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hello gray nightshade
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
前作『ロストワールドエンドロール:ビアンシャンテ』がとっても良かったので作家買い。『ロストワールド~』はファンタジーモノでしたが、今作は現代もの。3つのCPのお話が収録されています。
それではレビューを。ネタバレ含んでいます。苦手な方はご注意を。
表題作『ハロー・グレイ・ナイトシェード』
老舗の料亭「月路亭」の長男・虎汰が主人公。前編と後編に分かれていますが、前編は虎汰視点で描かれています。
月路亭の女将と料理長の息子である虎汰は、寡黙ではあるものの優秀な料理人である父親の跡を継ぐのが目標。8つ年下の弟の嘉一の面倒もよく見る、良い兄であり息子であった虎汰ですが、ある日母親から「月路亭の跡取りは嘉一にする」と告げられて。
長男である虎汰ではなく、次男の嘉一が跡取りに選ばれた理由。
そして、褐色の肌に、日本人離れしたビジュアルを持つ虎汰の父親は…?
自分の見た目ゆえに噂話をされ、そして月路亭の跡取りも弟になることが決まった虎汰が取った行動は。
というお話。
帯の、インパクトのある
「かわいい嘉一、お前をどうやって壊してやろう」
という文句通り、複雑な内面を抱えた虎汰の壊れっぷりがなんともシリアスでいい。
そして、兄の行動に戸惑いながらも、それでも兄を慕い、愛する弟の嘉一が、これまた健気で可愛いのなんのって…。
後半はその嘉一視点で描かれています。
前編と後編が、続けて収録されてないんです。間に二つの短編が収録されている。
その構成がなんとも面白く、心鷲掴みにされました。
いいところのお坊ちゃんで何不自由なく生きてきたように見えて、実は孤独だった兄弟たち。
彼らが求めたもの。そして得たもの。
描き下ろしがこれまた良かった。幸せになった二人に安心しつつ、でもちょっと爆笑、みたいな。
とっても素敵な作品でした。
『ファンファーレが聴こえるか』
双子の兄弟の、准介と涼介。
彼らの幼馴染の光貴は准介が好き。
涼介が好きな女の子・鳴海ちゃんも准介のことが好き。
准介はブラコンで、涼介が大好き。
でも、「恋愛」という意味で准介が好きなのは…?
と、ちょっと複雑な4角関係の彼らのお話。
子どものころから准介がずっと好きだった光貴の健気な恋心と、鈍感な准介。
光貴のちょっと切ない恋心が描かれているのですが、涼介のあほの子っぷりが合間に入ることでシリアス、でも時々ギャグ、の塩梅がちょうどいい感じでした。
『はらぺこのメメント・モリ』
主人公はアパレル店員の和。
彼は父親がおらず、母親もいつも男性を引っ張りこんでいるという家庭環境で育っていますが、唯一の保護者だった母親に捨てられたことで帰るべき「家」を失った青年。
そういった環境で育ってきたからか、他人に興味がなく、家を持たずその日出会った人とホテルに行くような爛れた生活を送る日々。
ある日、泊まる場所が見つけられず公園にいたところに中年の男性に声をかけられて…。
というお話。
身に着けているものが高級品ばかりのその男性・志倉さんは、見ず知らずの和を警戒することもなく、また身体を要求することもなく、ただ穏やかに和を見守ってくれて。
そんな志倉さんに徐々に惹かれていく和ですが、実は志倉さんは秘密を抱えていて…。
和の生育環境は最悪なものですし、今もそれが彼の根本を成形している。
傍目にちょっと可哀想な気がするのですが、和自身はそれをなんとも思っていない。
志倉さんに告げられた真実はちょっとびっくりする内容ですが、それを咀嚼する和の黒さというか歪みがこれまたなんとも良い。
最後の1Pに、ぞわっと鳥肌が立ちました。
全く関係ない3CPのように見えて、実はちょっとずつ繋がりがあります。
『ハロー・グレイ・ナイトシェード』の虎汰。
『ファンファーレが聴こえるか』の涼太。
『はらぺこのメメント・モリ』の和。
この三人はかつて虎汰が読モをしていた時の仲間。
ついでに言うと、『ハロー・グレイ・ナイトシェード』の初っ端で虎汰と裸で布団に入っていたのは和、という繋がり。
3CPとも濡れ場はほぼなし。
ないのだけれど、彼らの間に流れる色っぽい空気感が何とも良い。
久松さんて、絵柄がちょっと独特かなあと思うのですが、なんていうんだろうな。
久松さんの描くストーリーにすごく合っているというか。独特な世界観がある作家さんだなとしみじみ思いました。
短編集ですが、ストーリーの短さを感じさせない内容の濃さで、どのお話もとってもツボでした。
次回作も楽しみです。
作家買いです。.Bloomの雑誌掲載中から追いかけていた作品がやっとコミックスにまとまって楽しみにしていた一冊!
