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kaori no keisho
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
義理の兄と弟。禁断の関係の終着点はまさかの事実が明らかになり、息を呑む展開に最後まで一気に読んでしまいました!
1冊丸ごと、どこを読んでも覗いては行けない、足を踏み入れてはいけない所に間違って入って盗み見ているような感覚になる背徳感で溢れています。
目隠しのまま目が見えない状態で犯される背徳、誰かに見られながら行為をする背徳、結婚して子どももいるのに男性と関係を持つ背徳、兄弟と身体の関係を持つ背徳、、とあげたらキリがないほどの道理ならざる内容ですが、不義理が明らかになると同時に衝撃の事実がわかり、更にこの作品を禁断のストーリーに昇華しています。ここまでいくと、もはや見事と言わざるをえません。
兄弟の身体を絡めるシーンは繊細なタッチで描かれているのに異常に官能的で美しいです。
そして、描き下ろしで再び唸りました!
仄暗く官能的背徳感溢れる兄弟BLを読みたい方にはおすすめです!
上巻のときから思ってたんだ、このまま2人が生きて一緒にいられるわけないと
どうにか妻にバレて関係が破綻するか、弟に妻ができて秘密のまま関係が続くのか…
そう思っていたけど、バレたけど逃避行しちゃったのね
そうかー、逃避行ね、最高かよ…って思ったのもつかの間、やっぱりお兄さん亡くなってたね…
亡くなる間際のうつくしい笑顔、妻に宛てた手紙の、弟を愛していたという告白が、つらいけれど綺麗な終わり方だったと思った
甥っ子が継承していた暗転は、今後どういう展開になるのか、結局父とおなじ道を行くのですね…という気持ちになった
メリバ作品をそんなには読んでないですが、なかなかこの作品程のインパクトを残せるものは無いんじゃないかなと思います。
絶望感と高揚感とが同時に湧き上がるような感情を味わっています。
やはり片方が居なくなるというエンディングは個人的には残念なのですが、この2人の場合少しの間だけでも自分の立場と気持ちに折り合いをつけてお互いに愛を確かめ合えた、そこに救いがあったなと思います。
眼帯の浮浪者風の男、あれって上巻で少年期の竹蔵にイタズラした男ですよね?
どういう事なのか、何か深い意味があるのかまだ読み解けてないので再読が必要かなと思ってます。
父親と叔父の関係をくまなく理解していた要がその性癖をしっかりと継承しているのがタイトルに繋がってるんですよね。
この辺りの物語はまだ終わらないという感じ、仄暗さにゾクゾクが収まりません。
かつて通しで読んだはずなのに、なんだか展開を忘れているところがありました。上のレビューで「よくある話」と言っちゃってますが、ラストがまた「よくあるラスト」で…こうするしか話は落ちないけれど、それは逃げだよなとも思うし、これぞ様式美でもある。これで竹蔵が女だったら自分は歯牙にも掛けないであろう作品なのに色々とぐだぐだ思えるのは明日美子先生の本だからです。展開を忘れていたのは自分好みじゃないからなんでしょう。どこまでいっても2人は幸せに暮らしましたとさ…が好き。
歪みながらも、それなりに幸せだったのだと思う。
誰にも言えず、秘密裏に。激しく情交を交わし合う竹蔵と忍。
決して互いの生活にそれを持ち込まない様に。壊れ物を扱う様に。ひっそりと熱く。
ところが、幸せな時は短くて。突然終わりを迎える。
下巻は呆気ない程、短く感じられて。少々拍子抜けしてしまった。
彼等の幸せは小さな綻びから壊れて行く。義姉の全くの善意から、(彼女はこの時、実に呑気だ。)独身の竹蔵に育ちの良さそうなお嬢さんを紹介する。
彼女の好意的な誘いを感じた竹蔵は、意地悪くも兄との情交を見せつける。読み終えて仕舞えば、これが破滅へのトリガーだったのだ。
竹蔵は実に余計な事をした。自分の嫉妬と執着の為に、大切なものを自ら壊したのだ。
はるかさんは勿論、先輩である茉利子さんへ告げる。これはおぞましい事なのだと。
茉利子さんは夫である忍に愛されることが無くなっていて。焦燥していたのだと思う。
ずっとモブとして顔を描かれることの無かった彼女が、歪んだ表情で、事実を突き付ける場面は哀しい。可哀想に。彼女はただ、苦しめられただけだ。
話は急に畳み掛けるので。彼等の苦しみや苦い余韻はあまり感じられなくて。
少し唐突な終わりの様な気もしました。
ただ。何処かへ逃避行していた、竹蔵と忍が、2人だけでいられれば幸せだった筈なのに。
忍は多分。その罪の重さに生きていられなくなったのだと思う。
竹蔵が最期に見た、忍のやつれた美しい笑顔が寂しくて。優しくて。涙。
いつも律して、冷たくとりすました様な顔をしていた、忍の柔らかな笑顔。
それは無残にも消えてしまう。
描き下ろし「暗転」は、タイトル通り。暗転したかの様に数年後。
利発そうだが、歪な性癖に目覚めた要はいつかの父親の様に、目隠しをして男に犯されるプレイを楽しんでいる。こうして「薫り」は「継承」されて行くのだと、作者は言いたいのかもしれないが。これは蛇足なんじゃないかとも思う。
要がいくら欲しても、父と同じ様な快楽と愉悦を得られるわけが無い。
竹蔵と忍は、最初からずっと。惹かれ合うしか無い兄弟で、恋人だったのだから。
それにしても、第10話の緊迫感は凄まじい。セリフの無い、ただ暗闇で交わされる、延々と続く情交シーン。息が苦しくなってしまった。
最後の方で出て来た、ホームレスの男は、まさか。学生の頃、旅行に出かけた先で、竹蔵を襲おうとしていた眼帯の男か。彼は何者だったんだろう。
久しぶりに再読。
明日美子先生はやっぱり同級生が一番好きですが
こちらは絵とストーリーがめちゃくちゃあってるなあと。近親相姦のメリバほんとに
先生の絵が芸術レベルにお耽美爆発してる。
目隠ししてのセックスが
エロいけどきれいすぎてエロいのかしら?とも思ってしまいます。
それはそれは美しいのでそれだけでも神かなと思いますし。
改めて読むと上巻は大人にいたずら?されるし
兄弟親子三人丼ぶりしたり結構気持ち悪いなと思いました。
ですがラストわかっていてもやっぱりひきこまれるし
下巻の兄のターンがいい。
兄さんが妻に誘われてたのに
逆に弟のレストランに行ってしまったところ。
初めて読んだ時は最後思ったとおりだったけど
兄さんが死ぬとこ妻に書いた手紙のとこで涙腺崩壊しました。自死しかないのねやっぱり。
ひとつ気にくわないのはずっと口元くらいしか出てこなかった妻ですが
DNA鑑定を叩きつけるとこで
お顔全部描いてしまったとこ。
あのシーンあの表情お顔見たくないなと思いました。
なんか絵の画風?もデフォルメされちゃっててふつうじゃないし。
書き下ろしも改めて読むと不穏な感じすぎてあんまり好きじゃないです。甥っ子は重要な登場人物ですが突っ込みどころ満載すぎます。
男同士の時点で、いけないっちゃいけないし、世間体が悪いと言えば悪いでしょう
更に義兄弟、騙しうち、アブノーマルなプレイ、そもそも不倫とかなりの業が積み重なってるのに今更そこに血の繋がり、本物の兄弟だという要素を追加したところで、それは死ぬほどのことでしょうか
帯に書かれてた、[禁断の愛、衝撃の終幕。]
