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sumirebiyori
母親にネグレクトされていた芙蓉の境遇。そしてその初恋の行方に、泣けて仕方ない作品でした( ; ; )
他の方のレビューにもありましたが、小学校時代、ぼろぼろの服を着て誰も触れようとしなかった芙蓉に西澤が手を差し出し、一緒にフォークダンスを踊るシーン…気付いたらぼろぼろ泣いてました。
たった2行程度の描写なのに鮮明にそのシーンがイメージできて、芙蓉のはちきれんばかりの喜び、羞恥や申し訳なさが伝わってきて……込み上げてくる思いはあるのですが、うまく文字で表現できずもどかしいです。(プロの小説家の先生方って本当にすごい)
優等生然とした西澤が、恋した人(芙蓉)の前では余裕をなくして嫉妬したり、思わず唇を奪ったりと、一人の恋する男になる様子もたまらなかった。
”芙蓉は不要”なんて呟いていた小学校時代の芙蓉。
そんな彼が西澤に情熱的に求められ、”大切な存在だ”と言葉でも態度でも余すことなくぶつけられ、満たされていく過程に、じんわりじんわり込み上げるものがあり、読後しばらく放心してしまいました。
一番最初に載っている、金子みすゞさんの詩「草の名」。
本編読了後にもう一度読むと、読む前とはまた違った思いが沁みてきます。
草間さかえ先生のイラストも、繊細な作品の雰囲気にぴったりで、、
大切に、何度も読み返したくなる作品。
今まで読んできた月村先生の小説の中で、個人的に一番好きで記憶に残るものでした。
作者&挿絵買いです。
タイトルもほのぼのとしてて、絶対甘キュンなやつだろうと見当をつけ購入しました。
主人公の芙蓉はかなり壮絶な過去持ちですが、どこか達観しているようで、繊細そうなんだけど芯の強さを感じさせます。
そんな芙蓉の初恋の王子様、西澤と6年ぶりに再会し…というお話でした。
健気な薄幸受けが無条件に愛される、そんな作品ですのでハッピーしか求めてないという姐様にも安心設定です。
終始キュンの嵐ですし、すれ違いもありますがそこまで拗れないので読んでいて悲しくなるような事は無かったです。
幼少期に全くいい思い出がなかったという記憶を西澤がいることで、生まれてよかったという希望に変えてくれる設定にホッとさせられます。
素っ気ないような態度の祖母にも実は愛されていたって所で涙が滲んだりしました。
本編が終わり、あとがきの文字が見えた時にエッもう終わり?って残念に思ってしまうほど、もっと2人のお話を読んでいたかったです。
「うん。毎朝、そこの窓から下を見ると、大町が膝をかかえて俯いてるのが見えて、いったい何を落ち込んでるんだろうと思って。一緒に昼飯でも食べながら、訊いてみようと思ってたんだけど、単なる植物観察だったんだな。」
家族に恵まれず施設で育った主人公と、隣にいて手を繋ぎ話しかけてくれていた転校生との再会のお話。派手な出来事の起こらない、食事や季節や植物など日常に恋が展開していくのを落ち着いて読む一冊でした。
無口な芙蓉が叔母に同じ遺伝子を感じて安心したり、西澤から借りた本の知識だけを頼りに雑草を愛でたり、西澤だけにお弁当のおかずをおまけしたり。すごく良い・・・
読んでいくと、周囲にはいじめていた人以外に芙蓉を見守っていた人、見えないところで心を砕いていた人がいると分かってくる。西澤の優しさも、ずっと優等生然とした性格や正義感がそうさせると思っていたけれど、実は芙蓉を思ってくれていたからこそのもの。
人は生きてきた中で視野と考え方が固まり、こんなにも人がしてくれた行動と自分で感じたものが違って見えることがあるのだと再確認するような話でした。素直に受け取らないことは、こんなに相手が見えていなくて勿体ない。僻みや自己嫌悪が強過ぎるのは良くないですね。
叔母や周囲の優しさ、相談できる相手がいて話す事で自分の出来事を再確認すること、何かあったときに飛び込める場所(叔母の真意を知って西澤の胸に飛び込んだ芙蓉の、その変化が愛しい!)があるっていいなぁとじんわりしました。
タイトルの「すみれ」は、野草の和スミレの事。
踏むと、はんなり薫る、道端に咲く花。
別名 「墨入れ」「相撲取草」「マンジュリカ」
花言葉は 「謙虚」「誠実」「小さな幸せ」
そして、この本の紹介文は、「初恋は実らない。花すら咲かない。だから再会なんてしたくなかった――。」
・・どうして、タイトルに「すみれ」を入れたのかな・・と興味を持って購読。
冒頭は、金子みすずの詩 「草の名」・・
・・人が知っている草の名は わたしはちっとも知らないの・・
★登場人物
西澤浩一郎:
芙蓉の小6時の同級生。大学1年生、祖母の下宿の住人。
大町芙蓉:不要の芙蓉?