コミックスの内容については他の方がすごく丁寧に書いてるのでそれ以外の事を紹介したい。
他の方も書かれているように掲載順とコミックスの収録順が変わっていて
でも掲載時を知らなくてもコミックスを読んでじゅうぶんに収録順のギミックを楽しめると思う。
これは久松先生の意図なのか編集部側の提案なのか…どっちだったとしても素晴らしい!
この読み順が実に効果的で本当に感心して唸ってしまうほど!
(前作のロストワールドエンドロール:ビアンシャンテの書き下ろしでのギミックも考えると久松先生の意図かも…!)
実を言うと最初は久松先生の絵柄にそんなに興味がなかった。普段だったらたぶん手に取らないかも…
あえてそれを書かせてもらうのは、やっぱり同じ感覚の人がいたら絶対勧めたいから。
読んでみて欲しい、前作の時もそう思ったけど、いつの間にかすごく惹き込まれてる作品を描かれる先生だから。
久松先生の作品に登場するモノローグとかセリフって、いちいち口に出したり
文字に書きたくなるような見出しにしたい美しいものばかりで読んでいて気持ちがいい。
帯に書かれてる「かわいい嘉一、お前をどうやって壊してやろう」もそうだけど
「かわいい」「かわいそう」を「可愛い・可哀想」で書かないところとか
細かいとこだけどあえてその表記を選んでるんだろうなっていうところがすごく多い気がする。
(たすけて、が助けてじゃないところも)
作品や語り手になるキャラクターに寄ってモノローグの文体に変化があるおかげで
読んでいてすんなりとキャラクターの印象を受け取ることができる。
他にもキャラクターの表情とか切り取り方でどんな意味にも解釈できそうな表情が魅力的だと思う。
1度目読んでそれが意図的に仕組まれてたんだって気付いて、2度目に読んで再確認する感じ!
だから1回目に読んだ本の感想と、2回目の感想が変わってくる。何度も読み返して毎回その罠にはまりたくなる。
久松先生の独特さとか魅力って、そういった小さい罠がいっぱい張り巡らされてるところだと思う。
あと久松先生の作品を読んでいて感じるのは、まるで映画でも見てるような感覚。
読んでるっていうより観てる気分になる。(私だけかな?)
前作の時もそうだけど、久松先生は音もセリフもない部分の漫画が凄く綺麗で、
セリフがないのに声が聞こえてきそうだったり、音がないはずなのに音がしそうだったり…
無音なのに印象的で濃密で、これがあるから読み応え抜群なのかも。
これだけ濃い作品が短編集だってことが驚き。
とにかく読んでみて欲しい一冊。
私は雑誌のほうも追っているので、.Bloomのほうの次回作のコミックスがすごく待ち遠しい!
(今作での書き下ろしもやっぱり次へと繋がりそうなギミックだった!)
