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kaori no keisho
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
表紙をめくると目に飛び込んでくる「赤」が強烈。
自分がそうですが、「コペルニクスの呼吸」から入った読者には特に堪らないであろう独特の明日美子ワールドがこれでもかと展開されていて、すみからすみまで美しい世界観にうっとりします。
そして何と言っても、作中延々と続くこの息苦しさこそ黒明日美子作品の魅力ではなかろうかと思います。
「コペルニクスの呼吸」が「黒」と「白」の世界なら、こちらは「赤」と「黒」の世界でしょうか。
作中に出てくるキーとなりそうなものをこの2色に振り分けながら、対になるキーワードを探していくのが楽しかったです。
例えば、
「赤」ならば、薔薇、ワイン、血、欲望、愛
「黒」ならば、汚れ、闇、夜、虚ろ、無
そして、
「薫り」(=赤)と、「目隠し」(=黒)
そうやって読み進めた時に自ずと辿り着き、頭に浮かんでくるワードがあります。
「薫り」とは何を指しているのか
読んでいる間、それがずっと気になっていました。
作中にはおそらく2種類の「薫り」が存在していて、ひとつはアイテムとしての香水の薫り、もうひとつは兄自身から匂い立つ薫り。
「薫り」の強弱が【前者>後者】から【前者<後者】へと移り変わる際に存在感を増すもの…
私の頭に浮かんだのは「生」でした。
兄が放ち、弟が狂わされた、むせかえるような「生」の薫り。
そんな二人のセックスを見ていた要(兄の子)がその薫りに囚われてしまうのもまた必至の成り行きかと。
悲しいのは、兄が「生」を薫らすには「目隠し」が必要だったことでしょうか。
そして、
「求めても 与えても 埋まらない 虚ろ」
「いっそ自己愛にも近い 虚無感」
「なにも 埋まらない 生まれない」
兄弟が交われば交わるほど、兄弟に突き付けられる「孤独」。
人が生きている限りはらえないこの負の感情は、言い換えれば“生きている証”とも言える訳で…
「赤」と「黒」がグニャリと混ざり合い始めたところで、物語は下巻へと続きます。
第四話で弟が読んでいる『月と六ペンス』が、月は「夢」を表し六ペンスは「現実」を表す、というのは有名な解釈ですので、この2ワードもまた「薫り」と「目隠し」という2つのキーワードに繋がっていくなぁなんて思いながら読みました。
巻末収録の『汚れ』で描かれる美しいエピソードはさすがとしか言いようがありません。
「コペルニクスの呼吸」と違って、こちらは間違いなくBL作品であるのでしょうが、その物差しだけで読むのは勿体なく感じてしまいますね。
それにしても紙面から薫り立つエロスが凄まじい…
中村さんは本当に才能豊かな方なんだなあ、と痛感しました。作風が偏ることなく、色々な作品が描ける。凄いです。
この作品は中村作品の中でも評価の高い「同級生」シリーズのような爽やかなストーリーではありません。どちらかというと「ダブルミンツ」のような、ダークな作品でした。好みがあると思うのですが、個人的には中村先生の絵柄はこういったダークな作品の方がより引き立つと感じています。
さて内容をざっくりと。スミマセン、ネタバレしてます。
両親の再婚により兄弟になった忍と竹蔵。父を不慮の事故で亡くし父の経営していた会社を継いだ忍と、時々赤字を出すレストランを経営する竹蔵は、血のつながらない兄弟になったころから忍に存在を疎まれ仲がいいとはとても言えない兄弟。
しかし竹蔵は昔から忍のことが好きで。そんな竹蔵の気持ちを知った忍の息子・要の手引きで、義姉のトワレを身にまとい義姉のふりをして忍の寝室に入り込み無理やり抱いてしまう。
そんなことをしでかした自分を恥じ、竹蔵は忍の前から姿を消すのですが…。
というお話でした。
基本的に竹蔵視点で話が展開されていきますが、過去の回想に入ったり、要視点になったりするので「んん?」と前後しつつ読みました。イヤ、これは私の理解力が低いからなんですが。
竹蔵は忍のことが好きで好きで、という気持ちがダダ漏れなのですが、一方の忍の方も竹蔵のことが好きなのだろうという気持ちがにじみ出ています。その忍の心情の描き方が流石というべきか、非常にお上手。あからさまでない忍の気持ちの見せ方に、ぐっと惹きつけられました。
目隠しをして竹蔵に抱かれる忍の気持ちを考えると非常に萌えます。
が、ただ一点。
要です。彼は年にそぐわないほど大人びていて、親切心から忍に手を出すよう竹蔵を唆すわけではないんですよね。どちらかと言えば遊び心だったのかも。この子は父親のことが好きなのか、それとも竹蔵のことが好きなのか。彼の心情が読み切れなかった。
あと、いくらなんでも要の目の前で忍を抱いちゃダメでしょ、竹蔵よ…。と思ってしまった。
また竹蔵がまだ子どもの頃に大人に性行為されかかるシーンがあったり、上下巻ともに(若干ではありますが)女性と絡むシーンがあったりしますので、苦手な方はご注意を。
上巻は過去の回想を含め、お互いの気持ちに蓋をしたまま、そして目隠しをしたままただセックスをする関係で終わります。この二人に幸せが訪れる日がくるのか、そんなあやふやな関係のところで終わっているので、同時発売されている下巻をまとめて購入されることをお勧めします。
※上下巻、あわせた感想になります。下巻のネタバレもご注意ください。
新装版『コペルニクスの呼吸』から、この作品へと続けて読むと、
よりいっそう表現がストイックになっていることに気がつくはず。
とくに、上巻のワイン貯蔵庫のシーン(もうこのシーンだけで神評価!)