正にその通りだった。
なんも予想せず読み進めてたんで、突然の展開に驚かされた。
胸が苦しいしポッカリ感があるって事は、
竹蔵に同調してるからなのか。
あー、私は結局BLにおいてハッピーエンドが好きなんだなー。
お話が面白ければ酷い話でもいいって思ってたけど
しんどいな。
死ぬ系は、ダメかも。
しかし要くん、この先拗れた性癖
どうなっちゃうんだろ。
叔父さんとお父さんの戯れは、愛があったんだよ。
愛する人見つかってくれたらいいな。
最後まで誰も多くを語らず終焉を迎えましたね。忍の妻が自分を省みない夫や息子に耐えきれず行動を起こすことで、物語はあらぬ方向へ動き出します。結末だけを考えるとそれは悪い方向だったのかもしれないけれど、私は必ずしもそうではなかったのではないかと感じました。最後に2人の兄弟は、確かにお互いをしっかり認識して愛し合うことができた。妻があのまま何も知らないふりをして耐え続けていれば、この蜜月は2人に一生訪れなかったかもしれません。
実は彼らが義兄弟ではなかったという事実には驚きました。竹蔵が出会った当初から忍を愛さずにはいられなかったのはここにも理由があったのかな。得体の知れない畏怖の気持ちから、そんな竹蔵の存在を必死に締め出してきた忍。意識の深いところで薄々本当の兄弟だと勘付いていたから、自然と彼は竹蔵を恐れたのかもしれません。本来なら普通の兄弟として幼い頃から遊んだりできていたかもしれないのに、ちょっとした歯車の狂いで優劣関係ができ、冷たく接するしか思い付かなかった忍を想うと、やりきれない気持ちになります。しかし、それももう限界だったんでしょうね。最後の最後に竹蔵に見せてくれた忍の屈託ない笑顔が目に焼き付いています。きっと彼はこの時幸せだった、そう願いたいです。
自分が焚きつけたせいとはいえ、幼い頃から竹蔵と忍の背徳感に塗れた情事を見てきた要もまた、歪んだ性癖を得てしまうところも、最後まで救いようがなく面白かったです。普段は下に見ている叔父に抱かれる父に欲情していたのか、傲慢に振る舞う父をベッドでは組み敷く叔父に欲情していたのか、無意識の内に父に自分を重ねて爛れた快楽を貪っていたのか。これも私にははっきりとは分かりませんでした。でも、この兄弟の情事は、間違いなく要の今後の人生に暗い影を落とした。彼には2人のように切っても切れない関係のような相手はいない。つまり、この先一生満足を得られない可能性もありますよね。どこまでも罪深い大人達。そんなどうしようもない2人を、私は嫌いにはなれないのです。
ラストを見て理解しました。
薫りの継承ってそういう意味か……。
その薫りは要にも継がれるんだと思うと胸が痛いです。
これは竹蔵と忍にとっても要にとってもメリバ…ですね。
忍は血のつながりと自分の想いに耐えきれなかったのかな。どちらにしろつらい。
死ぬ直前のハネムーンが忍にとって人生で一番幸せな時間だったら良いです。
最期に見せた顔がほんと美しく、幸せそうな顔で、それが拍車をかけてつらいです。
自殺なのかな…。
モブに顔があるのに忍の奥さんに顔が描かれてない手法がとても気になりました。
かなり面白いです。たぶん「哀れな気分だわ」のシーンで印象に残したかったからだと思うのですが。
中身は耽美でエロくて良かったです。最後は目隠ししなくてとても幸せそうでしたね。
隻眼の男についてもっと知りたいのですが謎のままで終わった方が面白くて良いですね。
仄暗い義兄弟の関係が何度も続き、途中から兄側からの描写もあり、上巻で何を考えているかわからない兄の気持ちも見えて、下巻は深い話しになっていきます。
2人は始めから惹かれあっていた。
しかし義兄弟という関係や、家を継いでいく兄、それらのしがらみが2人を長い時間、複雑な身体だけの関係にしてしまいました。
やっと結ばれた2人。
しかし短かすぎるハネムーン。
お兄さんは亡くなる寸前までハネムーンで幸せだったと信じたい切ない結末でした。
本当にあの結末は心臓を鷲掴みにされるような切なさです。
「愛してしまった」という手紙。
あれは自殺ではないと思いたいです。
途中、お兄さんの前に上巻で弟にイタズラした碧眼の男が現れ「こうなるきがしてたんだよう」と言います。
あの時すでにお兄さんは本当の血の繋がった兄弟という事実に耐えられず狂ってしまっていたのでしょうか。
弟に比べれば兄の方が失うものが多すぎます。碧眼の男は兄の見た幻覚なのかなと思いました。
成長した息子は父親と同じ行為をして、薫りが継承されました。
息子は父親の気持ちが知りたいのかなと思いました。
それと、中村明日美子先生の絵は色気があり芸術的です。
目隠しでの兄弟のセックスの描写はとてもエロかった。
お兄さんの色気が凄まじい。
さて、下巻です。
竹蔵と忍の、秘密の、誰にも言えない、許されない世界、それが崩れていく巻。
その終わりのはじまりは、竹蔵があてがわれた女性に自分の秘密を仄めかしたこと。
女性性というもののリアリストな側面が2人の関係を壊す引き金になる。女を意味もなくコケにすると…。
上巻では2人の姿を要に見せた竹蔵。今また居合わせた1人の女性に見られるか見られないかの賭けをして。
潜在的に忍との関係を壊そうとする気持ちがあったのか。私には竹蔵は運だめしをしていたように思える。今まで勝ってきて、どこまでいけるか試すような。結局は破滅しかないと知ってはいても。
その後は、「実の」兄弟であったことまで出てきて、ここは正直義兄弟のままでも悲劇性は損なわれなかったと思うけれど、ラストの喪失まで一気に進みます。
目かくしを逆転しての忍からの挑発や、「愛してる」という決定的なコトバを口にしてしまうところ、どこか外国への逃避行と恐らくは自殺…
うーん、下巻は少しありきたりになってしまったかなぁ。
その上、同じような行為を要が「継承」するラストも、所詮要の場合はプレイでしかない安っぽさが漂う。要には竹蔵はいない。共に禁忌を犯し昂ぶるようなパートナーが。そしてその不在が微かに薫っている…
発売日に買って、読むの今……って。寝かせすぎですね、反省。
上下で完結してとても読みやすいと思います。ストーリーは悲しいですね。
よく中村さんの絵の紹介?で使われる絵がどの作品か気になっていましたが、こちらの作品だとわかり、私的にはすっきりしました。目が鋭くて怖い印象でしたが、惹かれる絵柄。苦手な絵の割にはこう何回も惹かれるのは、やはり実力のある作者さまなんだなと実感しました。
ストーリーとしては色々と意見はありますが、これでよかったんじゃないかとも思います。とても悲しいですよ。いっぱい泣きました。けれど、こういう結末だったからこそ、このように神評価が多くなったのではないかと思います。私ももちろん神評価です。久しぶりに素敵な作品に出会いました。ありがとうございました。
薫りに酔いしれて、
獣の如く求め合う二人の描写はまさに耽美。
一つ一つが繊細で、恐ろしいほどに美しく、簡単には触れてはいけない歪んだ愛の世界。
事実を突きつけたときの奥さんの表情には鳥肌がたちます。人間の本性というか、すべての感情が入り混じった顔をするものですから…ラストには、あぁ、二人はこれでよかったのだ。と、私は思いました。中村明日美子先生だからこそ表すことのできる世界は本当に美しいと思います。