ロストワールドエンドロール:ブルレスカも今から楽しみにしてるし、本当に目が離せない作家さんです。
レーベル買い。新レーベルにして安心感抜群の.Bloomコミックス、連番を見るにこちらが4冊目らしい。(3冊目は同日発売のライクアシュガー。こっちも最高だった…)
正直なところ、久松先生のデビューコミックスであるロストワールドエンドロールは、ちょっと合わないな、と思っていました。(面白くないわけではなくて、合わないという程度なんですが)
で、もし私と同じようなこと思ってる方がいて、このコミックス気になるけど、どうしようかなーと思っている人がいたら、全力で「とりあえず読んで」と言いたい。
テイストも世界観も全く違うので、同じ作者なのか?と思うほどです。レーベルが違うとこんなにも描くものが変わるのか……と驚いたりも。
これは雑誌で読んだ人間にしか分からないかもしれないからあえて書くんですが、掲載順が雑誌とコミックスで変わってるんですよね。
コミックス1話目→ハロー・グレイ・ナイトシェード 前編(雑誌では3話目)
2話目→ファンファーレが聴こえるか(1話目)
3話目→はらぺこのメメント・モリ(2話目)
4話目→ハロー・グレイ・ナイトシェード 後編(4話目)
って感じで、表題作前後編がコミックスでは最初と最後に置かれている。
このギミックが本当に最高だった……。
前編のあとすぐに後編が始まるのとでは、印象が全然違う。
というのも、ファンファーレもはらぺこも、なんとなくハローグレイと世界線が繋がっているのが分かるから。
特にはらぺこは、ハローグレイの虎汰のセフレとして登場した和が主役だし。
なので、実質4話編成の、表題1本の作品のような感覚に陥るんですよね。
しかも描き下ろしでは、がっつり全キャラ登場して「やっぱり繋がってたんだ!」という確信が持てる作り。これ、考えられてるなー……と素直に感動しました。
・ハロー・グレイ・ナイトシェード
高級料亭の嫡男である兄弟が、それぞれに似た孤独を抱えて生きていく中で、歪んでしまった兄を、それでも愛した弟が魂レベルで救っていくお話。
とにかく、弟の嘉一が健気すぎて泣ける。
めちゃくちゃいい子だし強い子で、兄を救うことによって、同時に自分も救われたんだと思う。
前後編でそれぞれ視点が変わるのも、二人がどのように生かされ、どのように傷ついてきたのかがよく分かる構成でとても良かった。
描き下ろしではラブラブな二人が見れるのも本当に嬉しいし、大きくなった嘉一も可愛すぎる〜!黒髪敬語健気受け、たまらない。
(それと、作中では強く明言されていないんですが、血が繋がった兄弟モノは本当に貴重です……。義兄弟も好きだけど、本当に血が繋がってるからこその苦しみ、最高です)
・ファンファーレが聴こえるか
初心でかわいい高校生たちの青春グラフィティ、なんだけど、
そこにめっちゃ可愛くて強い女子が絡んだり、双子の片割れ(受け)が超絶ブラコンだったりと捻りが沢山で楽しかったー。
調べたところこれが商業デビュー作のもよう。久松先生自身の初々しさも反映されているのか、爽やかで気持ちの良い作品。
あと、あれ!?と思って見返したんですが、後半の光貴と淳介のやり取りにがっつり修正が入っていて、より説得力のあるお話に。
今の絵柄で二人を見れたのも嬉しかった!
・はらぺこのメメント・モリ
虎汰のセフレである和のお話。「愛着」というテーマで描いたとはにわかには信じがたい(褒めてる)作品。
ビッチでどうしようもない母親を持つ和は、中学卒業のタイミングで捨てられる。
そこから、自分の家を持たずに色んな人の家をフラフラしていたところ、めちゃくちゃお金持ちっぽいおじさまに声をかけられて、一緒に住むようになる……。身体でお返ししようかと思いきや?
……と、一見するとすごーくありふれたお話のようで、妙に全体に漂う雰囲気が不穏でドキドキソワソワする。
そしてその予感は、満開の藤棚を前に大喜びする和の様子あたりで確信に変わるんですよね。1回目に読んだ時と2回目に読んだのでは、表情が全く違って見える。
ラスト1p、ゾクゾクします。和くん……。
どれもこれも1話や2話分とは思えない濃密な作品。カバーの幸せそうな、しかしどこかさびしげな雰囲気も相まって、完成度すごいな…という印象の一冊でした。
一読の価値、あると思います。
この本には藤の花が挿し絵に入っていて、うちの田舎の家の門が白藤の棚で出来ていたのを思い出しました。藤の花には微毒があって、猪除けにしていたようです。
この巻に納められた作品の共通項は「秘密の愛の毒」と言えばいいのかな。脆い状況を一筋の愛が崩壊を防いで支えているような秘めた愛。
いい愛だなー。巻末に登場人物のプロットがあるので、いつか続篇が出るのじゃないかと期待。面白かった。神評価。
あらすじ:
▼ハロー・グレイ・ナイトシェード(前)
先祖帰りの兄と父知れずの弟の愛。
老舗の月路亭の主が母。料理長が父。正規の夫婦の間に生まれた長子は、先祖返りで父方祖父に似た異国風の美男子。母の不貞で生まれた弟は8才年下、ひな人形のような華奢な美男子。
老舗の料亭の跡取りは和風の容貌の弟に決まる。荊棘の城のような家庭。父の跡を継ぐために兄は、料理の修行に家を出る、力をつけたい。
