犬、拾うオレ、噛まれる

inu hirou ore kamareru

犬、拾うオレ、噛まれる
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神98
  • 萌×239
  • 萌23
  • 中立7
  • しゅみじゃない3

--

レビュー数
17
得点
722
評価数
170
平均
4.3 / 5
神率
57.6%
著者
野原滋 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
香坂あきほ 
媒体
小説
出版社
三交社
レーベル
ラルーナ文庫
発売日
価格
¥680(税抜)  
ISBN
9784879198983

あらすじ

別れた恋人である予備校教師、貴史へのストーカー行為が止まらない紺。
ある日、紺のもとに宅配業者を装った怪しい男が現れる。
飄々としたその男テツローは紺のストーキングを阻止するために貴史が雇った便利屋だった。
テツローとの三日間に及ぶゆるゆる監禁&お仕置き生活の中、
今まで誰とも関わらずに生きてきた紺の秘密が次第に明らかになっていき…。

表題作犬、拾うオレ、噛まれる

紺の元カレから依頼された便利屋,27歳
元カレをストーキングする会社員,24歳

その他の収録作品

  • 首輪は、どっちだ
  • あとがき

レビュー投稿数17

No Title

推し先生のひとり、野原滋先生。

ストーカーの紺とストーカー撃退に雇われたテツロー。
出会った初日からふたりのおもしろ攻防が見られます。
紺がね、明らかにちょっとズレてる感。
味覚が鈍かったり考えることを放棄していたり
過去に何かあったのかなと。
な~~んてのほほんと読んでいたら……!
やられました…
両親を亡くした火事、背中の火傷の意味、
姉の死因、先生との遺恨。
お隣の笹川さん!!
そんなに長くはないお話に詰め込まれすぎてびっくりしました( °_° )
全然予想と違った…!

かーらーのー!!!
首輪は、どっちだ
強烈な過去を持つどうしようもない紺の、
すごくすごく難しい面と不器用すぎる愛情表現。
歯磨き粉のくだりはかわいすぎるやろ…!
そしてそれを受け止めちゃうテツロー…♡

野原作品の中でも1,2を争うお気に入り作品となりました。
いやぁ、面白かった!!

0

ネタバレ無し推奨です!

当方、全く地雷無しなので軽率にお薦めしますが、色々地雷ポイントはあるのかもしれないけれど、ミステリー的な面白さもあるので気になったら是非読んで下さい!

受くんも攻くんも、ひと癖もふた癖もあるのですが、キャラが立ってて、行動含めて凄く興味深い二人です。

ストーカーとか監禁要素はありますが、言葉から想像するほどハードでは無いです。
一風変わった味付けと言いますか、奥深いエッセンスが足されているので読み進めていくうちにどんどんこの二人の関係に引き込まれていきます。

ちょっと変わった趣向ですが、現代モノです。
分類的には闇要素もやっぱりあるにはあるのでそちらが大丈夫でしたらぜひ読んでみてください!

1

是非ネタバレ無しで読んでもらいたい

野原先生の作品は『そらの旦那さま』シリーズを初めて読んでググっとハマってこちらを読みました。

旦那さまシリーズとは全然違うテイストのお話になっていて
普段溺愛攻めばかり読んでいるので新鮮な気持ちで読みました。

こちらの作品はネタバレ無しで読んだ方が面白いと思います。
私もネタバレ無しで読んだのですが
すーっとお話に入り込むことが出来てすっごく良かったです!!

