはり同じく大号泣でした。凪良先生の作品は、複線の張り方・回収の仕方が本当にお上手で、脇役に至るまで、キャラが魅力的でブレがなく、そして何より、文章が美しい!!
「あ~ここ泣かせようとしてるな~。あざといな~」と思いながらも(←失礼)まんまと大号泣しました(笑)。登場人物だけじゃなく、周りの人間やその物語の世界全てが幸せに思えてくる優しい世界観が大好きです。読み終わった後も思い出して泣けてくるし、何度読んでも泣いてしまうのだろうなと思います。
この作品は是非とも本文を読んで頂きたいので、あらすじについては言及しません!心の洗濯をしたい方にはお勧めの作品です!!
私はファンタジーがちょっと苦手で、
非現実的なものよりは現実的なBLが好みなのですが
人工知能が発達している昨今では
近未来にドールとなるとあながち夢物語ではないなぁと思ってしまいます。
実のところ、『ショートケーキの苺にはさわらないで』を読ませていただいた時は
勿論非常に素晴らしいお話ではありましたが
ラストがうまくいきすぎのような気がしてしまったのです(すみません!!)
その為今作がスピンオフとの事でしたので
多少及び腰だったのがとても悔やまれます……。
幸せの定義は人それぞれでしょうけど
二人の想いと結末が私の理想とも言えるものでした。
阿部ちんの高嶺を大切にしたい気持ちも誠実で、愛が深くて感無量です。
高嶺の徐々に変化していく様子もとても好ましかった!
芝が「そうくるの!?」という意外さで
思わず「え!?」と声をあげてしまいましたが
きっと彼にも色々あったんだろうなぁ。
とにかく愛の物語、もうあれこれ言えない程胸がいっぱいになりました。
こんなふうに誰かと愛し合えたなら
これ以上の幸せはないかもしれませんね。
ラストは言葉に出来ない感情がぶわっと押し寄せて
嗚咽をこらえきれませんでした。
今でも思い出し泣きしてしまいそうです。
草間さんのイラストがまた温かくて味があって最高の最高…!!!
前作のショートケーキの苺〜を読後、こちらを読む事をお勧めします!
阿部ちん、おじさんになっても超良い人。
容姿はぽっちゃりさんから、標準体型になり、BLの夢と希望を壊さずに、しかし、前作からの阿部ちんキャラはそのままで嬉しい限り!
個人的な嗜好として、あまりアンドロイド系は萌の対象ではないのですが…。
前作のショートケーキ〜が切なく素敵なお話だったので、こちらも購入しました。
結果、購入して良かったと思います。
ラストは、とても余韻の残る、切なくて愛しい終わり方です。本当に愛しい。
前作に続き、タイトルに込められた思いや意味が分かった時、震えました。
…ハンターハンターのキメラアント編ラスト、コムギとメルエム的な…。あ、違うかな。すみません。
いや、しかし、あんな感じの切なく愛しい終わり方です。
まさに、名作と呼ぶに相応しいお話でした。
とにかく、一度は読んでほしい。
一冊で綺麗に纏まっています。
が、5巻ぐらいの長編に引っ張ってもっと詳しく読みたかったくらい、世界観とキャラクターたち、そして物語が素晴らしく面白く固まっています。
切なく、苦しく、愛しいです。
アンドロイドに心は芽生えるのかという永遠のテーマがありますが、それを意識しつつも、その結果がメインではないんです。
その心が出来る過程と理由までをもゆっくり追っていってる。
その部分でBLでは他に類を見ないSF作品だと思います。
アンドロイドと、アンドロイド愛好家。
その周りを取り巻く環境、世界、そして人間のアンドロイドに対する扱い。
アンドロイドとは?生きるとは?とても深く突き刺さるストーリーでした。
読めて、良かった。
先生、ありがとうございます!!
前作のショートケーキ〜を読むとより深くストーリーを理解でき、考えさせられます。素晴らしかった前作さえもこの作品のプロローグかと思えるほど、傑作だと感じます。
イラストもより合っていました。
電子書籍で読了。挿絵有り。
草間さんのイラストがすばらしい!
