還らずの夏

kaerazu no natsu

還らずの夏
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神73
  • 萌×236
  • 萌21
  • 中立3
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
21
得点
575
評価数
135
平均
4.3 / 5
神率
54.1%
著者
暮田マキネ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
三交社
レーベル
Charles Comics
発売日
価格
¥650(税抜)  
ISBN
9784879194916

あらすじ

愛してるから、さようなら。
オメガバース作品を含む珠玉の短編集
コミックス創刊第1弾!
初版限定描き下ろしペーパー付! !

「高校出たらさ、二人で暮らさね?」
陽(はる)と奈津(なつ)は物心つく前から、何をするにもどこへ行くにも二人一緒だった。
ずっと、こんな日々が続くと信じていたのにーー
君がいない夏がくる

表題作還らずの夏

17歳
19歳

同時収録作品『不機嫌なつぼみ』『咲き初めの焦燥』

サラリーマン,α
同期,β(仮)

同時収録作品いちばんしあわせ

使用人
御曹司

同時収録作品All things I know.

息子
育ての親

その他の収録作品

  • 描き下ろし(各作品それぞれの描き下ろし)
  • あとがき
  • カバー下(各作品についての説明)

レビュー投稿数21

泣きたいときの一冊

「はじめて、はじめました。」で初めて著者の作品を読んで、可愛いなと思って色々探ってるうちに見つけました。

短編集ですが、いちばんグッときたのは、表題作である「還らずの夏」と「いちばんしあわせ」。

メリバ系が好きな方は、スッと刺さると思います。

0

やり切れない切なさ

暮田マキネ先生の作品は全部好きですが、やり切れない切ない終わりが好みなので、特にこの短編集は好きです。



あとがきにもありますが、主に「涙(というか最愛の人の死)」・「オメガバース」・「心中」・「縛」の4つのテーマの短編が収録されています。

表題作品である巻頭の「還らずの夏」がまずめちゃくちゃ切ない。涙なしには読めないけど、これで暮田先生を好きになったとも言える。
登場する3人それぞれの気持ちも痛いほど伝わるし、3人ともが心から願う幸せになれないやるせなさにしばらく動けなくなるほど。



2〜3番目はオメガバースの「不機嫌なつぼみ」その続編の「咲き初めの焦燥」。
この短編集においてちょっと箸休めのようなほっこり作品で、あって良かった^^;



次は心中がテーマの「いちばんしあわせ」
悲しい結末ですが、このタイトルがしっくりくるなんとも言えない物語。



最後は一応家庭内恋愛の「All things I know.」
血は繋がっていない父子による執着系なストーリーなのに、父であるメイが抜けてるので、うっかり微笑ましく思ってしまう不思議。この物語の続編があるので、気になる方はぜひ!



そして、書き下ろしがそれぞれあって本編と違って癒されるんだけど、表題作のカバー裏はどーやっても切なくて、心臓がキュッとなる(T-T)




所謂ハッピーエンドはありませんが、定期的に読みたくなる大好きな作品です。

0

ラストの後日談で「酷すぎる…」と思わず声が出た

短編集です。
暮田先生の作品は初めて読みますが、絵が綺麗で読みやすいです。

表題である還らずの夏を読んで、「ヴッ…」と少し落ち込んで、でも大丈夫、わたしは彼らの幸せな時間をほとんど知らないからつらくてもすぐ立ち直れるよ!と、メリバ読書特有の謎ポジティブが発動しました。
しかし、読み進めていくと、なんということでしょう。
あったのです。幸せな夏の時間の漫画。
「ずっと一緒にいような」
このセリフを読んだ私は、このレビュータイトル通りの言葉が口をついて出ました。
「ひ、酷すぎる…」
順番って大事だと思うんです。
例えば、幸せな過去の時間→辛い現実だったら、まだその後泣くだけで終わります。
しかし、この作品では、幸せな過去の時間(少量)→辛い現実→幸せな過去の時間(少量だけどどれだけ2人が愛し合っていたかわかる)という、メンタル潰しにかかってるのかな?疑問に思ってしまうような攻撃を受けました。(でもそれが良い)(涙の数だけ強くなれるよ)
ちなみに、現実時間で受けの子が死亡エンドだったらこの攻撃は幸せみを増させるものになると思いますが、作者さんがあとがきで言っていた通り、多分受けの子は幸せになれないので、一生なつのことを思い出しながら生きていくんだと思うと、「ずっと一緒にいような」の言葉のしんどみが変わってきますよね。
泣ける分には泣けますし、後日談含めとても良い作品なので、地雷でなければぜひ読んでいただきたいです。

