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hodoukyou
同人誌作品6作を1冊にまとめた電子単行本。
商業作品で目についたセフレとか浮気とかの設定は無くて、ゲイである事を隠していたりの「葛藤」ものが目立つ。
「歩道橋」
主人公はゲイバレを非常に恐れている大学生。
高校時代付き合っていた相手にまた付き合ってほしいと告白されるが。
好きなのにバレる恐怖ばかりが勝ってしまう彼の心がつらい。
でも大丈夫そうなエンディングだから、ただただ踏ん張れよ、だけ。
「愛のかたち」
性癖を知って孤独だった高校生時代のお仲間親友。俺は好きなのに、そいつは兄弟とする気にならないと言う。
もはや苦しさを超越してる長い長い片想いのお話。
「最寄り駅から」
卒業間近の高校生。同じ最寄り駅だからいつも一緒に登校してたけど…
これもゲイバレ回避型の子が主人公ですが、相手も。の両片想いもの。キュンときた。
「一月一日」
幼馴染みが久々に図書館で再会したら、それぞれ不登校と高校中退でした。
何にも聞いてこない距離感に安らぎを感じる。
BL未満です。
「この下界は」
大学生同士。
誘われてルームシェア。流されてセックス。だけど大学内では口も利かないことにしていて。
よくある展開といえるけど、はじめ無責任に見えた攻めが誠実さを見せてくる所など萌えました。
「体温」
編集者と作家。
2人はかつて付き合っていて、当時ゲイである事を隠したかった桂木(編集者)は春海(作家)に酷いことを言って傷つけた過去があって。
別れた後作家になった春海は、急に桂木を担当に指名する。復讐か?お遊びか?
当時の真実が明かされ、元サヤとなる2人。
多分これからはうまくいくでしょう。
どの短編も「萌え」を感じました。特に好きだったのは「この下界は」ですね。
「最寄り駅から」も好きです。
◆歩道橋(表題作)
どの作品も甲乙付けがたいのですが、冒頭に収録されていたこの表題作がやはり一番お気に入りかも。他に通る人がいない歩道橋の上の、2人だけの世界。高校時代に付き合っていたけれど、少しでも周りに気付かれる可能性がある言動は慎みたかった臆病な佳純。もう一度彼と恋人になりたい晴真が、佳純を自分の側に引っ張り上げるのではなく、自分の方が佳純に合わせてあげようとするところが心底素敵だなぁと。俺は堂々と行動しても平気だからお前もそうなれ、というのも相手をリードする力があれば良いパートナーになれるかもしれないけれど、お前が苦手なら俺もしない、と相手に寄り添うのも愛だなぁと感じました。
◆体温
こちらも一度拗れた2人の再会もの。作家と編集者として再会した春海と桂木。昔は覚悟のなかった桂木は、春海を手酷く振ったことがあって。恨むほどではなくても根に持っている春海。再会後、そのわだかまりをお互い持ちながら、少しぎくしゃくしつつもやっぱり関係性を断つことはできない。お互いを好きにしかなれない2人のやりとりが、少し辛くもあり、萌えでもあり。余韻の残る作品でした。
相変わらず気の長い片思いをしている男達がだらだらとお喋りをしています。うーん好きだ。
歩田川先生の作品を立て続けに読んでると、登場人物の名前の付け方も、先生の個性を感じ始める。こういうのが好きなんだなっていう。
◾︎歩道橋
先生にしてはしっかりと、その後を描いてる作品です。こうやってじわじわ晴真に圧されて、佳純は懐柔されていくんだろうなと想像できる。懐柔って書いたけど、佳純だってそもそも晴真大好きなんだから、そりゃそうなる。
◾︎愛のかたち
いいタイトルだ。孝介(作家)のそれは、恋を通り越して愛になってしまったんですね。それでも歩(会社員)が真摯に想いを告げれば孝介は受け入れてくれるんじゃないかという気がする。歩本人も言ってるけど。
◾︎最寄駅から
うし、うま、ひつじが気になって集中できない!干支の並び順でもないしなんなんだ…!
歩田川作品には友也みたいな子が多いけど、友也みたいに直球な子は少ない。友也の、そこで直球投げられるところが好きでした。
1時間に1本の電車…友也はいつもより1時間早い電車で行こうとして、結局電車は目の前を通り過ぎてるから乗らなくて、その直後に声をかけた晴斗は乗らない友也を見ていたってことかな。面白い2人だ。
萌2〜神
もっと読まれて欲しいので応援の意味も込めて神を
全部で六つの作品が収録されています。
そのうちの五つの作品のキャラがゲイばれを極端に恐れていたり、ゲイである事を隠して気持ちに蓋をしているようなネガティブな主人公ばかりなので、自然とテイストやトーンが似たように感じてしまうのと、ほぼ二人だけの会話劇で終始しているのでぶっ通しで読むと貧弱な私の脳みそは何だか頭が疲れてきて、それぞれの作品がごっちゃになってきてしまいます…。単独で読むとそれぞれいいお話なのだけど。
歩田川さんの作品に慣れていない私は、ぶっ通しで読まずに1日一話みたいな感じで間隔をあけて読んだ方がいいのかもしれない。
その中ではっきりと筋書きが思い出せる、つまり気に入った作品は表題作でした。
【歩道橋】【歩道橋2】
高校3年間付き合っていた元カップルの再会話。再会の際に指定したのが学校の帰り道に、毎日二人で渡った歩道橋でした。
この歩道橋にまつわる二人の思い出がいじらしくて切なくて、ここを読むたびに泣けてしまいます。
ゲイばれを恐れるために別れを選択した佳純と、別れてから三年間ずっと諦めきれなかった晴真との再会。
とても臆病で後ろ向きな性格の佳純の心の声を聞き取って引っ張ってくれる晴真が男前でした。
歩田川さんの作品は、ねくたいや、友人関係、しあわせのはなし、を読みましたが、片方がネガティブ、或いはメンドくさい性格というのが多いのですね。