BLというジャンルの漫画作品であるというよりは、凝った絵本や単館系シネマの方が近いような性質の作品です。ストーリーが軽視されているというわけではありませんが、粗筋やプロットの面白さを云々するよりは、一コマ一コマ、一ページ一ページの絵の美しさと、印象的な小物使い、そこから香り立つ気配を堪能するためのものに思えました。(上巻のレビューにも書きましたが、本当にこれは紙で購入して正解でした)
ラストはショッキングで、胸にグッと迫るものがあるのですが、これはやはりこの終わり方が一番余韻が残るのでしょうね。実際にいつまでも薫りが残っているような気すらします。
攻めが誰で受けが誰で当て馬が誰で…とか萌えとか近親モノとか…そういった属性に当てはめて語りたくない作品です。
これはエロではなく「官能」の世界でした。完璧。
中村明日美子さんの作品は、湿度のある色気を感じるというか、ストーリーも絵も独特の美しさがあって、そこが魅力だなと思います。
一番最初に読んだ中村明日美子さんの作品がこの『薫りの継承』でした。
初めは個性的な絵柄や重い話が肌に合わないような気がしたのですが、有名な『同級生』シリーズなんかを読んで戻ってきたら、なぜかすごくお話にのめり込んで、絵にも魅了されていました。
お話のラストは、ああやはり、という感じ。
でもああすることで全てから解き放たれる安らぎみたいなのもあったのかな、なんて考えると余計胸が痛いです。
そして息子も「継承」してしまったような描写にゾクゾクしました。
願わくば幸せに人生を歩んで欲しいですね。
上巻で女性の顔が一切描かれてないのが怖かったのですが(唯一、おばあちゃんだけ描かれてたかも)それはこのコマの為なんでしょうか。
二人の関係を知って、兄も知らない事実を突きつけた奥さんの顔。
めっさ怖いです。
何かこのコマに全て持って行かれたような。
実は、血が繋がってないと云われてたのに、何でか父と愛人の子だと思い込んでいたので、「へー、………あれ?」という感じでした。
それで今更、それが原因でああいう結末になる訳ですが、同性でこうなった時点で別にどうでもいい気がしますが、やはりだめか、そうか。
後味悪いという感想が多かった結末ですが、私はさほどそうは思いませんでした。
最初から最後まで美しい話で、本当たまらないです。
禁断の兄弟愛、完結巻です。
目隠しが相変わらずエロかった。兄にではなく、弟に目隠しをしてのエッチにはクラクラしました。兄、エロいです…。
そして、何となくハッピーな展開に向かっているのかな、と思いながら読んでいたら、とんでもなかったです。この終わり方には賛否両論あるのかな、と思いましたが、切なくはあれど、とても綺麗な終わり方だったと思います。兄の手紙には泣いてしまった。
前巻で謎だった隻眼の男がまたも登場。結局正体は私にはわかりませんでした。なぜあんな状況になっていたのかもわからず、もやっとはします。
兄が雇って弟にちょっかい出させたのかな、とかも思ったりしましたが、それもちょっとピンとこないし…。
兄の息子は変な性癖ができてしまいましたね。彼にもちゃんとした、欲求を満たしてくれるお相手が見つかるといいなと思います。
一度読んで切なすぎて、暫く読み返すのは辛いなぁと、封印してたのですが、今日再度読んで改めて溜め息が出るほど、切なく情熱的な作品でした。
言葉は少なく、絵で表現する中村明日美子先生の独特な手法は胸を熱くさせてくれて、どんどん引き込まれていきます。本当に美しいです。
少し内容に触れますが、竹蔵と名前を呼んだ忍。最後の笑顔の忍。奥さんに宛てた手紙のラスト。脳裏に焼きいて離れません。この結末しか無かったの?…と悔しくて悲しくて。
きっとこの薫りのせいだと、言い聞かせるしかないのかも。
スマホも出てきたから時代設定は現代だと思うけれど、上流階級、和洋折衷な屋敷、香水瓶や手袋などの小物から、昭和初期頃のどことなく閉鎖的な時代を舞台にしているように感じます。
モノクロ線の集合体なのに、映画のカット割りを見てるような臨場感があって、作品のキーワードになっている香りが世界観として本の中から漂ってくるようでした。
お互い惹かれあっていても兄弟ゆえに踏み出すことができないまま大人になり、いったんタガが外れてしまってからは求めあうことを止められない兄と弟。兄には妻と子がいる。
弟に抱かれる時、兄が目隠しをするのは、罪から目をそらす精一杯の抵抗で、情事の際、息づかいは激しくてもお互いの名前を呼ぶことはない。
兄の妻の顔は曖昧なままだったのに、兄に真実を突きつける時だけハッキリと描かれてます。嫉妬に苦しんだ後、復讐を遂げる満足げな表情は醜くて怖い。でもその顔をさせたのが兄本人であり、妻の醜い顔がよりいっそう罪の深さを表しています。
兄が目隠しを外すのは罪を受け入れた諦めで、弟の名前を漏らすのは心が解放された証拠。兄の明るくない決断を暗示しているようで切ないです。
全編通してモノローグも台詞も抑えられていて、「絵」で世界観が語られています。苦しい重みがある作品だけれど、暗い闇に人物が浮かぶ表紙通りの耽美な世界観に引き込まれました!昭和初期の文学作品を読んだような読後感です。
中村明日美子先生の重い作品、また読んでみたいです。
※電子書籍で上下巻セットを購入しました。
電子限定の単行本未収録イラストは、「BE BOY GOLD 2015/10」に掲載された兄の子・要の絵一枚だけです。
上巻でもレビューさせて頂きましたがやはり最高です。
普段は大人しめでオドオドしている竹蔵が
セックスシーンではあんなに獣のような荒々しさで。。。
忍さんは忍さんであの艶っぽい感じ。
2人とものギャップにやられます。
そして下巻では忍さん目線の話があり、あたしの中でそれがとても心にきました。
あの夜から竹蔵のレストランに目隠しを持って会いに行くまでの話。忍さんには忍さんの葛藤があったのだと凄くこの話でドキドキさせられました。めちゃめちゃ興奮しました。笑
雑食ではあるのですがラブラブ〜な最後が基本的に好きなので
普段、ああいう終わり方の作品は読んだあとちょっと後悔してしまうのですが、この作品は別です!!悲しいけどちゃんと2人に愛はありました。素晴らしい愛でした。愛でした。
今まで特に気にしていなかったのですが、明日美子さんてこんなに小物を使った演出の多い書き方をしておられましたかね?
何だか映画を観ているような気分でした。
特に、イチジク、オードトワレ、目隠しなどなど。
オードトワレは、タイトルが「薫りの継承」ですから、さりげない演出ではなく、かなり分かりやすい形で様々な場面で使われていました。息子が父にかすかにオードトワレの臭いを感じ取った場面から、父親がどんなことを考えているのか、息子と共に読者も感じとることができる。
イチジクは、最初読んだときは気づきませんでした。「無花果」の名前の通り、二人の関係からは花も咲かないし実もつかない、ということの象徴でもあるのでしょうか。そして、実はイチジクが好物なのは兄ではなく弟の方なのかなと解釈。兄の方は弟の好物と知っていて、許嫁からもらっていたのではないか?と思ったのですが安易でしょうか?それとも、兄がイチジクを避けるのはやはり禁断の関係を象徴するものとしてなのか?