右手からこぼれ落ちる目隠しの帯、竹蔵が呆然とするなかで忍のうなじから滴る汗…台詞はなく、それでも忍と竹蔵の極度の緊張と高揚が伝わってくる、その10ページちょっとに鳥肌が立ちます。
また、この作品にはいくつかの装置があり、多くを語らず、読者のイメージにゆだねています。
まずは、食事に関して。
忍も要もそれぞれ、竹蔵のレストランに来て、自分”だけ”食事をします。
それは、性欲がままならないという暗示かと。
ふたりで交わってはいても”目隠し”というのは、どこか独りよがりでお互いに自慰のような気もします。
それゆえに最後、忍と竹蔵で向かい合って食事をするシーンになって、
ようやくお互と向き合えるのか、と期待させられました。
「なにも埋まらない生まれない…それでも何度も何度でも交わる」とのモノローグがありますが、“いちじく”こそ、禁断の実だそうですよ。
忍は好物なのに手をつけず、竹蔵は無自覚に食べる姿が印象的です。
ふたつめは、薫りについて。
青年期の忍は、”義理”の兄弟であることを強調します。
これは、竹蔵と血がつながっていることをうすうす感じているからでしょうか。
許嫁の茉莉子がいながら、夜な夜な違う薫りをさせてくるのは、自分から匂う本来の薫りをごまかすため。
竹蔵をかばい、自分が足を怪我した忍からは、とりつくろうことが出来ないような薫りがたちのぼり、その薫りは竹蔵にとって甘い。
第3話OPとEDのモノローグも、禁忌に気がついて内に秘めている忍と、
うすうす感じる禁忌の気配を恐怖と表現する竹蔵を、詩的な語りくちで表現しており、思わずゾクリときてしまいます。
最後に、要という存在について。
彼が忍と竹蔵のセックスシーンに同席していても、邪魔にならないのはなぜか?ふたりの醸し出す薫りに強く引きつけられるのはなぜか?
2度目に読み返すとその理由が、よくわかる構成にも脱帽です。
上下巻ですが、時間軸が交錯した作品となっているので、
読み直しのときは上下の順番にこだわらず、時間の経過順で読んでみる事をお勧めします。
忍と竹蔵が目隠しをせずセックスするということ、そのときようやく忍が「竹蔵」と声をかけることは、ふたりでその業を背負うということ。
それでも、なにも埋まらない、生まれないのでしょうか。
禁忌を犯しつつ、両思いであるからこそブレンドされる薫りとは、どんなものなんでしょう。
強烈な苦しさと快楽はどこか似ているというというこれど、そんな彼らの交わりを体感さられます。
この作品のまえでは、愛という言葉さえ生温い!密やかで苛烈な、明日美子ワールドをご堪能あれ。
待ってました。相当待ってました。
これぞ究極のBLであり、究極の明日美子ワールド。
もう待ちきれず連載中にちょいちょい見ちゃったからある程度自分でネタバレしてた部分があったので、楽しさ半減だったけど…(マジで自分をグーで殴りたい)、かなり完成度の高い作品であると自身をもって著者の代わりとして言いたい。
たしかに、いや確かにわかります。中立や趣味じゃないに投票された方。
近親相姦、近親相姦での3P、目隠し等危ない雰囲気のプレイばかり。苦手な人は避けた方が無難だと思います。
でもそこが!!!この作品の一番の肝。プレイのことだけでなく、それに合わせた心情がなんとも奥深いのです。
これはまさに中村明日美子先生の代表作『同級生シリーズ』と並ぶ代表作として君臨する程の名作となること間違いなし。インパクトでいうと同級生シリーズに勝ってますから。全く異なる雰囲気ですが、本当に妖艶で、まさに『中村明日美子の作品』と言えるでしょう。
下巻までレビューする気力がないけど下巻も是非合わせて読むと良いでしょう。狂った愛が好きなら読もう!上下巻ともに買おう!!!兄弟?親子?だから何??もうどうでもいい。そんな気にすらさせてくれるこの作品。明日美子先生、さすがです。
脳天から爪先までシビれました。
一種、感動・・!
