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barairojanai
ルチルレーベル二十周年の記念の本ということで四六判の本です。
破局からスタートし、二人のそれぞれの視点で、15年という年月を描いたお話。
阿久津はたった一人の肉親を安心させるために水野と別れ、結婚する。
対して水野はフードスタイリストの夢を叶えて、仕事で成功する。
別れた後も、なんだかんだでお友達づきあいをして長い時間を過ごす様子が、自然でもあり不自然でもある。でもこういう関係もあってよいし、友だち以上恋人未満の進化形というか、お互いを誰よりもよく知る二人という間柄は理想的なのかもしれない。
なんて思ってしまうほどに、別れて再会しても、縁と相性の良さを感じるだけで、二人の間には安易な色っぽい展開はなく、ただただお互いを思いやり、それぞれの人生が平行しているだけ。
とにかくリアルです。
どこかの街に二人が生きているようなリアリティがあります。
この先どうなるんだろうとページをめくる手は止められず、先へ先へと読み進み、貪るように二人の人生をなぞりましたが、読後、私は手放しで二人を祝福できませんでした。
きっと本当は、紆余曲折があったけど二人が一緒になれて本当に良かった、との感想を持つべき内容の作品だと思います。
あまりにリアル過ぎたのかもしれないです。
水野はもてる割に浮いた話も少ないですが、阿久津の方は結婚したあと離婚し、その後ひと回り若い男の子とくっつくという、サイテーと罵られても仕方ない歴を歩むのが個人的にダメだったのかな。
あ、そうだ。「真夜中クロニクル」の真下陽光くんがちらっと登場してて、嬉しかったです。
凪良先生の既刊を片っ端から読もうと思って本作も手に取りました。
始まりから付き合ってる2人のお話で、片側ずつ交代する視点で展開するストーリーでした。
最初から付き合ってる関係だと、多分別れたり拗れたりするのだろうと予測はついてましたが案の定そうでした。
もうずーっと胸がチクチクする展開なんだけど、読むのを止められず一気読み。
ヨリを戻せるのか、戻せないのか最後まで分からなくてヤキモキさせられます。
付き合い始めや、同棲する中でわいてくる感情、別れの理由などがリアル。
どこかに居そうなカップルが運命なのかタイミングなのか別れてしまい、再会はしますが友人関係が続きます。
攻めが一方的に別れを決めるし、一度女性と結婚するので、そういう展開がダメな方にはオススメできないですがそうなるに至る展開もキャラの生い立ちや性格によるものなので、必然性を感じました。
亭主関白なキャラクターは創作物の中でも、実生活でも好きじゃないのですが、攻めが自分の価値観のせいで失敗し、受けじゃないとダメだ受けが居ないと生きていけないとなったとき、必死になる姿が良かったです。
攻めザマァ要素アリです。
10年近く経ってやっとかよ!って腹立たしい気持ちもありはしましたが、人間臭くもがく姿には同情もしましたし、共感もできました。
一度失敗した2人だし、お互いに学んだ事もたくさんあるでしょうから末永く幸せに居られるだろうなぁと思ってます。
お互いの事を思いやる、相手の立場に立ってみる、そういうシンプルだけど難しい事をテーマに、自分のことを振り返ってみるきっかけにもなるような作品でした。
一般作でも活躍中の凪良ゆう先生。イラストが奈良千春先生でお洒落な装丁の書き下ろし本です。2016年発行ということは一般作を書き始める直前かもう描き始めている頃か。このボリュームで書き下ろしって余程信頼されている実力者の証だと思います。
お久しぶりの凪良さんでしたが、やはり導入部分から一気に最後まで読みたくなるストーリー運びのうまさと読みやすい文章でした。しかし性格も体も相性最高の2人が出会い同棲するという最高潮から始まったので、「あー、ここからは下がる一方で不幸になっていくフラグだな」と不穏な感じで物語は進みます。
身も蓋もない言い方をすると別れたカップルがヨリを戻す話が丁寧にドラマチックに書かれているのですが、受けも攻めも主役のキャラクターがあまり好きになれないタイプでした。悪人ではないけどお互い好きな相手に対して誠意が感じられない。
特に攻めの阿久津が最初に水野に一切の弁解を許さずトラウマレベルの振り方をして女と結婚したのに、相手を嫌いになった訳でも女を好きになった訳でもない、というのが意味不明です。同い年のゲイカップルで亭主関白というのもよくわからない。恋人に母親を求めるって嫌なタイプだな、と思いました。この人母親に孫を見せて安心させるために結婚したから、子供ができてたらそれなりのハッピーライフを送ってたんでしょ?と思うとモヤモヤする。
受けの方も、5年同棲した相手と別れてからも何年も2人で飲みに行って友人関係を続けるって現在のパートナーを不快にさせるのは当然だと思う。攻めが親を亡くして弱ってる時に偶然会って家に押しかけて得意の料理を作ってあげた後に「あれ?奥さんは?」って…わざとらしくない?料理作る前に気づくだろ、と思ってしまいました。