関連作と対をなすような表紙絵の構図もそうですが、何と言ってもアベちんのアップがないこと(表紙イラストは目をつぶっていますしね)。これ「上手いよなー」と思いました。おかげさまで私は、ずーっとアベちんになりきって読み終えることが出来ましたよ。美しいだけではなく知的なイラストだと思います。
今までレビューされた皆さんが書いていらっしゃるように、私も泣きました。
でも、それ以上に色々と考えてしまったお話でもあります。「一言で言えるなら小説を書かなくても良い」と誰かが言っておりましたが、ならばこのお話は『まさしく小説でなければならないお話』なのだと思います。ちょっと長くなると思いますし、盛大にネタバレをいたしますが勘弁してください。
実際に作るかどうかは別にして『ドール』が現実で可能になるのはそう遠くない未来らしいです。家族に将棋ファンがおるのですが、プロ棋士を負かす将棋ソフトは新戦術を自ら考えられるから強いのだそう。そもそも現在のAI研究は脳科学と切っても切れない状況にあるらしく、私ごときの頭脳では本を読んでいても、作者の研究ジャンルが脳科学なのかAIなのか解りません。感情というものが脳に起因すると考えれば、機械と人間の境目はとてもぼんやりしたものになります。
もう一つ。DNA解析が進み(これもAIの能力が飛躍的に向上した結果らしいですが)予防医学が発展していますが、最近では病や老化に関わる遺伝子を操作して『健康で死なない体』にしちゃおうという研究も進んでいるらしいです。
以上二つの研究は加速度的に進んでいるそうで、ひょっとしたら、若いお姉様方がご存命中に『機械の人間』が闊歩し『余命を自己決定する』社会が現実的になっているかもしれません。
凪良さんはあとがきで「南里とシン編は賛否両論ぱっきり分かれた」と書いていらっしゃいました。私は『否』の側でした(レビュー評価でしたら『神』を付けると思いますけどね)。たとえ終生添い遂げたとしても、別れは必須のもの。だからこそ悲しく愛おしいのだと思う派なのです、私は。
でも、このお話を読み終えて、それぞれがそれぞれの形で良いのだなぁ、と思うようになりました。生き方や愛し方が様々でも、自分が辿ってきた軌跡に満足できれば充分なのだろうなぁ、と。
ああ、感動の余り饒舌に語ってしまいました。
でも、吐き出したくて……ごめんなさい。
まだお読みでない方は、前作とご一緒に是非。
きょーれつな純愛物語という側面だけでも楽しめますし、私のようにちょっと面倒くさいことも考えることが出来る大層魅力的な本です。
凪良さん、すげぇ……
今回のタイトルがまた、最後の最後で凄い意味を成してた。 前作の「ショートケーキ~」とは違う2人の選択でしたが、こちらの方が自然に感じます。 でも残された方はどうすればいいの?と思いながら読み進めていきましたが、こうなりましたか。 最後、美優ちゃんの眠い場面もなんとなく思い出され、最後は3人分の号泣になってしまいましたが、このタイトルの意味する通りドールであった2人を含めアベちんと三人で天国で幸せにしてたらいいな。 そして何気に芝さんでのスピン期待してます。
一気に読みました。
あの阿部ちんが。
『俺氏が…』『…であるよ』という言い回し。ああ、阿部ちんだ。
あのドールオタクの阿部ちんはちっとも変わらず、美ドールも裏ドールも表向き存在できなくなった日本で、家業を継ぎ、日々労働、色恋には無縁のDT…
そんな阿部ちんに託された裏ドールの「高嶺」。たかねの花っていう意味合いなんですかね…
自分は機械で、こころなんか無い、嬉しいも悲しいも無い、痛いもつらいも無い。そう言う高嶺。
でも、読めば読むほど阿部ちんと高嶺は人間同士のたどる心理状況をなぞっていく。
阿部ちんは、美しく、健気で、哀しい高嶺にどんどん恋い焦がれていくし、阿部ちんの優しさに触れるごとに自分の今までの経験が塗り替えられていく高嶺。
阿部ちんは他にマスターのいる高嶺に恋愛感情を露わにできない。
人間に優しくされた経験値の無い高嶺は、阿部ちんの温かすぎる愛情はわかりがたい。
このもどかしい恋は、最早「人とアンドロイド」の関係性とは言えない…
「ショートケーキ〜」の文字どおり近未来的な恋の成就と対照的に、阿部ちんと高嶺の「結末」は正に添い遂げる人間の理想。すなわち、片割れが亡くなった後、後片付けを終えてから後を追うように…という終わり方。
アンドロイドで何故それができたのか。
それが「九のつく年の〜」の成就なのか。
でも私は思う。2人は多分「天国」では会えない。機巧でできている高嶺は目を閉じて動かなくなるだけ。でも『満足している。幸せだった』と言えた高嶺はドール達の幸せになれるところに行けるのだと思う。阿部ちんもきっとそれを満足に思っていると思う。
これは、もう、最初から泣くよね。
冒頭の美憂との最初の出会いの話からもう、ずっと、ズルズル、グスグスしたまま一気に読んだ。
スピン元となった前作「ショートケーキの苺にはさわらないで」も感動的なお話だったけど、個人的にもやっとしてた、アンドロイドについての疑問とかがこの作品内でだいぶ解消されたので、戦争後のトラウマを抱えて、思考がより人間に近くなったアンドロイドと本気の恋をする話にも納得できた。
そして、芝の登場!