それから、ストーリー自体は、あの同級生シリーズを生み出されただけあって、少女マンガ的な文法にのっとった王道さをかんじました。あの結末で泣かせるのはずるい!と思いましたし、ともすれば陳腐に感じるリスクもある結末でしたが、それでも胸にじーんと迫るものがあるのは、上記のような演出で、王道のストーリーを美しく語る技法をもつこの作家さんだからこそだと思います。
どなたかがレビューを読まずに読んで欲しいと書いてくれていて、本当にそれに感謝しています。
というわけで、まだ読んでない方はネタバレなしに読んでいただきたいと私も書いておきましょう。
「同級生」から感じていたことですが、明日美子先生は言葉で語らないのですね。でも、キャラの目線から、キャラの見ている風景の描写から、訴えかけてくるものがあります。
あえて閉ざされた目線で、彼らは何を見ていたのでしょう。
きっと彼らにしかわからない、ふたりの秘密、ふたりの思い出が共有されていたと思いたい。
それでも最後は、しっかりと見つめ合えてよかった。
その先は、もう何とも言えない。。
終わり方はああじゃなきゃいけなかったのか(ノД`)・゜・。
無表情が主だった兄の笑顔がまた切なさを引き立たせます。
でも最後に幸せだったんだなと思うと。。。
耽美と呼ばれていたころの作品には多い終わり方な気もしますが
やっぱり個人的にはラブハッピーが良かったかなとも思ってしまうわけで。
さて、お話はといいますと
目隠しな関係が続いているさなか、それが家族にばれ
実は実はな展開からラストに向けて走ったという雑感。
嫁さんには悪いけど弟君との話を応援してしまう私が怖い。
息子ちゃん・・・最初から結構ハードな感じでしたが
結局そこに行き着いちゃうのね。。というところ。
現段階では体の快楽、脳が求めるままにという感じがしますが
いつかちゃんと結ばれる相手を見つけてほしいものです。
とにかく甘いという言葉では終われない作品ではありますが
終始面白かった。独特の雰囲気世界観に引き込まれた。
もっとこういう作品が読みたいと思わせてくれる一作でした。
薫りつき ですか これ……と思うくらい
におい立つものがあります。
表紙と、色と、中身、想像の薫りが
素晴らしいです。
買うのをためらった自分に笑えました。
明日美子先生 大好きで 今まで何度も
くーーーっ ってなったのに、
売り場で何度も手にしたこの本を
兄弟、近親 て理由だけで 戻した自分。
ああ、本当に買ってよかった!
ラストは 、さみしかった。
本当にいろんな意味で 私のBL本棚に、
初めての「色」が増えた、そんな感じです。
大満足。満たされました。
近親モノは萌属性の基本のキなので、作家さんの味付けによって好みが分かれます。このお話はどの角度から感想を書くにしても憎きネタバレを含まざるを得ません。なので、懐に余裕のある方は賭けで前情報なしにお読みになるか、ある程度物語のハイライトをお知りになりたい方のみ、レビュー群をご参考になさった方がよいのではないかと思うのですが、感想を認めるのはとても難しい作品でした。
『同級生』のようなボーイ・ミーツ・ボーイとは対極に位置するこの作品は、宿命を背負った二人の哀しい物語。同性であり、(義理にしても)血縁でもある者同士が無条件に惹かれあう。本来ならば当事者すら受け入れがたい官能の愉悦に溺れる時、兄は初めての時に視界を塞がれていたように、目隠しをし続ける。視覚を封印し、残る全ての感覚で弟を感じるという行為に、彼ら二人が「見たくない」事実への伏線が読みとれます。
タイトルを飾り、かつカギを握るモチーフとして、「薫り」という言葉が使われていますが、「香」ではなく「薫」の字を使っているところに作者の意図を窺わせます。「薫陶」の「薫」、他者を感化する。これについては忍(兄)の息子、要がその薫りを継承する者として描かれていますし、名前自体もそれを外してしまったらバラバラに分解してしまう扇の「要」だと思うと興味深いのですが、継承するものが一体何なのか、未だ明確に突き止められてはいません。「同性愛」?「近親相姦」?
また、忍の友人達との旅行に同行した竹蔵が宿泊先で遭遇し、未遂ではありますが性の手ほどきを受けた眼帯の男は、いわゆるトリックスターとして機能しているような気がします。物語の終盤、彼は路上生活者のようないでたちで再登場しますが、眼帯男を登場させることによって忍と竹蔵の二人は、己の意志を超えた次元で結びあわされているという一歩退いた神視点(強いフィクション色)を読者に提示していると同時に、彼に忍が「優しい」人間だと言わせることによって、その優しさが自身と愛する者を悲劇に導いたという皮肉を説明しているように解釈しました。
描線の細さやベタと余白のバランス、先生独特の時折ひょうきんにも見える目の表情が軽やかさを思わせ、地面にめり込むほどの打撃こそなかったけれども…重かったです。ストーリー自体は明快な類だと思いますが、全てのエピソードがエンディングへ向かって一気に収斂されていくそのスピード感が凄まじく、希望と絶望が同時に託されている終え方が、ありふれていそうなものなのに、予想もできたはずなのに、大変衝撃的に感じてしまいました。近親モノはこうであって欲しいと密かに求めていた結末でありながら、これほどまでに叩きのめされてしまうとは全く予想だにしなかったです。
お決まりの設定がその枠を超えて初めて、読む者が心揺さぶられる真の「物語」となる。その極致だと思います。(個人的には設定で作品を選ぶことに躊躇してしまうタイプですが。)
中村先生の作品は絵が苦手で
いままで手にとったことがなかったのですが、、、。
ちるちるランク、レビューをみて
読んでみようと手にとったのですが。
読み始めて数ページで 中村先生の世界に
引き込まれてしまいました!(>_<)
なんで今まで手にとらんかったんや!
と瞬時に後悔、、、、。
すぐさま上下巻購入。
繊細で切ない、、、。
なのに込み上げてくるなにかが、、、。
静かに胸の奥が熱くなる、そんな作品でした!
これはもう絶対に読んでもらいたい作品です!
ストーリーがいい 、その一言では
まとめちゃいけないような感じでした(>_<)
あっという間に中村先生のファンになっちゃいました♡
下巻のラストも 想像しなかったストーリー展開!
すべてにおいて 神です!
そして、繊細なえろwwww
めっちゃえろいのに 繊細。
なにがいいたいかがよくわからなくなっちゃった、、ww
胸がきゅっと締まるような 、
初めて体感したえろ。wwww
ほんとうに手にとって良かったです!
人生半分くらい損するところでした( ;´Д`)
まだ読まれてない方は 是非!
