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sensei collection
◆つける薬がなくても
こじんまりとした個人医院の先生と、サーフィンが趣味の患者という組み合わせがとっても素敵でした。ゲイをカミングアウトすることの是非は人それぞれ考えがあって当然だと思います。仁科のようにひた隠しにすることも、柚瀬のように敢えて最初に宣言することも、自分が傷付かないための知恵。どちらの生き方にも共感できました。それでも、今まで窮屈な人生を送ってきた仁科が、新しい考えに触れて、少しでも自分を解放できたことが嬉しくて。柚瀬の生き方が正解というわけではなく、誰かに良い影響を受けて、自分の世界、選択肢が広がることの尊さを感じました。
◆プリーズ・テルミー!
高校教師と生徒なので、先生と聞いて誰もが一番思い浮かべやすいのはこういうカップルでしょうかね。ふわふわした髪の多田が、見た目も性格も可愛らしく、臆面もなく古橋に好きだ好きだと言い寄るところが、未成年の権限を最大限利用していて好感が持てました。これほど熱心にアタックされたら、落ちない方が不思議ですよね。卒業前も卒業後も、2人のやりとりが可愛かったです。
◆あをき嵐の山より来たる
第三者目線で描かれる、神様である鷹と鷹匠の物語。市ヶ谷先生の味わい深いタッチには、こういう時代物の世界観もとてもよく合いますね。私はてっきり季彦が殿様とどうにかなっているのかなと思っていたので、まさか鷹である青嵐とデキていたのには驚きました。普段は殿様に尽くし、弟子にも丁寧に教えている季彦が、青嵐を敬いつつも、彼に求められて心底嬉しそうな顔を見せるのに萌えました。
おじさん無理なのですが、読み進めるうちに新しい扉のノブを回しつつありました。
「先生」と呼ばれる職業に就くおじさんが5人登場します。
鶏料理専門店店長×医者
オープンゲイでサーファー、飲食店を営む30代っぽいちょっとワイルド系と、海辺で開業しているクローゼットゲイの40代医師。
オープンorクローゼットの選択、生き辛さという重めなテーマを扱いつつも、すんなり入り込める作品でした。お医者さん、50代以上だと思ってました。
掴みの作品がこちらだったので、嫌悪感なくおじさんワールドに導入された気がします。
パートナー×三ツ星シェフ(攻め受け設定なしなので予想)
料理教室を主催する元三ツ星シェフが、受講生に「先生は結婚されてるんですかー?」という質問をされるところから始まって、迎えに来たパートナーと自分たちのことを振り返る、穏やかな小品。
どこかにこういう風に暮らしているひとたちもいるんだろうなと、嬉しい気持ちになれます。
博士×助手
足フェチ過ぎて有能な博士と、腹黒助手。
途中まで助手の片思いかと思いながら読んでいたので、どんでん返しの展開が面白かったです。
高校教師×生徒
「卒業するまでキスもしない」という約束をしている教師と、成績優秀な高校3年生。
自分の将来を見据えた進路変更で関係に焦る生徒を先生がおおらかに包みます。
こういう年の差CPは良いですね。生徒がちょいショタ風なのに女子生徒にモテる不思議。卒業後の描き下ろしもあります。
神様×鷹匠
ちょっと切ない作品。
てっきり鷹匠×弟子かと思いきや、もっとスケールの大きい話でした。
運命とも言える恋を見守る立場にいるのが子供というのが乙というか、何というか。
「けむにまかれて」のおじさん小説家先生は性格が悪くて好きになれなかったのですが、こちらはみんな真摯に生きているおじさんだらけだったので好感が持てました。
おじさん苦手でも楽しめる短編集なので、「おじさんワールドの良さを知りたい」と思っている方におすすめです。
いろんなおじさんづくしの1冊でした。 リアルなおじさんたちもあれば、近未来的なおじさんもいて、飽きずに楽しめる内容でした。 だけどやっぱり1番はシェフのおじさんカプかな。 話には描かれてないけど、たぶん若いころはいろいろあったかもしれないし、酸いも甘いも経験して迎えた30周年って感じでおめでとう! あとはやっぱり表題作。40過ぎて誰とも付き合ったことなく、ゲイということをひた隠しにしてきた先生が幸せになっていくお話し。 純粋でいい!