この次は芝で続編はないのかな。
大好きな凪良先生の作品の中でも1,2を争うくらい好きな『ショートケーキの苺にはさわらないで』の続編。それも1番読みたかった阿部ちんの話ときたら、早く読みたい反面、もったいなくて読めない…(笑)結局、読み始めたら一気読みして、何度も何度も泣きながら読み返しました。
続編が出ても、あれだけの名作だけに前作を越えることはないだろうなぁ~と思っていたし、阿部ちんが主役ならコメディタッチなんだろうなぁ~と考えていたのですが、そんな安易なこと思ってすみませんっ、すごい良かった〰‼見た目は痩せただけで阿部ちんながらも、むちゃくちゃかっこよくて、発する言葉もやることもドキドキさせられっぱなしでした。
ストーリーも高嶺のシステムを考えたために言ってしまった「友達」という言葉で縛られ、なかなか一歩を踏み出せないところがもどかしくもあり、切なくもあり、たまらないところでもあり(笑)それだけに命を張って高嶺を守ろうとしたために大ケガをしたあと、やっと想いが重なって初めて結ばれるシーンでは、確認しあうようにゆっくりとひとつひとつ手探りで進める阿部ちんにドキドキさせられました。阿部ちん、好き…。メチャメチャ好き…‼
前作の南里とシンとは違う選択をしたことで、全く違う終焉を迎えながらも、それはそれで二人にとってはこれ以上ないくらいとても幸せな一生だったと思うし、胸一杯で涙ながらに読みました。やっぱり阿部ちん、好きだ〰‼大好き〰‼
そしてもう一組、リョウくんと芝さん、すごい気になる…。あの南里とシンをリスペクトしまくりのリョウくんがどうして芝さんに落ちちゃったのか、落とされちゃったのか(笑)読みたい〰。そして大好きな草間先生に出会ったばかりのぎこちない二人から幸せいっぱいの二人まで描いて欲しい…。
うぅぅ…やっぱりドールっていいなぁ~欲しいなぁ…。
「ショートケーキの苺にはさわらないで」のスピンオフ作品。
先に前作を読んでからの方が感動が増しますのでおススメ。
今回のドールである高嶺は、前作のシンちゃんと対照的なツンデレさんで、なぜ反抗的な性格になってしまったのかという背景を知るとせつなく、物語の最高のスパイスとなっています。
そんな斜に構えているドールちゃんが、優しい阿部ちんと出会って少しずつ心を開いていく過程が丁寧に描かれています。
心理描写が自然で、読者にスムーズに共感させるあたり、さすが凪良先生です。
高嶺が阿部ちんに出会うまでの人生は、シンちゃんのときと同様、辛いものでしたが、阿部ちんの童貞特有の「デュフデュフw」みたいな気持ち悪いやりとりがあったりして笑える場面がいくつもあり、物語に抑揚がついていて本当に飽きずに読めちゃいました。
そして、前作の南里とシンちゃんのエンドもわたし的には最高に良かったですが、こちらの阿部ちんと高嶺のエンドも圧巻でした。
タイトルの意味を知ったとき、涙が止まりませんでした。
読み終わってしばらく、本を閉じて、泣きました。
間違いなく神作品です。
前作も今作も、私の人生にとって大切な本になりました。
作品を書いてくださった凪良先生に心から感謝しています。
ステキな物語を世に出してくださったことに、ひたすら感謝です。
その想いしかありません。
あとこれは、読んだ方にぜひ聞いてみたいのですが、世界中のドール達が自由になれる日という【2119 9 29】に、高嶺はあの世に旅立ちましたが、その少し前から日本中のドールが誤作動を起こしていましたよね。
