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canis the speaker
CANISシリーズ新章。
前作に断片的に登場していたハロルド、岩城、サムの三人の物語になります。
ハロルドは、リョウ(前作攻め)が過去にいた組織の元ボス。
今まで曖昧だったリョウの過去関連の事情が遂に明らかになりそうで、期待が高まります。
物語は1980年、三人が11歳の頃からスタート。
ハル(ハロルド)、ノブ(岩城)、サム(サミュエル)は、アメリカの孤児院で同室に暮らしています。
勇敢なハル、賢いサム、大人しいノブ…とタイプは違うものの、とても仲の良い三人。
「外で働けるようになったら三人でここを出よう」と約束します。
ある日、三人は「新しいおうち」へ引き取られていく子どもたちの中に、送別会を開かれず突如いなくなる子どもがいることに気がつきます。
こっそり真相を調べ始めた三人は、夜中に怪しい男たちが子どもを連れて行く光景を目撃。
男の一人に見つかり脅されたことで、調査を中止しますが、その後すぐ、それぞれ別々の「新しいおうち」へ引き取られることが決まり…
と、いう感じの展開。
子どもたちの視点を通して描かれる大人たちの裏の顔、教会の闇の部分には底知れない恐ろしさがあり、
子どもなりに精一杯戦うも為すすべもなく離れ離れになってしまう三人の涙に胸が痛くなります。
そして物語後半部では、三人のうち一人だけ何者かに拉致される形で孤児院から姿を消したノブの、6年後の姿が描かれます。
表向きは高級ソープ、実態はヤクザ直営の売春宿で働くノブ。
店の女の子の代わりに、嗜虐趣味のある客の相手をさせられています。
犯されながらタバコの火を体に押し付けられる等、本当に酷いことばかりされているらしく、ノブの体は傷だらけ。
自分の体に触れたのがハルとノブだったら…と想いながら自分を慰め、その後思い出の中の二人に泣きながら謝る姿が痛々しいです。
しかし、絶望するばかりでなく、自力で現在の境遇から抜け出そうと地道な努力を重ねるノブ。
独学で様々な言語を学び、店に出入りする客たちの会話から裏社会について情報収集し…
ラストで因縁の相手を始末し、見事這い上がるノブはカッコいいですが、
少年時代の面影のない冷たい表情からは、彼の生きてきた日々の過酷さが窺われ切ない気持ちになります。
本作ではノブが大人になるまでが描かれており、ハル、サムの状況については不明。
二人がどんな人生を歩みどんな大人になっているのか、そしてどうやってノブと再会するのかは次巻に持ち越しです。
本作での性描写はノブが犯されるシーンのみですが、冒頭にハル、サム、ノブの3Pらしきカットがあり、再会後の三人の関係性についても気になります。
この新章終了後は再び現在のリョウと沓名の物語に戻るのか、まだ分かりませんが、シリーズの核心に迫る重要な章であることは間違いありません。
ダークな世界観ですが、映画のような重厚感あるストーリー展開は大変読み応えあり、オススメの一冊です。
CANISシリーズの新章です。前作までにちらちらと登場していたイケオジたちの過去を描いている今作、期待を大幅に超えてきました。これは傑作、名作の予感…!はじまりはアメリカの児童養護施設。あらすじにある通り、仲良しの3人がずっと一緒にいようとしますが、あんなこんなで引き裂かれてしまいます。1巻では主にノブがメイン。3人の中では大人しくて少し引っ込み思案な彼が、成長していくのかはたまた壊れていくのか…これからが楽しみです。痛くて辛い描写がありますが、それも必要な要素。映画のような構図で、浦沢直樹作品を彷彿とさせます。メインの登場人物だけでなくサブキャラも丁寧に描かれています。設定、伏線も細かそう…。画力が高いので物語に入りやすい。大まかなストーリーをなぞってただエロいものではなく、作り込まれてます。bl漫画の枠を超えた作品になりそうです。一見の価値あり。ストーリーはこれからなのに少しほめすぎ?でも期待を込めて。
読み始めから、ザワッと迫ってくるような怖さと期待。
ストーリー以前にZAKKさんの絵が伝える力が凄い。
そうしてストーリーは、ダークに、切なく、悲しく
そして、最後は続きを期待して胸が高鳴る。
CANISシリーズ、Dear Hatterの最後で幕開けが告げられていた、
NY時代のリョウの雇い主らしき男と因縁ありげな男達の過去話。
時代は1980年に遡る。
カトリック教会附属の孤児院暮らしだった仲良し3人組、
頭のいいサム、明るく前に出るハル、そして黒髪のノブ
彼らは孤児院の秘密に気づき、それを知ったシスターやその裏が動き
運命は大きく動いていく……
ハル ハロルド・アルド・フューズ かつてのリョウのボス
サム サミュエル・マーフィー 財務長官
ノブ 岩城忠信 日本のヤクザ
まずは三人の中で末っ子的なポジションだったノブの過去。
孤児院から拉致されるようにして連れ出された彼が
その後日本で過ごした過酷なティーンエイジャー時代。
救いのないダークな裏の世界で、静かに強く生きていくノブ。
孤児院から出て行く車で号泣するサムのアップに鼻がツンとし
男娼として犯され、傷だらけでシャワーを浴びながら、
過去の二人との絆を抱きしめて自慰をするノブに、強く胸を締め付けられた。
読み終わってドキドキが止まらず、続きが本当に待ち遠しい!