元カレをストーカーする受けと言う設定の時点で
なんか斬新でわくわくしました。
読み進めると思っていた展開と違ってわー!となりました。
(語彙力がなくて申し訳ないです。)

とても読み応えのある作品で、この作品を知って良かった!と心から思いました。
これを機にもっと色々な作品に触れていければと思います(*´▽`*)

0

二回読みました

ちるちるさんの特集記事を見かけて、どんな話だったっけと思い再読。KindleUnlimitedで読めました。
途中、これ駄目だったやつだ…と思い出したのだけど、月日が経つとイケることもあるかと思い読了。

やっぱり私は、女性キャラが悲惨な目に合うBLは不快感を持ってしまう。男同士のイチャラブが見たいだけなのに、なぜそれと同時に不幸な女性の姿を見ねばならないのか…受けの元彼(というか…)がもうガチのマジでクズ過ぎて、真相がわかったところで救いになるようなものも感じられず、やりきれない気持ちしか残らない。
野原先生はほんわか〜とした作風というイメージなのに、ここまで嫌な人間を描ける引き出しの多さがすごい。

ミステリーとしては、最後の詰めが甘いというかなんと言うか。あそこまで証拠集めとか計画的に動いてたのに結局何がしたかったの…と思ってしまう。自分の正体をバラして、そこからどうしたかったのか、むしろストーカー行為よりそれからの方が大事なんじゃないかと思うのだが…。BLとしても、受けが攻めを好きになったポイントがよくわからず。攻めからは結局「タイプだった」って話で、何それ。
後半のお話ではラブラブなので、こちらはBLとして普通に楽しめる。二回読んでもタイトルの意味はよくわからなかった。

0

どんでん返しといえる展開

ずっと積んでて…こういう話だったんだ!とある意味衝撃。
表紙や口絵の鎖/手錠とか見てSMもの?とか軽〜く考えてたけど、全然違うじゃん!
非常に面白かったです。といっても萌えとかそういう感じじゃなくて意表をつかれる痛快さとしての面白さとでも言えばいいのか。

「犬、拾うオレ、噛まれる」
別れた元カレ・貴史をストーキングしている紺。その執拗なヤバさから始まる本作。
「被害者」の貴史から雇われて紺を懲らしめに来る男。
ここでは、紺の揺らぎない「ストーキング信念」みたいのが語られて、読者的にうわ〜っとなる。
同時になぜ「貴史を」ストーキングしてるのか、が明かされてくる。
その真実がゾクゾクする。非常にスリリングで、同時に紺の正当性に共感していく感覚。

貴史に雇われて紺を監禁するテツローは、法事という事で監禁を解いてしまい、結果的に貴史と紺は顔を合わせてしまう。
貴史の超絶なクズさ。
紺が襲われる緊迫感。

「首輪は、どっちだ」
本編後、紺と恋人になった後のテツロー視点。
ここでも紺はちょっと普通人とは違う。
便利屋稼業のテツローが、ちょっと怪我をする。それだけで夜逃げ同然にテツローから離れようとする。
ここは笑っていいのか悪いのか。
紺は、大切な人が死んでいなくなる悲惨を味わいつくして。
だからテツローが死んだら自分も死にたいと言う。
この紺の心境は、とてつもなく重く、深く、黒い。深淵といってもいい。
テツローはどこまでわかっているのか。
わかる必要もなく、消していけるほどの軽さで紺を救ってほしい。

1

度が過ぎる不幸と度を超えたクズ

野原さん初読み(たぶん)。
クセのない文章で読みやすい、といっても本作は一人称で語られるため視野が狭く、キャラクター造形のせいで抑揚の無い感じになっている。よって本来の文章は分からない。

主人公には、読んでいて欝々としてくるほどに不幸が押し寄せる。フィクション王道の不幸をこれでもか、と詰め込んで来る。
紺視点で感情が削がれていると語られるが、序盤からテツローに対する紺には感情の動きがみられる。徐々にその動きが激しくなる過程を描きたかったことは伝わってきた。