実母に育児放棄。祖母に引き取られて、祖母の営む下宿屋で働く18歳
1 すみれびより:すみれのエレイオソーム・・芙蓉は、雑草に詳しい、草好きな子だった。
2 あじさいびより:色変わりする花
3 ふようびより:酔芙蓉のことで、色変わりする
そういえば、「すみれ香水/村下孝蔵」という曲があったな、と読みながら思いだした。
何度も読み返して、何度読み返してもしみじみ良いと思える大切で大好きな本です。
『包容力のある攻め×不遇な生い立ちから自己否定しがちな受け』という、月村先生のライフワークのような取り合わせで、もう何度も同じような二人を読んできたのにそれでも新鮮に楽しく読めるのは長年BLを執筆している先生の力量なのでしょうか。
再会して、小学生の頃にぷっつりと途絶えてしまった想いを温め直す二人。
大切に包んで仕舞っていた初恋の思い出を優しく慎重に開いてゆくような月村先生の文章と、アクセントのように登場する野花の描写がとてもイイ…!
あまり対格差のあるBLを描かないイメージの草間さかえ先生と月村先生の組み合わせが意外だったのですが、草間先生の独特なタッチと草花のある風景に佇む二人のイラストもものすごくマッチしていて、紙の本でいつまでも大切にしたいと思える本です。
ボロボロ泣ける!みたいな派手な感情は引き起こさないんだけど、心のやわらかい部分にじわっと沁み入っていくような、そしてそれにつられて涙がじわじわ滲んで、しかもそれがなかなか引かないような感じ。
とにかく受けの芙蓉がいじらしくて、俯きぎみながらも健気に頑張っている姿には読んでてたまらない気持ちになるものがありました。
母親から育児放棄されて育ち、薄汚い風貌ゆえにクラスメイトからも疎まれて、「芙蓉は不要」と自分を茶化すことでやり過ごしてきたとか、攻めが所有していた雑草図鑑を唯一の宝物にして育ったとか、もうたまらない。
そして攻めの西澤は正義感溢れる優等生タイプなだけかと思っていたら、テレビにちらっと映った芙蓉の姿を追って下宿屋を選んだりという執着が見えるところがイイ。
六年越しの想いだと西澤から聞かされても、最初は芙蓉と同様に私自身もあまり実感が湧かなかったのだけど、読み進めるに従って西澤の気持ちはガチだ!と確信できるようになっていくところも良かった。
特に酔芙蓉のくだりときたら‥‥
「クールなインテリメガネ面して、パッションある(田上先輩ナイス!)」ってやつで、パッション野郎、最高じゃないか!と思わず泣いてしまった。
それに、ふ〜ん……と当初読み流していた冒頭の金子みすゞの詩が、こんなに感慨をもたらすとはねぇ。
これからもどんどん、芙蓉の前限定でパッション見せておくれ!
