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それは、運命さえも凌ぐ恋。
lost world end roll Burleszk
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
「ロストワールドエンドロール:ビアシャンテ」のスピンオフとも言うべき作品。こちらは全くちがうカップルのお話で、舞台も異なりますので独立して読めると思います。
元の作品と同様、歌い手と作曲家という設定は変わりません。ですが、こちらは田舎、それも下町が舞台。都に行けるほどの歌い手だが、わけあって下町にとどまっているシンガー。
そこへ、名歌のコンポーザーがやってくる。勘当同然でひとり下町にやってきた高貴な青年と、明るい下町の人気者のカップル。
家柄というよりは、シンガーの屈折した思い、運命を、外からやってきたコンポーザーが救うというお話になっていました。
最後は割と大団円になった感じ。
『ロストワールドエンドロール』のスピンオフ作品です。
設定は前回同様ですが、
本作の主人公ルカは、アルビノ設定で、
黒い肌にヴェノムが白斑です。
地下水路にできた街に住むシンガー・ルカが主人公で、
ルカのヴェノムは他者に伝染するというもの。
なんと恐ろしい!!
ですが、街の人たちはそれを分かっていて、
差別なく接してくれているのがよかったです。
その街に辿り着いたボンボンコンポーザー・オリヴァーと出会い、
音楽を通じて仲を深めていきます。
最終的に二人は契約し、ハッピーエンドでした。
前作のように、契約満了して大切なものを失う……
という下りはありませんでした。
なので、本作は一応すっきりハッピーエンドです。
私は前作より好きでした。
二人の仲が深まっていく様子が良かったです!
前作『ロストワールドエンドロール:ビアンシャンテ』の世界観を引き継ぐスピンオフ作品。
ビアンシャンテを未読でも楽しめるが、読んでいるともっと楽しめると思う。
ただ今作のは設定があまり重要視されてないかな?それよりもキャラクター性が優先な印象でした。
個人的にはビアンシャンテより今作のほうが読みやすかった。
他の方も言っているように白いヴェノムの絵は漫画部分だとわかりづらい…
でもビアンシャンテの時のようにお話のキーがヴェノムにあるわけじゃないから
このくらいの主張のなさのほうがほかに集中できて私はよかったと思う。
(あと少し集合体恐怖症なのでビアンシャンテの黒いヴェノムは見るとゾッとしてしまうので今回は逆に助かった…)
ルカの抱えている過去や特異体質とは裏腹に彼の性格が明るくて表情豊かでひとから好かれる様子なのがすごく切ない。
カレーズの他の仲間たちから愛されている様子をみるとほっこりするし、どうにかして幸せになってほしいと祈ってしまう。
オリヴァーは完璧そうで完璧じゃないところがすごくかわいげがあってよかった。
(ビアンシャンテのラルフもそうだが、久松先生の描く攻めキャラはカッコ可愛い!)
恋愛部分も私はこのくらいの塩梅がちょうどいいと思いながら読んだ。
魂で惹かれ合ってるように巡りあって、何につけても相性が良くて一目で恋に落ちて、
どこで愛に変わったのかではなく最初から愛だったのではないかというくらい、
言葉で説明できないような瞬間の感情のやり取りで二人は結ばれたんだと思って読んだ。
だからむしろ詳細に描いていないことで運命感が強まっている気がする。
一緒にいるのが実に自然で、出会ってしまってからは離れることなんて考えられない二人が描かれていた。
この二人の先の続編がすごく読みたい気持ちになるような、代償のことを考えると切なくて見たくないような…!
今作はスピンオフとなっているが第二弾のほうが合っている気がする。
第一弾であるビアンシャンテとは全然違うストーリーだし、この先第三弾、第四弾と重ねていったときにロストワールドエンドロールの大きなパズルが完成しそうだ。
第三弾が待ち遠しい!!
あとカバー下本当に可愛い、二人が幸せそうでこっちまで嬉しくなる書き下ろしでした。
余談だけど、虎の穴の書店特典にあった裏話が本編に欲しかったなあ…
個人的には衝撃の裏話でした。それも踏まえてビアンシャンテから読み直すと、確かに…!となってしまう。
ビアンシャンテ、ブルレスカ、ハロー・グレイ・ナイトシェードの3作どれも全然違う作品になっていて、
久松先生のスタンダードがどれなのかつい追いかけてしまう作家さんです!