明日も仕事あるしこんな事してる場合じゃないっつーのに、読後、これは書かずには寝れない!と、レビューしに来ちゃいましたっ
不思議なタッチの絵で、ふわりとしてるのに逞しくて、粗暴に見えて流麗で美しく、そのくせ大胆。
目を逸らしてしまいたくなるような妖艶な痴態が次々と描かれ、どこまでも言葉に出来ない甘美なエロスに、呼吸すら忘れます。
美しく、甘い毒を秘めた官能。
冷たくて熱いエロス。
そう、これが官能なんだと思う。
この一言に尽きる作品。
長い事この世界に浸かってますが、「これは・・!」と唸らされる作品です。
ここにハズレは無かった。
買うか迷ってた自分がマヌケに思える。
もし、このジャンルに出会っていなかったら、読めなかっただろう作品。
何を後悔してもおかしくない。
こっそりこの世界の端っこでネットで小説を書いてる身としては、自分の財産になるだろう貴重な作品。
やっぱり凄い。
言葉に言い表す事が出来ない熱情に焦がされます。
読んでない人は、読むべし。
BL好きなら、読まなきゃ損です。
こちらはゴールドでラストだけ
読んでしまい届いて初めて
本当の内容を知りました。
まず中村先生が好きなら
先生らしいストーリーで
とても深い話しでした。
ネタバレします*
主人公は多分攻め?
だと思うのですが、小さい頃
受けの住む家に受けの父の再婚相手の
子供として引っ越してきます。
歳的に攻めが弟になったのですが
受けは血の繋がりが無いことになのか
攻めの事をとても避けていました。
けど攻めは小さな頃から受けの事が
気になっていていました。
二人とも大人になり受けは結婚して子供ができました。
攻めは相変わらず受けが好きである夜
受けの奥さんになりすまして受けを無理矢理
犯してしまいます。
もちろん受けは弟だと気付くのですが
何も無かったようにされたのです。
そのまま月日が流れて次は受けから
攻めに会いに行き変な関係が始まっていく
お話になっています。
下巻は衝撃のラストです。
ハッピーエンドがいいかたはご遠慮ください!
バッドエンドになります。
兄様・・・・・・エロいッスヾ(*´∀`*)ノ
なにげに読み始めたのですがあっという間に作品の世界観に
惹きこまれてしまいました。
兄をひそかに慕う弟。
それは交わることがなくても変わらない想い。。。
だったはずが・・・?!というところですな。
自分の息子の差し金でよもや弟に犯されるとわwな展開な
わけですが、その後の兄様が予想外でした。
自ら弟の元にフラっとやってきて
人気のないところへ誘導し
自らの目に目隠しをする。
首筋を伝う汗が緊張感を醸し出し、えも言わぬエロスでした。
あのシーンが一番好きです。張りつめた空気と
どうしようもない胸のたかなり。
弟君じゃないけど喉が鳴る。
その後は目くるめく。
目隠しの関係を続けているのはやはり目隠しをすることで
一線を引いてるという感じがまたよかったです。
独特のえろしちずむに、たぎりました。
こんな風にかるーく語るのがためらわれるほど、重みと雰囲気のある、素晴らしい作品なのですが。
お兄様の色気は半端無いのですが、私の萌えはむしろふたりの過去の回想にありました。
特に第二話のはじめの一コマ、子供時代のお兄様が寝ている姿とそれを見下ろす弟、の図がまたいい。
弟の視線は、現在に通じるものがあるように見受けられます。
現在では鉄仮面のようになっている兄上ですが、回想の彼はまだ感情の上下が見え、それがやたら萌えを刺激してきます。
読みにくい彼の気持ちが行動の端っこに見え隠れするたび彼が愛おしくなり、重く暗い世界観にどうか飲み込まれないで欲しいと祈るような気持ちで読みました。
blを含めありとあらゆる国のいろいろなジャンルの物語を読み、映像を観てきました
何千の物語の中でも間違いなく素晴らしい、私の中では神評価は当然です
私は恋を見たくてblを読んでいます
いろいろな物語がありますが、これは私が見たい恋の全てがまるで雪の結晶のように完璧な形で綴られています
もちろん人によって受け取り方が違うのは百も承知ですが、私には別格です
引き込まれました。。。
中村明日美子さんの作品は全て読んでいますが
義兄弟という設定があまり興味がなく手を出していませんでした。
が、間違いです。本当に間違いでした。素晴らしいです。
さすが中村明日美子先生です。
独特な絵のタッチとストーリーも凄く合っていて
なんだか芸術的な美しさを感じてしまいました。
兄のことが好きな竹蔵。でも兄の気持ちは?
