狼は恋に啼く

ookami wa koi ni naku

狼は恋に啼く
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神41
  • 萌×237
  • 萌19
  • 中立8
  • しゅみじゃない3

--

レビュー数
16
得点
418
評価数
108
平均
4 / 5
神率
38%
著者
りゆま加奈 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
フロンティアワークス
レーベル
ダリアコミックス
シリーズ
狼は恋に啼く
発売日
価格
¥648(税抜)  
ISBN
9784861347115

あらすじ

山脈の奥深く、狼の言葉を理解し使役しながら、狼と共に生きる民族がいる。そこでは稀に白い髪を持つ「白鹿」と呼ばれる子供が生まれ、王族に嫁ぐという宿命を背負っていた。そんな「白鹿」として生まれてきたサラは、王の末息子のアラクシと番(つがい)になることに。幼い頃からアラクシに想いを寄せていたサラだったが、一方でサラの双子兄・ナラのことを、アラクシ好きだということも知っていた。「好きな人の隣にいられるなら、たとえ身代わりでもいい——…」そう思っていたはずのサラだったが——…。

表題作狼は恋に啼く

ツァス,21歳,王家の次男
ウル,19歳,王家に嫁ぐ定めの白鹿

同時収録作品狼は幸せな夢をみる

アリオン,19歳,文官学校の学生
イェケ,18歳,同じく学生

同時収録作品狼と身代わりの恋(前・後編)

アラクシ 王家の三男 24歳
サラ 双子の白鹿 17歳

その他の収録作品

  • 狼と身代わりの恋 その後(描き下ろし)
  • 狼シリーズ設定&キャラ紹介
  • あとがき(描き下ろし)

レビュー投稿数16

全ての始まり。始祖の物語。連綿と続く、恋と宿命。

本作が狼シリーズの最初でもあり、全ての始まり。狼と白鹿の恋と宿命の物語。
私は、現在進行形の「狼の花嫁」から遡って読んでいるが、時系列的にも彼等の歴史的にも、本作が一番旧く、さらにデビューコミックスだという。
「狼は恋に啼く」→「狼は花の馨り」→「狼の花嫁」
という順だが、それぞれ独立した物語なので、何処から入っても問題は無い。
狼と白鹿の宿命を司る恋人たちや、その宿命に抗う恋人たち。周りの人達。
この設定世界観から生まれた幾つかの物語の一つだ。そして本作はオムニバス形式でそれぞれの恋と宿命を描いて行く。

◆ 「狼は恋に溺れる」ツァスとウルの場合。
2人は幼馴染だが、それぞれ狼と白鹿の宿命の子なので、将来番う事が約束されている。
けれど幼ない頃からツァスを愛していたウルは、ツァスが運命の為に番うのだと思うと切ない。何とか愛するツァスの役に立つ者になりたいのだ。必死で勉強しようとするウルを見て不安になるツァス。ツァスこそウルに執着しているので。ウルが自立して自分の元から去るのでは無いかと疑っている。すれ違う恋人たち。
という、この世界の掟をシンプルに表した短編。プロローグに相応しい幕開け。

◆ 「狼は幸せな夢を見る」アリオンとイェケの場合。
こちらは珍しく、平民同士の幼馴染。彼等には背負う宿命が無い。貧しい村で育った2人は何とか村を出て生活している。アリオンは恋人であるイェケに「良い暮らし」をさせたいが為に無理をして働いて働いて。勉強もして。いつもピリピリしている。会う時間も減った。
そしてイェケを悲しませている。本末転倒なのだ。イェケを幸せにしたいのに。
という、大切な事に気付く物語。

◆ 「狼と身代わりの恋」アラクシとサラの場合。
王族であるアラクシの番いになるサラ。サラはずっとアラクシを愛しているが、アラクシがサラの双子の兄・ナラを愛している事を知っている。これは切ない。
ナラは、アラクシの兄・ハリムの番だ。父王の後継者である兄には何も敵わないと知っているアラクシのコンプレックス。それを全て分かった上で、健気にも気丈に振る舞うサラ。
どんなに愛しても、アラクシの視線の先にはナラがいて。兄の背中を羨んでばかりのアラクシ。もちろん、アラクシは本当の恋と、大切な事に気付いていく。
物語の中で少しずつ成長する2人が愛おしい。