このまま失速せずに完結したならば、間違いなくBL界の傑作になる作品、
未完なので「神」をつけることに躊躇したけれど、
この昂ぶりには、やはり神をつけたい。
一度読み出すとしばらく物語の世界に取り込まれてしまうCANISシリーズ。
まだこのシリーズを読まれていないどなたかの興味に引っかかったらいいな〜と思いながらレビューします!
いきなりここから始めますが、シリーズとしては4作目になります。
前の3作と雰囲気が違いすぎて本当に同じシリーズ作品なのか?と訝しみながら、このダークな雰囲気が自分の好みにドンピシャで、私はCANISシリーズはここから入りました。
順番に読むなら
CANIS -Dear Mr.rain-
CANIS -Dear Hatter- #1
CANIS -Dear Hatter- #2
CANIS -THE SPEAKER- #1(本作)
CANIS -THE SPEAKER- #2
となります。
私なりにこのシリーズを説明するなら、Dear Mr.rain〜Dear Hatter=CANISシリーズ 表サイドの物語、THE SPEAKER=CANISシリーズ 裏サイドの物語、とお伝えします。
同じ世界の裏社会で起こっている出来事を当事者側から描いているのがTHE SPEAKER、それをニュースで断片的に耳にしても無関心に聞き流している表社会側の住人の物語を描いているのがDear Mr.rain〜Dear Hatter、という感じです。
世界観がめちゃくちゃ立体的で多面的で、とにかく圧倒されます。
5冊読み終えても多分まだ見えているのは氷山の一角だろうねこれ。
Dear Mr.rain〜Dear Hatter(以下「前章」と書きます)の中で、主人公の部屋のテレビを通して断片的に意味深に読者に伝えられてはいたものの、前章においてはただのノイズでしかなかったものがありました。
アメリカ情勢を伝えるいくつかのニュースです。
-ニューヨークでのFBIによるイタリア系マフィア一斉摘発
-アメリカ政府関係者によるグローバル銀行のマネーロンダリング関与
-サミュエル・マーフィー前国際担当財務次官の財務長官への就任承認
前章のストーリーには直接関係なく、意味も関連も分からなかったこれらのニュースが、このTHE SPEAKER(以下「本章」と書きます)を読むことで徐々に繋がっていきます。
本章は、前章から33年ほど過去に遡って1980年から始まります。
ニューヨークのとある孤児院に物語のすべての始まりがありました。
前章では関係性の分からなかった脇役、岩城(本章ではタダノブ)、ハロルド、サミュエルは、皆この孤児院の出身者でした。
同室で仲の良かった3人は、ある日ふとしたことをきっかけに孤児院の不思議な側面に気づいてしまいます。
同室の3人が必ず同時期に“新しいおうち”が決まって孤児院を出ていくこと。
その時に送別会をしてもらえる子と、してもらえない子がいること。
してもらえない子はいつの間にかいなくなっていること。
3人は“新しいおうち”には良いおうちと悪いおうちの2種類あるのではないかと考え、真相を調べ始めるのですが、まだ子供だった彼等に孤児院の裏の顔を明かす術などなく、彼等もまた“新しいおうち”に行くことが決定してしまいます。
彼等3人の中で〈送別会をしてもらえない子〉に該当するのはタダノブでした。
ハロルドとサミュエルが寝ている間にタダノブは姿を消し、残りの2人もその後すぐ離れ離れになってしまいます。
ストーリーはここからタダノブ視点とサミュエル&ハロルド視点の2サイドに分かれて展開していきます。
この先のあらすじを書くのは控えますが、まず描かれるのはタダノブの凄惨なその後。
岩城と名を変えるまでのエピソードが読めます。
前章で身綺麗なスリーピースに身を包んでいた彼の、あのスーツ姿の下はこんなことになっていたのかと知り、ゾッとしました。
サミュエル&ハロルドのその後は「CANIS -THE SPEAKER- #2」で明らかになります。
繰り返しになるけど、世界観の厚みがほんとすごいんです、このシリーズ。
この果ての見えなさは実際に読んで圧倒されてほしい!
