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Je t'aime cafe noir
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
題名を和訳すると・・・
「好きだぜブラックコーヒー」だそうです(※作者のtwitterより)。
何度読んでいるかわからないお気に入りの短編集。
個人的に、超おすすめな一冊です。
せつなさを残す作品がほとんどですが、どれにも思いのほか「好き」のセリフがしっかり登場するのにはやられてしまうし、出来事の裏にある"見えない心情描写"がすごいのです。表題作『ジュテーム、カフェ・ノワール』は、目の前で起こる出来事を追うだけでも面白くてたまらないですが、次々に出てくる店員たちのナイスアシストにほんのりハッピーになれるのがよい。セリフがどれも最高です。それからこれは一冊を通してですが...相手に言葉で伝えられないことがあっても「心はひとつ」になっている、と感じる空間が描かれ、それがとても好き。
今作は新装版で、描き下ろしがプラスになっているほかに、各作品の掲載順序が大きく変更されています。また、旧版にあったカラー口絵は無くなっており、本の最後が驚きのカラーで〆られていました。ジャケットイメージも大人数カオス(表題作全キャラ)な感じからずいぶん変わっている。
この本には全部で7個の話が収録されていますが、一つずつ「こんな話」って書くのはとても難しいんですよ。やはり感情メインの感想になってしまいましたので、ぜひ先のふばばさんのレビューをお読みいただきたいです。順序も書いてくださっています。
久しぶりに読み返したけれど、やっぱりヤマシタ先生は短編が上手い。線の細い、この頃の絵が好きです。タイトルロゴがマグカップの底についたコーヒーの輪染みに囲まれたようなデザインで、シャレがきいています。
初めて読んだ時は「魔法使いの弟子」にいたく感動した記憶があります。時間を経て、今回は全作品にクるものがありました。
話が逸れて恐縮ですが、わたし、ヤマシタ先生がBLで描く女の子がすごく好きなんですよね。テーマ買いしたリブレの『女子BL』ってのが実はお気に入りのアンソロで、なぜにヤマシタ先生が寄稿されていないのか…、と残念に思ったくらい、女子視点で描かれた作品が特に秀逸だなと思っているのです。
この作品集も表題作然り、「魔法使いの弟子」にも女性が登場します。なんていうか、特定の女子キャラを魅力的に仕上げているわけじゃなくて、「こういう感性を持つ女子が好きだ!」っていう客観的なスタンスで描かれている感じ。ま、BLなので男たちの引き立て役に終始している点も好感度に貢献しているのかもしれませんね。
ヤマシタ先生の女子像って、なんだか憧れてしまうんですよ。彼女たちの魅力って、一体何なのだろう?
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
「魔法使いの弟子」
主人公は中学生か高校生の女の子。ボールで遊んでいたら、ママに近づいてはいけないといわれている男の家にボールが入ってしまった。(ボール遊びって、中学生かなぁ?)
その家の住人は男好きで気がふれている、と近所で専らの噂だった男。男がラナンキュラスや朝顔とお話ししている様子をみて、自分も草花とお話してみたいと少女は屈託なく男と言葉を交わします。
私は女の子だから、男の人が好きなあなたと一緒にいても大丈夫だよ。
僕は…女の子は生まれつき魔法使いだから怖いんだ。
なんてストレートでいてロマンチックなやりとりでしょう。これです、ヤマシタ節!