狼たちが王宮をウロウロしていたり。彼等は王族に忠実なボディガードであったり。
始祖の物語より、狼は白鹿に恋をしたという伝説から、白鹿の末裔である「白鹿様」にとても懐いている、というのも可愛い。この後、物語は壮大になって行くのだが、そのどれにも狼たちが見守っている、というのもとてもいい。彼等に見守られて恋人たちはそれぞれの人生を歩んで行くのだ。
「民族BL」を謳うだけあって。王宮に入る時や、番の儀式に纏う白鹿の衣装や装飾品が煌びやかで美しい。これは作品が重なる毎に見応えも増して行くかと思うので、その変遷も楽しいです。

0

狼と白鹿と・・・

さすが、評価の高い作品です。
衣装細部にまでこだわりが深く、その美しさ、そして内容の深さに感動してしまいました。
1冊同じ世界ですが時代が僅かに違うのか、3つの物語から成っています。
どの作品もとてもステキですが、やはり3章からなるラストのお話は切なくてとても愛おしい。

この世界観でずっと本を出しておられるのですね。
最新刊はまだ物語が続いている。
追っ掛けします♡
エロ好きな私が、そうそうエロのないこのストーリー、このりゆま先生の、すっかりファンになりました+.(≧∀≦)゚+.゚。

3

続編?と思うような展開

ファンタジーはある程度「読もう」という気持ちにならないと踏み込めないジャンルだと思っていましたが、まったくそんな心配はいりませんでした。
あっという間に引き込まれます。

【狼は恋に啼く】萌2
幼い頃にツァスに告白をされたものの、まだ返事をできないでいるウル。
白鹿だから番になってくれるのか、自分には白鹿であるという価値しかないのかというウルの葛藤が見事に描かれていて、初っ端から胸を鷲掴みされました。
ツァスの言葉足らずな不器用さからもウルを大事に思ってるのが伝わって、しあわせを願わずにはいられない2人でした。

【狼は幸せな夢を見る】萌
ある日両親が連れてきたイェケを、両親亡き後も大切に慈しんできたアリオン。
身を立ててイェケを番にと思っていたけれど実は…という話で、3組の中では一番さらっと読める話でした。

【狼と身代わりの恋】(前後編) 萌2
双子の白鹿のナラとサラ。
王家のハリムとナラが番になった日に、ハリムの弟のアレクシから番の申し出を受けたサラだったが…。
身代わり、切ないですね。泣けます、ものすごく。
双子で見た目は何もかも同じなのに、自分は選ばれない。ひとを好きになっただけで、自分の何が劣っているのか、何が足りないのかということに常に苦しまなければならないなんて、何てつらいことでしょう。
アレクシはナラが好きで、サラに対してもそれをはっきりと言います。
サラ目線なのでサラの気持ちは丸分かりなので、余計に切なさが止まりません。
冷たいアレクシをもっと責めてやれ!と思うことが何度あったでしょう。
それにしても誤解が解けて良い方へと進んだものの、納得できない気持ちが消えず。
結局アレクシがナラを好きだったのは初対面の一目惚れのせいで、その後の交流で性格も好きになったとかではない?
ずっとサラをナラの身代わりにしてきた、という表現が双方から出ているけれど、秋祭りのことをこれまで一度も誰とも話していないのがすごく不自然に感じました。
その誤解のせいで切なさが生まれたわけですが、何かの続編なのかと思うくらい過去の話やハリムとナラのことが出て来るけれど、これがデビュー作品ということは、別にハリムとナラの話があるわけではなく。
ナラと一緒にいたいけど、身代わりにお前といてやる的なことを言ってきたとしたら、本当に何てやつなんだ…としか言いようがないアレクシですが、誤解が解けたあと「そんなに信用できないか」って言うシーンがありまして。
どの口が!?と思わず口に出てしまいましたよ。
これ、ハリムとナラの話があって、それを踏まえた上で読んだらさらに良さそうだなと思うくらい、作者さんは分かっていて断片的に回想シーンを出すけど、読者にはそこまで伝わらないという箇所がいくつか感じられたのが残念でした。

「こういうものが読みたい」と思って、ここまで完成度の高い作品を描けてしまうなんて、ただただ感服いたします。
狼ものは「番」の概念のおかげで安心して読めるものが多いので、地雷が多い方には特におすすめです。

0

見た目以外に民族感はない。

好き!泣ける!