他の4編は心中していたり束縛エンドだったり、幸せオメガバースだったりするので、割と読みながらメンタルは保たれました。(後日談で崩れましたが)
つらいけど、乗り越えてこその幸せがあることを知っている腐女子、腐男子の皆様に、是非ともおすすめしたい一冊です。

0

シリアス系短編集。

暮田マキネさんの独特な絵柄と作品の空気感が好きで、遅れましてですが読ませていただきました。

まず表題作で泣けました......しんどい.......ハッピーエンドになれない2人に胸が締め付けられました......最後の表情がもう......。でもやっぱりこの1冊のなかで1番好きなお話です...辛いのに...なんでだろう......涙

そして表題作の他にも4作品ほどあるのですが(ハッピーエンド作品もあります!)、全体を通して重めの雰囲気に感じます。

最後の作品の「All things I know.」はファザー・ファッカーの2人ですね!?!?
ネタバレなしで読んだのでここから繋がっていたのか....と嬉しくなりました♪

0

表題作がよかった

表題作「還らずの夏」。
よみがえることのない奈津、に掛けているのかな?
登場人物も はる、ヒデあき…四季です。(冬はどうした⁉︎)

奈津と陽の言い合いのシーン。
勢いよく頁をめくると、そこにはふわりと浮遊している奈津の姿が!
見せ方上手いなー!

あと大好きなシーンがもう一つ。
陽は抱き締めてきた秀明を突き飛ばし、奈津に必死に手を伸ばしてその胸に飛び込もうとする。
が、その瞬間、二人の身体はお互いを通り抜ける!
そしてめくって次の頁。
ずしゃあっっ、と大きな音を立てて大ゴケするのです。
少しコミカルでもあるのが逆に泣けた。

対して秀明。
彼は泣きじゃくる陽をしかと抱き締めることが出来る。
生者と死者の如何とも出来ぬ隔たり……。
残された者と残し行く者。
そして生者は死者には勝てないのです。

還らないものもあれば、記憶に刻まれ失われることのない永遠もある。
スペシャルサンクスの後を見落とさないで。


他は、続きもののオメガバ2作。
心中もの。
「ファザーファッカー」の元ネタ話。
それぞれ趣向が違って飽きさせない。

この作家さんは言葉が文学的。
このコミックスには無かったけど、素敵な文章を引用したり。
叙情的な世界に引き込まれます。


1

表題作もいいのですが「All things I now

のちの「ファザーファッカー」となる読み切りです。
この読み切りの方が、淡々として心に響きました。

主人公がメイを愛すること、そのために「マコト」になること。
その決意が、のちの作品より強く感じられました。

Hなシーンだけではなく、Hに到るまでも、作者の駆け引きのうまさを感じ取れました。

0

表題作にひきずられる!

還らずの夏
切ないよー。あんなに仲良かったのに、幸せで同居の予定もあったのに。お互いが全てだったのに。

奈津が陽をかばったから…。でもきっと守りたかったんだよね。いつまでも3年経っても陽の傍を離れられなくて。
でも陽に7年も片想いして片田舎の大学まで追いかけてくる男の子がいて…。
陽はその子のこと好きなのかな?
奈津を追いかけずに…。
奈津がごめんなって泣くのが悲しすぎる!

不機嫌なつぼみ
いきなりオメガバース作品です。短編集だったんですね。
クールなβの主人公と王者の貫禄のαの同期。
いい同期だなと思っていたら!
まあまあ、なんてことでしょう!良かったね!

1

ほの暗い

ハピエンなのかそうじゃないのか、短編集で鬱々としてるのに不思議とじわじわ。
台詞が印象的で、ほの暗い雰囲気に惹きこまれました。
あとがきの「性欲の強い地味受け最高ですね」には完全同意です!