新刊時に見落としていたのを、表紙に一目惚れして即購入。
枯れ専の孤高の星・市ヶ谷先生の描くセンセイ達は、みんな魅力たっぷり。
下は高校生から見たらオジサンの高校の先生から、上はアラフォーからつき合い始めて30周年記念日を迎えたオジイサンカップルの引退した元シェフで料理学校の先生まで。
どのキャラも、ちゃんとその年齢にそぐわしい容姿で、特に、私が一目惚れした元シェフの田辺と、その連れ合いのきーちゃんがいいんだ(スイもアマイも)。
ガッツリ皺だらけだけど、そんなふたりがコーヒー店でコーヒーを飲みながらおしゃべりしている様子とか、すごく自然で羨ましいほど睦まじい。
作品終わりのオマケ小ネタのアラフォーの二人も、文句なくかっこいい。
さらに「あおき嵐の~」の鷹匠の季彦!!
最高!!
オヤジと銘打ちつつもぜ〜んぜんオヤジでもなんでもない、見目麗し系のBLもあまたありますが、この作品は看板に偽りナシ。オジサンとオジイサン満載の一冊であります。
「つける薬がなくても」
鶏料理店店長(サーファー)x開業医。年齢ははっきりしませんが、40代後半で同い年位だったらいいなぁ。開業医さんは初体験で、店長さんが思いやりがあって良い。長続きしそうな二人。
「スイもアマイも」
オジイサンCP。元々幼馴染で、アラフォー時代に再会してパートナーに。
30周年をお祝いして、ハートだらけのホールケーキで乾杯です。素敵ですね!こういうCPは実際すぐ隣にもいそうな感じですね。
「Love Lab」
これイイじゃないですか!脚フェチの人造皮膚開発の第一人者と、助手の若くて色っぽいアジア系の男。
博士は助手の脚を無断で複製していた…それを確かめた助手は博士を煽る。
Hシーンはかなりのエロさ!
「プリーズ・テルミー!」
高校教師xその学校の3年生君。
生徒君が押せ押せで凄いんだけど、先生は卒業まで絶対ダメ!と。好感持てる話です。(この先生は決してオヤジじゃない…なあ)
「あをき嵐の山より来たる」
これも好きです〜!人外モノ。鷹(神の化身)x鷹匠。
「山の神との淫らな逢瀬」と帯にありますが、淫らなんてそんな。格調あるお話でしたよ。
描き下ろし「クローズ・トゥー・ユー」
「プリーズ・テルミー!」のその後。
大学受験に合格して、今は東北で一人暮らしの多田に会いに行く古橋。やっと好きなだけイチャイチャできる、と嬉しさ全開の多田君。
私が好きだったのは、「Love Lab」と「あをき〜」でした!
「先生」と呼ばれる職業の人々を集めたBL短編集です。
表題作というのがないので、印象に残ったものをいくつか。
『つける薬がなくても』
海沿いの診療所で医師をしている40歳の仁科(受け)と、怪我をして治療に訪れたイケメン長身の柚瀬(年下攻め)の話。
攻めはゲイを公言しているサーファーで、診療所を訪れたきっかけもサーフィンをしていて怪我をしたことです。身長は185センチあるそうで、かなりの身長差。
鷄料理店を営んでいるので料理上手、サーフィン中に自転車で海岸通りを通りかかった受けにおにぎりを振る舞ったことから親しくなります。
一方受けは、攻めがオープンであるのとは逆のクローズなゲイ。ちょっと卑屈だし、保身ばかりを口にするので最初はちょっと好きになれませんでしたが、くっついたあとは可愛い人でした。ずっと仲の良いカップルでいそうだけど、将来同居とかを考えるときに、受けは「看護師さんたちの目が」とか抵抗しそうな気もします。
『スイもアマイも』
なんと73歳×72歳のカップルです。人外ものとか、既存カプの老後の描写とかを除くと、ほぼ最年長のBLカプなんじゃないかなぁ、と思います。幼なじみで、アラフォーのときに再会し、付き合い始めて30年。
さすがにエロはなかったですが(笑)、個人的には触り合いくらいはあってもよかった。てかキスシーン見たかった。お二人とも長生きしてほしいなぁ。
『あをき嵐の山より來たる』
時代物で、鷹匠の受けです。受けは山の神様から青嵐という鷹を預かり世話をしているのですが、実はその鷹自体が…という人外ファンタジー。
人外もの、和服と、個人的にすごく好みの世界観で、絵も美しくてウットリしました。受けの楚々とした雰囲気や、神様である攻めに対する丁寧な言葉遣いとかがよかった。
他に足フェチの博士×美脚助手の近未来もの、卒業するまではエロいこと禁止、の教師×高校生ものが入っていました。