こんなに再び出会えて良かったなぁと思える二人もそうそういないような気がします。
西澤と出会えたから、それを支えに何とかやってこれた少年時代や、再会してから西澤の側で自分の生を肯定できるようになっていく姿が本当に良かったです。
私がいいなと思ったところは、西澤のお母さんと再会して手を握りしめてくれた時の描写。
「昔、体育の授業で西澤が手を繋いでくれたときの感触を思い出す、さらりと乾いた、やさしい手だった」というところ。
芙蓉の中で、それがどれほどのものだったのか、そしてそれをどれほど支えにして生きてきたのかが余すことなく伝わってくる。
そしてその手を産み出してくれた人であるということや、この人が気に留めてくれたから今の芙蓉があり、西澤もいるという優しさの連鎖みたいなものを感じることができて、ここの一文で泣きました。
そして誰も目にも止めないような雑草を一人慈しむ芙蓉の姿や、朝顔の数を数えることを楽しむ姿、細々とした日々の雑事(洗濯やらアイロンがけやら庭仕事など)に励む姿など、細やかな日常を慈しむ視線に満ちていて、とても良かったです。
一人で月村積ん読消化祭りをしていたところ、これを読んでいないのかと友人から突っ込みがあったので、探してみたところ、イラストが好みじゃなかったので購入していなかったんですが、おすすめされてたので購入。
確かに、月村テンプレの後ろ向きネガティブな自己評価の低い受けでしたが、生い立ちが悲惨なので、かわいそうなだけで、イライラはしませんでした。攻めのほうが、あざとかったかも。それでも、おばあちゃんとの関係とか、帰郷したときにあった同級生の女の子の告白や、それに対しての受けの独白には涙。確かに、よい話でした。BLとしてはイマイチですが、話としてはよかった。
でも、やっぱりイラストは好みではなかったです。らくがきみたい。
ハードな作品続きで食傷気味となり、たまにはちょっと優しい話が読みたいなぁ~と軽い気持ちで読み始めたこの作品。
母親には「産まなきゃよかった」と言われ、同級生からは「貧乏草」と蔑まれ、愛情に飢えた芙蓉の前に、ルックスも抜群で成績も優秀、運動神経も良くて、精神的にも大人な完璧な西澤が現れ、一端は離れ離れになりなからもなお、揺るぎない愛情を持って現れる…って一体なんなのよ、出来すぎじゃないっ、なんかの罠じゃないかってたじろぎましたが、そんな天邪鬼の私でさえいつの間にかきゅん…となってしまう程、あまりに二人が爽やかで優しくて、誠実に恋をするピュアな展開に最後まで一気読みしてしまいました。
芙蓉の視点で語られる中、少しずつタネ明かし的に西澤の想いが明らかにされるにつれ、ネガティブで何もかも自分のせいにしてしまう芙蓉が頑なな心を解きほぐし、一歩一歩二人の距離が近づいていく過程はとてもほほえましく、触れるか触れないかの軽いフレンチ・キスでさえ、きゅんきゅんしました。
そんなウブな二人なので、後半に訪れるエロもかなり軽めなのですが、見てはいけないものを見てしまった背徳感があり、むしろ私としてはドキドキ…でした。
危機的状況に陥るわけでもなく、大きな障害に立ち塞がれるわけでもなく、ただただ二人が恋心を確かめ、育てていく日常を描いた話なのですが、とても暖かくて、ほっこりと幸せになるおとぎ話のような作品でした。草間先生のほのぼのとした挿絵も二人にぴったり合っていて素敵‼
やっぱり初恋っていいなぁ~、カルピスが飲みたくなりました(笑)
朝電車に乗って読み始め、降りる時にうっかり落涙しそうになりました。はや。
うそ、もう落涙?と焦ってしまいましたが、3編はいっていて1篇目が90P。
1篇目の山場ということで落涙ポイントに間違いなかったようです(笑)
本当にしょっぱなからキュン死にしそうになりました。
そして幸せーな気分で終われました。ので神。
ネグレクトがダメな方は、ちょっと考えた方がいいかもしれないです。
悲惨な記述は少ない方だと思いますが。。。
