条件付き送料無料あり!アニメイト特典付き商品も多数取扱中♪
(旧版を読んでの感想です。)最後の最後まで魅せてくれた作品でした。何不自由ない贅沢で穏やかな暮らしを手に入れても、サーカスで生きた日々への妄執から逃れられないトリノス。ブランコから落ちた弟、ピンで頭を打って以前のようにジャグリングができなくなったレオ。華やかで非日常的なあの夢の世界は、ただ綺麗なだけではない。命の危険や能力を失う危険、舞台上でも私生活でも自分の身体が自分の思い通りにならない辛さと常に隣り合わせで、苦痛の世界と表裏一体でもあるのです。それでもサーカスは彼を惹き付けてやまない。彼はサーカスに生きるために生まれてきた人間なのかもしれないですね。
強い執着を見せながらも最後には彼を解放したオオナギは、やはりそこらの下衆とは違い、良心の残った人間だったのかな。トリノスに図星を指されて、堕ちかけていた自分に気付き、そこまで堕ちたくはないという最後の足掻き、自らのための偽善や強がりだったかもしれないですが、同情の余地はありました。そもそも彼に身を委ねようと手を取ったのはトリノスの意思ですもんね。代わりにやってきたミシェルとの蜜月は、読者も思わず期待してしまう甘さに満ちた日々で。終末の予感を持ちながらも、終わらなければいいのにと思ってしまったり。それでもミシェルは自分を愛してない人と一緒にいたいわけじゃなくて。ずるずると関係を続けなかった彼は潔い人間だなぁと思いました。
そして、最後の団長の言葉は沁みました。トリノスは事故を「悲しむだけで良かったんだ」と。弟とのことを複雑に考えるあまり雁字搦めになっていたトリノス。あの日弟の手を離してしまったのはわざとじゃない。相手を大切に思っていようが何だろうが、不幸な事故はいつでも起こりうる、それがサーカスという空間。弟を殺したいほどの感情なんて持っていなかったはずなのに、彼はその簡単な事実を見失っていた。サーカスが好きで、弟のようにブランコで綺麗に宙を舞いたかった。ただそれだけだったのに。すべての柵から解放されて、もう一度あの世界へと足を踏み入れたトリノス。彼が今度はどんな風に活躍するのかはっきりとは描かれず、想像の膨らむ終わり方でしたが、きっとどんな役であっても美しくそこに在るのだろうなぁと思います。
結末は意外なものでした。
ミシェルがトリノスを救うのかと思っていたから。
下衆エロ親父の印象しか無かった団長がまさかのね…。
トリノスと団長、二人の対話に圧倒されました。
大怪我をしたブランコ乗りのミナもジャグラーのレオも、それぞれが自分の幸せを掴めていそうでホッとしました。
最後の葉書にトリノスは何て綴ったんだろうか?
宛先はMから始まるお相手…絶対ミシェルにだよね。
気になるなぁ。
あと子ども可愛いっ!!
描き下ろしではトリノスとミシェルの再会がほのめかされていて嬉しい。
それにしても魅せるわぁ(*´Δ`*)
独特の雰囲気にほんと惹きこまれます。
密度濃厚。
"NOT BL"とされている作品です。
Ⅰ・Ⅱ巻合わせてのレビューとします。
舞台は70年代初頭のパリ。サーカス団に所属する主人公と、また彼に関わる人たちそれぞれの物語がときにミックスされつつ描かれます。この作品から私が受けた印象を一言でいうと "始動" 。
この作品。どこまで進んでも自分のなかではモノクロの世界、しかしフィナーレの開幕シーンではキラキラとしたライティングに、スポットとともに重低音が響くようなBGMが聴こえてきました。こんなにも組み立てられた作品が独特のスパイスで香りづけされ、二冊の本にふわふわと広がっていてすばらしく"おもしろかった"です。この作品にはふさわしくない、少しおかしな表現だと思うのですが。
アーティストとはなにか。いまの自分が好きなのか。逃げても逃げ切れない。あきらめたくはない。わかってくれる人はだれか。愛してくれる人はだれ。アーティストになれ!そして心のなかのモンスターと向き合えたとき、ようやく生きていることを実感するようなクライマックスに一瞬で鳥肌だった。転んだとしてもまた起き上がれば生き様となっていく今日、今までの時間に、はじめから終わりまで、目を背けることができませんでした。
また、こちらの新装版には描き下ろしが収録されています。
「Ⅰ」には切ないながらも甘くて安堵感に包まれた、『la sieste』(お昼寝)。「Ⅱ」には自分も駆け出したくなった、『le souvenir』(思い出)。
