チキン・ストーカー

心優しい店員とストーカさん

何作か入った短編集です。

メインはとあるSMクラブを舞台にした連作なのですが、表題作は表紙のお二人。
SMクラブの店員と、スタッフにつきまとう根暗系のストーカのお話です。

ストーカである達樹を捕まえた店員の平良は、ここで働きたいという達樹に喝を入れるためムチで打つ…という展開ですが、別にSMプレイのお話ではありません。
一見怖そうに見えて人をムチ打ちながらオロオロする平良は可愛いと思いました。

体格差があり、強面系×根暗というのは新鮮で萌えないこともなかったのですが、なんとなく室井さんのお話って、完全コメディならともかく展開が急に飛んで、ん？てなることも少なくないです。ちょっとテンポが独特と言えるかも。
この表題作も、展開が早く、でもここで終わるのかな？という感じでした。

あと、ストーカくんは可愛いのですが、色気が全くないのでなんとなく恋愛ものとしてのドキドキ感が薄かったかも。
そして、何故好きになったのか共感しづらい。
とくに平良のほうは、達樹をムチで打っただけなのに付き合うという展開になっていていつの間にか達樹に夢中。ちょっとしっくりこない感じがしました。

そのほか、SMクラブの女王様受け、体格のいい乙女系とワンコのお話、子連れもの、獣擬人化獣もの、いろいろ詰め込んでお得感はあるのですが、何だか読みにくい…何故だろうと考えるとおそらくページ数のわりに説明不足なものが多いのですね。
特に擬人化ものは世界観が独特なのに説明が特になく、ややこしく感じました。
一冊に凝縮されすぎている感じです。
絵が綺麗な分、いまいちどれにもはまりきれなく、ちょっと勿体なく感じました。