私は、2119 9 29の日に、高嶺だけじゃなく世界中のドールが一斉に停止したのではないかな?と解釈しました。
人間の支配から解放され、自由になれた日なのではと。
真意は分かりませんが、そうであったら素敵だなと思いました。
そうなると南里とシンも停止してしまうことになりますが、永遠の命は幸せとは限らないので。
「ショートケーキの苺にはさわらないで」でいい味出してた(みんな大好き)阿部ちんが主役のスピンオフ。
本編で決して美形ではなくオタクでデブのコメディリリーフ的な役回りだった脇役氏がギャグではない本の主役になる……なんて今までのBL界を振り返ってもお初なんじゃないでしょうか?(調べてないですけど…)
これはキュンと来て、じわっとするやつであろうことは読む前から予想はついていたのですが、なんというか予想以上…。
「ショートケーキ〜」で永遠に生きるドールと限りある生の人間との愛の顛末として描かれたものもひとつの姿なのですが、そればかりが正しいのではなく、後書きなどで書かれているように賛否両論なのは致し方ないこと。
そしてこの「2119 9 29」ではもう一つの愛の姿が描かれました。
もちろんその2つのルートのみがあるのではなく、人間同士の関係と同じくみんな違ってそれぞれの生き方を模索するのですよね。
「ショートケーキ〜〜」を読んだ方には、こちらももれなく読んでもらいたい。そしてそれぞれの愛の形を心に焼き付けたい。そんな作品でした。オススメです。
余談ですが、凪良さんの非BL近作「神さまのビオトープ」にも少年とアンドロイドのエピソードがあるのですね。あちらの2人のことも読みながら脳内でチラチラ。通じる部分がしっかりありますよ。
前作『ショートケーキの苺にはさわらないで』で良いキャラだった阿部ちん。
健康のために痩せても阿部ちんは阿部ちんのままで、38にしてやはり童貞。
そして出会ったのが高嶺という名の愛想の無いドールで…。
ドールオタクだからこそドールの扱いが上手いのは勿論なんですが、それよりも阿部ちんの性根が優しいし良い男すぎです。
高嶺も愛想が無いのではなく、今迄酷い扱いばかりで、本当はいろんな事を知らなかっただけ。
2人が徐々に近づく様子が、何だか硝子細工のような繊細さを感じました。
人間とドールとの愛では寿命は避けられない問題です。
私は阿部ちんと高嶺にとって、あれが一番の選択だったように思います。
所々泣きましたが、最後のシーンあたりはもう涙を流しっぱなしでした。
凪良先生の10周年に相応しい、素敵な愛の物語でした。
ショートケーキの苺にはさわらないでのスピンオフです。
あの、オタクでメタボ腹で気のいい阿部ちんが主人公攻め
受けは、またまた不憫なドール(アンドロイド)高嶺。超絶クールビューティ
でも中身は素直でかわいい。
阿部ちんは、このままいくと早死にすると医者にいわれ
必死でダイエットして痩せていました。
読み進める度に終始はらはらと涙がこぼれてしまって…
この世界観、設定が私のドストライクでした。
「人間の作った機械に心や感情が生まれるのか?」
永遠のテーマだと思います。
遠い昔、読んだアンドロイドと人間の恋物語の
SF小説を思い出しました。
好きなものって変わらないんですネ。
凪良ゆう先生
素敵な作品をありがとうございました。
そして、このラストは圧巻でした!!