2人の行きつけの飲み屋の大将もいい人だと思ってたら何だか2人と同じ恋愛観の人で幻滅。男女でも前に付き合っていた同士で友情とかあり得ない、と思うタイプなので私の心が狭いのかもしれません。体の関係のあった同士で陰で2人きりで会われたら「今はプラトニックだから」って言われても現在の恋人は嫌に決まってる。
最後は攻めもかなり昔のことを反省した様子で、ドラマチックにヨリを戻すまでは盛り上がるし、感動もするのですが、周りの人も相手も傷つけまくった上で手に入れた幸せだよね?と攻めには一生反省してほしい気持ちです。話は面白かったですがキャラクターが好きになれなかったのでいまいち乗り切れませんでした。
幸せな日々だったのに、小さな積み重ねから別れ、偶然の再会から友人付き合い。
ぐるぐるぐるぐるすれ違って、肝心な気持ちは伝えられなくて苦しい苦しい。大きな事件はなくても、こういうことあるよねというのがジワジワくる。タイミングも大事、踏み出す気持ちも大事!本当にどうなるの?どうなるの??ってハラハラしました。
上海出向のあたりとか、阿久津はどうしたいんだ!と。阿久津がへこたれずに告白し、自分の悪かったとこに気づけて、さらに好きが増したのはもちろん、復縁して抱いたら、前はここ感じなかったのに!!!別れてる間に!!!ってとこも、なんか良かった。いろんなしがらみのある大人だからこその恋愛、最後には2人の仲が強まったのが良かったです。
こちら一番最初に読んだ凪良作品で、一番好きな凪良作品です。
楽しい嬉しいだけじゃない、しんどいこともある、味わい深い大人のラブストーリーです。薔薇色だったら素敵だけど、薔薇色じゃなくても恋するっていいなぁ~という温かい余韻の残る作品でした。
程よいリアリティが絶妙なんです。そういうことってあるよねぇ…ということが、ありすぎたら萎えるんですけど、いい匙加減なので程よく共感できるんです。
出会い、いろいろあって別れ、いろいろあって再会し…最後まで読んでしまうと、10年の痴話げんかみたいな話と思いました。それぞれの視点で、それぞれの社会生活を通して、離れてまた戻ってという気持ちの変化が淡々と描かれていて、その過程に地味に萌えます。本当に地味なんですけどね、しみじみいい。どうしてこの人なんだろう、という二人の相性のよさがじわじわとわかってくるんです。
印象的だった場面は、攻の母親が亡くなったときに、攻の実家で受が手料理をふるまうところ(美味しそうなんです!)。相手に今一番何が必要なのか、というところに自然に手が届く関係の二人が、恋人同士じゃない状況が切なくて泣けました。
あと一歩復縁に王手をかけない二人に、最後までど~なるんだろ~とハラハラしていたので、10年前の仲直りのやり直しの場面ではめちゃくちゃホッとしたのでした。(この方法が萌っ!)
というわけで、折々に読み返したくなる名作です。
とてもリアルな恋愛、リアルすぎて好き嫌いが別れそうな作品です。
特別カッコイイ人間も大きな事件もない、(BLとしては)普通の登場人物たちの人生が綴られています。
あぁ人生ってこういうところあるよな・・・と思いながら読みました。
恋愛を成就させることも大変だけど、そこから続けていく努力が不可欠なんですよね。冷めるとか嫌いになるとかじゃないんだけど、一緒にいるうちにん?って思う部分が出てくる。その時にその違和感をどうするのか・・・BLではあるけれど、誰もに当てはまる日常を丁寧に書かれています。
その時は意識していなくても人生は選択の連続で、右か左か、続けるか諦めるか、人は皆選びながら人生を歩いてるんだと改めて思いました。
薔薇色じゃない日々をどう生きるか、誰と歩むか、その先に薔薇色の日を作ることが出来るのか・・・阿久津と水野の人生を通してそう問われた気がします。
盛り上がりに欠けそうなテーマでありながら、しっかりと最後まで読ませるのはさすが凪良さんですね。楽しませていただきました。ありがとうございます。
電子で購入。挿絵はありませんでした。
買ってから読むまでなんとなく積んでましたが、ようやく読みはじめ、一旦読みはじめると止まりませんでした。
安定したカップルの光流と彗一。ほんの少しのすれ違い、ほんの少しの口論、それが別れるきっかけになってしまう。再会した時には、新しい生活を選んだ彗一がいて…。15年間の2人を描いたお話です。
右折しますか?左折しますか?こちらで良いですか?標識が現れ、進む道を聞かれる。そしてその時のタイミングで、人は行く道を選んでいく。結局は、好き合っていても、タイミングが大事なんだよなと思えた話でした。最後の部分までは胸が詰まる思いや苦々しい思いで読み進め、最後にはホッとできます。甘さを求める人には物足りないと思いますが、切なさやリアリティのある恋愛を読みたい人にはうってつけだと思います。
私は、BLには癒しを求めているので甘さが足りないこの作品を読むまでに時間はかかりましたが、読後感はすごく良かった。読んでよかったです!
BL的な萌としては、??なのですが、素敵なお話でした。神には少し甘さが欲しいので、ここは「萌2」で!