ファザーファッカーの前日譚が読めたのが良かったです。
英文と日本語訳が微妙に違うの苦い…
本編のやりきれない切なさは悶えたけども、本編最後の赤ちゃんの頃の足のエピソード…赤ちゃんの指ってめちゃくちゃ尊いやん?それ見ておいて、そんな幼い頃から見守ってて、恋心になるのって…ちょっとドン引いてたんですけど、前日譚を読んだら、まぁこの二人なら仕方ないな、二人とも歪んでたんやなって気持ちに落ち着きました。

0

あとがきの後で、さらにやられる

暮田先生の作品は、レビューが書けないものが多くて…。
受け取るものが多すぎるとしばらく惚けてしまって、落ち着くまでに時間がものすごかかる。
そこからこころに残ったものを文字にする作業が困難で。
この作品もレビューが書けるまでに何年かかって、何度読み返したか分かりません。

【還らずの夏】 神
ずっと一緒にいられると思っていた夏の日。
幼馴染の奈津と陽(はる)は、お互いに想い合って、そんな日が永遠に続くと信じていたけれど…。
泣けます。号泣です。
短編でここまで心を揺さぶられる作品は、数えるほどしか記憶にないですが、その中でも常時トップ3に入る名作。
テーマがズルイと言えばズルイけど、それでも何度読んでも泣けます。
最後の2ページは胸が潰れそうになりますので、ご注意を。
あとがきの後でまた泣かせに来ますので、そこもご注意を。

【不機嫌なつぼみ】【咲き始めの焦燥】 萌2
同期入社の貢川(くがわ・α)と忍野(おしの・β)。
お互いに仕事ぶりを認め合う2人だけれど、忍野には誰にも言っていない秘密があって…。
前半は忍野目線、後半は貢川目線です。
両サイドの胸の内が分かる構成、たまりません。
発情期が遅れているΩという設定だと、たいてい運命の番に会った瞬間にいきなりヒートが来ることが多いですが、ちょっと違う設定。
あまあまでべた惚れな貢川の忍野への好奇心が、恋情に変わった過程をもっと詳しく知りたかったなあという気もしないでもなく。

【いちばんしあわせ】 萌
資産家の御曹司(結)と使用人(伊智)の恋。
さらに大きな後ろ盾を得るための政略結婚を前に、2人は…という話。
短い中で伊智の生い立ちや2人の関係など、必要なことはしっかり押さえられています。
ただ、ちょっと分かりにくい構成になっていて、結が入院している理由と崖の上のシーンを結びつけてみたり、いろいろと脳内補完するしかないのが難点。

【All things I know】 萌
言わずと知れた『ファザー・ファッカー』の始まり部分。
父親だけど父ではない明(めい)、父だけど会ったことすらないマコト、母だけど明と真(しん)のいる家から出て行ったサエ。
あちらだけ読むと、真がどうやって本当の父親のことを知ったのか、木曜日に明がしていることをどうやって知ったのか分かりませんが、そのすべてがここに。

メリバからオメガバースまでいろいろありますが、何はさておき奈津が切なすぎるんですよ…。
しあわせにしたかったよね、しあわせになりたかったよね、って思うと、涙が止まりません。
こういう設定自体は他の作家さんも描いているし、その中ですごく好きな短編もあるのですが、置いて行かれた方目線と置いていった方目線で、また感じることが変わってくるわけで。
はあ…、もう一回読み返してこよう。
本当に良い作品です。

0

儚くも美しい短編集

表題作の『還らずの夏』
線香花火のような儚くも美しい悲恋。

「終わらないで」と線香花火の灯りに願うように
彼らもまた2人の時間を終わらせたくないと願う。

儚く灯りが落ちた余韻は切なくて胸をしめつける。
裏表紙のデザインとカバー下を眺めた時、そう感じた。

物心つく前からずっと二人一緒。
この先もずっと、こんな日々が続くと信じていた。

最愛な恋人・田富 奈津を事故で失うも、
若草 陽の前に幽霊として現る奈津。

いつまでも続かない関係にお互い
このままじゃダメだと分かっているが
気づかないふりを続ける。

奈津くんは自分の身体が薄れていくのを感じていた。
だからこそ、自分の身体が消滅する前に
陽くん自身に自分ではなく他の誰かを選ばせる
必要があったのかなと思った。

そうでもしないと、陽くんは奈津くんの
後を追っちゃうから。

死んじゃってごんなぁと謝る彼の姿に
優しさと本当の愛を感じた。

『不機嫌なつぼみ』『咲き初めの焦燥』

オメガバースのお話。
まだ発情期がこないΩ・忍野 環はβとして
真面目に慎ましく生きてきた。
そんな忍野が会社の同期として出会った初めての
α・貢川 優馬と番になるお話。

