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otouto no otto
田亀さんのお名前はもちろん存じ上げていましたが、ガチムチが苦手なこと、この方の作品は私にはハードすぎるイメージがあったこと、などから読むことはありませんでした。がしかし、この作品は非BL作品とのことで、そういった描写は無いのかなと思い手に取ってみました。
内容はタイトルから推測できる通りなのですが、一応ざっくりと。
主人公は弥一。小学生(年齢も学年も作中で出てきませんが、おそらく1~2年生かと思われる)の娘の夏菜を男手ひとつで育てています。
そんな二人の元に弥一の双子の弟・リョージの「夫」が訪ねてきます。リョージは10年前にカナダへ行き、そこでカナダ人のマイクと結婚したのですが、1か月前にリョージは亡くなってしまいます。マイクはリョージの故郷を見てみたいと、リョージの兄である弥一の元へとやってくるのですが…。
というお話でした。
ストーリーは弥一視点で進みます。
弟がゲイだ、ということを知り、どう対応していいのか悩んだり。
マイクとリョージの生活(もっとはっきり言うと二人の性生活)を想像してちょっと動揺したり。
あからさまに嫌悪するわけではないけれど、どう接していいのかわからない、というノンケさんならおそらく誰もが思うだろう感情を軸に、「LGBTとは何ぞや」を丁寧に綴った作品でした。
まだ子どもでなんの先入観もない夏菜が良いクッションになり、ギスギスすることなく、時にコミカルにストーリーが進んでいきます。夏菜の「マイクとリョージ、どっちが奥さんで、どっちが旦那さん?」の質問にマイクが「どちらもハズバンド」だと答えるシーンはすごく良かった。
弥一の、ちらりと覗く彼の本音とか。
リョージはきちんと出てくることはないのに、弥一とマイクのやり取りで、弥一とリョージの二人の歴史やそれぞれの想いがわかる描き方とか。
マイクの、リョージへの愛情の深さだとか。
さすがというべきか、そういった心の機微の描き方がとてもお上手。
他にも夏菜が、自分の父親に弟がいることすら知らなかったこととか、夏菜のお母さんは生きていて、実は頻繁に交流があることだとか、今後のストーリーの伏線になるのかなあと思うことがところどころ描かれていて、続きが非常に気になります。
匂い系でもなく、まさに非BL作品ではありますが、たくさんの方に読んでいただきたい、そんな作品です。萌えはないですが、作品の素晴らしさに☆5つです。
恋愛ものではなく、ヒューマンドラマなので非BLですが、名作です。
もし自分が主人公の立場だった場合、マイクにどう接していただろう?と深く考えさせられました。
主人公:佐藤隆太さん、マイク:把瑠都さんで実写ドラマ化もされましたが、涙なくしては見られませんでした。
LGBTについて知りたい人はもちろんのこと、LGBTはウンザリという人も、老若男女問わず、一人でも多くの人に読んでもらいたいです。
ちなみに一卵性双生児の片方が同性愛者の場合、もう片方も同性愛者になる確率は約30~50%だそうです。
遺伝子情報が100%一緒なんだから、そこは100%じゃないのか!へぇ~と驚いた記憶があります。
もちろん「じゃあ環境で同性愛者になるのか」と勘違いされる方もいるでしょうが、それは全くの誤解で、はるか昔から一定数、先天的な原因でそういった人々は存在しており、その割合はどの時代のどの集団で調べても変わりません。
この一卵性双生児の性的指向(※嗜好ではありません)が100%一致しない件に関してはいまだに謎のままなので、いつか解明される日が来るかもしれませんね。