母が嫌う兄を、弟は強く慕う。毎朝、弟は兄に電話をする。兄の同棲相手、恋人は男性。
突然訪問してきた弟に、兄は「兄さまが好きか」と問う。純真な弟に呟く「ほんと邪魔だなあお前」「お前が大嫌いだった」と言い、弟を汚したい兄はキスをする。弟は拒まない。
▼ファンファーレが聞こえるか:
四人の幼馴染。男子3人と女子一人の告白ごっこ。
准介が好きな光貴。鳴海が好きな涼介。鳴海は准介が好き・・の構造。
「女の子が相手じゃ勝ち目がない」と涙目の光貴。准介は、鳴海と涼ちゃんの話をしていただけ、鈍感な准介。999敗1勝、光貴の告白成功のファンファーレ。
・・だれがだれなのか、区別が難しくてこんがらがってしまう。
▼腹ペコのメメント・モリ:(★モデルの瀬谷和は、兄の昔の同棲相手と同じ名前)
宿なしの瀬谷和は、公園で身なりの良い紳士、志倉と出会う。
「うちに来たら?」条件は「君、僕と恋愛する気はあるかい」
和は母子家庭。とても美しかった自慢の母に、中学卒業の日、「産まなければ良かった」と言われる。その日から母は家に戻らなくなり、15才で全てを失う。アルバイトで稼いでも賃貸せず、居候を転々。顔が良いので根無し草でも困らない。
志倉と暮らして何もない二か月が過ぎた頃、庭の藤の花が満開になる。
「一房だけ咲く白い藤の花が10年前まで咲いていた」「君のお母さんを知って居る。その藤の樹の下に埋めた」 「僕が白い藤=君を欲しがったから」と詫びる志倉。「君は僕が恋した藤だ」
母は志倉の愛人だった。藤の樹で首を吊って自殺していた、遺体は樹の下。
志倉に抱かれる和。 藤花が揺れる樹に「ご馳走様、かあさん」と呟く。
※メメント・モリ:
メメント・モリ(羅: memento mori)は、ラテン語で「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」、「死を忘るなかれ」という意味の警句。 芸術作品のモチーフとして広く使われる。
▼ハロー・グレイ・ナイトシェード(後)
兄にキスをされながら、回想する弟。
小学校の授業参観日を回想する;両親は忙しくて来ない。同級生にからかわれているところに、カッコイイ兄様が教室に入ってくる。からかわれて涙ぐむ弟を抱き上げて、からかっていた子達と遊ぶ兄。「いいなあ 兄ちゃんかっこよくて」と言われる。
父は待っている;「お前は全てをもっているじゃないか」と兄が家を出て、弟は独りぼっち。自分の歪を感じて、泣きながら兄に℡をする弟。毎朝厨房を掃除した後、兄に℡する日課。厨房で見つけた包みは、兄の年の数だけ揃えた包丁、それは父の秘密。
知ってしまった;アルバイト先で、代議士の娘と出会い、あなたは不義の子だと告げられる。
・・兄は「嫌われても好きだ」と泣く弟の様子から、弟も同じ痛みを内に持っていたことを知る。
兄は「一緒に帰れなくてすまない」と詫び、「あと十年したら迎えに来る」と弟は告げて別れる。
ホテルの料理長に就いた兄を、月路亭支配人として弟が迎えに来る。
▼書下ろし
或日の予約客は、昔の兄のモデル仲間だった。兄は「イケメンすぎる料理長」としてメディアで特集され話題。瀬谷和が抱きつく。瀬谷は、弟に少し似ていた。
華やかな顔なじみと再会する兄を見て、気後れする弟に兄は、キスして「仕事に戻りな」と笑う。
※ナイトシェード:
ナイトシェードとはナス科の植物を指す古い表現。 現代の学名「Solanaceae(ナス科)」に相当しますが、「夜の影」の名が示すように毒草としてのニュアンスが強くあります。ベラドンナはナイトシェードの中でも謂れの多い種類でdeadly nightshadeという物騒な名前がついています。
※「灰色の毒ナス」で調べたら、「朝鮮朝顔に接ぎ木したナス」の中毒事件がありました。
★接ぎ木した毒・・弟のこと?・・・それなら、帯の「かわいい嘉一、おまえをどうやって壊してやろう」の「壊す」は、兄は接ぎ木で出来た毒(不貞で生まれた子)を愛で「解毒」してあげたという意味に。
濡れ場は基本的に少ないですが、どの主人公達も様々な事情を抱えながら生きている作品です。
話はどれも複雑ですが読み始めた途端に、一気に惹き込まれて現実を忘れて読んでいました。
久松先生の作品、∞回収中
他作品(NEON)で出ていたモデル仲間の虎くん
その弟、年の離れた嘉一くんとのお話
彼たちのお話は前後ですが途中に他のコの短編がぽんっと入ってくるから??ってなったけど、それはそれでまた良き
短編はキラキラDKたちの恋とか、ダークなお話とか…こちらもすごくよかった
さて。兄弟のお話に戻ります
表紙絵の二人が兄弟
ただ単に美しいだけの兄弟愛ではなく、親の所為で苦しんだり悩んだりします
結果的には兄弟がそれぞれに答えを出して、幸せになる道を切り拓いていく
前向きなラストが素晴らしいと思うのです
甘々というか溺愛なのも好き
他作品のコたちも登場して、何気にリンクするのも大好きです
『ハローグレイナイトシェード』、このタイトルと、カバーのちょっとアンニュイでセピアな色味に惹かれて買いました。
これはもう……大当たりでした!