実はちるちるユーザーの方から私がきっと気に入ると思う、とおすすめいただき、購入する運びとなった本作『コペルニクスの呼吸(新装版)』。読むことができて本当にありがたく思っています。この二冊を読んだ二日間が自分でも忘れられないものになりそうです。読む人を選ぶ作品だと思いますが、たしかに強く感じるものがある作品。
『コペルニクスの呼吸」の2巻。
相変わらずダークな2巻ですが、それでもこの巻は1巻に比べ救済のストーリーになっているのかな、と思います。内容をざっくりと。
オオナギに妻がいることを知ったタケオ(トリノス)は妻・ココに対する懺悔の気持ちを持ちつつ、それでも怠惰な生活から抜け出せずにいます。
そんな中久しぶりに再会したレオからサーカスのチケットをもらったことがきっかけでサーカスへの情熱を再燃させますが、オオナギはタケオを手放さない。
オオナギとの関係、ココとココの弟・ミッシェル、そしてタケオの弟のミッシェル、様々な葛藤や想いが交錯し、ストーリーが急展開していきます。
けれど、人の根底にあるのは他者への愛情であり、そしてどん底から這い上がるために必要なのは好きなものに対する情熱と執着心なんだな、と。
ショタ趣味であったオオナギがタケオに執着したのはなぜか。
ココとの関係に悩み、タケオに救いを求めたミッシェルの本心は。
過去のトラウマに悩み、サーカスから離れ流されるように生きてきたタケオが、最後に求めたものは。
サーカスの存続のために色々なものを犠牲にし、そして一生をささげたオーギュスト(トリノスの在籍していたサーカスの団長)の、サーカスに対する情熱。
痛い表現もかなりありますが、トリノスがサーカスを通じミッシェルへと戻り、そして成長を遂げていくストーリー展開には圧倒されました。
描き下ろしは『le souvenir』。
旧版はオーギュストの妻と手を取り合ったところで終わっていますが、その後が描かれています。
ごめんなさい、ネタバレしてるのでおいやな方はスルーしてください。
ココの弟のミッシェルは、ある日とある公園で一人の癖っ毛の黒髪の男の子に出会います。
その子はとても人懐こい子で、「大きくなったらクラウン(ピエロ)になりたい」と将来の夢を語ります。自分のパパもクラウンなのだと。パパが大好きなのだと。
その子が家に帰り、「パパ」に公園で出会った男の人について話します。容姿や「パパと同じ名前だったよ」と言う話を聞いて、その公園へと走り出して…。
BL的なストーリー展開は1巻に比べればありますが、それでもこれがBLか、と問われれば答えは否でしょう。そんな中、描き下ろしの『le souvenir』にはホッコリとさせられました。
ミッシェル(トリノス)とオーギュストの妻だったルネとの関係は、お互いの「サーカス」への情熱という点で繋がっていたと思うのです。
が、二人のミッシェルの間に、これからどんな関係が築きあげていかれるのか。
今後の二人に幸あれと願わずにいられません。
表紙のオレンジ色の髪のナイスガイはいったい誰なんだろうと思ったのですが、彼がミッシェルだったんですね。1巻を読み終わった時点では彼が誰なのか分からなかった…。
イヤ、失礼な感想でゴメンナサイ。
というように絵柄はかなり今のものとは異なるのですが、描き下ろしの『le souvenir』で出てくるミッシェル(トリノス)の息子が、まあ可愛いのなんのって…!
表紙とともに、今の美しい明日美子さんの絵柄を堪能でき、そして腐妄想できる、素晴らしい描き下ろしでした。
詩雪さま
コメントありがとうございます☆
おお、同じ思いを共有してくださって嬉しいです。
そうなんです、あの男の子!めっちゃかわいいですよね~~。あの笑顔にやられてしまいました。
表紙も素敵でした。新装版が読めて、私も本当に嬉しかったです。
ありがとうございました☆
愛よりももっと深く愛していたよ おまえを
憎しみもかなわぬほどに憎んでいたよ おまえを
わたしに重なる影ー わたしの神ー
そんなモノローグで終わる萩尾望都大先生の短編『半神』
一卵性双子の女の子の、わずか16ページの物語。
この物語でも、自分の半身を「天使」と語ります。
今回の『コペルニクスの呼吸』を読み直し、ふと頭によぎりました。
そう、この作品は萩尾先生の『トーマの心臓』や『ポーの一族』をBLと呼ぶ読者がいないことと等しく、BLという物差しでは評価できない別次元の作品といっていいのかも。
そして、『薫りの継承』も含め、装丁がビューティフル!
私は特別、明日美子先生の大ファンではなく、持っていないコミックスもあるくらいなのですが、このコレクション全巻と近刊は面出しで飾りたいです。
※上巻にまとまった感想を載せています。