『いちばんしあわせ』

使用人と御曹司の心中するお話。
母に虐待を受け育った伊智に
救いの手を差し出したのは御曹司の結。

ぬくもりも知らない伊智は、
結の為だけに生きる使用人。

結に「死ね」言われたら
命だって惜しまない伊智に
「側にいて」と結は言った。

結より先に死ぬくらいなら………。

伊智は結との約束を守るため
心中することを決める。

『All things I know.』

義理の親子の話。
息子のシンは、育ての父親であるメイを愛してる。
シンとメイは血が繋がっていない。

メイはシンの実の父親であるマコトを愛してる。
マコトはもうこの世にいない。

マコトの忘れ形見であるシンをメイは愛してる。
メイはシンなしでは生きられない。

そのことをメイは気づいていない。
だから教えなきゃ。

"All things I know."

読んでみて暗い結末が多いですが、
それは果たして物語の彼らはどうでしょう?

誰が"幸せ"なんて貴方が決めることじゃない。
自分自身が決めること。

そんなメッセージを感じる短編集だと
私は思いました。

1

耽美的な描写の物悲しい作品

この作品集以前は、可愛い系だったので、大人の耽美風の作品にチャレンジしてみたのだと思う。
読み返すと、自分自身の廻りで亡くした人の思い出と重なって来る。誰かの命日に読むと、ず~んと重くなります。

---
還らずの夏(死に別れ)
 陽にしか見えない若草。
二人で事故に遭って、若草だけで帰らぬ人となってしまった。生き残った事を責め続けていた陽。

---
不機嫌なつぼみ(運命の番との出会い)
 忍野が勤務先で出会った貢川は、初めて出合ったαだった。忍野は、発情が未だ来ないΩ男子、βに擬態。運命の番との出会い。

咲き始めの焦燥
 忍野と貢川の最初の出会は、3年前の入社式だった。何故か惹かれて興味を持つ貢川。片思いだと思っていたけれど、番の返事を受けて喜ぶ貢川。
---
いちばんのしあわせ(心中)
「お前は今日から結のものだ 結の為だけに生きるんだ 伊智」
病身の結には、許嫁が居る。結が欲しかったのは、心。結の希みを叶える伊智。
---
all things I know 「ファザー・ファッカー」
 サエは、メイの妻。僕の母。
 メイはサエの夫。僕の父ではない。
 僕の父は、マコト。僕が生まれる前に死亡。メイはマコトを愛していた。
 僕=真(シン)。メイを愛しているので父さんと呼べない。
僕は、メイと暮らしている。シンは実父のマコトに似ている。

---
書下ろし:貢川x環 他、

3

薄暗い作品集

暮田マキネ先生とは相性が悪い人のレビューです。いい加減チャレンジしてみるのをやめた方がいい。
全体的に薄暗い、幸せ満開とはならない作品が並んでます。

◾︎不機嫌なつぼみ
お風呂場で致しているところを妹に目撃されてお祝いされるってシチュエーションは大好き!でも説明なんもなしでお祝いされたことに出来るのが、オメガバースだな、とふと。普通のBLならそんなことには…いや男女でもそんなことには…あれ?やっぱお祝いはおかしい?

◾︎いちばんしあわせ
堂々たるメリバですね。最近珍しい程ストレートな…ある種古典な展開。

0

重過ぎずに余韻の残る短編集

◆還らずの夏(表題作)
 この話の受けは亡くなった恋人の霊を何年間も見続け、ずっと彼から離れる決心ができない、というより自分は彼以外と一緒になることはできないと思い込んでいます。しかし、そんな受けの近くには長年自分のことを想い続けてくれている別の男性がいます。そんな状況を見かねた攻めは、受けに自分の元に来るほどの覚悟はあるのか?と確かめます。つまり、死ねるのかということですね。そんな言葉をかけられて、それはできないことだと気付いた受けは、ようやく攻めの死による呪縛から解放されたのではないでしょうか。ただし、攻めの方は霊となってからも受けへの好意がなくなることはなかったようで、最後に顔をぐちゃぐちゃにして涙を流す攻めのシーンがとても印象に残りました。