巨大なZAKKワールドに飲み込まれてください!
【電子】シーモア版:修正-、カバー下なし、裏表紙なし
発売年に読んでいたのですが、なかなかレビューが書けずに7年も経ってしまいました。スピンオフ元に先んじて初めて読んだZAKK先生の作品であり、改めて読み直しても当時受けた衝撃が鮮やかに甦ってきます。主人公の1人である表紙の青年が倫理を大きく踏み外した世界を知る、それも、明るく温かな世界から堕ちるのではなく堕とされるという内容なので、一口に面白いと言ってしまうととても語弊があるのだけど、とにかくページを捲る手が止まらなくなります。
孤児院の外に広がる後ろ暗い世界、メインは仲良し3人組ということで、アニメ化もされたジャ○プ系の某漫画に通じる点もありますが、こちらにはファンタジー要素はありません。あるのはひたすら醜悪な現実。そして、3人組がシスターによって格差をつけられる所も悲痛で、憤りを覚えずにはいられない。サムやハルと同じく、未来に期待も不安も感じていたノブの子供らしく愛らしい瞳が、たった数年でこれほどまでに光を失くし、虚無を感じさせる瞳に変わったことが本当に悔しいです。それでも、サムとハルとの記憶が彼を鼓舞する。BLとしての萌えもちゃんとあって、シリアスな展開とBL面を期待させるシーンが上手く絡んでいます。モノローグが少なく、読者に余韻と想像の余地を残している所も引き込んでくれる要因の1つ。絵もストーリー構成も素晴らしい作家さんです。
孤児院の同室で仲良し三人組のノブとハルとサム。
ずっと三人一緒にいて、三人一緒に孤児院を出て行く、そう決めていました。
けれど、ある日、送別会が開かれていないのに孤児院から居なくなっている子がいることに気付いて、三人はその理由を探り始めるのですが・・・・・・という前半部分。
後半は孤児院を出た後のノブについて描かれています。
「CANIS -Dear Hatter-」が大好きで、今回の新作も楽しみにしてました!!
前作でちらちら出ていたイケオジの話で、多分裏社会的な話になるんだろうなーぐらいの気持ちで開いたのですが・・・何これ怖い。怖いよ。怖すぎるよ。
前作とは比べ物にならないくらいに重いストーリーです。
これはこれで好きだし、話に引き込まれてページ捲る手は止まらないし、この後も凄く期待が高まる一冊です!
なのですが、前作の沓名とリョウのテンションを期待して開くと、ちょっと辛いかも。
「CANIS -Dear Hatter-」とは、今の時点では切り離して、全然別の物語として読んだ方がいいかもしれません。
今読み終えた直後なんですが、重くて痛くて、ちょっとマジで辛いです・・・うぅぅ。
今後、彼らにも救いや幸せが訪れることを願わずにはいられないのですが・・・どうなるんでしょうか。続きがとても気になります!!
別の漫画目当てで買ったOPERAに載っていたノブくんにノックアウトされ、今まで気になりつつも読めなかった前作を買ってきました。
前作、こんな面白いもんを何故今まで読まなかったの?私よ。
で、やっとノブくんの出る新章の1巻が発売。
やったー!
何でしょう?容姿から何からたまらんのですよ、彼。
しかし、前作を読んだ後だと不穏だとわかっていてもキッツイですね。
ヤクザも怖いけれど、シスターが一番怖い。
そして一目惚れしたノブくんは、何でかすぐにモリモリ育ってしまい、好みの容姿だったのは購入した雑誌掲載分だけでした。まじか!?(まじだ!)