心には苦しいくらい響いているのに、上手く言葉にできません。
読んでからずっと胸が苦しくて、辛いです。
最後まで読むと、何度も2人の幸せそうなシーンを読み返してしまいます。
拙い文章になると思いますが、あえて言葉にしたくなりました。
1度目に読んだときは、ただドキドキしました。2人の間にある緊張感というか、『してはいけないことをしている背徳感』がこちらにも伝わってきます。
2回目、3回目になってくると、本当に胸が苦しくて、涙がでそうになりました。
(もともとBLを読んでいて泣きそうになることは滅多になく、数えるほどしかないのでわたしのなかでは相当なことです。)
それから、2人が感じている薫りがなんとなくわたしにも感じているような気がして、明日美子先生の表現力は本当にすごいなと思いました。
とても評価されている作家さんの一人だと思いますが、こんなに深みのある作品をかける方はそうそういないと思います。
余談ですが、兄の忍が非常に憂鬱な朝の桂木に似ているなと感じました。感情を表にださないのに、誰よりも相手のことを想っているところが、本当にみていて愛おしくなりました。
下巻のレビューはもはや何を書いてもしてはいけない類いのネタバレになってしまいそうで、悩んだ末、内容に触れるのは極力控えて、上下巻を通して言葉でほぼ表されることのなかった兄(忍)の心情と、上巻のレビューでは触れずにおいたもう一つの薫りについて書こうと思います。
まず、忍の心情について。
作中で忍の心の中が描かれるのは、第九話と、最後に忍の妻の元へ届いた謝罪の手紙に綴られた内容のみです。
現在と過去を細切れに行き来しながら描かれるこの作品は、最初読んだ時、あまりにも忍の竹蔵に対する態度がエピソード毎でバラついているように見えて混乱しました。
だけど忍が、気を抜けば開けてしまいそうになる禁断の扉を決して開けぬよう、本能的に竹蔵を遠ざけていたと考えれば矛盾は綺麗に消え去ります。
憎悪も嫌悪も裏返しの感情だったのでしょう。
無自覚のまま育っていた愛は、意識的に隠すということもなくただ無自覚のまま閉じ込められていたのだろうなと。
それを解放させたのは竹蔵だけど、そうするよう竹蔵を仕向けたのは忍の息子の要だった、というのがまたなんとも良く出来たループです。
要はそもそも最初からこの「輪」に組み込まれているのですよね。
次に、もう一つの薫りについて。
上巻のレビューには「作中には2種類の薫りが存在する」と書きましたが、実はもう1種類あるのですよね。
それは、第三話で竹蔵が香水の薫りでも兄の薫りでもないと言っている、兄弟が交わり終わった後に薫り立つ薫りです。
竹蔵曰く、身体の内奥へと浸透する恐怖にも似た濃密な甘い薫り。「禁断の薫り」とも言い表されています。
それが何かは個々の解釈で勝手に推し測るしかないのですが、おそらくこの薫りこそがタイトルの“継承”と紐付く薫りなのでしょう。
「赤」から連想させられる「血」や「狂気」や「情熱」や「愛」などが入り混じったものなのかなと私は思っています。
そして「薫り」と対になっている「目隠し」は、解放の“合図”でもある一方で、忍にとっての“言い訳”でもあると。
竹蔵はこの薫りを飲み下して(=受け入れて)いたけど、忍は目隠しで目を背けているのですね。
結末については、何をどう思うでもなく、描かれているただそのままに受け止めたいと思います。
巻末には、『暗転』と題されたショートストーリーが収録されています。
これには思わず身震いしました。
本編のラストでようやく見えた美しい青空にホッとしたのも束の間、再び黒い世界へと引き摺り戻される、この感覚。
「暗転」という現象には、魂が子宮に帰り、新しい「生」へと繋がるイメージが私の中ではあったりもします。
怖さと言うよりかは安心感のような。
父親達とは全く違った展開をするのであろう彼の物語もぜひ見たいなぁ。
「同級生」シリーズとは全く毛色の違う、この作家様の黒い世界観の美しさは筆舌に尽くしがたいものがあります。
この美しさは何なんでしょう…
堪らなく好きです。
余談ですが、初期の絵柄では特徴的に描かれ、最近の絵柄では見なくなっていた下睫毛が「暗転」の要の目に見れ、密かに興奮いたしました。
さらに余談ですが、竹蔵のビジュアルがラストに近付くにつれ、どんどんトリノス(タケオ)のラストのビジュアルに近しくなっていき、美しくて溜め息が漏れました。
シルクハットを被ったあのラストのトリノスの姿、ホント大好きなんです。
名前も似ていますよね、竹蔵とタケオ。
あぁ巧い結末を迎えるんだ。
そう思った矢先の、あのエピローグ。
何度も読み返すが、納得いかない。
何度も思い出しては、嗚咽が漏れそうになる。
並行だった状況が、一気に加速し交差する下巻。
その起爆を、当事者自ら仕掛けて行く。
崩れ始めた均衡は、急速に凝縮し、弾けた。
大輪の花火の様な印象を受ける展開です。
色々と合間を想像させられますし、色々と“何故”と問いかけたくなります。
煮え切らない、わだかまりの残る、知りたい欲求の募る、
萌えるよりも断然、魅せる、オトナ仕様な1冊かと思います。
下巻の方も、レビューが「神」しかないのはいかがな物かと思いつつ、やっぱりこれは、私も「神」。
過去と現在を行きつ戻りつしながら、二人の理由を探していた上巻に対して、この下巻では、お話は結末に向かって一気にひた走る。
そして、迎えた結末は、なるべくして成るバッドエンド。
耽美でせつない結末はこうでなくっちゃ。
さらに、書き下ろしの「暗転」でも因果の糸が続いていて、この耽美さにぞくぞくする。
重ね重ね言うが、、この作品は、絶対ドラマCDにはしてほしくない。
言葉じゃなくて絵が語る、この濃密なエロス。
音はいらない。
中村先生が大好きで作家買いです。
こちらはゴールドでラストの話だけ見てしまい
すごく印象に残っていました!
ネタバレですが
ハッピーエンド好きにはおすすめしません…
バッドエンド、死ネタになります。
私はバッドエンドが好きなので読めましたが
それでもやはり辛いですね。
やっと想いを確認したのだから
このまま、幸せになってほしかった…
でも中村先生ワールドだなと
思いました!とてもオススメします!
読後ホヤホヤ。
あえてどなたのレビューも読まずにまずは打ち出してみます。
この作品については特に、ほのめかすものや小さなことであれネタバレせずに読まれることを私は強くおすすめしたいです。読むことを決めている方や手元にある方は特に。以下、そういったネタバレをレビューの最後まで含みます。本当にうまく文章にできないのですが、自分なりのものです(※上下巻通してのレビューとします)。
※※※ネタバレ※※※
たとえば自分のなかにある答えがわかっていても、
導こうと思えばできるかもしれないとしても、
断じてその道を選んではならないような...