◆不機嫌なつぼみ / 咲き初めの焦燥
 βと偽っていたΩの受けが、初めての発情期を迎えてαの攻めと結ばれる話です。ストーリー展開としてはそう珍しくもないと思いますが、なんというか、劇的に描かれるのではなくて、フェロモンに惹かれる描写はあるもののどこか穏やかに展開していく雰囲気が良かったです。番になるか否かという問題についても、衝動的にではなく、きちんと受けの意志を確認してから答えを導き出します。こういう柔らかいオメガバースもありだなぁと思いました。

0

地味顔受け萌えに目覚める

地味顔、といっても悪口とかそんなのじゃなくて(笑)、あっさりめの顔というんでしょうか、ちょっと幸薄そうな、儚げな感じです。
普段は純朴そうだったり、生真面目そうだったりという印象のキャラが、すごく色っぽい表情をするそのギャップにやられました。

「還らずの夏」涙BL
表情、目線、言葉などからでお互いが想いあっていることがすごく伝わって来る。Hシーンはほんの数コマしかないのですが、そばかすのある童顔の受けの表情とか痕がエロい。
一緒にいられて本当に幸せそうだったからこそ、攻めが亡くなってしまい幽霊として受けの傍らにいるという現実がとっても辛い…。
キャラや物語に入り込みすぎると心が折れそうになります。
それくらい悲しいお話でした。
幽霊といったって、ずっとそばにいられるかどうかはわからないし、いられたとしても支えたり抱きしめてあげられる腕も体も無い…
どんなに好きで執着していても、前の二人に戻ることは叶わない。
だからこそ、私は二人には前に進んでいってほしいと思いました。
攻めは受けの幸せを思って行動しましたが、受けの方はどうなんだろう。攻めへの罪悪感から幸せになっちゃいけないって思ってそう。

「不機嫌なつぼみ」「咲き初めの焦燥」発情BL・オメガバース×BL
ただの同期でそれ以上の深い関係はないけれど、互いに対しての気遣いの言葉や、第三者の陰口に憤る様子から、それ以上の感情がありそうだな、と両片思いにキュン。発情期をきっかけに関係が変化します。
冷めた顔してた受けの発情期の火照った顔が色っぽい。それに中てられた攻めの受け大好きっぷりにも萌え。
なんといっても乳首責めがとても良かった…舐めて吸って潰してつねってと最高でした…
運命の番だってわかったから番になる!ではなくちゃんと好きって気持ちを確認してから番になるところが良かったです。
ワンコ×ツンデレ可愛い!
あと描き下ろしが、それは攻めはグッとくるだろうな…!って感じで好きです。

「いちばんしあわせ」心中BL
謎な部分が多くてちょっとよくわからなかった使用人×御曹司。攻めが地味顔。
受けだけでなく攻めも病気なのか?とかそもそもなんで死ななければならなかったんだろう?ともやもやしてしまいました。心中BLだから死ぬというラスト以外ないんですけど…
あとがき読むと、受けは駆け落ちのつもりだったけど、攻めは不治の病だから二人で薬飲んで心中した…ってことなんでしょうか。攻めが自殺未遂の時に「見つけたんだ 永遠の安寧を」ってモノローグで言ってるので、そのとき「死」に対して幸せみたいなのを抱いたのかな。解釈違ってないか不安。
家とか親とかいろいろなものに縛られて、愛している人と一緒にいることすら許されないという閉塞感はひしひしと感じました。

「All things I know」縛×BL
義理の息子×義父。
あとがきの「性欲の強い地味受けって最高ですね。」に何回でも頷きたくなりました。いかにも真面目なサラリーマンという感じの義父(35歳)が、毎週息子のいない夜に男に抱かれているなんて最高…。ほくろがえろい。
受けが愛しているのは攻め自身ではなく、亡くなった想い人の面影。
ダメだとわかっていても欲に流されてしまう受けがどうしようもない。「それでいいんだよ」と言う攻めの涙が切ない。
英語・日本語それぞれで書かれたモノローグのニュアンスの違いが面白かったです。洋画は字幕で見る派の人はこういうの好きなんじゃないかなと思いました。私は英語得意じゃないので辞書引きました(笑)。
親子モノという設定も歪な関係も大好きなので、続編あるのがとても嬉しい。

どのお話も演出を凝ったものにしようというのが伝わってきて、読んでいて面白かったです。
おそらく設定も相当細かく練っているんじゃなかろうか。
短編なのがもったいない!