残念なのは、無表情無感情と思わせる語り口の序盤で、表情豊かな挿絵が挟まれていること。ある意味ネタバレ。ついでに重苦しい不幸を背負う主人公の話にしては絵柄が軽く合っていないように思えた。
問題のクズ男は、思想だけならそこらへんにいるような男だが、犯罪盛り盛り実行済みで、そこまでやるかと。よくもまあこんな男を創り上げたもんだ、書いていて気持ち悪くならないのかと感心した。
お互いに惹かれ合い、結ばれるまでの感情の動きは随分軽く、特に紺は過去と釣り合っていないように思えたが、その後紺に現れた変化にほっと温かい気持ちになった。

紺を描くことに重きを置いているため、事件自体は(胸糞なだけで)複雑さ皆無の普通のBLレベルのストーリー。ネタバレなしで!と煽ってハードルを上げない方が良い。

後半にテツロー視点が収録されており、明るい口調で進むおかげで気分が浮上する。前半に落ち込んだ気持ちを回復させてくれ、読後感を良くしてくれる嬉しい構成だった。
カップルの危機の話で、紺なら当然そうするよなぁ、という行動が描かれる。まだまだ不安の残る二人ではあるが、頑張って、と爽やかに見送りたい気持ちが生まれる終わりだった。

変な感想だが、もしまたこの二人に会いたいと思い続編など作られようものなら、さらなる不幸に襲われる未来しか見えない。もうこの先を描かれることなく、ただの一つの嫌な目にも遭うことなく、今の幸せなままで終わって欲しいと願った。それほどあらゆる不幸を詰め込まれた主人公だった。
テツローは、欲を言えば紺の酷い過去を相殺してくれるくらいの魅力が欲しいところだったが、終わってみれば紺とセットで愛着が湧いていた。もう少し後半で包容力を見せてくれると神作品になっていたかもしれない。

タイトルは誰の視点で付けられているんだろうか?「噛まれる」が何を示しているのか分からない。旧題よりは良い。

1

ストーリー展開に驚いた!

めっちゃ面白かった!
特に、前半の表題作!!

ミステリーだと思わず読み始めたので驚きました。
初めはとんでもないストーカー受けだと思ったのですが、その過去や家族構成、生育環境などが明らかになっていくたびに涙が止まりませんでした。
ホントに切なくて苦しくて、クズみたいな元カレには怒りしかなかった。
ラストのオチも秀逸でしたね。

会話の面白さやストーリー構成、キャラ設定、伏線回収、どれを取っても素晴らしかったです。
あとがきでデビュー前の作品だということを知り、それこそとんでもなく驚きました!

後半の『首輪は、どっちだ』は、タイトルが最高!
読後に、なるほど!!と、思わせる内容です。
テツローの友人・修二との下りはいらなかったかなと思いますが、紺のテツローへの愛情の深さが伝わる展開にはグッときました。
結局、捕まったのはテツローの方なんだよね。

Hの時に、紺がテツローの名前を連呼するのが可愛くて好きでした♡
大好きじゃん!てね。

とても面白くてドキドキして、先が気になってあっという間に読んでしまいました。
ミステリー好きな方にオススメです!


2

面白かったです

衝撃的な結末とはなんぞや?
試し読みで2人の掛け合いが面白そうだなって思って手に取りました

これで作者さんの投稿作って凄いですね!
私には衝撃的!ってほどではなかったですが
面白かったです

0

そうくるか‥‥!!

一年前に読むも「面白かった」という記憶しかなく、細部どころかあらすじすらさっぱり思い出せず自分の記憶力にため息吐きつつ読み返したのですが……

すっかり内容忘れていたおかげで、ものすごく楽しめてしまいお得な気分でいっぱい。
前情報がないほうが楽しめる作品だと思います。

別れた恋人・貴史に執着し執拗なストーカー行為を辞めない紺と、それを阻止するために送りこまれた便利屋テツローの三日間に渡る奇妙な監禁生活を描いています。

見知らぬ男・テツローに捕らわれても全く動じない紺。
紺は遠い昔に味覚を失い、感情も失い、ひたすら元恋人をストーカーすることに血道をあげている男なのですが、何が彼をそうさせているのか?