凪良先生の本だしーと手に取って読んではみたものの、こんなにツライ本だとは。神評価つける方の気持ちはとてもわかるし、すごく感銘する部分もあるのですが、シンクロしすぎて前半は苦行でした。読み進める手が止まってしまった・・・人と傷付けあう事を経験した方にはあまりオススメできないなあと感じます。かなりしんどいです。腐れ縁二人の15年にわたるお話で、自分の感情があまりに辛かったので中立、お話自体はスゴイです(としか言えない・・)
舞台は現代日本と推測。冒頭早い段階でカプになる二人。運命じゃん♡なんですが、まるで共働きの夫婦のような理由により別れます(ここがキツイ1回目)。でもまだ序盤戦、さっさと再会、友人ポジションに無理やり収まり、お互いの人生をずんずん進み、お互いすれ違い・・・・
二人以外の登場人物は、二人の行きつけ店の大将、阿久津のパートナー、水野のパートナー、仕事仲間等やや多めです。(この大将が秀逸、強者!呑み屋の大将とはかくあるべし と思う~)
挿絵情報。カラー口絵の二人が「the大人の男」なんだけど艶っぽく本当に泣かせる。奈良先生の描かれたカプで、この二人が一番好き!スーツ、ネクタイやシャツ姿に腕時計等々、小物が効いていて♡こんなリアル男子がいたらうっとりなんだけどー。
************以下は よりキツかった部分
阿久津が結婚、離婚するのですが、そこもキツかった。阿久津の母、水野に胃袋をがっつり仕込まれたためとはいえ、顆粒だしの味噌汁に抵抗を示すということはどういうことだ!!!!!!
うるせー顆粒だしの何が悪い!食品会社さんに謝れ!!!!ということで、すいません、ダメでした(笑)
確かに昆布、カツオ節、しいたけで出汁とったら味違うよ、知ってるよ、でもね、私働いていて、一分一秒を争って家事してるの・・・・などと阿久津元嫁の言い分、甘え部分にシンクロしまくり。
阿久津、いい男だし、亭主関白っぽくなる理由は分かるし、所詮男子ってこんなもんよね と諦める気持ちがぐるぐるして、自分がとても嫌だなあ と思い出して、ツライです。
そこが本筋ではないとはいえ、薔薇色ではない人生、ツライこともいっぱいあるのは重々承知しているので、本の中は幸せ気分に浸りたいわ と改めて思った一冊でした。印象深い本であることは間違いなしです。
セルフつっこみ
あまりに読み返したくなったので、とうとう電子で再購入。ひか○ブックだけどイラストが入ってなかった…しくしく(泣)
色々と身につまされるラブストーリー。
若い頃に出会った二人がつきあい、一度別れて、また出会い…というのが粗筋です。
それにしても、この作品での一度別れる場面への流れって多くの夫婦の間でもありがちないさかいすぎて本当に胸がギューッとなります。よくある明るいBLではうまくスルーされている「結婚生活に類する生活になった時の生活スタイルや家事負担に関するあれこれのズレ」、ありがちだけど永遠のテーマのひとつでもありますね。「夫婦」であれば、社会的な契約や(居たら)子どもなどが良くも悪くも「かすがい」となり、本心はどうあれ持ちこたえたりするのですが、それがない関係だとね……。
その辺のシーンで、色々我が身を振り返りすぎて何度か本を閉じたりも(汗)
そこで終わると身も蓋もないのですが、その後はフィクションらしい偶然や運命的な導きを荒唐無稽にならない程度に織り込んでの再会ラブ。そう簡単にはまとまらない辺りにリアリティを入れて。
現実感のある描写と物語らしい描写のバランスが上手いから、すっと胸に落ちるのかな?と思いました。その辺がさすがです。
そして、後書きで凪良さんが書いてらしたBL遍歴にも親近感。一度離れて戻った時の感想も似てて、あー…となりました(笑)
あらすじも読まず、作家買いしました。
もう一冊まとめて買った凪良作品が個人的にちょっとだったので、しおしおしながら読みましたが、「これだ!」と叫びたくなるほどの凪良節!こういうのが読みたかったのですよ。
全体的にしんどい話ではありました。
「恋愛前夜」よりもつらくないのは、二人が大人だからかもしれません。(「恋愛前夜」は本当、途中かなりしんどかった!!)