どれも粒ぞろいで素敵でした。
個人的にオヤジ受けはそれほど好きではないのですが、ほのぼのイチャイチャだし絵がすごく綺麗だし、思っていたよりずっと萌えられました。オヤジがそれほど、という方が読んでも楽しいのではないかと思います。
大雑把な私見ですが、BLで取り上げられる
オヤジ・おじ様と言う存在は善悪問わず
どうも格好良さがいつも求められていて、
横から「肩肘張り続けて疲れませんか?」と
ツッコミを入れたくなる張り詰めた日常を
送って居る様な気がしてなりません。
ところがこの本に収められている作品群は
そこを見事に覆してくれる。
オヤジ・おじ様の裏表をきちんと描いた上で
それでもなお愛しいと思わせる手管がきちんと
仕掛けられているのですね。
前作の反動かも知れませんが、堪能致しました。
「センセイ」と呼ばれる職業のオジサマばかりが出てくる短編集。
全体的に情感豊かで過不足のない作品ばかりなのも素敵。私はオジサマ好きなのでアリです。オジサマが受・攻両方出てくるのもポイント高し。付き合って30年の老齢カップルの話にはじんわりきた。
こういう作品が出版されるとはBL界も懐が深くなったとシミジミ思う。ただ受け入れられない人もいるだろうとは思う。無理には勧められないけれど、表紙を見てイケそうと思ったらトライしてみて欲しいと思うくらいにはお気に入り。
デビュー作『けむにまかれて』で素敵なお爺様攻めを描かれていた市ヶ谷茅さん。
2ndコミックとなる本作は、色んな「センセイ」「オヤジ」が登場する短編集。
オヤジ同士(年下攻め)、
オヤジ×若い子、
お爺さん同士…など
様々な組み合わせを楽しめます。
■「つける薬がなくても」
オヤジ同士(年下攻め)。
海辺で開業医をやっている仁科(受け・40代)は、鶏料理屋店長でサーファーの柚瀬(攻め)と仲良くなり…
オープンゲイな柚瀬と、クローゼットな仁科。
一見正反対な二人ですが、どちらも自分を守るためその生き方を選んだという点は同じ。
「外で秘密の恋人同士って
二人きりのとき燃えるらしいですよ」
と、仁科の臆病さを受け入れる柚瀬が男前でした。
恋愛経験のない(しかし後ろは自分で開発済)四十路受けの可愛さも感じられ、良い大人カプだったと思います。
■「スイもアマイも」
お爺さん同士(絡みなし)。
料理教室講師(元三ツ星レストランシェフ)とその恋人「きーちゃん」が、30周年にケーキを買ってお祝いする…
そんな、短いけど心温まるお話でした。
描き下ろしの6コマ漫画は、この二人の馴れ初め編(幼馴染が、ある日ゲイバーで再会して…)。
アラフォーの二人がいい感じに渋くて、過去編も読みたくなりました!
■「Love Lab」
研究者(オヤジ)×助手。
アンドロイドの普及した未来、
人工皮膚の開発研究の第一人者・フォルツ博士(攻め)は大の足フェチ。
彼のもとで働くシュン(受け)は、ある日彼の秘密を知ってしまい…
これは「足フェチ」をテーマとした話。
シュンのふくらはぎのホクロに魅入られ、内緒で彼の脚を複製する博士。
シュンがそれをネタに博士を強請る…のかと思いきや、Hに誘うだけで、その後普通に恋人同士になってしまう展開はちょっと物足りないかも。
でも、Sっ気のある年下誘い受けは色っぽくて良かったです。
■「プリーズ・テルミー!」
先生+生徒(絡みなし。描き下ろしで先生攻めっぽい描写あり)。
教え子と付き合う高校教師が、Hしたがる恋人に手を焼く話。
描き下ろしの「クローズ・トゥー・ユー」は、
大学生になった教え子のもとを教師が訪ねる話。
離れても仲良くやっている二人に和みました。
■「あをき嵐の山より来たる」
オヤジ同士(人外攻め)。
鷹匠として修行中の全七はある夜、師匠と見知らぬ男に抱かれる姿を目撃。
男の正体は神様で、普段は鷹の姿をしており…
全七視点の話なので、神様と鷹匠の馴れ初め等よく分からない点が多くちょっと物足りないかも。
全七が覗く二人の絡みは色っぽくて良いだけに惜しいです。
全体として、
オヤジといっても男臭い感じはなく、小奇麗なタイプが多いので、オヤジが苦手な方にも読みやすい内容かと思います。
話はどれも短いですが、起承転結のしっかりした話が多く、作家さんの力量を感じることが出来ました。
次回作も楽しみです♪