作品を通して流れる生ぬるい空気、手段。香りをまとう者たち。彼らの中だけに漂う甘く危ない薫り。それとともに流れていく刻。行ったり戻ったりする時間。一部を同じ時の中で感じながら、またその薫りを継ぐ者。どれも痛いほどの表現力でみせ話を進めます。
速いのかそうじゃないのかわからないほど激しく体を合わせるふたりのシーン。本から飛び出しそうで冷や冷やするほどです。目を覆い隠されることで気持ちをぶちまけることができる唯一の場だと私はどこからか感じていたのですが、だからその前後にはあんなにも冷気を残すのだろうか...と。そして、鑑定結果を知ったときの気持ちが、なんてことをしてしまったんだ...ではないこと、ここは忘れられません。もしかしたら、彼らはうれしくてたまらなかったのではないか。モノローグにも「安堵すら 覚えた」とあるように。旅行の一連のシーン、氷水のシーン、「兄さんの悪口言うやつがいたら僕は」のシーン、ランドセルを背負って「門扉にさわるな 汚れる」のシーン、どれもここでふわっと思い出されました。
下巻に移れば胸の奥がどんどん痛くなってくるし、のどのあたりが詰まるのですが、それをも含んだすばらしいエンディングが見られたと思っています。彼らが一緒になるという選択の良し悪しは別にして、小さいころから背負うものが大きく孤独だった彼はきっと "今が一番シアワセ" だったんじゃないだろうか。一方の彼には行き場のない悲しみが残るけれど、ラストで本当の想いを確かに受け取ったことで、この先いつかきっと、希望を持って進めるのではないか。私は一読後の今、そう感じています。また薫りを継いだもうひとりの彼は、なにを、だれを選んでいくのだろう。幸せは彼らのなかにあり、彼ら以外の誰にも決められないのだから。
自分の気持ちとしてはこの作品に評価など必要ないというか、してはならない気さえするのですが、評価をするとすれば。私にとっては神以外に考えられない作品。読み返すたびに違う思い、違う感じ方が生まれそうだとも思っています。それがこの作品の凄味であり、おもしろさだと予感してまずは本を閉じました。
「兄さん!」と呼ばれて振り返った忍の笑顔は本当に美しく穏やかだった。竹蔵にしか見せたことのないものだったんだろうな。
※上巻にほぼ感想を載せています。
この物語には、いろいろ解釈に迷う部分が出てきますので、こちらにはそれの覚え書きとして。ネタバレ注意です。
ほかの方のレヴューでも書かれていた、銀行の前にいた眼帯の男が忍にかけた「あんたは優しいからねェ」とのことば。
これの対になるのが、別荘ベランダで竹蔵とはるかが話すシーンなのでは、と。
このときに竹蔵は『銀河鉄道の夜』のエピソードをひきあいに、「そんな気持ちにとてもなれないな、僕は」と語ります。
(これも、カンパネルラとジョバンニの旅と、忍と竹蔵の逃避行とその後を暗示させるかのよう?)
そして、それを受けてはるかが言う「竹蔵さんはやさしいんですね」という台詞につながります。
竹蔵はむしろやさしくはなく、エゴイスティックに生きており、ゆえにふたりは禁忌をこえて結ばれたけれど、忍はそうではなかったということなのでしょうか。
忍が茉莉子とキスをしている姿を竹蔵に見せつけるシーンと、竹蔵が忍とのセックスをはるかに見せつけるシーンの対比。
竹蔵がついつい女性の小さい足に目がいく描写。
「門扉にさわるな、汚れる」という忍のことば。
深読みすぎかもしれませんが、まだまだこの作品には美味しく食べられるところがありそうです。
そう、この作品の別の魅力としては、そういった自分なりの解釈を読者がふくらませる余地があるところ。明日美子先生が読者を信頼しているからこそ、ですね。
久しぶりに物凄いものを読ませて頂いた。
読み終わって1番はじめに思った事です。その後はもう形容するのが難しい気持ちで一杯になりました。
「狂ってしまっていたのだ この 薫りに」
作中のモノローグでこうあるように、まるで花の薫りに引き寄せられる虫のように、抗えず幾度も求め合う竹蔵と忍。
忍は目隠しをして、闇に犯される。闇の正体は追及しない。
そう固く誓いながら幾度も竹蔵を求めてしまう。
何故こんなに求めてしまうのか、もう狂気の域だと自分たちで分かっていても止められない。
何故二人はこんなにも求め合うのか…とか理由を追及するのはある意味
無粋で無意味なのかもしれない。やっぱり二人にしか分からないんだろうなぁ。
忍の手紙の一節
「初めて会った時から私は 彼を恐れていた
その理由が今ならよく分かる」
私はこれは忍が竹蔵を愛する事は自分にとって破滅の道しかない、と
どこか分かっていたから恐れていたのではないかと思いました。
なので作品全体の印象は、忍にとって命懸けの恋だったという印象です。
悲しいけどあのラスト以外はなかった二人かなと思います。
狂気と孤独と愛に満ちた二人の本当に短い蜜月が、二人にとって
何よりも幸せであったと願わずにはいられません。
竹蔵はこれからとても辛いだろうから、蜜月の時だけでも幸せで
あってほしいです。
息子の要。要によってタイトルの意味がよく分かった気がします。
あと銀行のシーンにいた眼帯の男。この男は上巻に登場したスキー旅行
でホテルで…の男ですよね、たぶん。何故下巻ではあんな状態になって
しまったのか、あの言葉の意味は、と気になってしまいます。
中村先生の才能にひたすら感服させられました。本当に凄い…。
先生また凄い作品待ってます!(笑)
はじめまして!
レビュー興味深く読ませていただきました。
あの眼帯の男、不気味でした!
正体がわからないですしね、客だったのかホテルの関係者だったのか。
妻の茉莉子すら顔が描かれたのが1度だけだったのに、
あの男は最初から鮮明に描かれていたので、どうしても気になってしまいます。
明日美子先生、すごすぎる。。。
私は怒った忍が父親を使って復讐したのかな?と思いました。
読み始めるやいなや、普段私をよろっている趣味嗜好や萌えツボは彼方へと吹き飛ばされ、裸の心だけが物語の強烈な磁場に引き込まれてゆくのを感じました。
恋は暴力なのだと、それを経験したことのない者にまで、これほどの説得力でうったえてくる物語を、私は知りません。
読み終えた今、ふたりの兄弟が抗いがたくひかれあったことが、必然であり当然であったと思えるのは、卓越した表現のためだけではなく、この作品に飲み込まれるように心を奪われた、私の読書体験そのものが、まるで狂気の恋のようであったからではないでしょうか。
読者の高次の体験までが、物語の成功のために仕組まれたものだとしたら、こんな恐ろしい才能と時代を共有できた幸せに、私は身震いを禁じ得ません。
上巻に続きレビューさせて頂きます。
地雷になりそうな要素が、けっこうある作品だとは思いますが、上下巻、合わせてぜひ読んで頂きたい作品です。
下巻の内容はというと、上巻に続き、相変わらず目を覆い隠して身体の関係を続ける、弟の竹蔵と兄の忍。二人の関係をまったく疑う事の無い、忍の妻が竹蔵に一人の女性を紹介します。その女性に対して竹蔵がとった行動が二人の運命を、大きく狂わしていきます。上巻では、どちらかというと竹蔵の目線でお話が進んでるような感じでしたが、下巻では忍の方の心情もだんだん見えてきます。あぁ、禁忌だけど、本当は竹蔵を愛してたんだなぁ~と思えて苦しいです。そこに、衝撃の真実にラスト。凄いです先生。ラストは、賛否両論分かれると思いますが、辛いです。お互いが目隠しを外して、過ごした短すぎる蜜月が幸せだった事を祈ります。
上下巻合わせての感想です。
人気な作家さんとは知ってたんだけど
中村先生の本は初めて読みました。
不快になる人がいたらすいません!
絵が苦手だったんです・・・
ファンの方ごめんなさい!
でもこの本を読んで他の本も読んでみようかな
という気になりました。
絵がどうとかいう問題じゃなかった・・・
インパクトがすごくて読んだ後ぼーっとしてました。
今でも上手に感想が言えません。
すごかった・・・としか・・・・
BLとか萌えとか超えてると思います。
私みたいに絵で苦手という人がいたら読んでほしいな~
と思いました!