だからこそ、もう戻れないかもしれないみたいな不安がありつつも、凪良さんだし!と信じて読了。
はい、きちんと凪良さんでした。
綺麗にハッピーエンドです。
どちらの気持ちもよくわかるけれど、何故上手くいかないんですかね。凪良さんは、本当こういうの書くのうまいなあと毎回思います。
とにかく、大将有難う(笑)
作者様の作品は数作既読です。
この作品は、表紙に惹かれて購入しました。
このところ、ライトなお話や、幸せ一杯なお話を読んでいたので、この作品を読み言えた際は、久しぶりに壮大な物語を読み終えたような気持になりました。20歳から35歳に至るまでの2人のお話ですし、大げさかもしれませんが2人の15年間の歴史を見届けた・・・という気持ちです。
最初に幸せいっぱいの2人が描かれていて、そこから不穏な空気が漂って、突然の別れ・・・。まずこの2人が別れることはあらすじから分かっていたからこそ、幸せそうな描写は読んでいて辛かった・・・
最初は攻め様に憎しみさえ覚えてしまいましたが、受け攻め両方の交互視点で描かれているため、攻め様には攻め様の葛藤や事情があって誤った選択をしていったというのも分かり、受け様、攻め様、どちらの気持ちも共感できて、私自身の気持ちがすっかりお話の中に持って行かれました。
どっぷりはまり込んで、2人のある種のすれ違いっぷりにめまいを覚えつつも、夢中になってページをめくりました。
最後の最後まで気を抜けず、だからこそ34歳の時は、私も光流と共に涙してしまいました。この15年をまるで一緒に歩んできたような気持になっていたんです。
受け様も攻め様も、別れている間には結婚したり、それぞれ恋人がいたり・・・と、ただ一人だけを一途に思って操を守る「純愛」ではありませんが、それでも、読んでいて夢中になれたとても面白い(面白おかしいという意味ではなくて・・・)作品でした。
あ、そうだ、この感じ、このカップルのタイミングのずれ感、海外ドラマのフ○ンズの某カップルを見ていた時の感覚と似ているんだと今気が付きました。
じっくりたっぷりと話が進んでいく感じです。読み終わったときに、「あれ、終っちゃった?もっと続いてもよくない?」と思う作品は多々あるのですが、この作品は読み終わった後、「終わった!!(満足!!)」と自分のなかで綺麗に完結しました。おそらく阿久津と水野、両サイドの思いや観点がじっくり書かれているからではないかと。お互いにアイスを食べさせる場面、よかったです。
この作品を評価するにあたって、神をつけるべきか趣味じゃ無いを付けるべきか悩みに悩みました。
最初にどちらの評価にすべきか悩んだ理由をお伝えしたい。
最終的に趣味じゃ無いをつけた理由は、私的地雷の宝庫だったからです。
神評価としたかった理由としては、私が完全に光流の葛藤に同調したからです。
少女漫画などでもそうなのですが、私は恋人設定から入る作品が苦手で仕方ありません。
何故なら、恋人になった後に起こる恋愛目線での波乱万丈は、大抵第三者の介入があったりするからです。
一度関係を持った人が、後に第三者を抱くというのは私的には、もう二人の関係の終焉を、表しているのです。
ですが、この慧一と光流の二人心は終焉を迎えていない。
ならば、私が光流の立場だったらどの様になれば慧一とハッピーエンドを迎えられるのだろうと考えた時、凪良先生の出した答えが、1番しっくりくる答えだと言う気になったのです。
私なら絶対許せない。…許せないが、好きだと言う気持ちを捨てることもできない、となった時、光流と同じく「仕方ない」と言う気持ちになる状況はどうなのかと心に問うと、この作品と同じ結末を迎えました。
慧一が光流を捨てるという舵を切った理由も、しっかり描かれ、後にその理由らしきものを悟った光流も描かれているからこそ、最後の「仕方ない」に繋ぐことができたのだと思います。
しっかりとした伏線回収、二人のルールの効果的な使い方、キャラの性格の掘り下げ。
全てにとって神評価であり、凪良先生の文章力にしたを巻きますが、第三者視点として見て、光流の心を傷つけた慧一が最後まで許せなかったので、趣味じゃ無い評価とすることにしました。
「おやすみなさい、また明日」の中で、似た境遇のつぐみを庇うために、友人が相手の男に詰った言葉をそのまま慧一にぶつけたい気持ちがあります。
「ゲイにとって子供が欲しいというのは、死ねと言われてるのと一緒だ」です。
今作では慧一の事情や視点も描かれて居たので、正直そこまでは言いませんが、それくらい光流の肩を持ちたい気持ちになりました。
よくできたお母さんに育てられた男が、母親のように面倒見てくれたパートナーを振って結婚したり彼氏を作ったりしながら、結局はお母さんみたい優しく受け入れてくれる元彼が一番いいと元に戻ってくるまでの10年。
水野が阿久津の「家事に協力する、手伝う」という言い方にムッっと感じてしまった心情にわかるわかると思ったら感情移入してしまいました。
なんでもやってくれるお母さんに育てられた息子はダメ人間になる確率が高い、ましてやシングルマザーでフルタイムで働きながら家事も完璧なお母さん見てたら伴侶にもそれも求めちゃいますよね。
阿久津は守るべき人がいて強くなるタイプのようなのです。
けど、水野は守ってもらいたいとも助けられてばかりでいて何も感じない性格じゃないってところがいいです。
自立した男ですから。
家の中の面倒ごとをみんな片付けてくれて、へこんだ時には慰め癒してくれるお母さんな水野だけれど、鍵っ子で寂しかった子供時代を埋めようとしてる阿久津の弱い部分や甘えたいサインを見逃してフォローできなかったことを反省していたが同じ年の男同士では難しい話です。
そんな水野のイライラやモヤモヤが理解できるから何にもしないくせに優しく癒してくれるママを求めるばかりの阿久津に「お前は家事だけしてくれる嫁が欲しいのか」と言ってしまった気持ちがよくわかる。そしてその一言でキレて別れてさっさと女と結婚した阿久津が許せなかったです。
実際は『キレてさっさと』ではなかったとしても。
料理人が味覚を失い死ぬほど苦しんでやっと立ち上がったあと恋に臆病になるなんてほんとに可愛そうでかわいそうで…。
ただ一つ、必然とは言えない全くの偶然の展開に任せてしまったのは残念です。
仕事で行った地方が偶然元彼の故郷で、たまたま親の葬式で帰っていて都合よく街で出会うという奇跡。
こういったリアルな日常の積み重ねとか普通の人たちの恋を描く物語では、都合のいい偶然に任せないで欲しかったです。
水野と阿久津の恋人たちは、みんな自分が一番に愛されていないことを感じて去って行ったような気がしました。
元はと言えば阿久津がゲイなのに親孝行のために好きでもない人と結婚して別れて、好きだった人の面影をみつけて付き合いだした若い男を無意識に代用にして傷つけたのは罪深いです。
だから水野の元彼氏と阿久津の元彼の恋愛事情も気になりました。
自分の彼氏が誰を本当は好きなのか知っていて足掻いて浮気して試して壊れていった気がする。
”浮気性のカメラマン×修行中料理人の年の差カップルがまとまるまでの話”でこのストーリーの裏側が見てみたい。
作中で映画撮影の生き物を調理するシーンのセリフ「俺は今日も命を食べている」が印象に残った。
本当に凪良さんの作品は安心して読めます。私は矛盾点や違和感を感じるとすぐに小説に集中出来なくなるのですが、凪良さんの作品はよく練られていてそういうことがありません。
とてもリアリティがあります!