そして、前作読んで気づきました。
ノブくん、岩城だったんだ。ノブくんは好きですが、岩城は苦手でした(笑)
未来はアレな訳ですが、これからこの三人はどうなっていくのか。
コミックスで追いかけていきたいと思います。
リョウ×聡パートは一転!!
リョウのマフィア時代のボスと友人3人の話が苦しいーーー
孤児院時代からの絆が緊迫してて狂おしいーーー3人が救われてリョウも救われる結末あるんだろうか………
ノブみたいに痛い目に合わされても、這い上がってギリギリしてる人には救われてほしい!
くせ者ぞろいの3人。どこか捻れて、危うくて、お互いのためなら何でもしそうなとこにドキドキ。ラブ要素の萌えはまだまだだけど、3人の特別な関係には惹きつけられます。
映画みたいと評されるの分かる運びでハラハラ一気読みしました。
映画の『スリーリバ◯ズ』はお好きですか?
好きという方は、のめり込むほど面白いはず。
そうでもない/観ていないという方でも、サスペンス的なストーリーは好きという方は楽しめると思いますが、そういうのはちょっと…という方は厳しいかも。
『CANIS』シリーズの『ーDear Mr. Rain』『ーHatter』で登場したリョウ。
リョウを仲間にしてくれたハロルド。
ハロルドの使いで、リョウが砂糖の瓶を渡しにきた岩城。
ハロルドがいなくなったあと、岩城とリョウの話をしていた謎の男。
この3人にスポットライトを当てた作品です。
ハルとノブとサム。
孤児院で同室の3人は、いつでも一緒だった。
目を引く外見を持つやんちゃなハル、頭脳明晰なサム、それに控えめなノブ。
性格や見た目は違っても、3人は家族で、恋人で、同志だった…。
という始まり。
3人の夢は大人になって孤児院を出たら、3人で部屋を借りて暮らしていくこと。
そのために必要な情報を用意周到に集めていたサムが、あるとき、不審なことに気付いてしまうことから物語が大きく動き出します。
裕福な家庭に迎え入れられることが決まった友達の送別会。
同室の2人が養子になると、なぜか残った1人は送別会なしで姿を消す。
このことに疑問を覚えた3人は、真相を突き止めようと動き出します。
綿密に練られたストーリーに、呼吸をするのを忘れるくらい引き込まれます。
こんなに手に汗握ってBLを読むのは初めて。
ハルの陽動作戦で、サムが情報を盗む。
控えめなノブは何も役に立てないと思いきや、記憶力がものすごく良いんです。
養子になった、送別会ありの子たちのリストに載っていない「もうひとりのルームメイト」の枠を埋めていくノブ。
情報分析力、体力、記憶力という3人のバランスがすごく良くて、控えめだったノブが重要な情報を差し出せる設定が嬉しい。
しかし、所詮は子供のすること。
もっと視野の広い大人の目には、ちょこまか動くネズミは目立って見える。
抵抗も虚しく、3人が別々の場所へ移されていくシーンは、涙で顔がくしゃくしゃになるほど泣くサムの表情と、無表情で涙を流すハルの表情に胸が痛みます。
その後はノブに焦点が当てられていきます。
ここからは、地雷多めの方、暴力が苦手な方はご注意を。
あばらと背骨が浮くほど痩せ細った体は傷と火傷の跡だらけ、助けてくれるひとなんて誰もいないというノブが置かれた環境が過酷過ぎて、本当につらいです。
#1では3人一緒にいたから孤独を感じることがなかった、しあわせな子供時代と、離ればなれになってからのノブが生きる術を見つけるまでが描かれています。
BLとして読むには、かなり難しいというか、BLなのだろうか?という疑問がわいてくるけれど、ストーリー的にはぐいぐい引き込まれるので面白いです。
ただこの作品、完結してない上に続巻が#2までしか出てないんですよね…。
それにこの作品を読んだらリョウのことがもっとよく分かるというものでもないので、その点を踏まえて、購入を検討された方が良いかと思います。
話題となった作品なので一度読んでみたいと思い購入しました。シリーズとなっているようですがこちらの作品から読んでみました。好みが凄く分かれそうな作品だと思いました。私的にはちょっと辛い感じのBLが苦手なので中立にしました。まだ未完の作品なので最終的に大ハッピーエンドで終わったら一気に読んでみたいと思いました。そうしないとみんな苦しくて可哀想で希望がありません。絶対にみんな幸せになってくれないと困ります。