その謎を知りたい……という思いで読み進めていくのだけど、色んなところに伏線が散りばめられていてそれが綺麗に回収されててお見事。

本編はラブ要素は薄いのですが、サスペンスとしての面白さがあります。

そして描き下ろしの「首輪は、どっちだ」で、紺が壮絶な愛の告白をしてるところがすっごく好きです。
その言葉だけ取り上げたらメンヘラ度100%なんだけど、どういう気持ちが紺がそれを言っているのかというのを、ここまで読んできた読者は充分理解出来ている状態なので、ゾクッとくると同時にジンとします。
それがただのイカレたメンヘラの脅しでもなく、本心なのがわかるので。
そしてそれを許可してもらってようやく心の底から安堵したような紺の姿や、それを許して腹を括るテツローの姿がいいなぁって思うんです。
あらすじや読み始めからは、二人がこんなところまで辿り着けるとは思ってもいなかったので嬉しい驚きが得られました。

それにしてもタイトルが酷い……と思わざるを得ない。
日本語不自由なの?みたいな、どこかわざと軽薄な感じを漂わせていて、監禁ラブコメだったっけ???と思いきや、内容は全然コミカルじゃない。
内容とタイトルが乖離してるのが勿体無いなぁって思います。

6

投稿作だったとは…!

ストーカーものかぁ…ヤンデレは得意じゃないけど…と思いながらも勧められ読んでみましたが、面白かったです!!

受けの紺目線で話は進むんですが、彼が何を考えてるかサッパリ分からないんです。
ストーカーをしてる元彼が紺を監禁するのに寄越したのが攻めのテツロー。
監禁されても冷静で感情が見えない。
かなり病んでるよ…と思いながら読んでました。

対してテツローは何だか憎めないタイプ。
人を監禁して襲うから悪いヤツなんでしょうけど(笑)

ネタバレに繋がるからこれ以上の情報は書けないけど、先が気になってアッという間に読み終えてました。
伏線の回収もお上手で、読後かなり満足。

本編の後はテツロー目線のお話があります。
そして電子には特典SSもありました。
こちらもテツロー目線で、2人がホームセンターでの買い物中のお話。
はたから見るといちゃいちゃしてて、何だか甘いお話でした。

8

ミステリ的なおもしろさ!

あらすじを読んで、「予備校講師の別れた恋人にストーカー行為が止められない主人公って……えぇぇ……」と思い、長らく敬遠していましたが、思いきって読んでみました。
読んでよかった!すっごく面白かったです!

主人公(受け)が何故ストーカー行為をしているのか、元恋人との関係、怪しげな便利屋こととか。
様々な謎が明らかになっていく過程が面白く、また便利屋と主人公の関係にも萌えました。
ネタバレ読まずに読んでほしい作品でした。

5

食わず嫌いは勿体ない

評価につられて手に取ったものの、なんとなく読まずに積んでしまっていました。先日ようやく読んでみましたが!………うーん。(笑) 思ったよりはよかったですが、高評価と知って読むとちょっと期待外れだったかなあ。人を選びそう。

CPとしては、アホでお人好しの便利屋×病みメンヘラ男子。とはいえ、ただのめんどくさいメンヘラというわけではなく、その裏には壮絶な理由が隠れています。
BLとしては正直好みではなかった(CPがあんまり好みにハマらなかったのかな?)のですが、伏線回収とどんでん返しの展開は面白かったです。受けの一人称で進んでいくのに、その彼自身の抱えているものがなかなか読者にも明かされません。100ページくらいから全体像が見えてきて、加速していく感じが気持ちよかった。展開とか事実を思うととても暗いけど、受けが無感動で諦めきっている性格のため、つらい、しんどいとかの方向の心理描写がほとんどなく、そこまで重く感じませんでした。感情移入しすぎてしまうので、暗くない文体のおかげで読みやすかったです………!暴力を受けるシーンがあるので、苦手な方はご注意を。