リアルすぎると重たくなってしまうかもしれませんが、綺麗事ばかりじゃないからこそ引き込まれます。
正直、阿久津の行動はBL的萌えにはかなり反していますがリアルです。阿久津は正しくはないけど共感は出来ます。
すれ違ってもすれ違っても惹かれ合う二人が素敵な作品です。
漫画でも小説でもグルメものが好きなのですが、この話を読んで、細かい設定など、本当によく練られて書かれたものなのだなぁ、と感じます。
時たま、この人の職業設定は何故つけたのだろうか、何となく派手で格好いいからつけたのかな、というくらい肩書きだけの登場人物が存在しますが、こちらの小説ではそのようなことがなく、寧ろフードスタイリストである受けのプロ根性や仕事の楽しさ、食の大切さなど、色々なことがキャラクターの感情と共に伝わってきて、登場人物それぞれの人生丸ごとが描かれているような気がしました。
すごく壮大にレビューしてしまいましたが(笑)
受けの感情がすごく読み手(大半が女性かと思いますが)の男性に対するちょっとした不満感とか恋愛を続けていく不安など、共感出来るところが盛りだくさんで、最初は分厚さに驚きましたが、ぐんぐんと引き込まれ、読んでしまいました。
さらりとした読み心地でどんどん読めてしまうのとはまた違った引き込まれ方があると思います。
あのシーンを除けば男性にも是非読んで!とお勧めしたくなる内容です(笑)
要所要所に切なさが滲む内容でしたが、もともと切ないお話が大好きなので、内容的にボロボロ泣けるのかなと思っていたのですが、悲恋では無いので「受け可哀想!不憫!」と泣く感じでは無いです。
しかし、途中まで「可哀想、ウルッ」くらいだった切なさが後半怒濤に感情が受けにシンクロして、「あれ?何かすごい悲しい感じでは無いけど涙出てくる~っ」みたいな感じでポロポロとなってしまいました(笑)
あの泣きは不思議な感覚です(笑)
購入してから1カ月近く置いていたのですが、久しぶりの休日だったので初めから最後まで集中して読みました。評価は文句無しの神評価です。凪良先生の本はたくさん読みましたが、今回は今までで一番現実的と言いますか、大人な恋愛を描いた一冊でした。
この本は、亭主関白な阿久津と、少し意地っ張りな水野が15年間かけて、よりを戻すところまでが描かれていす。
一冊の本の中で年月がかなり経つので、二人の人生を覗いてるかのようでした。読み終えたときは、妙な達成感と幸福感で胸がいっぱいになりました。
私は、受け攻め両方の目線から書かれている作品が好きなので、交互に目線の変わる今回の作品は、そうゆう意味でもとても好みでした。二人がすれ違うところも、読者側から見ればどちらの言い分も理解できるため、より苦しい気持ちになりました。その一方、別れていてもお互いが相手を愛していて、意識していることが分かったのでスラスラと読み進めることができました。
装丁が大層で、読むのに時間がかかりそうだと思っていましたが、そうゆう理由で意外とあっさり読めました。
阿久津の亭主関白ぶりは、世の中の男性に通じるものがあり、女性は水野の気持ちに共感できることが多いのではと思います。完璧とは到底言いがたい阿久津のキャラに、逆に人間味を感じ、余計に愛しさが増しました。
今回の作品は、より大人で、恋愛経験も沢山してきたお姉さま方により刺さるお話なのではないかと思います。
私はまだ若く、あまりいい出会いも無いせいか、まともな恋愛経験がありません。なので、いろんな作品を読んでドキドキしたり、癒されたり日々を過ごしています。涙
きっと今回の作品で、掴みきれてないキャラクターの心情や行動もあると思います。経験がないので、理解できない気持ち。たまにそうゆう壁にぶつかります。笑
今回の作品は、そんな私に恋愛の本質について教えてくれたような気がします。口で言い表すのは難しいですが、恋愛っていいことより悪いことの方が多いかも知れないと思ったり。恋愛って、ただ愛し合うだけじゃないんだなぁと改めて気付きました。
それでもいい人に出会いたい... 私も彼らみたいな恋人に出会いたいものです。笑
今回の作品は攻めも受けも、どこにでもいそうなごく普通の社会人でした。
そして攻め視点と受け視点が交互に時系列で区切られながら淡々と描かれていました。
凪良先生の作品としては珍しい描かれ方のように感じました。
大学時代から付き合い始め一緒に暮らしていた阿久津と水野は、社会人になり互いに忙しくなっていく中で「俺だって疲れている」「家事手伝ってくれよ」ちょっとしたすれ違いからの破局してしまいます。
その後再会した二人は、互いにまだ好きな気持ちを隠したまま友達として交流を継続。
・好きな相手が結婚したり恋人をつくるのを傍で見ている辛さ
・友人としてでも繋っていたい関係
とか表にはださないけど二人の中にある嫉妬や葛藤が身近に感じられました。
お互いに好きだからあっさり復縁するのかと思いきや、なかなか友達から脱却しません。
水野が復縁を拒んでくれたのは逆に良かったかな。(理由もよかった)