予測通り、タイトルの意味は…いろいろやばい。確実に泣くやつですので、これから読むという方はティッシュやらハンカチやらバスタオルやら…を用意しておいてください。
ストーリーの自体より、アベの萌え方(?)に萌えました(笑)。特に初めて高嶺くんの寝顔見たときのアベの反応がリアルすぎてww(寝顔シーンを読んでたとき、わたしも抱き枕に抱きつきながらニヤニヤしていたので笑) 「彼シャツ」とか「萌え袖」とか、あと「尊い」、「天使」とかの単語も出てきて、我々オタクの趣味よく知ってますねぇと感心しました(笑)。
そして今回のドールちゃんはシンと真逆のツンツンツンツンっ子でした!これもこれでかわいい〜と思ったら、彼も彼なりに闇を抱えているということと打ち解け…さらに愛おしく思えてくる。
永遠の命は幸せではない…と凪良先生は前作のあとがきでも書いていました。全くその通りです。永遠に生きていることより辛いことはないとわたしは思います。高嶺くんは歳を取っていく恋人に合わせて、自分の容姿を老いてるように変えてもらったことにすごく納得した。それは彼は少しても人間に近づけたいと思っているからではないかと思いました。そういう高嶺くんの健気さに涙が止まりませんでした…
また、今回のお二人の関係もマスターとドールを超え、本当の意味の恋人になりました。アベの言っていた「いつか高嶺くんが本当のマスターのもとに帰ってしまうことが怖いけど、それは人間の結婚も同じだ」の言葉が本当にかっこよすぎます。(これ思いついた凪良先生は天才か!と思いましたw)マスターとドールの関係だと無条件にドールはマスターだけを愛することになりますが、アベはそういう束縛を破り、愛情で高嶺くんを引き留められることを信じている。当然結果は高嶺くんは一生ずっとアベだけを愛することができました。
そこで芝が言っていた願いのようなおとぎ話「9のつく年の9の月の9の日」はアベと高嶺くんの希望とお約束になった。結果から見ると人間は全て滅絶し、AIしかいない世界になるという童話みたいな未来は来なかった。でもアベは最後まで、人生の最期まで高嶺くんと一緒に歩んできた。高嶺くんも最後の49日のやることを尽きてからやっと生きることを手放すことができました。高嶺くんは身体が機械だけど、心がすでに生身の人間になっていると思います。そういうAIちゃんの人間くささがほんとにたまりません!(涙)
前作の2人とも永遠の命を得たというハッピーエンドとは言い難い終わり方になりましたが、今作は最高のハッピーエンドだと思いました。終わりを読んでホッとした同時に涙が出てしまいました。凪良先生の作品は相変わらず人の心を揺さぶるなぁ…とますます凪良先生が好きになりました。
今回も素敵な作品、ありがとうございました。次作も楽しみにしております。
(全く関係ない話ですが、早くセックスしたくて、シャワーのあと髪の毛にドライヤーをかけずにベッドに戻るっていうシーン…!光流と慧一を思い出したのわたしだけ?笑)
多分泣くだろうなあ と思ってましたが 案の定、泣きました。
ショートケーキはぐるぐるしつつ 神。
こっちは、ぐるぐる少し少な目。多分 永遠の神作品。
神10があるなら神10にしたい。
凪良先生、草間先生、出版社の皆様、この本を届けてくださって、有難うございました。
シリアスが大丈夫な方は、ぜひ「ショートケーキ」をお読みになってから
この本を読んでいただきたいです。
読んで何が得られるのかは、わかりません。
でも何かが心に降りてくるんではないかと思います。
大切に思えるような何かが、読んだ人の中に降りてくるといいなあと
個人的な感想ではありますが、そう思います。
阿部ちんは本当にスゴイ男でした。
高嶺は本当に幸せでした。
美優ちゃんも最後は幸せでした。
ナンリもシンちゃんも幸せそうです。
自分もできる範囲で頑張って生きていきたいと思います。
最後に2つだけ、先生にお願いです。
1.美優ちゃんラフ 見たいです(切望)
2.リョウさんと芝さんに 会いたいです。
先生、ゆっくりでいいので、いつかまた 皆に会わせてください。
よろしくお願いいたします。
作家買いです。