動物の狼はいっぱい出てくるけど
貴重だから?動物の白鹿は出てこない。

狼と身代わりの恋 その後
気持ちが通じてより甘くなるアラクシがよき。

お付きの人たちの区別がつかないんだけど
仕事中に、自分の疑問を解決するのにやってくるサラに付き合わされたり
仕事中にイチャイチャする2人と同じ部屋で仕事だったり
振り回されてる周囲を応援したくなる。

どのペアも狼は思い込みが激しい。
白鹿が強いペアがいてもいいと思うんだけどな。

3

民族BL

同設定の既刊作が完結したので、こちらも含め一気に読了。
泣いた!!!
とにかくストーリーが切なくてほっこりにっこりでした。
伝統によって番にならざる得ない運命に翻弄される2CPと同時代、同地域の1CPのお話。
それぞれの気持ちを捨て置き、伝統によって結ばれる事による葛藤や拗れがせつなくて…胸にギュンギュン来ました。
自己犠牲とか弱いんだよ…涙隠して笑顔とかもう無理…大好きよ
随所に出てくる狼が、何をするでもないのですが最高にかわいい…!
また、服飾品や背景が素晴らしく凝っていて、魅力に溢れています。刺繍良い!

4

まっすぐで健気な想いに心が洗われる!

漆黒の狼と白鹿が始祖である民族は、狼の言葉を解し、狼と共に生きる。
ほとんどは「狼」と呼ばれる漆黒の髪を持って生まれてくるが、ごく稀に白い髪の「白鹿」が生まれ、白鹿は身分性別を問わず、王族と番(つがい)になる。

「狼は恋に溺れる」
王子のツァスと白鹿のウル、番になることがほぼ決まってそうな二人だけど、ウルは国のことは何もわからない役立たずで「白鹿」であることしかツァスに相応しくないと思い、ツァスはツァスでウルは王族だから自分と番になるのだと、相手が自分の「属性」に惹かれていると勘違いしてすれ違ってしまう…
その人自身を求めている、「属性」なんか関係無い純愛にキュンとさせられます。

「狼は幸せな夢をみる」
こちらは黒髪の狼同士、孤児の貧しい暮らしから文官学校に入ったアリオンとイェケ。アリオンはイェケに貧しい暮らしはさせたくないと、王宮仕官を目指しながら、学校内の雑用をこなして疲れている。イェケはそんなアリオンを心配し、一緒に笑っていられるなら貧しくても良いと。
お互いを思っているからこそのすれ違いから、番として手を取り合う話です。

「狼と身代わりの恋」
弟王子・アラクシと、双子の白鹿・弟のサラ。
兄王子・ハリムと双子の兄・ナラはすでに番として仲睦まじく過ごしている。
アラクシはナラに叶わない想いを抱き、サラも兄王子を想っているなら、余り者同士でちょうど良いので、サラと番うことにする。
兄王子の仕事も手伝うナラと違って、サラは天真爛漫でワガママに見える。でも小さい頃から本当はアラクシのことが好きで、ナラの身代わりだってわかっていることが切なくて、アラクシを思って起こす行動の一つ一つがかわいすぎて泣けました!
頑なで思い違いをしていたアラクシが気付いた真実、過去の出来事は物語的なオチに感じるけど、泣いてるサラに差し出し続けた手は、アラクシの本当の気持ちなんだと思う。
「その後」は番として認めあった後、カラダでも繋がって本物の番になるまでの話。慌てたり、不安になるサラがやっぱりかわいい!アラクシのものになるサラもすごくかわいい!

妊娠ファンタジーはないので、男同士で番って王家の跡継ぎはどうなるのかな?と心配になりますが、まっすぐで健気な想いにキュンキュンさせられっぱなしで心が洗われるような本でした。
狼たちのモフモフぶりは雄々しくかわいく、大陸の騎馬民族っぽい背景や衣装は丁寧に描かれていて、デビューコミックスとは思えない仕上がりです。

2

惜しい!

チベット付近の民族衣装が好きなので、飛びつきました。
鹿と狼の一族がいて、番う仕来りとかいいですね。
いや、しかし、これはBLじゃなくてもいいんじゃ、もといBLであっては駄目なのでは。
男でも番えるという事が、民俗的にはとても不自然で、BLだから仕方ないのですが、そういう仕来りに背いて……という展開では駄目だったんでしょうかねえ。
受けの外見もほぼ女子だし、これでゴリマッチョとかだったらまた評価は違うのですけれど。
話も女子が我が儘いったりする、よくある少女漫画という感じでした。
女子でいいよなあ。…………すみません。

大変な衣装も丁寧に描かれているので、もう少しあったら神だったかもしれない。
こういう雰囲気のBLは珍しいので今後に期待!