※こちらは上巻込みのレビューとさせていただきます。
わたしは、近親ものをあまり積極的に読む方ではありません。
中には素晴らしい作品があることも承知していますが、
読後どうしても、喉に細かい小骨が刺さったような
そんな引っ掛かりを感じてしまうのです。
けれど、『薫りの継承』について言えば
そのような引っ掛かりや嫌な感じはなく、
ただ、薄いヴェールのような”薫り”がたちこめる中を
呆然と立ちすくんでいる、そんな読後でした。
序盤から、忍と竹蔵というふたりの兄弟の間のそこここに
ピンとした緊迫感が張り巡らされており、
読み手はある種の緊張感を持って、物語の中へと誘われます。
ふたりが、薫りを纏ったような交わりを持つ関係となり、
交互するようにして
幼い頃の出会い、少年期、学生時代、
そして両親の死の直後の描写が、丁寧に重ねられていきます。
緊迫感の中に含まれている”薫り”の密度が、
回想毎に、段々濃くなっていくことに気づけば最後、
高揚を抑えることができなくなっていました。(上巻)
この物語の最大の魅せ場のひとつであり、且つあまりにも危険な描写は
薫りを纏ったような兄弟の交わりを
忍にとっては息子、竹蔵にとっては甥っ子の要に
魅(見)せるシーンにあると個人的には解釈しています。(上巻)
はじめは視覚的に、後々には要自身を兄弟の交わりに加えることによって
要は完全に彼らから”薫りの継承”を受けることになります。
そういった意味で、描き下ろしの要の物語(下巻巻末)は
とても納得のいくもので、けれどどこか物哀しさが含まれていて
明日美子さんの感性の深さに唸らされるばかりでした。
もうひとつの魅せ場は何と言っても、血の真相を知った上で竹蔵が愛を訴え
束の間の蜜月、狂おしい交わりを持つ場面。これにより、
血よりも濃い薫りの交わりが決定づけられたように感じました。(下巻)
兄弟が行き着いた結末の意味や真相については、
明日美子さんが明確にこうだと言えば、その通りだし
読み手がこう思いたいと思えば、そのようになるんだろうけれど
個人的には、ただ、描かれている通りなんだと思います。
事実だけが横たわっているような、そんな印象でした。
恐らくわたしにとってその事実より、もっと大きなものが
心を覆い尽くしているからだろうと思います。
血よりも濃いもの―ふたりの交わりのような薫り、が。
物語は勿論、タイトルから装丁に至るまで
文学、もしくは芸術を感じさせるほどの作品性・完成度の高さ。
評価については、他を思い巡らせることができませんでした。
薫りに導かれるようにして、”神”評価とさせていただきます。
※追記 2015/08/13付
とても浅はかで自己満足なものですが、本作(上下巻)に対する自分なりの落下点を見つけました。コメントをいただいたことにより行き着いたもので、コメント欄に載せております。ネタバレ注意の上、ご興味のある方はご覧ください。
迷宮のリコリスさまへ
もう、本当に長々と自己満足のように綴ってしまって申し訳なさでいっぱいです!
時間を置いたり年を重ねて読めば、また別の解釈が幾つも浮かび上がってきそうで、本当に色々な意味で読ませられ、魅せられる作品ですね♪
読み手に託され、解いていくような難解BLにハマりそうです、わたし(笑)
こんなふうに、作品について意見を交わすことができて、とても光栄だし、有意義で楽しかったです♡
また別の作品で、迷宮のリコリスさまとディスカッションできたら良いな、なんて小さな希望をこめて...本当にありがとうございました!
(*ネタばれ注意*)
冬草さま
わー、こんなに沢山、なんかすみません!!!
明日美子先生のこういった色んな解釈の出来る作品は、いつも心を持っていかれて、ひとりで悶々と思いを巡らせてしまうんです。だから「おおっ」と感じる素敵なレビューを拝見して、嬉しくてついコメントしてしまいました。このようなお返事をいただけるとは思っていなかったので、私のたわいない解釈に申し訳ないと思いつつも、新たなお話が伺えて、とてもワクワクしています。
『薫り=愛≒血』わかる気がします。私の中でも「血は濃い」と「血より濃い」は≒、とても似たものです。彼らの結末は、最後の忍の『優しい』微笑みを思うと、行ってしまったのだなと感じたけれど、もしかしたら次読むときは結末が変わるんじゃないかと、変わるわけがないのに期待してしまい、新しい気持ちで何度も何度も読まされてしまうのです。
暗転での要が、何度も母に「ごめん」と口にするのが切なくて、要の孤独を思うと、最後に忍の気持ちを知ることが出来た竹蔵は、幸せだったのかな。
いくら私があれこれ考えたところで、明日美子先生がこうだよと答えて下さるわけでもないのに考えずにはいられない。そんな危険な薫りをもつ作品でした。
BLで、しかもこういった問題作で、リアルでは中々議論することなど出来ないので、とても貴重な経験になりました。冬草さま、本当にありがとうございました。
(※個人的解釈が大いに含まれている内容です。ネタバレもありますので、読まれる方は十分ご注意ください。)
迷宮のリコリスさまへ
迷宮のリコリスさまの濃密な解釈、自分の中で咀嚼しながらじっくりと読ませていただきました。
迷宮のリコリスと同じように、わたし自身も”血は濃い”と解釈しました。血が濃いからこそ、忍は竹蔵を恐れ嫌悪し、そして愛してしまった。これは物語の根幹となる、揺るがない事実だと思います。
忍が自身に目隠ししたのも、血の濃さを恐れ、その嫌悪から目を背けるものだったのではないかと思っているのですが、血の真相を”事実”として知ったことで、目隠しを取り目を背けることをやめた(『何もかもすとんと腑に落ち...安堵すら覚えた』と忍は言っています)。そして忍はその真相を竹蔵にだけは知らせまいとするかのように今度は彼に目隠しをして、交わりを持つ。これで最後、これでおしまいだと、自分に言い聞かせながら...
ここで忍が、『これでおしまいだ』と思ったのは、血の真相を”事実”として認識したからですよね(”本能”としてとうの昔に気づいていたとわたしも思います)。
そして竹蔵も事実を知るのだけれど、それでも、血の真相を越えるかのように彼らの愛だけは揺るがなかった。だとするのなら、それは”濃い血”の上でこそ成り立つ、より深く”濃い薫り”の交わりがあるからなのだと思うのです。わたしの中では、薫り=血ではなく、端的に言えば、薫り=愛≒血なのだと思っています。
そして、ここまで来たので書いてしまいますが、今回この物語を改めて考えた末に、この兄弟の着地点というか結末の解釈が、ある言葉と共にすとんと心に落ちてきました。それは終盤死神のように意味ありげに再登場を果たした眼帯の男による言葉、『あんたは優しいからねェ』というもの。忍は優しかった。夫であり父親であり、会社を背負う人間として、彼は竹蔵との血や薫りを自分本位にこれからもずっと享受し続けるには、あまりにも優しすぎた。だからこそ、忍はあの結末を”自ら選んだ”のではないかと、そう思うに至ったのです。
すみません、コメント欄に書くにはあまりにも長文で、内容が的を得ていないことも重々承知しているつもりです。けれどコメントを頂いたことで、改めて作品を見直して自分なりの落下点を見つけ、どこかほっとした気持ちでいます。
切っ掛けを下さり、又、ここまで読んでくださった迷宮のリコリスさまには感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。
冬草さま
2人の交わりを要に魅せるからのくだり、ものすごく共感しました!