0

お題ありきのストーリー作りがうまい!

シャルルのお題アンソロジー掲載作をまとめた一冊。

「還らずの夏」『涙BL』
大学生の恋人同士、でも片方は事故死した幽霊で…
自分のせいで立ち止まっている恋人の背中を押してあげる話です。
幽霊の泣き顔がとにかく切ない。

「不機嫌なつぼみ」『発情×BL』
「咲き初めの焦燥」『オメガバース×BL』
慎ましく生きてきたΩに初めて発情期がおとずれ、αを求めてしまい…
まさに発情!なオメガバースでしたが、その後の二人を描いた続編が好きです。
同僚である二人、αは発情前からΩに惹かれていたから番(つがい)になるのは願ったりで、決定権はαにあるのが普通なのに、考える時間を与え、Ωに決定をゆだねるのがプロポーズみたい。
そしてΩの答えは、今までのキャラ設定がひっくり返りましたが、単語と組合せが素敵すぎて萌えました!

「いちばんしあわせ」『心中BL』
母から虐待されて捨てられた使用人とお坊ちゃまの共依存の話。
お坊ちゃまは不治の病なのかな?そこがハッキリせず、死ぬ必要があるのかも疑問が残る話でした。
BLで心中話を読みたいか?って企画自体が疑問なアンソロジーだったと思います。

「All things I know.」『縛×BL』
一緒に暮らす父と息子の話。
父と母ともう一人の男の複雑な関係、その一部を引き継いだ息子、執着から逃れられない父。明るい話ではありませんが、複雑な関係を淡々と英文で説明するのが、かえって物語を盛り上げます。
この本の中で一番惹きつけられた話でした。

お題アンソロジーは全て読みましたが、暮田先生はお題をうまく取り入れてストーリーを作ってるのが印象的でした。

2

切ないけれど。

タイトルからして痛い話なんだろうなあ…、と手に取るのをためらっていた作品でした。けれどちるちるさんの「BLアワード2017」にノミネートされているのを拝見して、どうしても読んでみたくなり購入。内容はすでに書いてくださっているので感想を。




短編集ってどのお話も短い。なのでツボに入る話だともっと読みたいと思うし、話に入り込めずに終わってしまう作品もそれなりにあったりするんですが。

うん、どのお話もとっても良かった。
なんだろう、しぐさとか、表情とか、たった一言の言葉だったりとか。そういったものの描き方が非常にお上手で登場人物たちの内面までしっかり読ませる作家さんなんだな、という感じ。

なので反対に言うと、登場人物たちに感情移入しすぎちゃってつらかった…。

どの話も切なかったり、痛かったり病んでたり。ハピエンと言えるのはオメガバースものの話だけではないだろうか。けれど読後感は悪くない。きっと、どの話も、愛情にあふれているからなのだろうと思うのだ。それが、決して他人に理解しがたい形であったとしても。

なのでもしかしたら読み手を選ぶ作品かも。甘々で、ほっこりした話を好む方にはお勧めできない。けれど個人的にはとってもツボでした。初めて読んだ作家さまでしたが、違う作品も読んでみたいと思います。

7

少し悲しくて、少し病んでて、だけど粒揃いの作品集

思わぬ当たり作品でした。
暮田マキネさん初読みです。
表紙に惹かれて買いました。

これ、いつも面白いテーマでアンソロを出されているシャルルコミックスの第1弾コミックなのですね。
各話の初出は以下の通りです。

「還らずの夏」…涙BL
「不機嫌なつぼみ」…発情BL
「咲き初めの焦燥」…オメガバース×BL
「いちばんしあわせ」…心中BL
「All things I know」…縛×BL

このそれぞれのお題を念頭において読むと、お題に対する上手さが際立ちます。
アンソロの中で読んでたらどれも強く印象に残ったと思う。
そして何より、この作家様は言葉の選び方がところどころですごく詩的というか…ドキッとさせられるものが潜んでいます。
読み終わった後に単語が意味を持って頭に残るというか。
「永遠の不在」なんて、もうこの言葉だけ見ても泣けてきちゃうよ。。
あとがきに書かれている「救われないことが救い」という言葉も深いなぁと思いました。