表題は170ページほどで、残り100ページは攻め目線の描き下ろしです。こちらは普通のBLで、特に驚く展開はないので、CPが好きじゃない人には退屈かも。攻めの旧友が軽い当て馬のような立ち位置で出てくるのですが、彼がとてもタイプでした。(笑)

他の皆さんも仰っていますが、タイトルと表紙が本編とあっていないですね。しかもそのタイトルと表紙の魅力が弱いので勿体ないというか損をしているというか………。あらすじもなんとなく本編の雰囲気を掴めていないので、レビューを読まないとなかなか手に取る気が起きないかもですね。わたしは萌評価ですが、ぴったりハマる人にはとても面白いと感じるはず。食わず嫌いせずに読んでみてほしい1作です。

7

ネタバレはなしで!

最後まで、ドキドキハラハラしながら読みました。

紺の、監禁されても動じない、感情もない、味覚もない、なにもない虚無さに、テツロー側についついたって、なにがそうさせたのか?もっと知りたいとあっと言うまに読みきりました。
ただ一つの執着と思われる最低の元カレのことも気になるし。
読み進めていくと、もちろん先は読めるのですが、紺の危うさっぷりに、ハラハラし通しでした。

甘い書き下ろしがあってホッとしました。

投稿作とのことで驚きですが、長い時間をかけて練りに練られた結果なのかな、と納得もします。

ただ、タイトルはなんでこう変えたのかな…というのと、暗重いミステリーの様な面白さもある作品に、挿絵が可愛すぎて合わない気がしました。

10

何度読んでもなにか発見しそうな面白さ

受けの執着っぷりがあまりにすごいことや、毎日同じお弁当を食べているとか日常生活が危うすぎるところなどから何かあるんだろう、原因というか理由というかそういう何かが、と思いながら読み進めていくことになると思います。それでも絶対その予想を超える事実が待っているので、絶対にネタバレなしで読むことをオススメします。全部わかったうえで、もう一度すぐ読もうと思う一冊です。

これが投稿作だったなんて、野原先生すごすぎる・・・!!

12

後日談の甘々にも注目です!

タイトルやあらすじからうけるイメージと全然違った作品でした。

受けの紺は元恋人をストーキングしていて、異常に執着してます。
攻めのテツローはかなりグレーな便利屋ですが、根はお人好しで悪人に徹しきれない感じですね。

紺の一人称で話が進むのですが、最初はその壊れっぷりにドン引きしました。
感情の動きが異様なんですよね。監禁している攻めの方が断然マトモなんです。
この紺のモノローグで最初からとばしてくれるので、もうグイグイ引き込まれます。
そして監禁生活という異様な状況の中、テツローの持ち前の朗らかさで少しずつ気持ちが通い合い、紺の違う部分が出てきて印象が変わり始めます。
少しずつ紺が思ってたのと違うぞとなるんですが、その後はびっくりする真実が待ってます。
伏線がチラチラ入っているので、勘のいい人なら途中でピンと来るのではないでしょうか?
私は種明かしがされるまで全然気がつきませんでしたが(笑)

そんな感じで本編ではそれ程甘さはないのですが、後日談が甘々です。
テツロー視点で進むので紺が可愛くて仕方ないのがダダ漏れなんです。テツローの頭の中は紺への愛で砂を吐きそうに甘いですよ。
また紺がすっかりツンデレになってて、雨の中テツローが帰るのをいじらしく待っていたくせに、本人には「もう寝てた」という等、可愛すぎる所を見せてくれてキュンキュンします。

本編では息もつかせぬ展開で楽しませてくれ、後日談で甘々を堪能させてくれる二度おいしい作品です。

5

あらすじからは想像できない展開

元恋人をストーキングしている受けが、とうとう元恋人が雇った便利屋に監禁され、恥ずかしいお仕置きをされることになる、というお話です。
元彼に執着しているヤンデレこじらせ受けが、便利屋攻めにお仕置きされるコメディチックなストーリー…なのですが、読んでいるうちにところどころで「あれ?」と思うようになっていきます。ラブコメとしては異質なほどの受けの悲惨な過去が明らかになり、徐々にどこか奇妙な、殺伐とした展開に。