と何故かあたしが不安になりましたが読んでいくうちに各々の葛藤や感情が見えてきてすごく興奮させられました。
1番感情が読み取れなかったのは要くんかもしれません。
しょっぱな出てきた時から小さいながらも大人びて、だけども時と場合によって子供の自分を上手く活用している。という…
なんなんだ君わ!!!とちょっと怖くなりましたが悪い子じゃないんです!悪い子じゃないんです!
みみみ。
迷宮のリコリスさま
表紙、ですよね!
私もうわっ!って思いました。
上巻は上巻で真っっっ白なお兄ちゃんが美しすぎてうっとりです。
>今読んだら妻目線で…
読む時期大事ですよね(笑)
明日美子先生とほぼ同年齢なんで無理ですけど、私「同級生」こそ10代で読みたかった!って思いますもん。
迷宮のリコリス
みみみ。さま
コメントありがとうございます!
下巻のレビューは勢いで書いてしまって、未だに読み返しては「いや、違うかも」とか「いやいや、そうに違いない」とぐるぐる考えてしまっては読み返すを繰り返しています。まんまと明日美子先生の毒に感染してしまったようです。
みみみ。さまのコメントで『月と6ペンス』の物語を少し思いだしました。まだ学生の頃だったので、芸術家とかアウトローな生き方への憧れもあったので主人公に感情移入できたんですよね。今読んだら最初の妻目線で「は?ふざけんな。捨てんなよ」って思うかも(笑)
下巻のレビューも「うんうん!!」と何度も頷きながら読ませていただきました。特にラストのビジュアルのところ、大賛成です!表紙絵が公開されたときに、「うわぁ~~~っ」ってなりました。
みみみ。
>迷宮のリコリスさま
コメントありがとうございます(^^)/
迷宮のリコリスさまの下巻のレビューを興味深く拝見させていただいていたので、コメントいただけ嬉しいです。
コペルニクスでハマった作家様なせいか、色の意味とかそれに何かを当て嵌めてるんじゃないかなとか、色々深読みしちゃいますね。
最初は綺麗な装丁だなぁってうっとりしながら眺めてただけだったんですが、「薫り」と「目隠し」のことを考えてるうちに私の中ではこんな解釈になりました。
『月と六ペンス』については、
「現実」を捨てて「夢」を追いかけた芸術家の生き方は、本人からしてみれば社会のモラルから解放され生を謳歌しているんですけど、周りからするとそれは熱に浮かされた人間の狂気の行動と解釈されるところに、この二人の関係性と似たものを感じるなぁなどとボンヤリ思ったくらいで、あまり深くは踏み込んではないんです(^-^;
もっと何か込められてるかもしれませんね。
ホントすごい作家様ですよね。
きっとまだまだ見落としてるものがあるんだろうな~と思いながら何度も読み返してます。
迷宮のリコリス
はじめまして!突然のコメント失礼します。
コペルニクスが黒と白で、こちらが赤と黒の世界・・・ああ、そうなのかとため息が出ました。
『薫り』の装丁も赤と黒へのこだわりがとても感じられますよね。
数日前に明日美子先生が唐突に『月と6ペンス』についてツイッターでつぶやかれていました。やっぱり意図的に・・・ですよね。
読んだのが大昔なので、本棚を探したのですが見つからず、うろ覚えですが、
主人公のすべてを捨ててでも絵が描きたいという欲望と、義兄が欲しいという竹蔵の思いが重なっているのなら、その熱を知る人にしか理解できないと言うことなのでしょうか?
明日美子先生って本当にすごい作家さんですね。細かいところまで目が離せません。