まったく上手く書けそうもなくて要のシーンにはあまり触れなかったのですが、冬草さまのレビューに「おお!」と感動しました。
そして血よりも濃いものが・・・と私も感じていたんですが、
何度か読み返すうちに、やはり「血は濃い」なのかな?って思えてきたんです。
血のつながった要に魅せて交えて、それでも続いた2人の関係が、
他人に見せたことで終わりを迎える。そこに何か意味があるんじゃないかなって思えて。
忍は心のどこかで竹蔵が本当の弟だと感じていたし、
それでも愛してしまっていたのは、実は忍の方だった。
彼らを狂わせた薫りは『同じ血』の薫りだったのかなと・・・。
狂っていたのだ
兄の目を覆い隠し、己の欲望の猛るままに体を貫いた。
あれから何度も交わっている。
兄との道ならぬ愛は、閉塞感を極めてゆく。
ふたりの禁じられた孤独な愛の終幕。
本当の意味での終わりと別れ。
そして継承される薫りの呪縛。
胸が苦しくなるのに、何度も何度も読み返してしまう作品。
これがふたりの終わりなのか。
そもそもふたりの間で何かがはじまっていたのか。
こうなる運命だったのか。
ふたりは子をなすことはもちろんできなかったが、
運命を継承する『息子』を確かにこの世に残した。
そして残された竹蔵はこれから、ずっとひとりで生きていくのだろう。
兄への想いと執着と、薫りを道連れにして。
上下巻同時発売のこの作品。とてもお洒落な装丁です。モノクロ調のイラストに文字は赤く。シルバーの帯が掛り、カバー下は黒とシルバーでまとめた、小説のような雰囲気です。
*ネタばれ注意*
忍を犯した羞恥から距離を置いていた竹蔵の元に、忍が突然現れて狂い始めた2人の関係。この巻であの日現れた理由がわかります。あの薫りを纏い忍の帰りを待つ妻の茉莉子。竹蔵に犯された日を忘れられなかった忍。茉莉子を最後まで抱くことができませんでした。
9話で初めて忍の心情がモノローグで語られます。「闇に犯される」「闇が何者かわからないと決めたのだ」。けれども、竹蔵が『他人』に情事を見せつけたことで、2人の関係が茉莉子にばれてしまいます。DNA鑑定書を前に「哀れな気分だわ」と醜悪に微笑む茉莉子。ここで初めて顔を見せます。ずっと描かれなかった茉莉子の顔が、こんな顔だったなんて!夫にも義弟にも要にも優しかった茉莉子。穏やかな優しい顔を想像していました。いや、きっと本来はそういう顔の人なのでしょう。明日美子先生は見せ方が本当に上手いです。
忍は最後にすると決意して、今度は竹蔵に目隠しをして抱かれます。何度も何度も・・・。そうして『おしまい』にしようとした翌朝、鑑定書を竹蔵に見られてしまい、ひどく動揺した忍は、本当の兄弟だとわかってもなお「愛してる」「にいさんを愛してるんだ」と訴える竹蔵をとうとう受け入れるのです。もしも鑑定書を見られていなかったら、また何事もなかったように過ごすつもりだったのでしょうか?それとも・・・。
結末には賛否あるでしょう。事故なのか自殺なのか。忍を失ってから届けられる、本心が綴られた手紙。JUNEの頃にはよくあったような終幕です。本当は続いてほしかった。2人で生きる道を用意して欲しかった。だけど、こんな終わり方をしたことで、私はきっと何度もこの作品を読むことになるのでしょう。
書き下ろしで、忍の息子の要が、父たちと同じような、けれどもまるで愛のないプレイに興じています。いつか要が父たちとは違う選択をする物語を読んでみたいと思いました。
追記 何度も読み返しているうちに、確信に思えてきたので追記します。(あくまで個人的な見解です)
忍も竹蔵も本当の兄弟だと感じていた。2人が何度も「義理の」と口にするのはそれを否定するため。お互いに知っているのは自分だけだと思っていた。竹蔵が要を交わりに加えたのは、要も同じ血を持ち、父の忍に自分と同じような思いを抱いていたから。感じていた疑惑が鑑定書で明らかになった後、忍が竹蔵に目隠しをしたのは、知らないままでいてほしいと望んだから。鑑定書を見た竹蔵はそれを見る前から気付いていたことを「ずっと兄さんを愛してるんだ」と忍に言い聞かせた。
真実を見せないための目隠し、そして彼らを狂わせた薫りは、彼らに流れる『同じ血の薫り』だったのだと思いました。
更に追記(自分の記録のために書くので、コメント欄で)
『他人』の描かれ方がずっと気にかかっていました。眼帯の男とはるか。眼帯男は忍に、はるかは竹蔵に「優しい」と口にしますが、忍も竹蔵もこの2人に対して優しいそぶりさえ見せていません。2人の間にある『薫り』を知らない『他人』が、その中に入り込もうとすることに対する嫌悪が、忍は眼帯男の人生を転落させ、竹蔵は情事を見せることで復讐(仕返し?牽制?上手い言葉が思いつきません)したように感じています。
上下巻、同時発売だと続巻を待たなくていいので嬉しいです。
あ、ちなみにどの特典が良いか悩み、結局ファイルを選びアニメガさんで購入しました。アニメガさんで上下巻同時購入するとファイルがいただけますが、A4サイズで、表が上巻の表紙の忍、裏が下巻の表紙の竹蔵の絵柄でした。美しい絵柄が大きいサイズで堪能できてかなり満足です☆
他の特典はどうだったのか、ちょい気になりますねwww
さて下巻の内容ですが。
相変わらず目を隠し、自身の気持ちから目をそむけ身体の関係だけが続いていた二人ですが、忍の妻・茉莉子が自身の知り合いを竹蔵の妻にと一人のお嬢さんを竹蔵に紹介したことで二人の間にあった脆い関係が崩れ始めます。
彼女に二人の行為を見られたこと、茉莉子に関係がばれたこと、そして忍と竹蔵の二人に関する重大な秘密。
怒涛の流れの中で二人が出した答えに、涙腺が崩壊しました。まさに純愛。
忍以外何も持たない竹蔵とは異なり、忍の葛藤はいかほどだったのでしょう。茉莉子への懺悔の気持ち、世間体、そして竹蔵への愛情とそれに反するモラルの面での葛藤。
こんな関係は良くないと理性では理解できる。
けれど、相手への押さえきれない気持ちはあって。
だから目隠しをして、自分の気持ちに蓋をして、薫りだけで相手を認識する。
なんとも切ない恋心にウルッとしました。
最後、忍はただの事故だったと信じたい。茉莉子へ宛てた手紙経由だったとしても、竹蔵が忍の本心を知ることが出来て、本当に良かった。そして短い間だったとはいえ、目隠しを取り本心をさらけ出したセックスが出来た二人に安堵しました。ゆえに、やっと気持ちが通じたと思った矢先の出来事に竹蔵と共にちょっと放心してしまいました…。
ハピエンと言えるかと言えば、読み手によって受け止め方は異なる結末でした。が、あの終わり方は中村先生ならではの感性なんだとしみじみ。
甘々な雰囲気を好む方にはお勧めしにくいですが、それでもさすがと言わざるを得ない、神作品でした。