凪良作品の『ショートケーキの苺にはさわらないで』のスピンオフ。『ショートケーキ~』の南里の良きドールオタク仲間だった阿部ちんが主人公のお話。『ショートケーキ~』は未読でも理解はできると思いますが、こちらの作品でも『ショートケーキ~』の話が絡んできているので、できれば読んでいた方がより良いかなと思います。
ネタバレ含んでいます。ご注意を。
主人公はレストランの二代目シェフの阿部くん。彼視点でストーリーは展開していきます。
『ショートケーキ~』で南里とともにシンを助けるために奔走したのは彼が大学生の時のお話。それから時は過ぎ、現在阿部ちんは38歳のおっさんになっています。
そもそも阿部ちんがドールオタクになったのは彼が子どもの時に見かけたドールの「美優」に出会ったことがきっかけ。美優ちゃんの美しさとやさしさに触れた彼は、いつか自分だけの美優ちゃんを手に入れることだけを求めて生きてきましたが、時代の流れで精巧に人間を模したドールがつくられることは禁止されその夢は潰えることに。
美優ちゃんのオーナーになれない以上、ほかに愛する人をつくることはできない、という事で38歳になった今も妻はおろか恋人もおらずDTという状態。
そんな阿部ちんですが、ある日レストランの常連さんから一人の裏ドール・高嶺を預かってほしいと頼まれ…
というお話。
『ショートケーキ~』ではむっちりな男子だった阿部ちんですが、健康上の理由から痩せてスマートに。けれど中身は大学生だった頃から全く変わっておらず、まっすぐに「ドール」を愛し、そして誠実で優しい男性のままでした。
一方の高嶺。
性的な奉仕を目的としてつくられている裏ドールという設定を裏切ることのない、過酷で残酷な過去持ちさん。今までのオーナーに大切にされたことがなく今では笑う事すら忘れてしまったという薄幸受け。
そんな高嶺ですが、阿部ちんの優しさとドールへの愛情を一心に受け、徐々に心を開いていく。
阿部ちんは、初めから高嶺に恋愛感情を持っていたわけではない。
単純に、ドールを愛するオタクとして、可哀想な立場にいる高嶺を救ってあげたかっただけ。
それが、高嶺のことを知るにつれて徐々に恋心が育っていく。阿部ちんは美優ちゃんに一生を捧げるくらいの気持ちでいたので、彼自身の中での美優ちゃんに対する裏切りという思いと、高嶺に対する感情の葛藤があるのも良かった。
美優ちゃんも出てきます。
顔はつぶされ、ただの「ロボット」としてだけれど。
その美優ちゃんも、これがまた健気で泣ける。
美優ちゃん然り、高嶺然り、ドールは人間を傷つけることができないようにプログラムされている。
そんなドールたちに対する人間の非道な仕打ちが、そんな仕打ちをされてもそれでもなお人間のために尽くそうとするドールの想いが、とにかく切なかった。
「ドールは機械だから感情を持たない」と高嶺も美優ちゃんも言うけれど、でも、自分を助けてくれた阿部ちんの助けになりたいと美優ちゃんは行動を起こし、高嶺も美優ちゃんと阿部ちんの仲を勘ぐって嫉妬する。
「ドール」ではあっても、感情を持つ「人」と同じ、と接する阿部ちんの優しさが胸に迫る。
『ショートケーキ~』での話がこちらでもきちんと生かされていて、話に重みがあるのはさすが凪良さんといったところか。
戦争の悲惨さ、南里の事故死の話、そして日本では生きづらいドールがアメリカで暮らすという選択をすること。そういったところもきちんと盛り込まれていて、ストーリーとしても面白かった。『ショートケーキ~』で南里とシンの手助けをしたオタク仲間たちですが、今作でもいい味出してます。いい仲間です。
高嶺の過酷な過去が初っ端から描かれていたり、途中で南里とシンお話が出てきたり、高嶺と美優ちゃんを守るために阿部ちんが奮闘したり。
とにかくしょっぱなから泣ける。
でも、最後のシーンが、とどめでした。
タイトルの『2119 9 29』の意味。
阿部ちんと高嶺の間にあった愛情と信頼。
最後の高嶺の決断。
もう号泣。ほんと号泣。
けれど、阿部ちんと高嶺が、最後の最後まで幸せだったのだと。
それが何より温かかった。
正直『ショートケーキ~』がツボ過ぎてこちらの作品に入り込めるか不安だったのですが、全然そんなことなかった。
草間さんの描かれる影があって綺麗な高嶺も、やさしそうな阿部ちんも。
イメージにぴったりで萌え度が確実に上がりました。
文句なく、神評価です。