最近読んだピアスコミックスにそれらしきものがあったのでね…。オレンジなのは分かってるんだが、オレンジに見えないんだよ…(笑) それはさておき、うん、現実的に男女でもあり得る恋人関係、夫婦関係、生活の不一致というようなものが盛り込まれたお話でした。 同じ人と別れてもう1度付き合うと長続きするのは私の周りを見ても納得済! 1度目の時の失敗をちゃんと学習してるからね。 別れる前にそれができればいいのだけれどなかなか難しい。 でもお互いのパートナーが知らぬ間にくっついてて本当なら腹の立つところだけど、結局は自分たちの気持ちの都合で本気でパートナーを見てないのがよくわかる。 なので2人にとっては罪悪感なく寄りが戻って都合よすぎかなぁと。 幸せになってるのはいんだけどね。
積読していた凪良先生の小説「愛しのニコール」と「初恋の嵐」を読み、「あー、凪良先生やっぱり良い、好きだー」と思ったところで、続けて最新刊のこの本を読みました。
間違いなく素晴らしい小説でした。
電子書籍化されている凪良先生の小説はこれをもって全て読了ですが、はずれはただの一冊もなく、全て面白かったです。
「薔薇色じゃない」はその中でもちょっぴり毛色の違う大人の恋愛もので、心理描写が巧みで、読んでいる間中ずっと目元のウルウルが止まりませんでした。振られた側の気持ちにすごく共感でき、また振った側の実情にも納得させられ、さすが凪良先生!うまい!と思いました。
運命の絆で結ばれた二人だったのでしょう。出会いが早すぎたのかもしれません。最初こそトントン拍子にうまくいっていた二人。ある時を境に歯車が狂い始め、そこからはずーっとタイミングが狂いっぱなしで何度もすれ違い…。切なく、そして苦しかったです。
ある時は水野の気持ちになり、ある時は阿久津の気持ちになって読みました。最後の方で登場する水野のアシスタントの久地が良い味出していたと思います。その前に大将も!この方が自分の経験を踏まえた上で阿久津に土下座を勧めたのですが、これがなかったら阿久津に土下座の発想はなかったのではないでしょうか…。あっぱれ土下座!土下座には感情を揺さぶる効果がありますね。ホントに、気持ちがスカッとしました。大将、ばんざいです♪
あと久地クンも。水野は望んでいなかったかもしれませんが、よくぞ水野の気持ちを代弁して下さいました。阿久津の前だと水野は元気なふりをするとういこと、私も阿久津にそのことを知っていてほしかった。
水野は昔放った自分の言葉を謝ります、「俺も子供だったんだ」と。でもこれは言って良かったのだと思います。とんだ回り道をしてしまいましたが、そのおかげで二人の絆はより深く結ばれ、今後二人は決して別れないだろうなとの確信を得ました。末永くお互いを思いやり仲良く暮らしてほしいです。
最後になりますが、あとがきが大変面白かったです。私はBL初心者(2015年の秋ごろから)ゆえあまりよく知らなかったのですが、昔はBLとは言わなかったこと、死に別れの小説が多かったことなど大変参考になるお話をされておりました。凪良先生の初期の作品に「花嫁」というタイトルが多かった理由も分かり、なるほど~と思いました。
何はともあれ素晴らしいお話でした。読んで損はありません。相手を思いやる気持ちの大切さを学べますしね。
凪良さんに奈良さんの挿絵。もうこの時点で神評価の予感しかしなかったのですが、この厚さがちょっと。重いし持ちづらいのであまりこの大きさの本で好きではないので読み始めるのにちょっと気合が必要でした。
内容はすでに書いてくださっているので感想を。
大学生の時に出会い、すぐに相手にベタぼれになりお互いに足りないものを補うように想いを深めていった二人。そんな二人が生活を共にするようになり、徐々に相手に不満を抱くようになり。そしてちょっとしたきっかけで二人の関係は一気に破たんしてしまう。
なんかすごく良くわかるなあと思いつつ読みました。
そこにあるモノはあって当たり前のものではないのに、日常に溶け込んでしまうと『あって当たり前』のモノになってしまう。
何か特別派手派手しい出来事があるわけではない。出てくる登場人物たちもごく普通の人たち。誰もが毎日過ごす、平凡な日々を描いているのにこんなに心に突き刺さるストーリーになるのはさすが凪良さんというべきか。
光流にしろ、慧一にしろ、今の彼らを形成したのは彼らの生育環境で。ゆえに譲れないものとか、大切にしたいものがそれぞれ違う。当たり前なのだけれど、だからこそすれ違う二人が切なかった。
光流はあんなにいい子なのに、男を見る目がなさ過ぎてちょっとウルっとしました。
慧一にあんな裏切り行為をされても、それでも心の奥底では彼を求めていて。けれどそれを気取らせずに気丈にふるまう。でも、健気なだけでなくて、一本筋の通った男前な性格でもある、ナイスガイでした。
対する慧一も。
彼の非道な行為は賛否両論あると思うけれど、個人的にはすごく好きなキャラでした。なんて言うか、すごく人間臭い、というか。自分の感情に素直で、ある意味自分勝手で。でも、人って基本ああいうものじゃないかな。
自分の弱さを人に見せたくない彼が、最後にした土下座にはスカっとされた方も多いんじゃないでしょうか。
あと『真夜中クロニクル』の陽光くんがちょろっと出てたのがすごくうれしかった。相変わらず頑張っている姿が見れて安心しました。もう少し出番があってもよかったのにな、と思ったりしました。
