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gesshoku kitan
読み終えて、月食奇譚という作品は果たしてどこからどこまでのことを指すのだろうかと考える自分がいます。
一度開けばページをめくる手が止まらず、あっという間に一気読み。
すごいものを読んだな…とため息が出ました。
BLとしてはもちろん、怪奇ものとしても面白かったです。
物語も絵柄も非常に個性的で、魅了されるかされないかがはっきりと分かれる作風だと思います。
カバーイラストからしてただものではないといいますか、まず普通の恋愛は描かれていないだろうなと、読み始める前から期待でいっぱいでした。
結果、このダークでニッチなところを攻める雰囲気は非常に好みで大当たり。
一筋縄ではいかないぐるぐると渦を巻いた複雑な関係や、読む人を選ぶ重ためのテーマ、見てはいけないものを見てみたい方や、好奇心が強い方におすすめしたい1冊です。
1920年…と連続殺人を語るモノローグから始まる物語。
冒頭から衝撃で頭を殴られます。
ところが、衝撃のままにページをめくると、何事もなかったかのように少しだけ生き辛そうな男子高校生・照道のごく普通の日常が描かれているのです。
ここからの展開が本当に上手かった。
照道と少々危うい魅力のある同級生・臣彦の曖昧な関係を追っていくと、少しずつ少しずつ月食奇譚の世界に足を引き摺り込まれ、気が付けば呑まれていってしまう。
謎めいた1冊の本と、何人もの少年が関係する愛憎入り混じる歪んだ人間の感情の行方にすっかり夢中になりました。
彼らの結末をどう感じるか?
こちらも読み手によって異なるものでしょう。
自由に解釈できる結びも含めて非常に魅力的な作品でした。
濃い雰囲気が漂っている作品。
丸尾末広先生のような大正エログロBL。
逃げられない運命、繰り返される悲劇。
結ばれることのない恋愛、幸せにならない人生。
春泥先生の良き古き絵柄は好き嫌い別れると思うが個人的に好きな派。80年代テイスト+胸糞リョナは中々新鮮で見ないようなタッグ。
最後の最後だけは少し物足りなかったが、そこまではずっと良かった。二人の顔アップが並んでいる2ページは特に最高でエモくて吐きそうになった♡
闇深い沼系のBL好きにぜひお勧めしたい。
BLにあまりダークな要素を求めない派なのですが、春泥先生のクセのあるタッチと作風が気になり読みました。
奇遇にも最近江戸川乱歩作品デビューしていたので、なんとなく雰囲気が近いなと頭をよぎりましたが、やはり他のレビュアーさんたちも同様の印象を受けたみたいですね。
物語としては非常に面白くて、ハラハラドキドキさせられて楽しみました。
殺人のシーンはあまり気持ちの良いモノではないので、万人にオススメはできません。
あと個人的に1話の扉絵のリアルな蛾の絵には鳥肌が立ちました。蛾嫌いなんですよね…。
物語の解釈が難しく、何回か読んでぼんやりとしていた物が徐々に分かって来た時、これはメリバな純愛の物語だなと思いました。
先生が求めていた恐怖を与えて、死ねない苦しみから救う事が星野なりの愛の形だったのかな、と。
先生の方はどうだったのだろう…照に対する気持ちは他の少年たちへのものと別だったんでしょうか。
そう考えると、星野の片思いな気がするのです。
多分何度も読み返すたび、解釈が深まっていくんじゃないかと思います。
メリバにハマっていた時期があったので買ってみました…が、想像していた感じのとは違いました(^_^;)
ストーリーが凄くしっかりしていて、物語としては面白いです。内容と絵柄がマッチしていて、独特の雰囲気がとても好きです。が、これを〝BL〟という括りで読んでしまったら少し残念な感じになってしまいました。
どうしても萌えは感じられなかったです…。
エロや恋愛要素は少なめだと思うので、〝ダークなBLのようなもの〟といった感じで読めばもう少し評価が上がった気がします(笑)
メリーバッドエンドとしてはとても良い作品でした。最後、(私の理解力がないのか)少しモヤモヤする所がありましたが、レビューの考察を見て納得できました。
10数年前の少年漫画のような絵柄は、どこかしらに必ず狂気が仕込まれている春泥さんの作風と相まって、良い持ち味になっています。本作ではガッツリ描かれた陽の性描写とは異なる、死がもたらす陰のエクスタシー、絶頂感覚が味わえました。昔からある漫画的表現は、背徳感ある倒錯ものの雰囲気とマッチして悪くありません。コメディタッチの別作品にも形を変えて狂気は健在、思春期の青臭さがそれだけでもうエロいです。
殺人の描写がたくさん出てくるので、グロいシーンに耐性がない方はご注意ください。ストーリーは転生設定を含んでいます。星野がなぜか惹かれてしまう山田という少年は、美しいのと同時にどこか影を感じさせる。なぜなら彼は人気の小説家だった黒岩鬼退治の生まれ変わりで、前世では小説を書き上げるために猟奇殺人を何度も繰り返した人物だから。そして山田として生まれ変わった今、彼は前世で殺された少年達の復讐により殺される度に生き返り、死ねない日々を送っている。