実は繊細で傷つきやすい男たちの心中を、さらっとモノローグにのせる。そして傷ついた男の力になりたいと純粋に思う女たちの姿を、BLで描いてしまうのです。
とても短いけど、これは女の人の無私の情というか、母性みたいなものに救われる男のお話なんですね。ヤマシタ先生の描く女性たちは包容力に溢れています。わたしはきっと彼女たちが見せる母性に惹かれているのかもしれません。
男性に限らず女性もそう。男性が父性を求めるように、女性も母性を求めている…。女性視点のBLは、 なぜだかそういったことを思い出させてくれるのです。
どのお話も切ないものばかり。「食・喰・噛」と、「ワンス アポン ア タイム イン トーキョー」はとりわけ余韻が素晴らしかった。詩雪さんがズバリ、全作品に共通するテーマをご指摘くださっていらっしゃいますが、プラス、わたしはそれぞれの旅立ちみたいなものも感じるなぁと思いました。お話はそれで終わったわけではなくて、各々の人生の次章が始まる、そういう期待感みたいなものも。
「BL作家の心に残る一冊」という本でためこうさんが推してるのは、この「ジュテーム、カフェ・ノワール」に収録されている【ONCE UPON A TIME IN TOKYO】で、この本何度も読んでるくせに思い出せなくて、いつか読み直そうと思いつついつも後回しに……。
で、久しぶりに再読してみたら、あ〜!この話か!と。
地方から上京し、京急の車掌になった男が主人公。
勤務中の電車に、大好きだった同級生が乗ってきて……。
毎日、大勢の乗客による人間模様を見続けてきた男が、傍観者ではなく主人公になるんだけど、なんともいえない余韻を漂わせた終わり方が粋で、そして切ない…….
なんでこの話を忘れてたんだろう?と思ったけど、他の話が好きすぎるからだった。
一番好きなのは、【食・喰・噛 cu,clau,come】
好きなノンケ男のためにせっせとご飯を作るゲイのお話なんだけど、めーーーっちゃ切なくて切なくて…好き。
美味しい飯にありつけるなら、あいつの気持ちなんか知ったこっちゃねーよ!みたいな酷いノンケではないと思うんですよね。
もしかしたら、少〜しずつ少しずつほだされていたんじゃないかな。
もしノンケ男の父が倒れなかったら、恋愛関係に発展してた可能性があったかもしれない。
あいつが作るうまい飯を食べてる時が一番幸せだなぁ〜。
でもやっぱり俺、女が好きだしなぁ……でも……みたいな堂々巡りが絶対あったからこその、あの涙なんじゃないかなと。
何度読んでも切ない……。
他にも印象的な短編が詰まってますが、特に表題作は秀作で、とにかく読んでみて!の一言です。
あーすごい!
すごい感性‼︎
優しくて切なくて苦しくて……
いろんな感情が引き出されるし、共感もできる。
ヤマシタ先生すごいなぁー
【ラ・カンパネラ】
賢くて暗くて偏屈な友人を好きなタカイチのお話です。
恋に落ちる時の様子を〝心で鐘が鳴った〟と表現されています。
好きな子の着メロが鐘の音なので、
むやみやたらにメールしては鐘を鳴らすタカイチ。
本当は両思い?と匂わせるだけ匂わせてハッキリしない。
もっともっと読みたくなる二人でした。
【サタデー,ボーイ,フェノミナン】
「オカマ野郎」という言葉で好きな人から傷つけられた高校時代。
……消えてなくなりたい……と思う気持ちが切なくて泣ける。
傷付けられた友人と再会し、
これからもしかして……?と思わせるラスト。
憎たらしい友人の男が可愛く見えてしまうから不思議……
ヤマシタ先生マジックですね!
【こいのじゅもんは】
RPG好きな主人公との噛み合わない会話が楽しいお話しです。
「……かけていいよ おれに 恋の呪文」だって^^
可愛すぎて悶える!
【食・喰・噛】
料理上手な主人公の元に毎晩夕飯を食べに来る男。
その男が好きな主人公。
「3ヶ月で人間の細胞は入れ替わる」
だから、3ヶ月で別人さ……と言います。
その後、友人が突然結婚することに……
3ヶ月で忘れるという主人公と、
忘れないという男……
切なくて切なくて苦しかったです。
きっと両思いだった……そんな気がします。
【ジュテーム、カフェ・ノワール】
3組のテーブルと二人の従業員のお話です。
それぞれのテーブルには悲喜交々の人生があり、
その中で何故かうまくまとまるのが従業員二人という(笑)
自然と起こる客同士の掛け合いが楽しかったです。
〝涙の止まるコーヒー〟いいよね^^
【魔法使いの弟子】
ヤマシタ先生の作品に登場する女の子が大好きです。
この作品は、男に手酷く振られたゲイの男と高校生?の女の子の交流を描いたもの。
女の子が魔法という名の優しさで、
過去の恋の呪縛から男を解き放ち、新しい恋に向かわせます。
とても切ないけど前向きにれるお話でした。
【ワンス アポン ア タイム トーキョー】
高校時代の恋を引きずる車掌。
人の行き交いにドラマが見える電車で見かけたのは、
かつて恋した男。
これから止まっていた恋が動き出す?