奈良さんですが、絵柄がちょっと変わられましたかね。
なんか少し丸くなったというか。相変わらず麗しい絵柄で萌え度は確実に上がりました。
話の内容はかなりヘビーなのですが、文章の構成がお上手で暗すぎない文面のためか、重すぎずからりと読める作品でした。二人を取り巻く飲み屋のマスターやゲイ仲間たちも非常にナイスアシストな面々でした。
当初の予感通り、文句なく神評価です。
二人が20歳で出会い、25歳で別れ、その後から35歳までのお話です。
バーで阿久津が水野に話しかけたのがきっかけで二人は付き合い始め、その後同棲を始めます。
ある日、ほんの些細な出来事で二人は別れてしまい、阿久津は結婚してしまいます。
でも、仕事がきっかけでまた二人は出会い、友人付き合いを続けるのですが…
年数毎に、水野視点、阿久津視点の話が交互に書かれています。
本は分厚いのですが、短編になっている上に鉤括弧が多いせいかスラスラと読めてしまいました。
そのせいなのか、キャラへの感情移入がし辛く、情景描写や心理描写もあっさりとしているので、読後の物足りなさが際立ってしまいました。
それから、阿久津と嫁とのやり取りが濃密だったので、そこに少々うんざりしてしまいました。
女性がガッツリ絡んでくるBLは苦手です…
この作品、結構ヘビーで切ないものなのでしょうが、自分にはなんだかあっさりし過ぎでした。
気になるのは表紙の蜜柑!
どうしてもイケナイ物に見えてしまう…
これは狙っているのだろうか、もしくは
私が汚れているからそう見えるだけなのか…
BL小説を通して相手を思いやる、というのを学ばせて頂きました。
凪良さんの作品でいつも感動してボロボロ泣いてます。今回も泣きましたが、それよりも自分を見つめ直させられる場面のが多かったので、読み終えた感想は「いい話だったなぁ」と「すごく考えたなぁ」です。
男の人同士の恋愛でそれ特有の悩みや葛藤が出てくるのですが、そこかしこに男女共通の恋愛の悩みや問題が出て来て、それに対する二人の姿勢や考え方に「わかるわかる、私もやっちゃうなぁ」とか「私もそんなこと言っちゃったことあるなぁ」ときょうかんしてしまいました。そしてその共感は恋愛においてダメな共感です。
自分に余裕がなかったりして、つい口に出てしまった一言や態度、そしてそれに対する反省。どれもすごく共感してしまい自分を振り返り反省しました。どんなに反省しても取り戻せない過去があって、今がある。身に染みます。
丁寧にその時々に起こった些細なこと、大きなことを交互の視線で書かれていてとても分かりやすかったです。二人の気持ちを理解するところがこの作品の大きな意味を持つと思うので。
片方じゃなくお互いがずっと引きずっていた気持ちや言葉、思い出がその度々に語られて胸が苦しくなりました。こんなに相手を意識しているのに踏み出せないのが年月なんだなぁ、と。
離れている間に付き合った人達に気づかされるお互いの存在の大きさに運命を感じずにはいられませんでした。
最後の必死の土下座に一番萌えました。なりふり構わず、どうにか相手を繋ぎ止めたい、その気持ちが読んでいるこちらにも伝わり感動してしまいました。
きっとこれから先に何があっても大丈夫だね、この二人は。と思えるような穏やかな幸せを感じる素敵な作品でした。
神評価にならないのは、あまりにも共感し過ぎて自分と重ねてしまうのが度々…で途中読むのが辛くなったりしてドップリと作品に浸かれなかったからですが、作品は本当に素敵です。
紆余曲折を経ての15年愛なんて言うとそれまでかもしれません。
でも15年はあっという間に感じても
やはり他人に見えない事や当人同士わからない事が多々あります。
過ごしている時にはベストの選択だと思っていても
悔やみきれなかったり…。
そんな、大学二年で出逢い、
食品会社に勤めた阿久津慧一と
フードコーディネイターになった水野光流の愛。
ゲイでもタチが結婚云々って珍しい話でも無いのに
当時の光流の状態を想像すると
この上無くツラそうで今でも考えて涙ぐんでしまうほどでした。
フードコーディネイターのアシスタントとして頑張っていたのに
突然訪れた別れによって味覚も危ぶまれる状態になるとは…。
慧一には慧一なりの事情があっての決断でしたが
自分でもその身を斬られるような別れも正解ではなかったなんて
“あの時の自分に教えてやりたい”と思っても
時は巻き戻せませんものね…。
お互い違う相手と恋人になっても
同じ温度で愛し合えない、しっくりこない感が
んああああああもうじれったい!!!とならなくもなかったのですが
実際自分の気持ちがわかっていたとしても
そんな単純にうまく進むわけもないので
逆にリアリティがあるような気がしました。
いつだって心にいるのは一人だけで
それほど愛せる人に逢える人間ってどれくらいいるんだろう。
仕事が充実していてもうまくいかなくても
思い出す相手こそが本当に会いたい人なんだろうなぁ…。
慧一と光流が行く『才』という飲み屋の大将が、
ご自身の経験もあってナイスアドバイスをしてくれて非常に良い脇でした!!