この表紙でまさか、そんなものを求める方はいないと思いますが念のため(笑)
エロとか激しさを求める時期の方は、また別の機会に手にとった方がよいと思います。
受けさん:すれていない 真面目ないい子の健気さん。
どろどろ泣いてる子なら、ネガティブ思考だなあ って切って捨てたんですが
すごく冷静。
芙蓉は不要 なんて自分でクールにつぶやかれると、本当にいたたまれない・・・
このフレーズはまじ辛かった。
攻めさん:受けさんの小学校に転校してきた 生徒会長系優等生。
穏やかないい人。でも受けさんにはべたぼれ(と後でわかる)。
両親のいるまっとうな家庭で育つ。
ばあちゃん:受けさんの母方のばあちゃん。下宿屋(レトロな建物)やってる。
小学生のころ受けさんを引き取る。口数少なし。
母親が子供を愛せなかったのを、少し辛く思っているのかな。
その表現加減が、ちょうどいい塩梅ですごく納得感あり。
1篇目でくっつくまで。
2編目でくっついてからのすったもんだ。
3編目で攻めさんの実家=受けさんの小学校時代のふるさとに行く話。
でした。どの話もキュン死にコースです。
不器用ながらも孫に寄せる じみーな愛情。
受けさんがばあちゃんに寄せる愛情。
攻めさん、受けさんのじんわり愛情。
どれもこれも ほっこり、人って捨てたもんじゃないわと思わせる
素敵な愛情ばかりで、読み終わった後のまったり幸せ感倍増。
草間先生のほんとにぴったりな挿絵とあいまって、足湯につかっているような
幸せな本でした。
二人してぜひ幸せになってほしいです。
もう少し後日談あると もうちょっと嬉しかったかも です。
何年か後の、就職した攻めさんと、下宿屋をやってる受けさんのお話とか。
読んでみたいなあ。
黄金の包容力攻め×不憫な健気受けです。
この芙蓉が人を思いやる事が出来る芯の強いいい子なんですが、極端に自己評価が低いんです。常に自分なんかが西澤と居ていいのか悩みます。自分が傍に居る事で、西澤が周りから不当な評価を受ける事を恐れているんですね。
この「自分なんかが〰」があまりにも出てきて、本来なら卑屈すぎるだろ!とイラつく所ですが、それを不憫に感じさせてしまうのが月村先生の上手い所。
芙蓉の過去が静かなタッチで丁寧に書かれていて、「自分なんかが」と思ってしまう芙蓉の心情が自然に理解出来ます。
ネグレクトされていたせいで薄汚れていた芙蓉は小学校でもハブにされています。その度に、「芙蓉は不要」と自分を茶化して痛みを誤魔化してるんですが、もう本当にこの当たりが不憫で…。(ノД`)
そこに転校生として、西澤が颯爽と現れます!
誰も相手をしてくれない自分と、いつも進んでペアを組んでくれる大人びたクラスメイトなんて、特別な存在になるのが当たり前ですよね。
その後は祖母に引き取られ、祖母の営む下宿屋で二人は再び出会います。偶然ではなく西澤の執念の賜物なんですが(笑)
この大人になった二人が再び出会って…というシチュエーションが個人的にめちゃくちゃ滾ります。( ´艸`)
芙蓉が非常に臆病なので、なかなかくっつかないんですが、このジレジレ感にキュンキュンしながら読みました。なかなか懐かない野生の鳥を餌付けして、隙あらば自分のテリトリーに連れ込もうとするような西澤の行動力にもニマニマしちゃいます。
そして当て馬として出て来る田上がとても魅力的です。彼女がちゃんと居るんですが。
こちらも包容力があり、何かと芙蓉を構って手助けしてくれます。もうこっちとくつっいてもいいんじゃない?って思うくらい。彼のスピンオフをぜひ読んでみたいですが、彼女持ちじゃ望みは薄そうです…。(笑)
本編には関係ありませんが、個人的に強くお薦めしたいのが、あとがきのメルヘンババアのくだりです。
月村先生のあとがきは毎回面白く、こんな所でまで楽しませてくれようという作者の心意気を感じます!!
メルヘンババアには爆笑させてもらいました。(≧∇≦)