『ロストワールドエンドロール:ビアンシャンテ』のスピンオフ。同じ世界観を描いた作品ですが、『~:ビアンシャンテ』のラフル×セスは冒頭にちょびと出てくるだけ。なので前作未読でも理解できないことはないと思いますが、世界観がちょっと特殊な作品なので、それらを理解する上では前作を読んでいた方が分かりやすいかな、と思います。
内容はすでに書いてくださっているので感想を。ネタバレ含んでいます。
今は使われなくなった旧地下水路を利用して、夜の名所として栄えている「カレーズ」という場所が舞台。
そこでカレーズ一のシンガーと謳われているのがルカ。
名家の跡取りとして育てられるも、自分のコンポーザーとしての能力を開花させたいと願い家を出て、カレーズへとたどり着いたのがオリヴァ―。
この二人のお話。
素晴らしいシンガーでありながら、隔離された場所でもあるカレーズにとどまっているルカ。それには理由があって。
表紙にも描かれている褐色の肌にもヒントがあり、その理由のために孤独と過去のトラウマを抱えている。一見明るく社交的なルカの抱える身体の秘密がなんとも切ない。
有能なシンガーであるルカと、ルルディと呼ばれる楽器の演者であるアリヴァー。
二人の奏でる音楽と、そして徐々に育っていく恋心。
特殊な設定をうまく生かしたストーリー展開で面白かった。
のだけれど。
この二人の間に生まれる恋愛感情が、どうやって育っていったのか、そこをもう少しじっくり描いてくれても良かったんじゃないのかな。
ルカの抱える「秘密」。
オリヴァーを縛る彼の家庭環境。
二人を引き裂くそれらに萌えが滾りましたが、二人がいつの間にかくっ付いていた感が否めず、それらを振り払っても相手のそばにいたいという展開が、いまひとつ盛り上がりに欠ける。
それとルカの身体に浮かび上がる音符。
表紙のようにカラーだと見やすいのですが、モノクロだと音符が分かりづらい。彼の褐色の肌の色には意味があるので、その点が非常に残念に思えました。
ただ、『~:ビアンシャンテ』と同じように、作り込まれた世界観は素晴らしく、非常にツボに入りました。ゆえに、もう少しじっくり描いてほしかった。スピンオフという形ではありますが、前作からの続編という形にしてラフル×セスとともに少しずつ進むお話であったならなお良かったのにな、と思いました。
実に惜しい。この作品は、単巻ではなく、長編として描かれるべき物語だったのではないかと思う。それも、シリーズ2作目ではなく、もう少し先で。今からでも遅くないので、ぜひ、続きを描いていただきたいです。
生まれながらに致死性の病に蝕まれ、自らの特性である歌によってその進行を遅らせながら生きる「シンガー」と、生まれながらに身体に五線譜を持ち、それを用いて生み出すスコアによって、シンガーの病を癒す力を持つ「コンポーザー」の生きる世界。シンガーの病に最も効くのは、契約を結んだコンポーザーの生み出すスコアだが、病を根治させるには、コンポーザーは自らの「一番大切なもの」を失うことになる。そして、それは一般には、コンポーザーの生命と解釈されている……。
この独自性と悲劇性に溢れた世界観で一部を騒然とさせた「ロストワールドエンドロール」ですが、シリーズ化されたことで、やや出オチ感があるのは否めない。それを緩和させるためか、本作の主人公は「アルビノ・シンガー」と呼ばれる、通常のシンガーとは異なる、未だ解明されない謎を多数抱えた変異種の病の持ち主に設定されています。
その病のため、都市ブルレスカの地下から出られずに生きるルカが、コンポーザーとしてシンガーに生命を捧げる運命に抗い、自らの演奏家としての力を試すために家を出てブルレスカに流れ着いた、名家の御曹司でSランクコンポーザーのオリヴァーと出会ったことから物語は始まります。
以下、結末に触れるネタバレをしているので、NGな方は回避してください。
前作の物語の起点がそもそも、主人公二人の契約だったのとは対照的に、今作は自らの病の特殊性から契約を諦めているルカを救うため、自分らしく生きるためにシンガーとの契約を拒絶していたオリヴァーが、それを覆すところがクライマックス。
しかし前作を読んでいると、どうしても、この世界観では、ここからが本番では!?という思いが拭えないのです。特にルカが、不確定要素が多い変異種の病持ちであること、シンガーを救うためにコンポーザーが払わなければならない代償を考えると、互いをかけがえのないものと認めて契約を結んでハッピーエンド、的な終わりは、何だか腑に落ちない。作中でも、ブルレスカはお祭り好きの街だから、他の街ではやらない「契約式」(完全に結婚式の比喩だと思われる)を派手にやるんだ、ということがフォロー的に述べられているため、敢えてのエンドだということは分かっているのですが、この先のことを、どうしても考えてしまう……。ほんと、今からでも遅くないので、ルカとオリヴァーのこの先を、綺麗事じゃなくじっくり描いて欲しい。名作になる素質を感じるだけに、中途半端なところで終わっているのが、実に惜しいと思わせられる作品です。
もう1つの惜しいポイントは、この世界観における通常のシンガーとコンポーザーの関係が今ひとつ飲み込めない段階で、変異種であるアルビノ・シンガーの設定が投下されてしまったこと。シンガーとコンポーザーの関係は、いくらでも料理のしようがある設定だと思われるので、もう1つか2つ、通常のシンガーとコンポーザーを主人公にしたエピソードが発表されてからだったら、変異種の特異性が際立って、より厚みのある物語になったと思うのです。
正直、アルビノ・シンガーであるルカの設定は物語の最重要ポイントであるのですが、尺の都合か、割とさらりと終わってしまった。そのためか、「ブルレスカ」単体として読んでも、やや掘り下げ不足が感じられてしまい、期待値が高かった分、惜しい、という気持ちが抑えられません。ああ……。
あ、カバー下に、2人に互いの好きなところをインタビューする4コマ漫画が載ってます。これが、可愛い!ほっこりできます。ただし、この本体の印刷が、ルカの褐色の肌と病の白銀色の痣をイメージしたものと思われて実に格好いいんですが、ものすごく見辛い。せっかくの漫画が読みにくい、読みにくいよ……。