「大事なことは、たいがいややこしくできてるんですよ」という言葉が
個人的にじ───────んと沁みて
ああ、そうかもしれないななんて思ってまた涙ぐんでしまいました。
ホント、いちいちエピソードに泣かせられながら読んだので
やる気の無い化粧が落ちました…。
マカダミアンナッツアイスの意味するところが
2人だけにはわかるという歴史を感じられて
あああー!!!ってもうコレだよねみたいな
充足感半端無かったです!!
慧一視点と光流視点があるので
どちらにもいちいち感情移入してしまって
読んでる間にどれだけ胸をズキズキさせ
更にドキをムネムネさせられたか!!ww
自分の過去と照らし合わせるようなシーンがあったり
もどかしくなりながらもずっと読み続けていたい気持ちになりました。
奈良千春さんのイラストも相変わらずの素晴らしさで
安心して世界観に浸れました!!
文庫より、新書よりもお値段は張りますが
言葉に出来ないような15年愛、皆様にも見届けていただきたいです。
読書中の充実感と読了後のえもいわれぬ幸福感を是非!!!
大事な場面で出てくる標識に、正解があるかどうかわからなくても
結ばれるべき相手には繋がっているんだと私は信じたいです。
今回の作品は、タイトル通りビターで大人向けです。普段は甘めの王道を好んで読むのですが、凪良さんの新作とあらば読まないという選択肢はありません!
右折しますか?
左折しますか?
こちらでいいですか?
コレを見て、私は昔(10年以上前)大好きな俳優さんが出ていた某クレジットカードのCMを思い出しました。
(どうすんの俺?!続きはwebで!ってやつ)で、そこから連想ゲームみたいに、その俳優さんが何年か後に結婚して、何かの製作発表の折に
「夫婦円満の秘訣は?」
という質問に対し
「我慢、いや、気遣いですかね」
と、答えていたのが頭をよぎりました。
致命的な理由がある場合は別ですが、(他に好きな人ができた、とかDVとか、経済的な理由とか)そうでない場合は、結局のところそれかぁ、と目からウロコだった記憶があります。
ちょっと話が脱線しましたね。
私は、女なので阿久津よりも水野、そして庸子の気持ちに同調しました。
疲れて帰ったときに癒されたい気持ちは分かるけど、女性が手間暇をかけて出汁を取るところから味噌汁を作るのが当然と思われたら、イラっとするだろうなぁ、と。
まして仕事をしているならなおさら。ささいな喧嘩がきっかけで一方的に別れを告げられ、その後結婚したと聞かされた水野はどれほど傷つき、あの日の自分を責めたことだろう。あげく、阿久津は結婚したくせに嫁の愚痴を水野に聞かせる始末。
なのでこの物語で、より辛い思いをし、より我慢をしたのは水野の方だと思っています。
でも、最後はまとまってよかった。
年を重ねた二人が、我慢を知り、気遣いを覚えて末長く寄り添えればいいなぁ。
王様のブランチ、ブックコーナーでのランクインおめでとうございます。
内容はタイトル通りに薔薇色ではない、現実に寄り添ったBL。
初めに主人公2人が付き合って、とてもうまくいくところから始まるがその後は波乱続き。2人交互に視点が変わっていくがお互いの状況が変わっていき、不満が溜まっていき、上手く行かなくなっていくのが読んでいて辛い。この辺りは結婚している女性の方が「分かる」という気持ちになるような気がする。
そして2人が別れて友達という関係に落ち着いて、最後また付き合うまでを描く15年間の物語。結局、一緒に暮らしていくというのはお互いの変化も受け入れていくことが大事なのだしみじみ感じた。これは男女間でも同じだろうと思う。