と思わせるラストに胸が温かくなりました。
各話の描き下ろしがまた面白くて、
なんであの切ない話を最後の最後に笑いにしちゃうの?
という、いつもの展開(笑)
それがまた、重かった心を軽くしてくれるのです。
とにかく、全てが素晴らしかった!
何度でも読みたくなる作品集でした。
2009年刊の短編集の新装版。
どの短編も軽いひとひねり、ひとさじの皮肉、ひとつまみの悪意…
この妙味、ご賞味あれ。
「ラ・カンパネラ」
のっけからナナメに構えたヤマシタトモコ節炸裂。カンパネラは鐘のこと。暗くて偏屈な日比谷要(ひびやよう)君の着メロが鐘の音。誰とでも友達になれるタカイチが要を好きになる。
心で鐘が鳴った きみに嫌われたい きみが好きだ
ねえ 鐘鳴った?(要もこれから好きになるかもね)
「サタデー,ボーイ,フェノミナン」
高校時代の手酷い拒絶。謝りに来る好きだったひと。
「もう一度お前に好かれたいって俺はっ…」
地球に未練なんかないほど傷付いた少年の頃の恋だったけど。
ぼくをさらってくれUFO 今なら宇宙にふたりきり 放り出されても構わない
「こいのじゅもんは」
ゲーマーの恋。 ゲーム用語を使った噛み合わない会話。
それでも現実はリアルな生身。「…殴られた脇腹が痛くってさ…」
でも、嫌いだったら「召喚」になんか応じない。
「…かけていいよおれに 恋の呪文」
「食・喰・噛 cu,clau,come」
餌付け、していた、と思っていたけど。………泣くなよ
……タマネギだ
(読んでるこっちが泣けてくる)
「ジュテーム、カフェ・ノワール」
「この狭い空間にホモが3人!」のドラマだらけの群像劇。
3組のお客のカオスが、一杯のコーヒーで終結!
「涙の止まるコーヒーです」…超〜〜小粋!
「魔法使いの弟子」
恋の魔法に囚われている男。別れた男が忘れられなくて。
知り合った怖いもの知らずの女子高生は、この呪縛を解いてくれるの?
「ワンス アポン ア タイム イン トーキョー」
東京の京浜急行の車掌さんになった男。ある日車内で高校時代に好きだった男を見つける。なにげにずっと忘れないくらいに好きな。
沿線の駅名。大鳥居、穴守稲荷、天空橋(実際の駅名です)、素敵だろう天空から羽ばたくんだ 今日はどちらまで?…ねえ今日はどちらまで?
「…さよなら ようこそ 東京へ」
ショートショート4篇があって、
描き下ろし「新・魔法使いの弟子」
そのカレへの未練は吹っ切れたのかな?新しい恋ができるといいね。
一言づつ書いてみたけど、これじゃなんだかわかんないよね。是非読んでみてください。どれも奇妙にねじれたヤマシタトモコワールドが炸裂しています。
詩雪様
コメント下さっていてありがとうございました。コメントにも気付かず返答の仕方もわからずでして、大変失礼しました!