久松先生の独特なタッチが、キャラクターたちの間に漂う空気の湿度、質感を、とても良く伝えて下さっている。このタッチでないと表現出来ない感じがします。
それに、全体的に、とってもお洒落。装丁は名作の多い『円と球』さんです。本体表紙のクラフト感も素敵。キャラクターそれぞれがすごく魅力的ですし、大丈夫、ちゃんとみんな救われます。
次作の『NEON』も買いたい!強くおすすめします。
短編集としてはかなり高いクオリティの作品だと思います。
ブラックかと思うと純愛だったり、
純愛かと思ったらブラックだったり……
想像できない結末が待っていて、どのお話も楽しめました!
【ハロー・グレイ・ナイトシェード】
一流料亭に生まれた義兄弟のお話です。
優しい兄と兄を慕う弟ーー
愛しいから壊したい、憎らしいほど愛しいという気持ちがよく伝わってきました。
誰にも似ていない兄と母の不貞でできた弟でしたが、
お互いにとっての支えであり希望であったことが胸を打ちます。
ラブかどうかは分かりませんが、
揺るぎない兄弟愛があったことは間違いありません。
どうなることかと思いましたが、素敵なラストで安心しました。
【ファンファーレが聴こえるか】
双子の兄弟と片割れにアタックする友人のお話です。
恋破れて残りの双子とくっつくかと思ったら、
ちゃんと両想いになれました!
ちょっと驚いたけど、とても好きなラストです^^
【はらぺこのメメント・モリ】
大好きな母に嫌われ、捨てられた和。
公園で知らないおじさんに拾われ、同居を始めます。
しあわせな生活が続くかと思ったら、
おじさんがとんでもない爆弾を落としてきました!
最後は、和の方がおじさんに執着しており、
若干ゾクリとする場面でラスト……
面白かったです!
どの作品もそれぞれ完成度が高く、
物足りなさを感じさせませんでした!
独特のどろっと感を持つ短編詰め合わせでした。表題作は不思議な収録順。でもこの後編が一番最後にくることで、やっと救われた気持ちを味わえるので良かったです。
「ファンファーレが聴こえるか」
双子と幼馴染みと女子の四角関係。准介の中で何が起こってあのエンディングになったのか分かりにくかったのですが、盛り上がりの演出がすごくて圧倒されました。涼介が可哀想なままなのが気になります笑。
「はらぺこのメメント・モリ」
毒母親が出てきてどろっとしてるんだけど、瀬谷のからっとした性格のおかげか暗くならず、妙にすっきりとした読後感でした。
「ハロー・グレイ・ナイトシェード」
どろっと終わった虎視点の前編から嘉一視点に変わる後編へ。兄として愛情をかける虎が描かれて、虎も憎むべき相手が嘉一じゃないことは分かっていたのかなあと。ラストが爽やかで良かったです。もっと詳しい描写が欲しいところがいっぱいで、前後編じゃもったいない作品だと思いました。
帯の『壊してやろう』でドロドロを期待すると違う話、どっちもいい子なので
もっと適切な帯付けてあげればいいのに
普通こういう片方に入れ込むクソ母親持ったら兄弟仲悪くなりそうなのに、優しいお兄ちゃん&素直でお兄ちゃん子の弟なのでかえって互いを拠り所にしている仲良し兄弟です
女将の顔は怖い
クラスメイトよりだいぶ年上(23歳)でも馴染んでるのはにーさまの人徳でしょうね
ただ苦学生のいい話だと思ってたから、最後に読モとかキラキラバイト設定出されて意外な感じに