“縛”のテーマで描かれた「All things I know」は、ギミックが面白い。
日本語で書かれているモノローグを追って読んだ場合と、英訳されたモノローグを追って読んだ場合とでは、そこに描かれている愛の種類が変わるようになっています。
思わずおおっと思った1編でした。

少し悲しくて、少し病んでて、読む人は少し選んでしまうかもしれないけど粒揃いの作品集です。

1

切ない…。

オメガバースのストーリー以外はどれも切なく少し病んでいる様に思います。
表題作の『還らずの夏』
二人が泣きながら「ごめん」とお互いに謝るシーンは、こっちまで胸が痛くなりました。悲しいけれど、前へ進むにはそれしか方法がないんだなぁ、と。

短編集なのであらすじは省きますが、息子と義父のストーリーはちょっともやもやしました。まず、母親がアレですが、真も父親の代わりと知りながら義父(しかもビッチ気味)を抱くのは結構爛れてますね。

2

全部面白かったよ!

面白かった!短編が何話か収録されていたが全部面白かった!
1話目、切ない 死んだ彼氏が可哀想だけど生きてる人が大事になるのは仕方がないのかな?
2話目と3話目は繋がってて、3話目の最後のコマが笑えた 。
4話目、少し私には理解し難くラストは結局どうなってしまったのでしょうか?
5話目、息子は養父自身が好きでだが、養父は息子を通して息子の本当の父親が好き、何か可哀想だけど一応ハッピーエンドになるのかな?
巻末の書き下ろしも短かったけど面白かったです!表紙をめくって見比べると左の男の子がいないのと、右の男の子の表情が寂しいのが印象的でした。

3

号泣

短編集です。
表題作は、アンソロ『涙BL』に収録されていた作品だそうです。
いや、もう、号泣ですよ…。途中うるっと、そしてラストの攻めの涙を見て号泣。
これに関しては、核心的なネタバレになってしまうので、あらすじは書くのを控えます。BLを数多く読んでいたら、たまにこういう作品に当たるのですが、油断していたからちょっとキました。『涙BL』未読でこれが初見だったので、泣ける作品ばかり集めたアンソロジーにこの作品が入っているのを読んだ、というのとは違い、心の準備が足りていなかった。


他短編が3点。うち印象深かったものを。
『不機嫌なつぼみ』『咲き初めの焦燥』
オメガバースです。オメガバースにしては衝撃的な展開も、かわいそうな展開もない、可愛くて切なくてエロキュンな話でした。
同期で入社したαのエリートと、βの地味な社員。α攻めはβが好きでまとわりついてくるんだけど、βはそれをやや邪険にしています。でもお互いに、誰か別の社員に相手のことを悪く言われたらかばうという萌える間柄です。
あるときαである攻めに縁談が持ち上がります。それにショックを受けたβの身体にある変化が、という展開。

絵が綺麗で、和風のすっきりした顔立ちのキャラが多いです。普段は淡々としている、楚々とした風情の受けが乱れるところがすごくエロス。αなのにワンコな攻めも可愛いけど、受けがすごく可愛くて愛おしかった。ラストのオチにも笑いました。妹さん…。(笑)


あとは主従の話、義理の親子の話が入っていました。
評価としては表題作とオメガバースが神、あとが萌×2というかんじです。

12

切れ長伏し目が色っぽい

テーマアンソロジー収録の短編を集めた本。
「涙」「心中」「縛」が単独、そして「発情」と「オメガバース」が連作。
全体的に切ない系なのは、作者さんの絵柄や作風が地味目というか、とにかくみんな、伏し目がちだからかな。
その意味では、切れ長で伏し目がちな目元に萌を感じるって方には、超オススメ。
真っ直ぐな睫毛とか、星の入っていない小さめの黒目とか、目の下の隈とか、お顔の表情メインのエロが実に色っぽい。
オメガバース設定連作以外は、短いだけにちょっと物足りないところもあるけれど、適度にエロ切なくて、掘り出し物でした。


5

この作品が収納されている本棚

レビューランキング

漫画(コミック)

人気シリーズ

  • 買う