5

身代わりでも好きだから

あらすじを見て、よし買おう!と決めた作品です。
身代わり、けなげ受け、可愛い受けが大好物なわたしにとって、とてつもなくツボを抑えられました。
世界観が独特で、ところどころに狼が出てくるんですが、それがまた可愛らしくて仕方ありません。もふもふ好きなのでたまりませんでした。

すべて同じ世界観の話が収められており、みっつ(厳密にはよっつ)のカップルが出てきます。
先祖がシカとオオカミというファンタジー溢れる設定で、番という言葉が使われる関係にあるところに、ロマンを感じます。ひとつだけオオカミ通しのカップリングがあるんですが、そのふたりの話だけが庶民らしかったです。他の話は、攻めが王族で、受けが一族にとって重要なシカの子というポジションにあり、きらびやかな生活をしている上、あまり金銭的な苦労はしていないので、薄幸ではありません。

どの攻めも堅物で言葉ではあまり語らずに、行動で示す不器用なタイプの人ばっかりで、やきもきさせられます。受けも受けで、健気でいじましいんですが、空回りしたり、一人ぐるぐる悩んだりと、ある意味お似合いカップルばかりでした。
一番安定しているのは、表題作の双子のもうひとつのカップルです。出来るならば、彼らの話も読んで見たかったです。言葉や最後の話でちょろっとだけ、そういう描写があるだけで、直接的な場面ではなかったのが残念です。
世界観自体が独特なので、同性間の恋愛も異常ではなく、周りから認められているというのも新鮮でした。
デビュー作ということで、ところどころ爪の甘さが目立つ一冊ではありましたが、特殊な設定や独特の世界観に貰えました。

4

どの話も切なくなります

狼!?鹿!?とくれば、もふもふ!?と期待して購入しました。でも、狼は出てくるけどもふもふはなく、そこがちょっと残念でした。

どのお話も、相手を大切に想っているのに言葉が足りなかったり、すれ違ったりで切なくなりました。特に「狼と身代わりの恋」では、最初からお互いに身代わりだと思って一緒にいるので、切なさマックスでした。アカシアのうじうじして八つ当たりする態度にはイライラしたけど、サラが身代わりでもいいと長い間頑張っていたのに疲れ果てて「無理だよ。もう頑張れない」と話す場面では泣いてしまいました。

世界観もしっかりしていたし、絵も綺麗で楽しめました。民族ものもいいなと思えた作品でした。

5

しっかりと描かれた世界観と絵

表紙とあらすじを見た時は攻めが狼なのかと思ってしまったのですが、そんな事はありませんでしたね、普通に人間同士のカップルでした。(私は人間同士の方が好きなので特に問題ありませんでしたが。)
ストーリーにも読む前に思っていたほどには狼は深くかかわっていませんでした。けれど世界観を表現するには充分な役割をしていますし、その点では重要な存在だとも思います。何より登場人物達の側に寄りそう狼たちの姿は愛らしく、もっと姿を見たいと思ってしまいました。

「民族衣装を着た人たちがBLしてる漫画が読みたい」と作者のりうま先生が思っただけあって、民族衣装はとても丁寧に描きこまれていて、衣装を見ているだけでも楽しいです。風景や風習や世界観もしっかり描かれていたので、ただ民族衣装を着ているだけで終わっていなかったのも素晴らしいところ。
狼にしても民族衣装にしてもファンタジーにしても、りうま先生が好きなもの・読みたいものを描いてこれだけ反響があったと言う点でも素晴らしい事だと思います。

収録された三種類のお話が全て同じ世界を舞台にしてるのも面白かったです。これだけ丁寧に作られた世界を一作で終わらせてしまうのは勿体無いですし、複数の作品を楽しめて良かったと思います。

どの作品も、自分に劣等感を感じながらも健気に相手を思う受けの姿にきゅんとしましたし、相手の気持ちや自分の気持ちに気付かず、すれ違いや誤解などを経ながらも相手と打ち解けていく姿を応援するような気持ちで読んでいました。

少し残念だったのは、アラクシがサラに告白するシーン。あれでは「一目惚れした相手だったから好きだ」と言っているようにも感じてしまいました。
アラクシはナラと会話して、本当はサラが好きな事と、一目惚れした相手を勘違いしていた事に気付きます。ですが、本当はサラが好きだった事と、一目惚れした相手が本当はサラだった事は別の話だと思います。アラクシ自身も自分で自分の気持ちに気付いていたので、一目惚れだけが好きの理由ではないときちんと分かりはするのですが、好きな理由とははっきり分けて描かれていたらよかったかなぁとも思いました。

その辺りが少し気になった以外は本当に満足です。
民族モノでファンタジーなBL作品をもっと読んでみたくなる、そんな作品でした。

9

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