この壮大な構想は面白いと思いました。少年達から自分に注がれる愛を永遠にするために、また、自分の思い描いた通りの小説を完成させるために彼らを躊躇いなく殺した黒岩の狂気は、恐ろしいけれど興味深いものでもあります。ただ、黒岩は少年達を愛していたのでしょうか? 愛しているから殺すというのであれば、BLとしての萌えも感じられるしその狂気を美しいと思う余地もありますが、そこが曖昧だとただの偏執的な猟奇殺人鬼の話になってしまう気がするんですよね。
愛に裏付けられた濃密な関係性を築いていたことが分かるからこそ、相手を自分の手にかけて死なせるところに儚い命の美しさと、やりきれなさを感じられると思うんです。そこが求めていたものと少し違ったかなぁと思ってしまいました。最後の最後、星野に前世で自分が殺したのと同じ方法で殺められた時、黒岩は恐怖と共に初めて愛を感じたのでしょうか。自分達の運命や業を正確に理解した上で殺してくれたのは星野だけですもんね。いずれにしても、余韻の残る作品ではあると思います。
この表紙を見て購入する読者はまず間違いなくぬるいBLなど求めてないでしょう。
江戸川乱歩作品のような、殺人・怪異・猟奇的、グロ、そんなおどろおどろしい陰湿なものに魅かれるかた、そしてBLという軽い表現よりも輪廻転生を絡めた因縁絡み合う絆を求めているあなた、買いです。
漫画というよりも、怪奇小説のような濃密で暗く、みっしりと詰め込まれた世界観が堪能できます。
これはBLの文脈というより、夢野久作とか江戸川乱歩とか横溝正史などの異端怪奇小説、猟奇小説の系譜だと思いました。
ミステリーとホラーとオカルト、そしてレトロが融合して、非常に奇妙で悪夢のような物語世界を創り出している。
私は怖い話が好きだし、横溝正史大好きだからこういうタイプの話はイケますが、「BL」を読むつもりだけで読み始めるとエッとなってしまうかも。
これから気持ち悪い話を読むぞ、という気合いがいりそうな作品です。
だって、100年前の少年連続殺人の被害者の生まれ変わり達が、殺人者の生まれ変わりを復讐で殺しにくる、という話なんですから。
殺人者が何度でも殺される。
刺し殺される殺人者。
溺死させられる殺人者。
血みどろなのに起き上がり、また殺される殺人者。
もはや現実なのか白日夢なのかも定かでない。
これは相当に気味が悪い。苦手な人はやめておいたほうがいいと思います。
快楽も恐怖も感じられない倒錯者としての作家・黒岩の冷え冷えとした心象風景。
「快楽殺人」というのは、快楽を感じるから殺すのではなくて、何度試しても自分では得られない快楽を知りたくて、結果的に殺してしまうのでは?
この物語のラストはどう解釈したら正しいのか、やっと因果の輪が閉じるのか、それともやはりまだ終わらないのか。なんともモヤる終わり方。
でもそれもまたこの作品の色によく合っている。
最近私の周りでも話題の作家さんで、気になっていたので他作品も調べて、いちばん良さそうだと思い購入しました。
他の方のレビューでも散見されますが、まるで近代文学の怪奇小説のようです。
例えば江戸川乱歩や夢野久作、梶井基次郎といった雰囲気を持っていて、読後に何か心に塊が残るメリバというにも難しいような作風でした。
雰囲気としては、やはり全体的に暗く「愛しているから殺す」という独特かつ耽美な(というより頭のおかしい笑)思考を中心に進むとても好きなタイプのお話でした。
春泥先生の絵柄が、大正の転生もの というジャンルにとてもマッチしています。また、ミステリーの要素も孕んでいるため最後までドキドキしながら読むことができます。
グロやミステリー、猟奇的な作風が好きといった方にオススメしたいです。
読み終わるとBLを読んだ時の満足感よりも、良い小説に出会った時のような充実感の方が大きい。
転生、着物、黒髪、そしてアングラな雰囲気という腐女子の大好物を存分に含んでるためこの本を好きな人は少なくない。ただ一方で、耽美すぎていつもハイテンションエロを読んでいる人には物足りないかもしれない。
中村明日美子からエロを引いてレトロさを足した感じと言えば伝わるかしら?
色々な考察が出て来そうな結末であったけど、私個人でも考察してみる。
先生は前世で殺した男の子達全員に同じ殺され方をしないと死ぬことができない呪いをかけられていた。
主人公は前世で自分を殺した先生を殺さなければならない呪いをかけられていた。
(その他の男の子達はあくまでこの呪いに必要だっただけで呪い自体はかけられていない。それゆえ記憶がなくなるだけで終わった)
そのため、最後に主人公が先生(山田くん)を殺した時に呪いは解放され、2人がこの世に生まれた理由がなくなり存在がなかったことになった。(主人公の母親が息子の名前を忘れるシーンはこれに繋がる)
呪いから解放される(主人公に殺される)先生が初めて「恐怖」という名の幸せを感じる一方で、呪いを解放するため好きな人を殺さなければならない主人公。
2人の想いが異なっていても行き着く先が殺し殺される関係であることが、この本の深いところ。
複雑な関係性が好みだという人にオススメしたい作品。