受けは、見知らぬ男に部屋に押し入られ、監禁されても飄々としているキャラ。味覚障害があり、毎日同じ牛丼屋に行き、同じコンビニ弁当だけを食べています。とぼけた感じなのに異質なところがあり、読んでいてソワッとするような感じ。
攻めは、背中に刺青があり、仕事で受けを監禁するという反社会的な行動とはうらはらの、割とあっけらかんとしたキャラ。受けには最初「馬鹿っぽいから」とかなり年下に思われていました。
その2人の監禁生活は、基本面白く、でも薄氷を踏んでいるような危ういバランスです。しばらくは漫才でもしているような、監禁中なのに笑っちゃうようなおかしさがあります。でもそこから一気に話は動きます。

この後の展開は核心的なネタバレになってしまうので伏せますが、うるっとするところがあったり、ドキドキするところがあったりで、読み応えがありました。
ここちょっとおかしくない? というところもあったのですが(そもそもなぜ受けがストーキングしてたのかとか)、そこを詳しく説明するとやはりネタバレになりますので自重…。
野原滋さんのデビュー前投稿作だそうです。こんなヘビーな話を書かれていたんだな、とある意味びっくりしました。

4

監禁ラブコメかと思いきや…

野原さんがデビュー前に書かれた投稿作で、2010年の雑誌掲載作を改題・加筆修正されたという作品。
前情報一切なしで読まれることをオススメします。

あらすじ:
元恋人をストーキングする紺(受け)を訪ねてきたのは、元恋人に雇われた便利屋・テツロー(攻め)。
宅配業者を装って紺の部屋に入り込んだテツローは、紺が反省したという証拠を作るため、紺を首輪で拘束し…

結婚するとして恋人にフラレた紺は、有休をとって会社を休んでまで元恋人を追い詰めようとするストーカー。
彼の帰宅時を狙って電話をかけ、付き合っていたときに録音したセックス時の音声を電話越しに聴かせる等、なかなか執拗です。

元恋人に雇われ紺を訪ねてきた便利屋・テツローは、背中に刺青はありますが、性格は意外と明るく気さくな人物。
紺が元恋人のことを忘れられるよう彼を無理やり抱きますが、手酷く犯す感じはなく、非常に甘い雰囲気です。 

ちょっとヤンデレ入った捨て犬系男子が、包容力のあるイケメンに愛されて幸せになるラブコメかと思いきや…?

ストーリーの核心部分についてネタバレは避けますが、物語中盤あたりで明らかになる事実とサスペンス展開に意外性があり、なかなか読ませる一冊。
登場人物に対する第一印象が読み進めるにつれガラリと変わるところに面白さがあります。

黒幕となる人物が、邪魔な相手を(今回に限って)すぐ殺そうとしなかったのはややご都合主義かな、という感じはしましたが、なかなか引き込まれる展開でした。

ラブ面では、テツローのキャラクターがちょっと分かりにくいのが難点かも。
便利屋になった背景など、彼のバックグラウンドがよく分からないし、
紺と付き合い始めた後も、昔馴染みの彫り師の男にフェラされそうになって誘惑に負けそうになっていたり、
いまいち芯の感じられないキャラクターでした。

この彫り師の男・修二は妖艶な美形でなかなか良いキャラでしたが、番外編にいきなり登場させる意味もよく分からず。
彼のスピンオフでも予定されているのなら話は別ですが、どうせならメイン二人の話をもっと見たかったです。

ラブ部分はやや消化不良ですが、サスペンス部分がなかなか面白かったので、評価は萌×2です。

13

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