この新装版は、書き下ろしがちょっと少ないよ〜、と思っております…。
新装版へのレビューをちるちるに促されたのでこちらに。持ってるのはBL漫画っぽくない表紙の旧版です。
友人でいたいのに、友人関係を壊したいような人たちが沢山出てくる短編集です。
「魔法使いの弟子」が好きでした。BL漫画の真中心からはだいぶ遠い作品です。ヤマシタトモコ先生らしい、絵本作家でゲイのおじさんと女子高生の組み合わせです。
BL漫画にハマりたての頃、先生の作品を立て続けに読んだので、必ずしも主役達は幸せにならない物語を沢山摂取することに。少数派なんですよね、そういうお話は。でも永遠の愛よりよほど自然なことだと思うので、そこも好きです。
短編集。これまたおもしろかったです。
□ラ・カンパネラ
「賢くて 暗くて 偏屈で」
「自信家で 卑屈で 差別主義者で」
「照れ屋で さみしがりの きみが」
わかる。こういう人いるよね〜と思いました。
頭がいい人って嫌でも周りの人のことを頭悪いなぁと思っちゃうんだろうなと感じておりまして。
無意識に差別してしまう(ま、頭良くなくても悪意なくとも差別心はたぶん誰にでもあると思いますが)
それは人に伝わるし、うまく交流できず孤立しがちになる。
そういう人にも良さがあり、それを見抜き惹かれ好きになる話。
□サタデー,ボーイ,フェノミナン
─ぼくをさらってくれUFO
─地球に未練はない
イルミナシオンでは神様に語りかけていましたが、今回はUFO。
わかります。ここではないどこか、誰かにすがりたい気持ちがよく伝わる。
□食・喰・噛
「カレーが食べたい」と言われながらカレーを作らない。
ずっと食べに来てほしいからですよね。
相手が結婚する、明日発つと聞き
「カレーは明日だ 残念だったな」が切ない。
□表題作
席が近いよ、どこで告ってんの、そんなことまで言う?!と笑ってしまいましたが。
店員Aの「おれはこーゆー純喫茶的演出がしたいんだ‼︎」に爆笑しましたw
焦りながらもプロの接客スキルと店員同士の会話と、お客たちのやりとりがよく出来た喜劇で最高でした。
後日談で、店員Aが常連客に陰でマスターと呼ばれてるのもツボでした。
□ワンス アポン ア タイム イン トーキョー
伊丹というのは兵庫県伊丹市のことですね。
伊丹と羽田は空でつながってるもんねと思いました。
自分的ツボだけ書きましたが、それぞれ薄めながらしっかりBL的な展開がありよかったです。
旧版ではあとがきが収録されていたようですが、新装版ではなく。
先生のあとがき大好きなのでそれがめちゃくちゃ残念です。
※旧版を読んでの感想
◆魔法使いの弟子
同性に失恋した男性と、世間から遠ざけられている彼を見つけて勝手に仲良くなる女の子の話で、BLらしいシーンは一切ないのですが、それが逆に胸に刺さるというか、寂しさが余韻を引く物語でした。お互い魔法なんて存在しない、と相手を否定するようなことを言わない人間性も素敵。きっと女の子にはいろんなものの声が本当に聞こえていたんだと思います。描き下ろしでは、男性が新たな恋に前向きになっている姿が見れてほっとしました。
◆cu, clau, come 食・喰・噛
これも結末が切ないのですが、それまでの2人のやりとりがほのぼのしていて、束の間の幸せという感じが寂しいけれど温かい作品でした。料理で確実に胃袋も心も掴んでいた加保だけれど、元々ノンケの城尾を引き止めるには不足で。お互い泣くくせに、一緒にはなれないもどかしさにたまらなくなりました。
◆ジュテーム、カフェ・ノワール(表題作)
さすがの表題作です。1つの狭いカフェの中で描かれる様々な人間模様。ゲイとノンケの友人同士、妹思いの姉、付き合ってない男女、そしてカフェ店員の2人。最初は独立して会話しているのが、時々絡み合うと面白くて噴き出したり、ちょっと切なかったり。でも、この作品のカップル2組には、きっとこれから良い関係になるだろうなぁという明るい希望が持てたので、すっきりと読み終えられトリに相応しい作品でした。